非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part37 [無断転載禁止]©2ch.net

1創る名無しに見る名無し2016/01/12(火) 00:10:53.13ID:Tf6AlFiL
1999年刊行された小説「バトル・ロワイアル」

現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。

基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前に登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などを発表するかは書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・ロワ名を「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
  〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!

前スレ
非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part36
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1425485657/

非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html

2 ◆ymCx/I3enU 2016/01/12(火) 00:18:51.28ID:Tf6AlFiL
Part36が一杯になってしまったので新スレッド立てました
続きをこちらに投下します

3転がる石になれ ◆ymCx/I3enU 2016/01/12(火) 00:22:26.94ID:Tf6AlFiL
ハレナは、一先ず心を落ち着かせた後、犬の少年の所持品を漁り、ダイナマイト3本と着火用のフリント式ライターを入手し、
その後荷物をまとめ灯台から去って行った。


【盛朋未  死亡】
【久保永悠歩  死亡】
【残り43人】


【明朝/B-7灯台付近】
【ハレナ】
状態:健康
装備:金属バット
持物:基本支給品一式、S&W M10(4/6)、.38SP弾(12)、ダイナマイト(3)、ライター
現状:優勝を狙う。
備考:特に無し。


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《キャラ紹介》
【久保永悠歩】
読み:くぼなが ゆうほ
年齢:17
性別:男
種族:犬獣人
特徴:クリーム色の毛皮と髪。細身で女性的な身体付き。学校制服のズボンとシャツ、ベスト姿
職業:高校生
備考:変態。同級生の変態仲間であり友人の碑文谷直紀や舩田勝隆らと共に様々な変態行為を働いている。
それ以外は至って善人。両刀使い。成績は碑文谷・舩田より上。

【盛朋未】
読み:もり ともみ
年齢:24
性別:女
種族:人間
特徴:茶色のセミロング。身体付きは悪くも良くも無いと言ったところ。私製の戦闘服姿
職業:傭兵
備考:中学卒業後、経済的理由で高校へ行けず、やむなく裏の傭兵組織に加入し傭兵となった。
意外に戦闘センスが有ったようで、各地を転戦しかなりの戦績を上げている。
性格はかつては引っ込み思案だったが戦闘を経験するにつれ自信が付いたらしく明るくなった。

【ハレナ】
年齢:21
性別:女
種族:半獣人
特徴:黒髪に猫耳と尻尾の付いた巨乳美女。へそ出しのタンクトップのような上着とホットパンツ姿で露出が多い
職業:情報屋
備考:依頼され情報を仕入れそれを売って資金を得ている。変装や色仕掛けを良く使う。
戦闘は苦手だが素早い身のこなしで上手く敵を翻弄する。
人懐っこい風を装っているが本性は酷く利己的保身的。
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4 ◆ymCx/I3enU 2016/01/12(火) 00:24:53.89ID:Tf6AlFiL
投下終了です
スレッドの容量確認してから投下するべきだった、すみませんでした

5創る名無しに見る名無し2016/01/12(火) 09:11:05.40ID:f1rFHnJc
資格の市場価値が一目で分かる!
安定した仕事を得るには学歴よりも、価値ある資格を取ることが大切です。
また、日本経済が求めている人材も、これで明らか。

■資格の求人市場評価ランキング
http://jobinjapan.jp/license/ranking.html
■すべての資格の平均月給一覧
http://jobinjapan.jp/license/

全資格の平均最低月給197,800円
提供: http://jobinjapan.jp

6 ◆ymCx/I3enU 2016/01/18(月) 09:16:29.25ID:3sCNSWNw
投下します

7愚か者の模索 ◆ymCx/I3enU 2016/01/18(月) 09:18:07.66ID:3sCNSWNw
23話 愚か者の模索

憲兵と言う職に就いている割に臆病でドジを踏む事が多い、黒狐獣人の山津有岐。
直属の上司である松宮深澄や同僚達からは「よくこんな奴が憲兵になれたな」と呆れられ不思議に思われていた。

具体的に彼女がやらかした事を挙げると。
逃亡兵に抵抗され「大人しくして!」と叫びながら殴り殺しかける、
深夜巡回で物盗りの侵入者をお化けと勘違いしてジープでひき殺そうとしてジープを破損させる、
尋問の際に相手に逆に凄まれ「いや怖い」などと叫びながら絞殺しかける、といった物。

ドジを踏むと言うよりは「恐怖で暴走しやすい」と言った方が正しいであろうか。

そんな彼女が上司の松宮と共に殺し合いゲームに巻き込まれてしまった。
スタート地点はC-5エリアの畑地帯に有る民家。

「ハァ、怖いもう」

仏間に座り込み涙目になりながら有岐はぼやく。

「最後の一人になれなきゃ、生きて帰れない……なれたとしても本当に帰して貰えるかどうか……。
でも、状況的に、殺し合わなきゃいけないシステムになっているみたいだし……」

高難易度の試験を突破する必要が有る憲兵と言う職業に就いているだけあり震えながらも状況を分析するだけの頭は有った。

「松宮隊長も居るけど、私の事捜したりなんてしないだろうな。
いつもいつも私、隊の皆に迷惑ばかりかけてるし、ああ、死にたくない。どうすれば……」

頭を抱える有岐。
座卓の上には彼女の支給品である、直刀が置かれている。当たりの部類に入る支給品だ。
これを使って自分はどうするか。

(私、死にたくない……)

色々と思考はしていたが「死にたくない」の一文だけは何度も同じように浮かんでいた。

「……よし」

そしてようやく方針を固める。
ついさっき「優勝した所で、本当に生きて帰れるか不明」と考えたばかりであったが、
結局、有岐は少しでも確実な可能性が有るのならそれに賭ける事にした。
つまり自分が生き延びる事を優先、殺し合いに乗る事を決意してしまったのだ。

「ごめんなさい松宮隊長、私は死にたくないんです……」

直刀を鞘から引き抜き良く研がれた刀身を見詰めながら有岐は呟いた。

8愚か者の模索 ◆ymCx/I3enU 2016/01/18(月) 09:18:39.46ID:3sCNSWNw
【明朝/C-5畑地帯福原家】
【山津有岐】
状態:健康
装備:直刀
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いに乗り優勝を目指す。
備考:特に無し。


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《キャラ紹介》
【山津有岐】
読み:やまつ ゆき
年齢:24
性別:女
種族:狐獣人
特徴:黒狐獣人。爆乳。憲兵の制服姿
職業:憲兵
備考:怖がりで、恐怖で暴走しやすい。ドジっ娘と称されるがドジの範疇を超えており器物破損や殺人未遂の常習犯。
とは言え憲兵になるだけ有り戦闘能力と判断力は相応には有る。
上官の松宮深澄からしばしば叱責を受けている。


《支給品紹介》
【直刀】
支給者:山津有岐
分類:刃物
説明:反りの無い真っ直ぐな刀身を持った刀。
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9 ◆ymCx/I3enU 2016/01/18(月) 09:23:52.16ID:3sCNSWNw
投下終了です

10 ◆84AHk0CknU 2016/02/04(木) 18:35:13.76ID:DzXBQF1n
スレ立て乙&お久しぶりです
投下します

11めぐり合うM/生の裏技 ◆84AHk0CknU 2016/02/04(木) 18:37:15.84ID:DzXBQF1n
「遠野…嘘だよ…」

坊主頭で老け顔の大学生、MURは唐突な後輩の死に涙を流していた。
野獣の恋人で優しい心の持ち主だった遠野。
そんな遠野が何故死ななければならないのか。いったい遠野がなにをしたというのか。
後輩の理不尽な死にMURは悲しみと怒りを覚える。

「あの変なロン毛絶対に許さないゾ…。AKYS先生直伝の鉄拳をブチ込んでやるぜ!」

遠野の命を奪った主催者打倒を決意したMURはこれからどうするか考える。
まず自分が居るのはどこかの倉庫のようだった。
遠野の死に悲しんでいた為気付かなかったが、深夜の冷気も相まって倉庫内はとても寒い。
何か暖を取るものはないかとデイバッグ内を探ると、何か柔らかい毛布のような感触が手に伝わってくる。
期待を込めて取り出すとそれは…

「ポッチャマ…」

青い鳥のようなキャラクターのパジャマだった。
これ幸いとばかりに早速着てみると、ヌクヌクとした感触が心地良く冷えた体を暖めてくれる。

「いいゾ〜これ(恍惚)」

いわゆるハズレ支給品の部類なのだが、MURにとっては大当たりの物だったようだ。
ご満悦の表情で更にデイバッグを漁ると二つ支給品が出てきた。
一つは余り役に立たないだろうが、もう一つは銀色のリボルバー銃だった。

「本物、か?」

緊張した面持ちで銃を握り締めるMUR。
できれば使いたくない代物だが、迫真空手では太刀打ちできない危険人物が現れた時は使うしかないのだろう。
ふーっと息を吐きズボンのベルトに挟む。
続いて名簿を見ると部活の後輩二人に先生まで呼ばれていると分かった。
三人とも殺し合いなんて絶対にしないに決まってる。

「けど野獣とは早めに会った方が良いかもな」

恋人が見せしめで殺されたのだから、精神的にかなり参ってるだろう。
ならばこんな時こそ先輩である自分が彼の支えになってやらねば、とMURは意気込む
名簿を仕舞い今度は地図を取り出そうとし、

「おにーちゃーん!クルスくーん!どこー!」

突然外から聞こえてきた大声に心臓が跳ね上がりそうになった。
幼い少女の大声に驚いたMURだがハッとこの行為が如何に危険かに気付く。
もしこの悪趣味なゲームに乗った者が聞いたら、大変な事になる。
声の発生源である少女を止める為MURは外へ飛び出す。

12めぐり合うM/生の裏技 ◆84AHk0CknU 2016/02/04(木) 18:39:18.36ID:DzXBQF1n
声の持ち主は直ぐに見つかった。
桃色の髪にオレンジの大きなリボンを付けた可愛らしい少女だ。
周囲をキョロキョロと見回しながら、大声で知り合いの名を呼んでいる。

「クルスkモゴモゴモゴ」
「ストップだゾ!そんな大声だすのは危険だゾ」

MURは慌てて少女の口を塞ぐ。
少女は突然口を塞がれた事に抗議しようと後ろを向いた。

「わぁー!ペンギンのおじちゃんだぁ!」
「おじちゃんなのか…(落胆)」

おじちゃん呼ばわりされた事にショックを受けるMURだが、反対に少女はキラキラとした目を向けている。

「お嬢ちゃん名前は?」
「未央はー、未央って名前だよー」
「未央ちゃんか。大きな声を出して誰を探してたんだゾ?」
「お兄ちゃんとクルス君だよ。さっきの変な部屋でみつけたの」
「……未央ちゃんはあの部屋で何があったか見てたのか?」
「んーん。クルス君たちを探してたから分かんない」

無邪気に答える少女を見てMURは、こんな小さな子まで巻き込む主催者に改めて怒りを覚える。

「ねーおじちゃん。ウサちゃん知らない?」
「ウサちゃん?」
「うん、未央のお気に入りのお人形のウサちゃん。探してもどこにもないの」
「そうなのか。ごめんな、持ってないゾ」
「そっか……」

答えを聞いて悲しげに俯く未央。
その姿に心を痛めたMURはあることを提案する。

「あっそうだ。なら俺が一緒に探してあげるゾ」
「ふぇ?いいの?」
「当たり前だルォ?それから未央ちゃんの友だちも一緒に探してあげるゾ」
「わー!ありがとうおじちゃん!」

喜ぶ未央を見て頬を緩ませるMUR。やはり子どもは元気が一番だ。
MURはこのバトルロワイアルの間は自分が未央を守ろうと決意した。
こんな幼い少女を見捨てる程自分は腐ってはいないし、そんな腐った奴なら今頃AKYS先生にブチのめされている。
未央のウサちゃんと知り合いを探しつつ、併行して迫真空手部の皆を探す。
大まかな方針はこんな所だろう。

「早くいこーよおじちゃん!」
「おっそうだな(即決)」
(KMR、AKYS先生。会うのが遅くなるかもしれないけど、無事でいてくれよ)
(野獣。お前には俺達迫真空手部の仲間が付いてる。だから絶対自棄になるんじゃないゾ!)

決意を新たに歩き出すMUR。
だが彼は知らない。
守ると決意した少女は大人など容易く嬲り殺せる怪物、ニードレスであることを。
迫真空手の仲間は二人がゲームに乗り、一人は既にこの世にいないことを。

13めぐり合うM/生の裏技 ◆84AHk0CknU 2016/02/04(木) 18:40:16.91ID:DzXBQF1n
【MUR@真夏の夜の淫夢】
[状態]:健康
[装備]:ポッチャマの着ぐるみパジャマ@現実、雑賀孫市のリボルバー(8/8、予備弾×32)@戦国BASARA
[道具]共通支給品一式、不明支給品×1(武器ではない)
[思考]
基本:主催者に怒りの鉄拳をブチ込む
1:未央と行動し守る
2:未央と自分の仲間を探す(できれば野獣優先)
3:未央のウサちゃんを探す
[備考]


【未央@NEEDLESS】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:共通支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:お兄ちゃん達に会いたい
1:ペンギンのおじちゃんと一緒に行動
2:ウサちゃんとクルス君達を探す
[備考]
※参戦時期はセツナ・梔との決別以降
※殺し合いの場である事を今ひとつ理解していません
※名簿を確認していません

14 ◆84AHk0CknU 2016/02/04(木) 18:58:24.49ID:DzXBQF1n
投下終了です
避難所の方にも作品を投下しました。時系列としては今回のよりも後です


あっそうだ(唐突)名簿に変更を

3/3【でろでろ】
○日野耳雄/○日野留渦/○サイトーさん
3/3【the4400】
○ショーン・ファレル/○マイア・ラトリッジ・スクーリス/○イザベル・タイラー
1/1【マジキチコナンSS】
○阿笠博士

を追加します

15 ◆84AHk0CknU 2016/02/09(火) 04:57:30.59ID:NFMOLHT5
投下します

16 ◆84AHk0CknU 2016/02/09(火) 04:58:52.30ID:NFMOLHT5
夜空に浮かぶ満月を水銀燈はぼうっと眺めていた。
殺し合いの場には似つかわしくない綺麗な満月。
地上で行われている残虐な催しなど気にも留めずに、こちらを見下ろし淡く光を放っている。

(そういえばもうすぐお月見パーティーするんだったわねぇ…)

姉妹と昔から付き合いの少年、それにその親友。
本当なら今頃は、自宅で行う彼らとのちょっとしたイベントを楽しみにしつつ、変わらぬ日常を過ごしていたはず。
それがどうしてこんな事になってしまったのだろう。
脳裏に浮かぶのはさっきの首を吹き飛ばされた死体、ではなくその後の出来事。





61人の参加者が会場へ転送される中、水銀燈だけは飛ばされずあの場に残っていた。
余りの非現実に混乱している時あの男、GOと名乗ったロン毛の青年は言った。

『ごめんごめん。水銀燈さん、だっけ?君にはちょっと話があるから残ってもらったよ』
『ま、詳しい説明は彼がしてくれるから』

言い終わると同時にGOの背後から男が姿を現した。
茶色の背広にメガネを掛けており、某天空の城のアニメに出てくる某大佐にどこか似ていた。

『やぁ、始めまして。ここからはGO様に代わり私が説明させていただきます』

男は無表情で淡々と話す。

『まずはこれを見て欲しいんDA☆』

男は懐から何枚かの写真を取り出し水銀燈に渡す。
困惑しつつそれを受け取り見た水銀燈は、驚愕し目を見開く。
何故ならそこには妹たちの学校や自宅での様子が写っていたからだ。

『専門的なことはともかく、君達の事は全て調べ尽くしてあるんDA☆』
『その気になれば何時でも妹たちを殺せる事が、分かるだろう?』
『っ!あんた…っ!』

水銀燈は怒りを露に掴みかかろうとするが、

『まま、そう焦んないでよ』

GOが手を翳した瞬間、その場で硬直してしまう。
必死に体を動かそうとするも、まるで見えないなにかに拘束されてしまったようにびくともしない。

17 ◆84AHk0CknU 2016/02/09(火) 05:00:15.52ID:NFMOLHT5
『付け加えるとこのゲームには二人、君の妹が参加しているんDA☆』

告げられた一言にに青ざめる水銀燈。

『生き残れるのは一人だけ。どう足掻いても両方を生き残らせる事は不可能なんDA☆』
『けれど慈悲深いGO様が君の為に特別ルールを用意してくれました。かわいそうなお友達の数が君を入れて三人になったら、その時点で脱出させてあげるんDA☆』
『これなら姉妹揃って家に帰れることが、分かるだろう?』

男が言い終わったのを見計らい、次いでGOが口を開く。

『ただし願いを叶えるのは無しだからね。あれは最後の一人になった参加者へのご褒美だからさ』
『もし妹ちゃん達が途中で死んじゃって、生き返らせたいってなったら、その時は最初に言った通り殺し合いに優勝する道を選ぶんだね』
『あ、疑ってる?大丈夫だって安心しろよ〜。俺の力でパパッと蘇らせてやっからさ』

『じゃそろそろいいよな?いこうぜもう、チャチャっと。大丈夫だろもう?よしキマリッ!』

一方的に話を打ち切ると、水銀燈が何か言う前に転送を開始。
しかし、会場へ送られる直前に思いもよらぬ事を言った。

『あっそうだ(唐突)。妹ちゃん達だけじゃなく、やる夫君とやらない夫君も参加してるから』





あれからずっと考えた。
自分はどうすべきなのかを。
誰を守り、誰を切り捨てるのかを。
考えて考えて考え続けて、決断した。

(支給品は説明書通りならどれも強力なもの。これもあいつの慈悲ってわけかしらぁ)

きっとあの二人は自分の選択を認めないだろう。
酷く罵倒され恨まれるかもしれない。

(伊藤誠、あいつまでここに居るのね。もし見つけたら…)

けれど構わない。
それで二人を、妹達を守れるなら自分はどれだけ傷ついてもいい。
手を汚すのは自分一人でいい。

(待ってなさい。お姉ちゃんが絶対助けてあげるから)


【水銀燈@やる夫スレ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:共通支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:翠星石と雪華綺晶を生き残らせる
1:妹以外の参加者を殺す
2:やる夫、やらない夫にはできれば会いたくない
3:もし翠星石達が死んだら…?
[備考]
※GOから特別ルールを設けられました
1:残り人数が水銀燈を入れ三人になったら会場から脱出できる。
2:但し願いを叶える権利は得られない。

18 ◆84AHk0CknU 2016/02/09(火) 05:01:05.19ID:NFMOLHT5
「説明お疲れ様。悪いね、突然押し付けちゃって」
「いえ、GO様のお役に立てて光栄です」

労わりの言葉を掛けるGOへ恭しく頭を下げる某大佐似の男。
現在彼らが居るのはあの薄暗い会議室のような部屋ではない。
窓の一切ない空間。そこに無数のモニターが存在している。
モニターの画面に映る殺し合いの様子を、GOは楽しげに眺めていた。

「おう、何勝手なことしてんだよ」

と、背後からの声に神は振り向く。
そこに居たのは黒いスーツを着たヤクザ風の男だった。

「あんなルール用意するなんて聞いてねぇぞ。どういうつもりだ?あく説明しろよ(せっかち)」
「ごめんごめん。でも別にいーじゃん。彼女、ゲームに乗ってくれたみたいだしさ」

気楽に言うGOを睨み付けるヤクザ風の男。
だがこの神が勝手な行動をするのは今に始まったことではない。
ため息を吐くと背を向け、そのまま話す。

「…次からは俺に一言声かけてからにしろよ」

それだけを言い男は部屋を後にする。
その姿を見送ったGOは再びモニターを眺め楽しげに笑う。

「TNOK君ももっと気楽に楽しめば良いのに。ねぇ、馴レーション君?」
「GO様の仰る通りDEATH!」

そう、殺し合いはまだまだ序盤に過ぎない。
62人の参加者がどんな結末を迎えるか。
それは神にも分からない。


※主催者側に馴レーション@チャージマン研!とTNOK@真夏の夜の淫夢が居ます。

19 ◆84AHk0CknU 2016/02/09(火) 05:04:21.92ID:NFMOLHT5
投下終了です
GO is GOD

20 ◆ymCx/I3enU 2016/02/12(金) 12:24:00.86ID:h6WyEC30
投下乙です、そしてお久しぶりです
淫夢のキャラが居ると脳内でBB劇場のように再生される

>めぐり合うM/生の裏技
ポッチャマの服着た男が女の子の口を押さえる、これは傍から見たら通報案件ですね…
MUR頑張って欲しい
>(二つ目)
水銀燈はジョーカー?と思ったけどちょっと違う感じですかね
TNOKは多分原作のような末路になると思った(こなみ)

自分もかなり久しぶりに投下します、最近色々あって…(自分語り)

21無為はあらゆる不道徳の母 ◆ymCx/I3enU 2016/02/12(金) 12:24:38.12ID:h6WyEC30
24話 無為はあらゆる不道徳の母

支給されたライフルで一人の人間男性を射殺した後、修二は男の死体に近付き彼の荷物を漁った。
そして出てきたのは無骨な印象の手袋。説明書には「パワーグローブ」と有り、装備した者の力を上げると記載されていた。
「RPGのアイテムみたいだ」と半信半疑ながらも修二は手袋を装備してみる。ややサイズが大きかったがそこまで気になる程では無い。
別段何も変化は無いように思えたが、試しに近くのブロック塀に向かってパンチを繰り出してみた。

バキッ

「うわっ!?」

ブロック塀は大きく陥没し、ひび割れが広がった。
修二は男性としては余り力が無い方であり、グローブの力である事は疑いようも無い。
グローブ無しで同じ事をすれば間違い無く大怪我をする所である。

「マジか、凄いなコレ」

グローブの力を実感した修二はこのまま身に着けておく事にした。

その後、市街地を歩く内、病院らしき建物が見えた。
南市街地において一番高い建物のようで、屋上からの見晴らしは良さそうである。

(屋上から狙撃するのもアリか? あそこに行ってみようか……)

修二は病院を目指し歩みを進めた。

◆◆◆

島の南の市街地に有る病院。鉄筋コンクリートの五階建てで、南の市街地において一番大きな建物である。

「〈現実な気がしないんだけどなぁ……〉」

4階の病室の窓から外を眺めながらロシア語でぼやくのは、銀髪に犬の耳と尻尾を持つ女性、マリア・アルノーリドヴナ・ベーラヤ。
このバトルロワイアルに参加させられているトロフィム・クルトィフとウラジーミル・コスイギン同様、ロシアから日本への観光旅行途中に、
拉致され殺し合いをさせられる事になった一人である。
ゲームが始まった後も実感が湧かず、スタート地点の病院の中をうろうろと徘徊し、現在に至るのであるが、
時折どこかから聞こえてくる銃声や悲鳴らしき物、首にはめられた首輪の感触、デイパックの中に入っていた重々しく、物々しいメイスが、
殺し合いが現実の物であるとマリアに突き付ける。

「〈これからどうしようかしら〉」

受け入れたくない現実とどうにか向き合いながら、彼女なりにこれからの事を考える。
知り合いらしい知り合いは、高校の時の同級生であったウラジーミル・イリイチ・コスイギンが居るには居るのだが、
ほとんど会話した事も無い為、向こうは自分の事など恐らく覚えていないだろう。

「〈殺し合い乗っちゃおうかなぁ……〉」

ろくに知人も居ないのであれば自分が生き延びる事を最優先させようと、マリアは殺し合いに乗る事にした。
ただ、打撃武器で積極的に他者に襲いかかって、確実に全てを仕留められる程の実力は無かった為、
他にも有効な武器――例えば銃――等が欲しかった。

◆◆◆

22無為はあらゆる不道徳の母 ◆ymCx/I3enU 2016/02/12(金) 12:27:41.78ID:h6WyEC30
一頻り森の中で木を切りまくり憂さ晴らしをした後、南の市街地へとやって来た青髪の半竜人少女、レカ。

「誰も居ない……上から様子見てみようか」

高所から街の様子を見ようと翼を羽ばたかせて近くの鉄筋コンクリートの古いビルの屋上へ一気に飛び上がる。
辺りを見回すと、海や古い町並みの他、一際目立つ白い建物が見えた。
どうやら病院のようだった。

「あそこに行ってみよう」

レカは次の行き先を病院に定めた。

「あら」

道路に下りようとした時に、レカは人影を発見した。
どうやら鹿獣人の男らしい。病院の方に向かって歩いて行っているようだ。

(あいつも病院に? あ、良い武器持ってるじゃない。殺して奪っちゃおう)

鹿の男が持っているライフルに目を付けたレカは音も無く飛び立った。

◆◆◆

辺りを警戒しながら目的地である病院を目指し歩いていた修二。
警戒こそしていたが、背後から音も無く滑空してくる半竜人の少女には気付く事は出来なかった。
ヒュッと風を切るような音を聞いた直後、修二は左肩に衝撃と焼けるような激痛を感じ、アスファルトの上に転がった。

「いっ……ぎゃあああああ!?」

血を撒き散らしのたうち回る修二。
何が起きたのか全く分からなかったが、凄まじい痛み、アスファルトと自分の身体を染める血、ほとんど動かせない左肩が、
自分の身に重大な事が起きたと言う事を修二に示していた。

「何だ、何が、い、いっだ」
「一気に殺すつもりだったのに外しちゃった」
「だ、誰だ」

目の前に降り立った半竜人の少女に修二が誰何する。
彼女の右手には血の付着した日本刀が握られていた。

「私の名前なんて、今から死ぬ人に教えても意味無いでしょ?」
「くそっ……!」

このままではまずいと、修二は何とか動く右手を先程落としてしまったライフルに伸ばす。
しかし、すぐに半竜少女がライフルを踏み付けてそれを阻んだ。尤も、手が届いたとしても構える事すら出来なかっただろう。

「悪あがきしなーい。そんな死に体でライフル使える訳無いでしょうが」
「やめろ……!」
「ちゃっちゃと死んじゃってね」

修二の身体に、思い切り日本刀が突き立てられた。
声にならない呻き声を発した後、血を吐いて修二は動かなくなった。

◆◆◆

23無為はあらゆる不道徳の母 ◆ymCx/I3enU 2016/02/12(金) 12:28:52.63ID:h6WyEC30
刀身に付いた男の血を彼の衣服で拭き取った後、レカは彼の所持品を漁りライフルの予備弾を手に入れる。

「さて、本体も頂くとしますかね」

そして路上に落ちていたライフル本体に手を伸ばそうとしたその時。
レカの足を何者かの手が掴む。

「え?」
「こ、の、野郎」
「!?」

鹿の男が怒りの形相で睨みながらレカの足を掴んでいた。

「まだ、生きて、ぎゃああぁああ!?」

男は凄まじい力でレカの足首を締め上げた。
折れると思ったレカは急いで振り払おうとした。

「いたたた、やめ、放しなさいよ! 死に損ない、うわあ!!」

足を思い切り引っ張られてアスファルト上に引き倒されるレカ。
肌の露出の多い格好の彼女は固い路面に強か身体を打ち付け傷だらけになる。
だがそんな事に構っては居られぬ程、事態は逼迫していた。

「殺してやる!」

鹿の男はレカに馬乗りになると、その顔面を何度も何度も殴り付けた。

「がっ、あ! や、め」

何度も何度も襲い掛かる衝撃、激痛に、レカの意識は段々と遠のいていく。
ああ自分は死ぬのか、こんな細身の男のどこにこんな力が有るのか、色々な考えがレカの脳裏に渦巻いていたが、
今現在の状況を打破出来る考えは何も浮かんではこなかった。
男の力は彼のはめたグローブによる物だとは彼女には思いもよらなかったし考え付いたとしてもどうにもならなかったであろう。

レカの動きが完全に止まった後も男はしばらく彼女を殴り続けた。

◆◆◆

「ハァ、ハァ、ハァ、ゲホッ! ゴホッ!」

顔が滅茶苦茶になった半竜少女の上で修二は吐血する。
日本刀で受けた傷は今まで感じた事の無い激痛であり意識が揺らいだ。
内臓にも傷付いたのか喉の奥から鉄錆の味のする液体が込み上げる。

24無為はあらゆる不道徳の母 ◆ymCx/I3enU 2016/02/12(金) 12:29:33.12ID:h6WyEC30
「いっでぇ……! 畜生……!」

なまじ獣人であるが故に普通の人間なら死んでいるであろうダメージでも修二はまだその命を繋ぐ。
半竜少女の身体の上から退き、奪われた銃弾を取り返し、落ちていたライフルも拾う。
それにしても痛くて苦しい。このような状態でライフルなど扱えるのか不安にも思う。

「本当に病院、行かなきゃいけないようになった……はは……」

ぼんやりとする意識の中、冗談めいた事を修二は呟く。
ふらつきながら、元々目指していた病院に向け再び歩みを進める。

◆◆◆

「う、うう」

顔の痛みに耐えながら身体を起こすレカ。

「良かった生きてる、セーフ……顔痛い……どうなってんのかな……顔、見たくないけど……」

自分の顔面が今どのような事になっているのか、確認するのは非常に怖かったものの、結局好奇心の方が勝り、
近くの店の中に入って壁に掛けられていた姿見に、レカは自分の顔を映し込む。

「うわ」

思わず声を発するレカ。
彼女の整っていた顔は腫れ上がって血塗れになっていた。
レカ自身はそこまで自分の美貌に気を使う性質では無かったもののそれでもショックを受ける酷い有様である。

「自分の顔ながら酷……女の子の顔殴るなんてあの鹿サイテー!
いたたたた……次会ったら絶対殺してやる! ……取り敢えず顔、洗お……」

鹿の男への憎悪を口にしつつ、レカは一先ず顔を洗いに向かう。

◆◆◆

「〈何か争う声が聞こえたような〉」

病室の開け放たれた窓から風に乗って微かに聞こえてきた男女の争うような声に反応するマリア。
それは普通の人間であれば絶対に聞こえないであろう本当に微かな物だったが半獣人であり、
普通の人間より聴覚に優れるマリアには聞き取れた。

「〈小さかったけど聞こえるレベルって事は、結構近く? 嫌だな……〉」

殺し合いに乗る事を決めたとは言え、今はまだ平穏で居たかった。
強者が近くに居ない事をマリアは祈る。

手負いかつ銃を持った一人の男が、現在病院に近付いてきている事にマリアはまだ気付く由は無い。

25無為はあらゆる不道徳の母 ◆ymCx/I3enU 2016/02/12(金) 12:30:36.08ID:h6WyEC30
【明朝/F-6病院】
【マリア・ベーラヤ】
状態:健康
装備:メイス
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いに乗り、優勝を目指す。但し身の安全を優先し無茶はしない。良い武器が欲しい。ウラジーミルについては放置。
備考:特に無し。

【明朝/F-6病院周辺】
【緒方修二】
状態:左肩に裂傷、上半身胸部付近に貫通刺創(共に出血多し)
装備:パワーグローブ、レミントンM700(3/4)
持物:基本支給品一式、7.62mm×51mm弾(12)
現状:殺し合いに乗り、優勝を目指す。病院を目指す。傷の手当てがしたい。
備考:レカ(名前未確認)は死んだと思っている。

【明朝/F-6病院周辺】
【レカ】
状態:顔面打撲、右足首に痛み
装備:日本刀
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いに乗り、優勝を目指す。顔の手当をした後病院へ。
備考:緒方修二の容姿のみ記憶。修二からは離れた所に居る。

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《キャラ紹介》
【マリア・ベーラヤ】
年齢:20代前半〜半ば位
性別:女
種族:犬系半獣人
特徴:銀髪に犬耳と尻尾。美人。私服姿
職業:不明(無職では無いらしいが)
備考:フルネームはマリア・アルノーリドヴナ・ベーラヤ。ロシアより日本へ観光途中に今回のロワに巻き込まれる。
同人誌を買い漁ったり食べ歩きをしていたらしい。善人でも悪人でも無い。

《支給品紹介》
【パワーグローブ】
支給者:黛康裕
分類:補助
説明:装備すると力が上がる特殊な手袋。クロノ*リガーの「パワー手袋」が元ネタ。

【メイス】
支給者:マリア・ベーラヤ
分類:鈍器
説明:金属製の棍棒。重量が有り威力が高い。
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26 ◆ymCx/I3enU 2016/02/12(金) 12:32:09.44ID:h6WyEC30
投下終了です。

もっとはっちゃけたいなぁ俺もなぁ

27 ◆84AHk0CknU 2016/02/13(土) 02:50:08.55ID:aru7wfeJ
投下乙です

レカは前回に続きやられてばっかりじゃないか(呆れ)
何とか生き延びた修二も、この重症じゃヤバいぞ
そして自ロワへの感想ありがとナス!

28 ◆ymCx/I3enU 2016/02/15(月) 01:14:03.26ID:uszfD9ZM
感想どうもです

投下します

29色々やっちゃうきつねくん ◆ymCx/I3enU 2016/02/15(月) 01:14:32.13ID:uszfD9ZM
25話 色々やっちゃうきつねくん

狐獣人の美しい顔立ちと身体を持った青年、隠塚英紀。
彼は淫乱な娼夫である。男相手に尻を振るのが彼の仕事。殺し合いに巻き込まれても相変わらず彼の脳内は桃色。

「殺し合いなんてしたくない……そんなものより、僕はオ*ニーしてる方が好き……あふぅ」

民家の一室で寝そべりながら己を扱く英紀。
彼の周りには既に丸まったティッシュが幾つも転がっていた。

「あー、またいく、いっちゃう、あ、ああ〜」

大げさに声を上げながら何回目か分からない絶頂に達する英紀。

「はぁ、はぁ、気持ち良い〜……何か死と隣り合わせってだけで、いつもより感じちゃう」

いつ死ぬか分からないと言う状況は彼の性感を増大させる要因となったようだ。

「あのー」
「ハッ」

不意に声を掛けられ少し驚きつつ声の方向に顔を向ける英紀。そこにはいつの間に家に入ってきたのか、
人間と獣人の少女がやや引き気味の表情を浮かべ英紀を見ていた。

「いつの間に、君達……僕の恥ずかしい姿見てた?」
「まぁ見てたけど」
「取り敢えず大声出すのは危ないわよ」

やんわりと咎める二人――大木弓那とコンゼノア。
二人はD-6エリアの森から現在のC-6エリア畑地帯へと移動し、何やら青年の喘ぎが聞こえる民家へと入った結果、
全裸で自慰をする狐の青年を発見したのだ。

「ごめんね、女の子に男の裸を見せちゃって、でも服無いんだ、勘弁してね……」
「まあ裸そのものは平気だけど」
「わたしも」
「そうなの?」
「取り敢えず白いの拭いて」

弓那がぶっきらぼうに英紀に言う。
彼の腹から胸にかけて、発射されたばかりの白く濁った液が飛び散っていた。
恥じらいながらティッシュで身体を拭く狐の青年の傍で小声で協議する弓那とコンゼノア。

「弓那、こいつ大丈夫? 放っておいた方が」
「まあ、害は……どうなんだろ」
「殺し合いの最中に大声出してオナ*ーしてるなんて頭がおかしいと思うんだけど」
「もうちょっと様子見してみよう」
「聞こえてるよ……」

小声だったが距離がいかんせん近い為英紀に聞こえてしまっていた。

「頭おかしいのは否定しないけど……僕は君達に変な事しようなんて思ってないよ。安心して」
「そんな格好で言われても、説得力無いんだけど」
「まあまあコンゼノア。私は大木弓那。こっちは今言ったけどコンゼノアって言うの。貴方は?」
「僕は隠塚英紀……娼夫をやっている……あふぅん」
「何もしてないのにやらしい声出すのは何だか殺意が沸くからやめて。それはともかく、殺し合いには乗ってないのかな? 隠塚さん」
「うん」
「なら仲間にならない?」
「ええ!? 本気なの?」

こんな淫乱変態を仲間に加える気かと抗議するコンゼノア。

30色々やっちゃうきつねくん ◆ymCx/I3enU 2016/02/15(月) 01:15:14.16ID:uszfD9ZM
「悪い奴では無さそうだし同志は多い方が良いでしょ。あ、エロい方の同志じゃないから勘違いしないでね」
「い、いやその辺は大丈夫だけど」
「僕みたいな淫乱きつねで良ければ……仲間になるよ……」

難色を示していたものの結局コンゼノアは英紀を仲間に加える事を承諾した。

「宜しくね弓那ちゃんにコンゼノアちゃん……お尻を掘られたいよう」
「腰をクネクネさせんな!」
「隠塚さんは何支給されたの?」

いやらしく腰を振る英紀に突っ込むコンゼノアとスルーして支給品について訊く弓那。

「僕の支給品、何だろ」
「え? まだ確認してなかったの? 殺し合い始まってそこそこ経ってるんだけど」
「始まってからずっと*ナニーしてたから……うふふ」
「……」

呆れるコンゼノア。弓那は特に表情は変えず。英紀への対応の仕方を彼女なりに編み出したのだろうか。
そして英紀がデイパックから出した物は。

「これって」
「うわ」
「すごく……おおきいです……」

旧ソ連の開発したロケットランチャーの一種「RPG-7」。
予備のロケット弾も三発入っているが既に本体には一発装填されている。

「こんなのがどうやってデイパックのn」
「それは触れちゃ駄目な奴だからコンゼノア。しかしまあ、大当たりじゃないの」
「でも使いこなせるかなあ」

試しに構える英紀。重量は有るがどうにか構える事は出来そうだった。

「ちょっと、説明書読まないと……」

弓那が忠告しようとしたその時。

カチッ

あろう事か、英紀はうっかり引き金を引いてしまった。

激しいバックブラストが起き、室内は破壊され、発射されたロケット弾は窓を突き破りどこかへと飛んで行った。

「「……」」

少し煤に塗れながら、呆然とする弓那とコンゼノア。
幸い怪我は無かったが一歩間違えればバックブラストで焼死していた所であった。
英紀もまたしばらく呆然としていたが、やがて自分が何をやらかしたのか理解すると二人の方を向いて、

「てへぺろー」

直後に弓那の顔面ストレートとコンゼノアのボディーブローが炸裂する事となった。

31色々やっちゃうきつねくん ◆ymCx/I3enU 2016/02/15(月) 01:15:58.93ID:uszfD9ZM
◆◆◆

さあ放たれたロケット弾の行方は。
一つの民家。そしてその民家の中には。

「そろそろここを出ようかなあ……」

黒狐の女憲兵、山津有岐。
身を潜めていた家からそろそろ出発しようか考えていた時だった。

突然の爆発。

民家は大破。

辺りには民家の破片が飛び散り、僅かに火も燻る。

「……」

瓦礫の中、服が部分的に焼け焦げ、破片で裂傷をあちこちに負いながらも辛うじて助かった有岐が立ち上がる。

「……え? え? 何?」

まさか遠くから発射されたロケット弾が着弾したとは知る由も無い有岐は何が起きたか分からず立ち尽くしていた。


【明朝/C-6畑地帯石井家】
【大木弓那】
状態:健康、煤塗れ
装備:特殊警棒
持物:基本支給品一式
現状:殺し合う気は無い。黒牙の捜索。コンゼノア、隠塚さんと行動。隠塚をシメる。
備考:レカの容姿のみ記憶、危険人物と判断。

【コンゼノア】
状態:健康、煤塗れ
装備:IMIミニウージー(32/32)
持物:基本支給品一式、ミニウージーのマガジン(5)
現状:殺し合いはしたくない。死にたくない。弓那、隠塚と行動する。隠塚てめぇ何してんだコラ!!
備考:レカの容姿のみ記憶、危険人物と判断。大木弓那より黒牙の情報を入手。

32色々やっちゃうきつねくん ◆ymCx/I3enU 2016/02/15(月) 01:16:40.54ID:uszfD9ZM
【隠塚英紀】
状態:弓那とコンゼノアにシメられている
装備:USSR RPG-7(0/1)
持物:基本支給品一式、85mmロケット弾(3)
現状:殺し合いはしない。男に*されたい。そして弓那ちゃんコンゼノアちゃんすみません許して下さい何でもしますから!
備考:特に無し。

【明朝/C-5畑地帯福原家】
【山津有岐】
状態:身体のあちこちに裂傷と軽い火傷、服が部分的に焦げている
装備:直刀
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いに乗り優勝を目指す。って言うか何が起きたの……?
備考:特に無し。

----
《キャラ紹介》
【隠塚英紀】
読み:おんづか ひでのり
年齢:24
性別:男
種族:妖狐獣人
特徴:黄色と白の毛皮。部分的に赤い模様が有る。女性的ないやらしい体付きで美形。全裸
職業:娼夫
備考:捨て子だったのを娼館の主人に拾われ娼夫として育てられた。
とても淫乱で年中発情しているが、思いやりの有る一面も有り存外善良だったりする。
妖狐の獣人で、ある程度妖術的な物が使えるらしいがろくに修行はしていないので使いこなせてはいない。

《支給品紹介》
【USSR RPG-7】
支給者:隠塚英紀
分類:銃火器
説明:旧ソ連が1960年代に開発したロケットランチャーの一種。
「RPG」は「Ruchnoy Protivotankovyi Granatomet」(携帯式対戦車榴弾発射器)の意。
構造が単純で扱いは比較的容易。85mmのロケット弾を用いる。
----

33 ◆ymCx/I3enU 2016/02/15(月) 01:18:03.25ID:uszfD9ZM
投下終了です

何か結構筆が乗ったなぁ今回

最初はM202ロケットランチャーの予定だったが(コマンドーやバイオ1、3に出てたアレ)変更した

34 ◆84AHk0CknU 2016/02/24(水) 05:37:43.20ID:n/rSFPIW
投下乙です
支給品の確認より自慰を優先するとかこいつすげぇ変態だぜ?
俺オリロワの黒牙と弓那の最期は切なかったけど、今回はどうなるんだろう

自分も投下します

35 ◆84AHk0CknU 2016/02/24(水) 05:38:41.25ID:n/rSFPIW
「ふざけんなっ!!」

江戸川コナン―――工藤新一は憤怒の形相で、この悪趣味なゲームの主催者へ怒りの言葉を吐いた。
今まで数多くの凶悪な事件を解決してきたが、今回のは特に悪辣で残虐だ。
笑いながらひと一人の命をあっけなく奪い、大勢の人間に殺し合いを強要する。
これほどの異常な事件は、さしものコナンも初めてである。
コナンはキッと空を睨み、今もどこかで自分達を嘲笑っているであろう主催者に向け話す。

「あんたが何を考えて、こんなふざけた真似をしたのかは分からない。
けど俺は人を殺したあんたを、大勢の人の手を血で染めるよう仕向けたあんたを絶対に許さない。
必ずそこに辿りついてやる」

だから待ってやがれ、と啖呵を切る。
必ず殺し合いを止め、お前を捕まえると宣言する。
するとその強い声を聞いたであろう参加者が、手を振りながらコナンの方へやってきた。

「コナン君?コナン君ですか!?」
「ホッホ。無事じゃったか」

聞き覚えのある声に驚き、顔を向けるコナン。
そこにはそばかすの少年と恰幅の良い老人が居た。

「光彦!それに博士も!」

仲間である円谷光彦と阿笠博士。会場に飛ばされて早々仲間と再会できるとは何と運の良い。
コナンが安堵の笑みを浮かべて駆け寄ると、同じく二人も笑顔でいた。
共に仲間と合流できたことに喜び合う三人。

「灰原さんも無事だといいんですが…」
「ああ、状況が状況だ。なるべく急いで見つけないとな」
「ホッホッホ」

この二人以外に連れて来られている仲間の少女。
如何なる時も冷静沈着で、コナン不在の際には少年探偵団を纏めたりと、頼りにしている相棒。
そう簡単に死ぬようなタマではないが、流石にこんな事件に巻き込まれるのは彼女も始めてだろう。
加えて光彦は知らないが、ここには黒の組織の殺し屋、ジンまで居る。
あの危険極まりない男の事だ。ほぼ確実に殺し合いに乗っているだろう。

36 ◆84AHk0CknU 2016/02/24(水) 05:42:29.69ID:n/rSFPIW
「いや〜しかし改めてとんでもない事になったのう!」
「おいおい博士…。笑い事じゃないだろ」
「ホッホ!」

殺し合いの場には似つかわしくない陽気な声で笑う阿笠。
顔を顰め窘めるコナンだが、聞いているのかいないのか阿笠は尚も朗らかに笑う。
その様子に若干の呆れと苛立ちを覚えつつ、再度声を掛けようとした時、光彦がそっと耳打ちしてきた。

「コナン君。実は最初に会った時から、博士の様子が変なんですよ」
「変?」
「はい。今みたいにやけに呑気な感じで…。初めは場を和まそうとしてるじゃないかって思ったんですが、
何ていうか、明るすぎて不自然というか…」

不安気な光彦の言葉に、思わずコナンは阿笠を横目で見る。
相も変わらず笑みを浮かべているその顔は、光彦の話を聞いた後だとどこか不気味に感じる。
工藤新一の頃から阿笠と付き合いのあるコナンだが、そんな彼から見ても今の阿笠は違和感を感じる。
あの笑みはまるで、この残酷な催しを喜んでいるかのような――

「さて、こうして光彦君達と会えたことじゃし、そろそろ始めるかのぉ」

と、唐突に話し自分のデイバッグに手を入れる阿笠。
バッグから出した手には幾つかのスイッチが握られていた。
それは何だとコナンが聞くよりも先に、阿笠が気軽にスイッチを押した。



「できたぞ新一!光彦君の肛門が破裂するスイッチじゃ!」



「は?」とコナンが思ったのも束の間、

「ぎゃあああああああああああああ!!??!?」

背後から絶叫が響いた。
驚いたコナンが振り返ると、ズボンの後ろを真っ赤に染めた光彦がのた打ち回っていた。

「お、おい!どうした光彦!?」
「こ、コナン、君。僕のお尻が。あ、アァァァァ……」

光彦は涙を流し苦痛を訴える。臀部からの出血で染められたズボンはとても痛々しい。
唐突すぎる惨劇に困惑しながらも、コナンは原因を作り出したであろう阿笠を睨む。

37 ◆84AHk0CknU 2016/02/24(水) 05:43:42.78ID:n/rSFPIW
「おい!何のつもりだよ博士!」
「んー?なーにを怒っておるんじゃ新一?」
「当たり前だろ!何で光彦にこんな真似を…っ!」
「ホッホッホッ。今更なに善人ぶっとるんじゃ。光彦君はワシらの玩具でいいんじゃ、上等じゃろう?」

その言葉に愕然とするコナン。
今の阿笠は正気じゃないとかそんなレベルじゃない。
自分の知り合いの姿をした別のナニか。
ドス黒い狂気に支配された、モンスターと話しているような気分にコナンはなった。
だが背後から聞こえる、光彦の呻き声がコナンを正気に戻す。
とにかく今は光彦を連れて逃げることが先決だ。その為にも別のスイッチを押そうとしている博士を何とかしなくては。

「コナン君…」
「大丈夫だ光彦。俺がなんとか博士を「ぼくの…」え?」
「僕の支給品、に…」

光彦は激痛に耐えながらも何かを訴えようとする。
言われるがままに彼のデイバッグを開き、中を探ると見覚えのあるものが出てきた。

「これは…!」

「さーて!では次のスイッチを押してみるかのう!」

再び光彦を傷付けようという阿笠の宣言に、顔を青くする光彦。
それを聞いたコナンは、急いで靴を脱ぎデイバッグから取り出したモノを履き直す。
次いで更にデイバッグからボールのようなものを取り出し、足元に置く。
これで準備はできた。

「ではいくぞい!光彦君nブルギイアアアアアアアアアアア!!!」

スイッチを押す直前、顔面にボールのようなものがブチ当たり、阿笠は大きく吹き飛ばされた。
光彦のデイバッグから取り出した支給品、キック力増強シューズでコナンがボールのようなものを蹴り飛ばしたからだ。
今まで犯人確保の為に用いてきたこの道具を知り合い、しかもトチ狂った製作者本人に使用するとは、コナンも予想できなかったことだが。
何にせよ逃げるなら今の内だ。光彦を背負うとコナンは急いでその場から離れた。

(クソッ。博士、一体どうしちまったんだよ!)

子どもの体になった自分の為に数々の発明品を提供し、助けてくれた信頼できる仲間。
そんな彼が何故あんな凶行に走ってしまったのか、全く分からない。
阿笠ならば、自分達の首に巻きついている爆弾も何とかできるかもしれないと期待していたが、あの調子ではとても無理だろう。
光彦の治療、灰原との合流、ジンや阿笠への対処。更に首輪の解除と主催者の居場所の捜索に、会場から脱出する手段の模索。
すべき事は余りに多く、頭が痛くなる。

「こ、コナンく…」
「どこか傷の手当をできる所まで連れてく。心配すんな光彦」

それでも諦めるつもりなど無い。
自分がここで足を止めれば、今背負っている少年は誰が助けるというのか。
主催者の望むように殺し合いを進めさせてなるものか。

今一度殺し合いを止める決意をし、名探偵は駆け出した。

38 ◆84AHk0CknU 2016/02/24(水) 05:45:31.18ID:n/rSFPIW
【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:健康
[装備]:キック力増強シューズ@名探偵コナン
[道具]:共通支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いを止め、主催者を捕まえる
1:光彦を連れてこの場から離れる
2:灰原の捜索
3:ジンと博士を警戒
4:首輪を外す方法を探す
[備考]
※参戦時期は原作85巻、緋色のエピローグ終了後


【円谷光彦@名探偵コナン】
[状態]:肛門破裂、精神疲労(中)、コナンに背負われている
[装備]:
[道具]:共通支給品一式、不明支給品0〜1
[思考]
基本:生きて帰りたい
1:お尻が……
2:灰原さんを探す
3:博士…どうして…
[備考]
※参戦時期は原作28巻以降のどこか


【キック力増強シューズ@名探偵コナン】
円谷光彦に支給。
スイッチを入れると電気・磁力によって足のツボを刺激し、筋力を高めることが可能。
主にボール等を蹴り犯人の撃退・確保に使用されている。



「やってくれたの〜新一ィ〜」

傷ついた頬を撫でながら、阿笠は忌々しげに吐き捨てる。
散々自分と共に光彦で遊んでおきながら、急に彼の味方をするとは。
この傷の礼はたっぷりとしてやらねばと、阿笠は歪んだ決意をする。

「それにしても殺し合いとはのぅ。随分面白い事をしよる」

光彦を痛めつけるのも良いが、まだ見ぬ他の誰かを標的にするのも悪くない。
哀やまだ見ぬ美女・美少女を弄ぶのも良い。
おまけに優勝すればどんな願いでも叶えてくれるという。これは乗らない訳にはいかない。

「何を叶えてもらうか今から夢が広がるのう!げひゃひゃひゃひゃひゃ!」

39 ◆84AHk0CknU 2016/02/24(水) 05:46:12.50ID:n/rSFPIW
【阿笠博士@マジキチコナンSS】
[状態]:右頬骨折
[装備]:光彦スイッチ各種@マジキチコナンSS
[道具]:共通支給品一式
[思考]
基本:ゲームをたのしみつつ優勝を目指す
1:まだまだ光彦君を虐め足りんのう
2:新一には後でたっぷり礼をしてやるぞい
3:他の参加者を探し遊ぶ
[備考]
※阿笠博士は二人参加していますが、名簿にある阿笠博士の名は一つだけです

※近くにやるオプーナのボンボン@やる夫スレが落ちています


【光彦スイッチ@マジキチコナンSS】
阿笠博士に支給。
「できたぞ新一!光彦君が○○するスイッチじゃ」というシリーズのSSに登場するスイッチ。
酷く突飛だったりマジキチな効果のものばかりだが、唯一共通するのは毎回光彦が悲惨な目に遭うという事である。

【やるオプーナのボンボン@やる夫スレ】
円谷光彦に支給。
やるオプーナの頭部に付いているボンボン。

40 ◆84AHk0CknU 2016/02/24(水) 05:50:05.99ID:n/rSFPIW
投下終了です
光彦スイッチSSは比喩とかじゃなく本当にマジキチなのばっかなので、くれぐれも軽い気持ちで見てはいけない(戒め)

41 ◆84AHk0CknU 2016/02/25(木) 01:56:38.44ID:dEhuTAQC
投下します

42 ◆84AHk0CknU 2016/02/25(木) 01:57:26.71ID:dEhuTAQC
走る走る走るとにかくひたすら走る。
翠星石はやる夫から逃げるため、森の中を一心不乱に駆けていた。
やがて一際大きな木の前まで来ると、体力も限界なのか、根元に座り込んだ。

(もう追ってこねぇですか…?)

木の後ろに隠れつつ、顔を覗かせ様子を窺う。
暫く経ってもやる夫は現れなかったので、どうやら振り切ったと判断し、大きく息を吐いた。
疲れと恐怖で心臓が未だに、激しくドクドクと鳴っている。

「うぅ…」

膝を抱え涙を流す翠星石。
やる夫は絶対に殺し合いなんかには乗らないと信じていたのに。
結局彼もこの状況では、我が身が一番だったのだろうか。
まさかやらない夫や、姉と妹まで自分だけが助かる為に、殺し合いに乗ってしまっているのではないか。
ショックと恐怖と疑心暗鬼が頭の中でごちゃ混ぜになり、翠星石はおかしくなりそうだった。

「どうしたの?」

突然声を掛けられ、翠星石はきゃっと悲鳴を上げる。
何時の間にか自分の直ぐ傍に黒髪の女が居た。
女は長髪の間から覗く陰鬱な顔で翠星石を見つめ話す。

「ひとりぼっちで、泣いていたの?」
「こ、こっちに来るんじゃねーです!」

翠星石は尻餅を付きながら後ずさる。
突如現れた女は、森の不気味な雰囲気と相まって幽霊のように見えた。
必死で逃れようとするも、女はゆらゆらと揺れながら距離を詰めてくる。

「あなたも一緒ね。市といっしょ。暗闇の底にひとりぼっち」
「お、お前の事なんか翠星石は知らないですよ!」
「みんな市を置いていなくなる。ひとりはいや、ひとりはいやなの」
「な■■■さまも■■■さまも■ん■■君も」
「やっと会えた■■さまも」

43 ◆84AHk0CknU 2016/02/25(木) 01:58:23.55ID:dEhuTAQC
会話が通じていないと翠星石は思った。
女はこちらに近付きながらも、翠星石ではないどこかを見て話している。
翠星石の心には、銃を撃ってきたやる夫とは別種の恐怖が湧いてきた。

「でも大丈夫。またみんなといっしょにいられる」
「だから」
「だから、ね」

女と翠星石の目が合い、

「あなたも市の傍にいてね」

女の後ろで闇が蠢いた。

闇はまるで生き物のようにグネグネと動き形を変える。
目を見開く翠星石の前でソレは巨大な手へとなり、女を守護するように纏わり付いた。
同時に女が不気味で、それでいてどこか蠱惑的な笑みを浮かべる。

「さぁ、市といっしょに……ね?」
「ひっ…」

怯え涙を流す翠星石へ、女と手が近付く。
逃げようにも腰が抜けて立てない。
もういやだ。どうして自分ばっかりこんな怖い目に遭うのだろうか。
誰でもいいから助けに来て。

「すす、翠星石からは、離れるお…!!」

ダァンと銃声がし、女が痛みに呻く。

「うあっ……」
「ひっ!な、なに…?」

突然の銃声と聞き覚えのある声。
翠星石がそちらを向くとそこには、銃を構えた小太りの少年、やる夫が立っていた。
両手で構えた銃からは硝煙が昇っている。
やる夫は女へ銃を向けながら、翠星石に話しかける。

44 ◆84AHk0CknU 2016/02/25(木) 02:00:02.97ID:dEhuTAQC
「だ、大丈夫かお翠星石。今の内にこっちに来るんだお!」

その言葉に安堵しかける翠星石だが、直ぐに思い直しやる夫を涙目で睨む。

「そんな言葉には騙されねーですよ!このお化け女の後で、翠星石も殺す気でしょう!?」
「なっ、そんな事しないお!やる夫は翠星石を助けに…」
「嘘です!やる夫は自分だけが生き残るために、翠星石を殺そうと思ってやがるです!」

半狂乱になりながらやる夫を拒絶する翠星石。
全ては偶然が引き起こした不幸な事故なのだが、翠星石にはそんな事分からない。
殺し合いという異常環境に加え、幼馴染に殺されかけるという悲劇。更に気が触れたとしか思えない女に襲われた。
これらの出来事は臆病な翠星石の心を蝕むには十分だった。

「だからちげーお!翠星石、頼むからやる夫の話を「いたい…」」

やる夫の言葉を低い声が遮る。
二人の言い争いに比べるとずっと小さい声なのに、不気味な程ハッキリと聞こえた。

「いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい」

女は壊れたラジオのように、延々と呟きながらやる夫を睨む。
その途端、全身に冷水を掛けられたような震えが走った。

「いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい」

その声が耳に入り、女の顔が視界に映り、やる夫は我を忘れて叫びたくなるほどの恐怖に襲われた。
それでも、視界の隅に自分と同じく恐怖に包まれている翠星石が見えたお陰で、何とか正気を保てている。

「いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい」

女が緩慢な動作で腕を上げると、足元から無数の黒い腕が生えた。
腕はやる夫と翠星石の方へゆっくりと伸びてくる。
まずい、早く止めなくては。もう一度銃を撃って止めろ。
頭でそう思っても、恐怖で固まった身体は言う事を聞いてくれない。

「あっ」

そして視界が黒一色に染ま――――



「ちょっと刃ぁ当たんよ〜」



―――らなかった。

45 ◆84AHk0CknU 2016/02/25(木) 02:01:08.60ID:dEhuTAQC



「あなたも市に酷いことするのね…」
「こっちにも事情があるからさ。早く死んでくれよな〜頼むよ〜」

銃声やら言い争う声やらを聞きつけた野獣先輩は、ビーストドーパントの身体能力ですぐさまそちらへ向かった。
全ては遠野を生き返らせる為。その願いを胸に見つけた女を爪で切り裂こうとした。
しかし女は咄嗟に黒い腕を交差させ迫る一撃を防御、野獣の奇襲を防いだのである。

(こいつもドーパントなのか?)

足元や背後で蠢く黒い腕。
あれはガイアメモリの力で生み出しているのかと考える野獣。
だが完全な異形と化した己と違い、向こうは人間としての姿を保っている。

(まぁ、どうでもいいっすけどね〜)

相手が人間だろうが化け物だろうがどうでもいい。
どうせ自分以外は全員殺すのだから。
女の近くには高校生くらいの少年と少女が気絶し、倒れていた。
見た所、ガイアメモリのような道具は持っていないようだ。
ならばまずはこの気味の悪い女を始末し、それから少年少女を殺す。
野獣はそう決めると脚に力を込め、対峙している女へ襲い掛かった。


【野獣先輩@真夏の夜の淫夢】
[状態]:健康、ビーストドーパントに変身中
[装備]:ビーストメモリ@仮面ライダーW
[道具]:共通支給品一式×2、不明支給品1〜3(KMR)
[思考]
基本:優勝して遠野を生き返らせる
1:女(お市)を殺し、気絶した二人(やる夫、翠星石)を殺す
2:皆殺し。MUR達に会っても容赦はしない
[備考]
※参戦時期は遠野と幸せなキスをした直後


【お市@戦国BASARA】
[状態]:疲労(小)、右肩に銃創
[装備]:
[道具]共通支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:?????
0:?????
[備考]
※戦国BASARA3、お市紫ルート『本能寺の変』開始直後からの参戦

46 ◆84AHk0CknU 2016/02/25(木) 02:01:50.84ID:dEhuTAQC
【入速出やる夫@やる夫スレ】
[状態]:疲労(大)、精神疲労(中)、気絶
[装備]:TNOKの拳銃(4/6)@真夏の夜の淫夢
[道具]:共通支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いはしない
0気絶中
1:翠星石の誤解をどうにかして解く
2:やらない夫たちを探す
3:伊藤誠には会いたくない
[備考]


【翠星石@やる夫スレ】
[状態]:疲労(大)、精神疲労(大)、錯乱中、気絶
[装備]:
[道具]:共通支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:死にたくない
0:気絶中
1:やる夫もお化け女(お市)も怖い。誰を信じたらいいか分からない
[備考]

47 ◆84AHk0CknU 2016/02/25(木) 02:02:27.91ID:dEhuTAQC
投下終了です

48創る名無しに見る名無し2016/03/05(土) 16:39:41.50ID:IAVakvlC
板の設定が変わって、二日書き込みがないと落ちるとのこと
ここも気をつけて

49 ◆84AHk0CknU 2016/03/06(日) 00:16:30.97ID:+eDRfJFj
マジですか……
早く書かなきゃ(使命感)

50創る名無しに見る名無し2016/03/07(月) 23:34:07.82ID:UY0p6oMj
あげ

51 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/09(水) 00:23:07.28ID:2LEgikTE
こんばんは
今日からここで非リレーを書かせていただこうと思っています、これからよろしくお願いいたします
目標は毎週更新と、完結する頃には文章力の向上を
OPのみ、投下します

52第零話『オープニング』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/09(水) 00:26:24.66ID:2LEgikTE
男と女がいる。
男は緑色のスーツに身を包み、分厚いレンズの眼鏡をかけている。
女は黒のコートを纏い、髪を腰まで垂らしている。
「上手く行くでしょうか」
と男が不安そうに言った。
「何を不安がる?首輪がある、『ジョーカー』がいる、『エンペラー』がある。これだけ準備して、お前はいったい何を不安がるんだ、愛すべき同志よ」
「それでも彼らなら踏破するかもしれない。それだけの逸材を揃えたと自負しています」
「ならば何も問題はない。それだけの難行を突破した猛者ならば」
私の相手に相応しい、と女は獰猛に笑った。
頼もしい、と男も笑った。
「あなたという強力な同志が出来たことは、私の短い人生で一番の幸運なのかもしれません。何しろ、こと他者の殺害において、あなたの右に出る者はいない」
「まあ、だからこそ私はジョーカーとして殺し合いに参加することはできないんだがな。私が参加するということ、それはつまり、参加者の全滅エンドということなのだから」
大言壮語だと誰もが思うだろう。が、二人の間ではそれは今更証明する必要もない常識だった。
「だから弟子にですか」
「まあ、愛すべき弟子ならばそれほどワンサイドゲームにならないだろう。それに私はあくまで殺害者。防衛者ではない。依頼は全て成功してきたが、依頼者を全て守ってきたわけではない。私が参加者に敗北して愛すべき同志が死ぬ可能性も十分にある」
「……手は抜かないでくださいね」
「勿論。十全は尽くすさ」
では、そろそろ始めましょう。と、男は言った。
ああ、はじめようと女は笑った。



『今から君たちに殺し合いをしてもらう』
ああ、またかと女は思った。


「何故、君みたいな小さい子がこんなところにいるんだい?」
部屋の中にはロッカーがいくつかと、シャワー室が二つ。
そして、自分と筋肉質の若い男。
ここは、更衣室だ。

53第零話『オープニング』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/09(水) 00:27:18.62ID:2LEgikTE
男子用でも女子用でもないが、自分以外に使っているのはみんな男なので、どちらかというと悪いのは自分なのか。
「そりゃあ私が参加者だからだよ。出るのはお前の後だから、戦うことはないけど」
「僕が言いたいのは」
と、男は続けた。
「何故、君が闘技場に出るんだい?」
「何でだと思う?」
と、私は言い返す。
「……下卑た理由しか思いつかないな」
「それ、本人の前で言う?」
今のは、ちょっと意地が悪すぎたな、と思う。
年齢はともかく、闘士としては自分のほうが先輩なのだから、もっと大人な対応を。
「……すまん、確かに不謹慎だったな」
「……へえ、変わってるね、あんた」
てっきり怒ると思ったのに、まさか謝られるとは。
自分でも生意気だと思う態度に、真摯な対応をするこの男は、何故こんな地下にいるのか。
少し興味が湧いた。
「あんたはさ、なんでこの闘技場に出るわけ。はっきり言って場違いだよ」
「お金さ。僕みたいな若者が普通に働いても絶対に稼げないような、そんな額が必要なんだ」
その言い方は、と私は思う。
「誰かのためなんだね?」
「妹だ。年は、たぶん君とおなじくらい。病気なんだ」
世界には、こんな男もいるのか。
初めて見るタイプだった。
「今日の戦いが終わったら、ちょっと話さない?先輩として色々アドバイスしてあげる」
「君は、僕の後だったね。……もし、君が怪我をしそうになったら、助けに入る」
「私の試合まであんたが立ってたらね」
そこで会話が終わって、男は更衣室を出て、闘技場へと歩いて行った。
「そういえば、名前聞いてなかったな」
優しい男だ、と思う。
でもだからこそ長生きできるタイプではない。
この闘技場で闘わされる相手はそんじょそこらの相手ではない。
元軍人、元極道、元プロレスラー。これに当たれば、まだ幸運だ。彼らは、格闘のプロだが、慣れないうちは、まだ動きに迷いがある。
弱った相手の体をめちゃくちゃにして、相手を殺す覚悟がない。

54第零話『オープニング』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/09(水) 00:28:37.54ID:2LEgikTE
相手が死ぬまで戦いを続行する、闘技場のルールに精神が追いつかない。
「運が悪いと、しょっぱなから人外だからねえ。猪とか、虎とか、熊とか」
奴らは、そういう葛藤がない。野生とは、それだけ恐ろしい。
そういうのと当たって、死んでいく男は何度も見てきた。
同情はするが、助けようとは思わない。
「だって、わたし運営(こっち)側だし」
自分は捨て子で、拾ってくれたのはここの闘技場の経営者で、今よりもっと幼い頃から余興として、闘技場に参加してきた。
5分経った――そろそろ行こう。

歓声が鳴り響いている。
自分へ、ではない。
ちょうど今決定された闘技場の勝者へと、熱気が注がれている。
筋肉質の若い男は、息こそ上がっているが、目だった外傷は無い。
中央には、柔道着を着た大男が大の字で倒れ、はだけた胴着の下に文字通り、大穴が開いていた。
「へえ、やるじゃん」
あれはたぶん、一撃で殺した傷だ。
この男は、最初の『相手を殺す』というハードルをクリアした。
彼はこちらに気が付き、近づいてくる。
「なんだ、てっきりボクシングジムとか、空手の道場に通っているんだと思ってた。でもあれ、そういうのじゃできる傷じゃないよね」
「僕は、無双八拳流だ」
聞いたことがない流派だ。しかし中国ならともかく、現代日本にこんな暗殺拳まがいのものがあるとは。
「で、あんたはそこの師範代とかそんな感じなわけ」
「いいや、道場には僕より強い者が3人いた。師範代なんて、とてもとても」
「それはまた、面白い話だね」
私は笑う。
闘争心が擽られる。
ああ、この男は良い奴だ。でも、私は良い奴じゃないし、良い奴になろうとも思わない。
「んじゃあ、次は私の番だ。ただの冷やかしじゃないことを示してやる」
「危なくなったら、すぐ助けに入る」
「いや、それ失格だから。あんたそんなことしたらお金貰えないよ」
「君みたいな小さい子が怪我するところを見過ごせるわけないだろ」
「損な生き方だね」

55第零話『オープニング』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/09(水) 00:29:03.89ID:2LEgikTE
じゃあかすり傷も負わずに、敵を倒さなければ。
「それに、ここは死ぬまでやるルールだ。私は今から人を殺すかもしれないんだよ?」
「……それも止める。たとえ君を怪我させてもな」
本当に損な生き方だ。
「あんた名前何て言うの?」
「国枝蓮根」
「蓮根……れんこん?」
「変な名前だと思うかも知れないけれど、本名なんだ。笑いたきゃ笑えばいいさ」
その拗ねたような口調が今までの優等生ぶった態度とのギャップで、ちょっと面白い。
「私の名前はユウキ。苗字はなくて、ただのユウキ」
「色々複雑な事情のようだね」
「それ、本人に直接言う?」
すまない、と蓮根が謝る前に、私は闘技場へと足を踏み入れた。
その瞬間
「―――――――――――――――――――――――――――――――――――ォォオ!」
さっきまでの蓮根に向けられたそれの比ではない、歓声が私に注がれる。
後ろから蓮根の戸惑う声が聞こえて、ますます私の心を喜ばせる。
そうだ、私はすごいんだ、すごいユウキちゃんだ。
と、闘技場の中央に移動した私に、名ばかりの審判が話しかける。
それに適当に対応する。
聞かれることは毎回そう変わんないし。
好きな食べ物、嫌いな食べ物、好きなタイプ、嫌いなタイプ。
一回マジセクハラをかましてきた奴がいたから、ぶっ殺してやったこともあったが、結果的にお客様に受けたので、OKだった。
お客様は大抵金持ちで、血に飢えている。
そうしている間に、私の対戦相手が闘技場に現れる。
「――ライオン、か」
それも大きい、2メートル、いや3メートル。サバンナにはこんなでかいライオンがいるのか、世界は広い。
ライオンはぐるぐる、と喉を震わせた。闘技場の猛獣は、普段から人の肉を喰わせ、人に対する執着を強めている。そのうえ、本番三日前から、エサを抜くので、生まれるのは、空腹で人肉大好きな肉食獣だ。
後ろで駆ける音がする。きっと蓮根が私を守ろうとしているのだ。
落ちつけよ、と思う。
たぶん、蓮根は私の相手は私と同じくらいの年齢の子供で行われるのはキャットファイト紛いの戦い、もしくは大の男に私が一方的にぼこられるリンチ劇、そんなことを想像していたのだろう。

56第零話『オープニング』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/09(水) 00:29:33.00ID:2LEgikTE
急がねえとな、とも思う。
蓮根が戦いを邪魔する前に、傷を負わずに、このライオンを殺さねば。
そう、難しい話ではない。
だって私は、こういう猛獣相手に、7年間無敗だったのだから。
私は地を蹴って、ライオンに躍りかかった。
歓声が、更に大きくなる。
私の戦う理由はこれだ。
大勢の観客の前で、自分の最強を示すことが、私にとっては何よりの娯楽だ。
ああ、もっと拍手を、もっと歓声を。
そして称えろ、私の強さを!

世界は暗転する。

気が付けば、大広間のような場所にいた。
「……?」
何が起こった、と辺りを見回す。
幾多の人間がそこに居て、私と同じように周囲をうろうろと見渡している。
いや、問題はそれだけじゃない。
首に奇妙な圧迫感を感じる。何だこれは。
「首輪?」
そう口に出した時、心に言いようのない不安と怒りが募った。
「ユウキちゃん!」
と、私に話しかける男がいる。
「蓮根!あんたもここに」
「ああ、これはいったいどうなっているんだ。闘技場の仕掛けか何かかい?」
「いや、私もこんなことは初めてだよ。それに寝ている時ならともかく、私もあんたも起きていて、私はさあ戦おう、と脳内麻薬どばーだったんだ。それが気づいたら、別の場所だなんて」
「……! ユウキちゃん、その首輪は!? いや、僕にもついている!?」
「私にもわかんない。気づいたら付いてた」
ああ、本当にわけがわからない。こんなの、まるで魔法使いの仕業じゃないか。
そう思った時だった。
「諸君、おはよう」
壇上に、眼鏡をかけ、緑色のスーツを着た男が現れた。

57第零話『オープニング』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/09(水) 00:30:08.81ID:2LEgikTE
「私の名前は、そうだね。このスーツの色から、『ミスター・グリーン』と呼んでくれ。もちろん本名じゃないよ」
ふざけた男だ、私を拾ったおじさんと雰囲気が似ている。
つまり、不愉快な大人だ。
「今回、諸君に集まってもらったのは他でもない、ちょっと殺し合いをしてくれないかい」
だから、次の言葉もおおよそ予想がついていた。
いいだろう、そんなに見たいのなら、見せてやろう。
私は、さっきの闘技場でのそれのように、地を蹴ろうとして。
「――いい加減にしろ!」
と、蓮根の怒号が、私を揺らした。
「突然拉致して、変な首輪を嵌めて、殺し合いをしろだと!」
そう言って、蓮根は他の参加者を見る。
「ここには、子どももたくさんいるじゃないか。彼らにまで、殺し合いを強要するのか!」
どうやら、さっきまでの色々貯まっていた鬱憤がついに爆発したようだ。
でも、確かに、と私は思う。
何人か、カタギが、一般人が混じっている。殺し合いどころか血が出るまで喧嘩もしたことがないような、そんな奴が何割かいる。
『もちろんだ』
とグリーンは言った。
『例外はない。場所はここではないが、君たちには最後の一人になるまで殺し合ってもらう』
「何のために!」
『君に教えるつもりはない。……ふむ、そうだな。首輪の説明は君で行おう。諸君はもう気づいていると思うが、首に首輪をつけさせてもらった。そして、この首輪には――爆弾が入っている』
驚愕の声が、あちこちで漏れた。
『だから、もし私に逆らうと、こうなる』
蓮根!と私は叫んだ。蓮根はこっちを見て。
ボン
と、小さな音が響いた。
蓮根の首がくるくると宙を舞って。
断面から零れた血液が、私を赤く染めた。
「あ、」
と私は声を出した。
血には、慣れている。人の血も、獣の血も、意外と臭いや味が一緒で。
それは、いい奴も、悪い奴も一緒だった。
【国枝蓮根 死亡】

58第零話『オープニング』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/09(水) 00:32:41.23ID:2LEgikTE

大広間にたくさんいた参加者は、皆どこかへと転送されていった。
ただ一人の例外を残して。
「それで、なんで私が残っているの?」
『うむ、それはだね、君は会場に送る前に会わせたい人物がいるんだ』
グリーンの言葉に、銀髪の少女、繭は呆れたように肩をすくめた。
「どうせ、師匠でしょ」
「そうだ、私だ。愛すべき弟子よ」
壇上に、新たな人物が現れた。
黒衣の女。グリーンの協力者。
「これはお前が私を引き継けるかどうかを示す最終試験だ。お前がその決意を示すなら、他の参加者を全て殺し、勝ち抜いて来い」
「……はーい」
やる気なさげな声を一つ残して、繭は会場へと転送された。
そして、男と女が残る。
「気づいていますか?あなたのお弟子さん、あなたのこと大嫌いだと思いますよ。人間って、あそこまで憎悪を込めた目ってできるんですね」
「まだ反抗期なのさ。なんとかこの殺し合いで愛すべき弟子も、一皮むけてほしいものだ」
溜息を吐く女と、それをジト目で見る男。
こうして、バトルロワイアルは幕を開けた。

登場人物紹介
【ミスター・グリーン】
主催者A。運営担当。緑色のスーツに眼鏡をかけた中肉中背の男。結構心配性
【師匠】
主催者B。荒事担当。黒コートにロング。他者の殺害に関しては、人類でトップだと嘯いている。衣笠繭の師匠。
【ユウキ】
参加者。地下闘技場の花形にして、絶対王者。7年間無敗。最強を証明することを何よりの喜びとするポケモンみたいな思考回路。
【国枝蓮根】
見せしめ。無双八拳流の使い手。病気の妹の手術代のために、地下闘技場に参加していた。
【衣笠繭】
ジョーカー。師匠の弟子。世界で一番嫌いな者は師匠。どれほどバトルロワイアルを真剣にやるかは不明。

59第零話『オープニング』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/09(水) 00:35:39.68ID:2LEgikTE
投下を終了します
名簿と地図は、ある程度話が進んだら投下しようと思っています
このロワは魂ロワと呼んでいただけると幸いです

60 ◆ymCx/I3enU 2016/03/10(木) 01:15:03.80ID:orPEMmdw
保守をかねて皆様投下乙です
生存報告もかねています
書かなきゃ(使命感)

61 ◆eDFNdr3DT/po 2016/03/10(木) 21:28:53.67ID:v/oz5An3
投下します

62 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/10(木) 21:31:29.91ID:v/oz5An3
トリ間違えた、こっちのはず

63第一話『酒場で少女二人』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/10(木) 21:32:34.63ID:v/oz5An3
私は、たぶん人じゃない。


酒場に少女が一人いる。
白いブラウスと灰色のスカートの、中学生くらいの少女は体をカウンター席に座り、ストローでオレンジジュースを飲んでいた。
(こういうのがあってよかったな)
と、少女は思う。
お酒は嫌いだ、とも思う。
だって酒は理性を溶かして、その人間の本性を晒してしまう。
でも、私の場合は溶かされるのは理性じゃなくて、必死に被っている人間の皮を溶かされてしまう。
それは、このさき人の世界で生きていくうえで致命的だ。
(でも、こんな状況だったら、ニンゲンのふりをしないでもいいのかも。むしろバケモノにでもならないと、やってらんない)
お酒、飲んじゃおうかなあ。
少女が自分の中の酒への好奇心と戦っている時だった。
カランカラン、とドアが音は立てて開き、少女はそちらを振り向いた。
「あれ?先客がいた」
現れたのもやはり少女だった。
緑色のジャージを着て、顔には眼鏡が乗っかっている。体つきは、インドア派な自分よりも更に貧相だった。
「私は神崎ミレイ。あなたは?」
「……諸星沙織」
ミレイは諸星の横に遠慮なく座ると、虚空に向かって、「マスター。この人と同じものを」と言った。
「……奥の冷蔵庫に色々入ってるから自分でとってきなよ」
「わ、わっかりやっしたー」
軽い調子でそう言った後、ミレイはとたとたと走って行った。
そして、すぐにとたとたと足音を立てて帰ってくる。
持ってきたのは、ワインだった。
どくとくとグラスに注ぎ、上品な動作で口に運ぶ。
「まあ、悪くは無いかな」
あれ?何この敗北感?

64第一話『酒場で少女二人』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/10(木) 21:33:20.27ID:v/oz5An3
自身がグラスに注いだオレンジジュースを見て、沙織は悔しさを感じる。
そして、さも上手そうにワインをラッパ飲みし始めたミレイを見て。
「ふっ」
うわ、むかつく。
怒りを叩きつけたくなるが、それはやってはいけないことだと必死に自制する。
そして、ふと疑問を覚えた。
「ねえ、何であんたそんなのんびりしてるの?」
「というのは?」
「怖くないの?私達、殺し合いやらされてるんだよ?」
ミレイは頬杖をつき、ふふと笑った。
「それはこっちからでも言えるよ。私が入ってきた時、オレンジちゃん、逃げるどころか怯えもしなかったじゃん」
「だってあんた、全然怖くないんだもん。丸腰だし」
ところでオレンジとは私のことだろうか、と沙織は思った。
「それはこっちにも当てはまるわけ。オレンジちゃん、丸腰だし、とろそうだし、女の子だし」
「なるほど」
と、沙織は言った。
そこで会話は途切れ、二人はしばらくの間、お互いのグラスの中身に集中した。
「……言っとくけどさ」
と、最初に言葉を放ったのは沙織だった。
「私、けっこう強いよ」
「はは、女の子の強いほど当てにならないものはないよ」
言ってはいけない、と理性が止めている。
ここで、自分はか弱い存在だと意識させるほうが、この先の人生でも、これからの殺し合いでも、得に決まっている。
でも、舐められぱなっしは腹が立つ。
沙織はカウンターの端を掴み、そのまま捻じり千切った。
ミレイは目を大きく見開いて、それを見る。
そして、へえと可笑しそうに笑った。
「面白いね、それ。もしかしてモンスターズ?」
「何それ?」
「あれ、違うの?そういうのは大抵彼らの得意とするところなのに」
うん、気に入ったとミレイは言った。
「手を組もうよ」
「手?」

65第一話『酒場で少女二人』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/10(木) 21:33:52.76ID:v/oz5An3
「そう、君を過小評価してたのは謝るよ。足手まといはいらないなあ、とかそんなことも思ってたけど、でも十分に戦力として期待できそうだ」
「手を組もうよ」
と、再びミレイは言った。
そして。
「見れば分かると思うけど、私はあのミスター・グリーンと因縁がある」
「どこが?え、まさかジャージの色が緑だから?」
「これ以上といってない因縁だ。私はあいつを打倒しなければならない」
ぐっ、とミレイは拳を握った。
「でも、一見分からないと思うけど、私は力が無い。暴力を有していない。だから、君の力を借りたい」
どうかな?とミレイは言った。
どうしようかな、と沙織は思った。
怪しい女だ。日常ならなるべく避けたい相手。
が、今は非日常。ならば、この怪しい女について行ったほうがいいのかもしれない。
「いいよ。手を貸してあげる」
「グッド。これからよろしく」
ただ、とミレイは言葉を続けた。
「あくまで私と君は対等。私は君に守ってくれとお願いするし、君に頼まれれば私が他の参加者相手に交渉したり、行動方針を決めたりする。それでいいかい」
「別にいいわよ」
ほぼ同時に、二人のグラスは空になった。
「じゃ、行こうか」
「うん」

登場人物紹介
【諸星沙織】
中学生。力が強いが、普段はそれを隠している。
【神崎ミレイ】
年齢不詳。緑色のジャージを着ている。主催者、ミスター・グリーンと因縁があるらしい。

66第一話『酒場で少女二人』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/10(木) 21:34:46.83ID:v/oz5An3
投下を終了します
色々知識不足なんで、勉強しながら進めていきます

67 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/11(金) 12:13:23.22ID:u8Dd0OHn
投下します

68第二話『ライオンハート』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/11(金) 12:14:29.87ID:u8Dd0OHn
胸糞悪い。
ミスター・グリーンの非道な行為に当然の怒りを示した、名も知らぬ男は、首と胴体が離れ離れになって死んだ。
人が死ぬところは見たことがある。仲間が殺されるところも。仲間が殺すところも。
が、あそこまで一方的に、凄惨に殺されるところを見るのは初めてだ。
男が自分たちアウトローとは違う、善良な人間だったらしいことも大きいだろう。
かたき討ちとか、そんな臭いことは考えない。
ただ、俺はあの男にむかついた。ムカついた奴は、仲間に迷惑がかからない範囲で、ぶん殴る。それが、俺、ライオンハート【六の牙・坂東太一】の流儀だ。
今俺はどこかの住宅街を歩いている。当然だが、俺の知らない街だ。
と、足音が聞こえてくる。どうやら、誰か近づいてきているようだ。
こつ、こつ。
ずいぶんと落ち着き払った足音。この状況で、全く臆してねえ。
どうやら、あの十字路の右側の建物から聞こえてくるようだ。もう少ししたら姿が見えるだろう。俺は立ち止まって、現れる者を待ち構えた。
こつ、こつ。
やがて、建物の陰から、足音の主は現れた。
小柄な体躯、整った顔立ち、輝くような金髪。
それは。
「リーダー!?」
俺達ライオンハートのリーダー、レオンだった。

ライオンハートとは、俺が所属する不良集団の名前だ。俺はそこで10人しかいない幹部の一人、【六の牙】として、主に荒事をメインに活動している。
構成員は300人と中々大きな組織だが、この組織の他とは違う大きな特徴の一つとして、リーダーが年端もいかない子供だということだろう。
リーダーの名はレオン。レオン自体が語らないもんで憶測だが、おおよそ12くらいか。
体つきも貧相だし、胸も貧しいしで俺のタイプじゃないこの女が、何故俺達のリーダーをはっているかといえば、その答えはただ一つ。この女が有能だから。
300人を超える組織を纏めるリーダーシップもそうだし、荒事に関しても俺達の中でも誰よりも強い。
そんなレオンと真っ先に合流できたのは、俺にとっても不幸中の幸いだった。
「それで、どうするレオン」
「そりゃあ決まってるしょ。私ら舐めてくれたあのおっさんをぶっ倒す。そんだけ」
さすがリーダー。シンプルでいい。

登場人物紹介
【坂東太一】
不良少年。ライオンハート【六の牙】。

【レオン】
不良少女。ライオンハートリーダー。

69第二話『ライオンハート』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/11(金) 12:16:44.43ID:u8Dd0OHn
投下を終了します
短い話を短い期間で投下して、だんだんキャラクターのキャラが固まればいいなと思っています

70 ◆84AHk0CknU 2016/03/13(日) 02:24:00.47ID:dy0Dj3V+
新ロワ投下乙です
ミスター・グリーンや師匠と関係のある参加者は他にも居るのか
続きが楽しみです

自分も投下します

71Knight of Zero ◆84AHk0CknU 2016/03/13(日) 02:26:05.37ID:dy0Dj3V+
面倒な事に巻き込まれたと、事務所のような部屋で枢木スザクは思った。
ルルーシュと共にゼロレクイエム達成の準備を進めている最中、こんな所に拉致されるなど頭を抱えたくなる。
ヴァルトシュタイン卿他ラウンズは撃破したものの、シュナイゼルと黒の騎士団は健在。
そんな状況で自分という貴重な戦力を失えばどうなるか。
ルルーシュやジェレミアを信じていない訳では無いが、間違いなく苦戦は免れないだろう。
一刻も早く脱出し、ルルーシュの元に戻らねばならない。
主催者は優勝すればどんな願いでも叶えると言っていたが、そんな与太話信じられる訳がない。
大方殺し合いを円滑に進める為の甘言だろう。
主催者の戯言を無視し、スザクはデイバッグの中身を確認する。
中身を全て取り出し、その一つである名簿を開く

「味方になりそうな人は来ていない、か」

名簿にあった気になる名は4つ。
まず扇要。シュナイゼルと同盟を結んだ黒の騎士団の幹部で、スザクとは敵対している。
とはいえ彼は同じ騎士団の紅月カレンや藤堂鏡志朗、黎星刻と比べ高い戦闘能力や指揮能力は持っていない、
良くも悪くも平凡な男だ。
警戒はするが対処はそう難しくないだろう。
続いてアーニャ・アールストレイム。ラウンズのNo.6でかつての仲間。
その彼女も今ではジノと共にシュナイゼル側へ付いた。
この場での一時的な共闘に持ち込める可能性もあるが、万一の時には彼女を殺す事も視野に入れておく。
3人目の人物はゼロ。かつてルルーシュが名乗っていた革命家としての名であり、近い未来自分が新たに名乗る記号。
だがルルーシュは既にゼロを捨て、ブリタニアの新皇帝として堂々と名乗りを上げている。
それにゼロというコードネームはそう珍しいものではないし、偶然同じ名の別人の可能性が高い。
が、ルルーシュ本人だという可能性も僅かだが考えられる。もしそうならば急ぎ合流し、彼の安全確保が最優先となるだろう。
ゼロレクイエムにはルルーシュの存在が必要不可欠なのだから。
そして4人目は――

(ロロ・ヴィ・ブリタニア。ブリタニア姓だがそんな皇族は知らない。何者なんだ?)

おそらくはブリタニア皇族なのだろうが、聞いた事がない。
偶然にもロロ・ランペルージと同じ名だが、彼は既に死亡している。何か関係があるのだろうか。
正体は分からないが、今のスザクの立場を知れば良い顔はしないだろう。
やはり警戒しておく必要がある。

72Knight of Zero ◆84AHk0CknU 2016/03/13(日) 02:27:23.23ID:dy0Dj3V+
名簿を閉じルールブックを軽く読むと、それらをバッグに仕舞い、己に支給された武器を見る。
種類の違うオートマチックの拳銃が二挺。
それに予備のマガジンがそれぞれ5つ。
それぞれ動作チェックをしてみるが、問題なく動く。特に細工などはされていないようだ。
片方を装備し、もう片方はデイバッグに入れる。

最後の一つはナイフ。
何の変哲も無いそれをマントの裏に仕舞う。。
これで準備は整った。
まず殺し合いに反対する者を探そうかと考え、今居る建物を後にした。





暫く歩いていると、ふいに嗅ぎ慣れた血のにおいが鼻をついた。
何時でも銃を取り出せるようにしながら、警戒し臭いの元へ近付く。
辿り着いた先は裏路地で、そこに制服を着た少女がへたり込んでいた。
少女の目の前には頭部の無い死体が横たわっており、血溜まりを作っている。

「……ねぇ」

慎重に近付くスザクに気付いたのか、少女が背を向けたまま話しかけた。

「あんたが殺したの?」
「…違う。僕がこの場で会ったのは君が最初だ」
「そう…」

一言呟いたきり少女は黙り込む。
スザクが問いかけようとするがそれを少女が遮る。

「死ぬはず無いって思ってた」
「……」
「いっつも無茶ばっかりして、死にそうな目に何度も遭って、でもまた生きて会えて。
だからこんな意味分かんないとこでも、無事に会えるって思ってた」
「……」
「でも死んだ。魔法少女も関係ないようなのに巻き込まれて、呆気なくさ」

少女がそこまで言った時、爆音のようなものが聞こえた。
思わずそちらをスザクは警戒するが、少女は何も反応しない。

「僕はあの音の方へ行こうと思う。君は…」
「ごめん、今は一人にして」

相変わらず背を向けて言ったその言葉には、どこか拒絶が混じっているように感じられた。
スザクが武器を持っているかと聞くと、片手を億劫に上げる。
そこには銃が握られていた。

「僕は行くよ。君もなるべく急いで離れた方がいい」
「忠告どうも」

73Knight of Zero ◆84AHk0CknU 2016/03/13(日) 02:28:51.43ID:dy0Dj3V+
素っ気無い言葉を最後に二人は分かれた。
お互いの名前も知らずに。

スザクが離れていく足音を聞きながら、改めて少女は思う。
どうしてこんな事になってしまったのだろうと。
あの魔法少女達による虐殺を生き延びた先で待っていたのは、理不尽な殺し合いでの呆気ない死。
必死に戦って、その末路がこれか。

「ねぇ、なんでよ、児上ぃ……」

何も考えられない程の絶望の中で、少女はただ涙を流していた。


【鞘野楓@魔法少女・オブ・ジ・エンド】
[状態]:精神疲労(大)、深い悲しみ
[装備]:スチェッキン・フル・オートマチック・ピストル(20/20)@BLACK LAGOON
[道具]:共通支給品一式、予備弾倉×5、不明支給品0〜2
[思考]
基本:どうすればいいか分からない
0:児上……
[備考]
※参戦時期は原作7巻で殿ヶ谷と接触した後。


支給品紹介
【スチェッキン・フル・オートマチック・ピストル@BLACK LAGOON】
鞘野楓に支給。
ホテル・モスクワの大幹部、バラライカが愛用。
セミ、フルオート両方の射撃が可能な大型軍用ピストル。



少女を裏路地に残したスザクは、爆発があったであろう場所へ歩く。
彼女の事が気にならない訳ではなかったが、今は急ぎ脱出する事が最優先だ。
だから彼女は置いていった。

ふと、もしも昔の自分ならどうしただろうかと思った。
間違ったやり方で得た結果に意味は無いと考えていた、愚直な正義感に燃えていた頃の自分ならば。
あの少女を置いて行きはしなかっただろう。無理やり引き摺ってでも連れて行っただろう。
けれど今ここに居るのはもう昔のスザクではない。
ルルーシュの敵を排除する為の剣、ナイトオブゼロだ。

余計な考えを振り払うように、スザクは足を速めた。

74Knight of Zero ◆84AHk0CknU 2016/03/13(日) 02:30:00.13ID:dy0Dj3V+
【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:健康
[装備]:ゼロのハンドガン(予備マガジン×5)@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー、不良少年のナイフ@チャージマン研!
[道具]共通支給品一式、ベレッタM1934(7/7、予備マガジン×5)@名探偵コナン
[思考]
基本:ゼロレクイエムのために急ぎルルーシュの元へ戻る
1:爆発音のした方へ向かう
2:扇、アーニャを警戒
3:名簿のゼロがルルーシュなのかどうか確かめる
4:ロロ・ヴィ・ブリタニアとは誰だ…?
5:少女(鞘野)が少し気がかり
[備考]
※R2第22話にてラウンズ撃破後からの参戦。


支給品紹介
【ゼロのハンドガン@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
枢木スザクに支給。
6話にてゼロが草壁中佐を殺害するのに使った銃。
正式な種類は不明。

【ベレッタM1934@名探偵コナン】
枢木スザクに支給。
黒の組織の構成員、ジンが愛用している拳銃。

【不良少年のナイフ@チャージマン研!】
枢木スザクに支給。
第49話『不良少年の正体は!』に登場した不良(正体はジュラル星人)が所持していたナイフ。

75 ◆84AHk0CknU 2016/03/13(日) 02:30:47.76ID:dy0Dj3V+
投下終了です

76 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/13(日) 15:34:48.01ID:ekSo/bnI
投下乙です
そうだよなあ、初期のスザクなら裏路地に女の子一人にしないよなあ
彼が悪夢版とどうかかわるのか期待します

私も投下します

77第三話『喫茶店の変』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/13(日) 15:36:03.11ID:ekSo/bnI
殺し合いの必勝法とは、何か。
それは徒党を組むことだ。ランダムに武器が配られるこのゲームでは、生存率は運に左右される。ならば、当たり=銃器を引く可能性をあげるには、試行回数を増やすしかない。つまり、仲間を増やせば増やすだけ、銃器が手に入りやすくなるのだ。
もちろんこれは単純化した物言いで、実際そう上手く徒党を組めるはずがない。
が、とりあえずとして、とある中堅マフィアの構成員ケビンは、不良少年青木三平太と徒党を組むことに成功していた。
成功した理由は迅速に動いたからだろう、とケビンは思う。
見たところ青木少年は荒事に慣れてはいるが、ここまで危機的状況に陥ったことはなく、銃も持ったことは今まで無かったようだ。当然不安になる。自分はこの島で死ぬかもしれないと恐怖する。そこに、マフィアを名乗る自分が現れる。
一般人ならともかく、チンピラにとってマフィアは畏怖の対象であると同時に、一種の憧れを感じる職業である。青木少年は、殺し合いの場でのマフィアを名乗る男との出会いに恐怖し、そして僅かな安心を感じた。それをケビンは見逃さなかった。
ケビンは青木少年に素早く、そして分かりやすく自分が青木少年への害意はないこと、ミスター・グリーンに落とし前をつけさせるために行動しようとしていること、武器はバタフライナイフが一つだけだということを説明した。
青木少年は簡単にケビンを信じた。案外根は善良なのかもしれない。とにかく、殺し合いが開始して2時間も経たないうちに、二人はチームを組み、今は喫茶店で情報を交換しあっていた。
「へえ、ケビンさんはアメリカの……。日本には観光ですか?」
「はい、知り合いがいるもので。青木くんは日本のサイタマのほうで活動しているんですか」
窓から見える街並みを見ながら、ケビンは笑みを崩さない。
「ええ、まあ。一応うちのチームは関東最強名乗らせてもらってます」
「頼もしいですね。恥ずかしながら、私は荒事はそこまで得意ではないんです。なので、本職がこんなことを頼むのは情けない話なんですが、もしもの時は、任せますね」
「……うっす」
青木少年は懐に入れた銃に目をやる。
ケビンはあえて銃を青木少年に預けたままにしていた。こうすることで青木少年に「プロに信頼されている」と自信をつけさせ、戦闘時に利用しやすくなるのだ。
また、万が一青木少年が自分を銃で撃とうしても、武器を持った素人など容易く無力化できる自信があった。
また、この拳銃――正式名称S&W M29は通常の拳銃より反動が大きい。ケビンのようなプロならともかく日本のチンピラではまずまともに当てれない。
(現状は順調だな。後は他の参加者の顔ぶれ次第か)

78第三話『喫茶店の変』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/13(日) 15:36:34.87ID:ekSo/bnI
「で、ケビンさん。最初はどこに行くんですか」
「そうですね。この島の中央のタワーに――」
その時、エンジン音が外から聞こえてきた。
「え、なんでしょう、これ?誰かが車を運転してるってことですか?」
青木少年は不思議そうにケビンを見るが、その時にはすでにケビンは立ち上がり、喫茶店の奥へと逃げ込もうとしていた。
ケビンは気づいたのだ。自分に今から起きる悲劇を。
「ま、待ってくださいよケビンさ」
慌てて青木少年は立ち上がる。
エンジン音は大きくなる。
「なんだってんすか」
悪態をつきながらそっちを見て、少年は絶句した。
喫茶店の窓全体に広がるトラックの前面部。
それが少年が見た最期の光景だった。

衝撃で喫茶店が大きく揺れた。
ケビンの身に、喫茶店に突っ込んだトラックによって生じた壁や窓ガラスの破片が降り注ぎ、着ているスーツをずたずたに切り裂く。
が、ダメージはそれだけで青木少年のように挽肉になることは免れていた。
「くそっ、非常識なマネを……」
ケビンはスーツをはたきながら、トラックを睨み付ける。トラックは車両の半分ほどを喫茶店内部に乗り上げたまま、止まっていた。
運転席には誰もいない。
(下手人はどこだ、くそ。どこに隠れてやがる)
濛々と舞い上がる煙がケビンの視界を阻害し、彼を苛立たせる。
(どうする?ひとまず青木少年から拳銃だけでも回収するか)
そう考え、ケビンは人の形をなんとか保ってるといった状態の青木少年の遺体に近づく。
煙はもうもうと、たちこめている。
(……いや、ちょっと待て。何でこれをやった奴はこの場に現れない。それにこの煙はなんだ。土煙にしては量がおおすぎ――!?)
ケビンが真実に気が付いたのと、トラックのエンジンが文字通り『爆発』したのは、同時のことだった。

炎上する喫茶店を見ながら、少女は溜息をついた。
動きやすそうなパンツルックに頭頂部から伸びる一本のアホ毛、貧相な体つき。
名を、神崎小帯といった。

79第三話『喫茶店の変』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/13(日) 15:37:03.84ID:ekSo/bnI
(ついにやっちゃったなあ)
でも仕方がない、と小帯は思う。
自分がやらなきゃダメなんだ、とも思う。
小帯にはいくつかの才能がある。
その中で、最も大きいのは「何かを爆発させる」才能だった。
小帯はまず、支給された双眼鏡で喫茶店の窓際の席で談笑する男と少年を発見した。
その後、近場にあったトラックのエンジンをいじり、自分も乗って発進。
喫茶店に突っ込む直前にトラックから飛び降り、そのまま爆発の範囲外まで逃走。
結果として、彼女は参加者二人を葬ることに成功した。
(別に人殺しが好きなわけじゃない)
と、小帯は思う。ただ、彼女には生きていて欲しい二人の参加者がいるのだ。
神崎ミレイ。自分の義姉。三羽椿。自分の友人。
あの最初の大広間で見つけた二人の大切な人。
殺し屋崩れの自分にできた大切な繋がり。
(待っててね、二人とも。私が二人を生き残らせる)
そう硬く決意して、神崎小帯は修羅となった。

【青木三平太 死亡】
【ケビン・ウッテンハイアー 死亡】

【神崎小帯】
状態:健康
装備:無し
道具:不明
思考:1 神崎ミレイと三羽椿の生還。そのために参加者を排除

登場人物紹介
【青木三平太(あおきさんぺいた)】
不良少年。今回のロワではいくつかの組織が出てきますが(またおいおい紹介していきます)、彼はそのどれにも所属していない。アウトロー。誰にも相手にされていないとも言います。
【ケビン・ウッテンハイアー】
とある中堅マフィアの幹部。主な仕事は金銭関係なんで、荒事苦手なのは本当。主催者側に立っていればそこそこ優秀。
【神崎小帯(かんざきこおび)】
殺し屋崩れ。同じ神崎姓のミレイとは姉妹関係ですが、血の繋がりはありません。三羽椿は同じアパートに住み、クリスマスやお正月は一緒に祝う程度の仲です。年齢は不詳。本人も正確にはわかっていません。

80第三話『喫茶店の変』 ◆JqSWBMnSnWiX 2016/03/13(日) 15:38:23.91ID:ekSo/bnI
投下を終了します
wiki収録はもう少し話が進んだら一気にやるつもりです

81 ◆ymCx/I3enU 2016/03/14(月) 03:03:35.83ID:sRYC3k2g
皆様投下乙です
レス番35〜39
何だこの博士!? と思ったら出典元が違うんすね
本物の博士にあらぬ疑いがかかるのが見える見える……
レス番42〜46
野獣先輩とBASARAお市の対戦なんて誰が思い付いただろうか

>第零話『オープニング』
オリキャラロワ期待です&開催乙です
>第一話『酒場で少女二人』
年齢不詳(少女ではないとは言っていない)
>第二話『ライオンハート』
10人なのに「六の牙」とは
フィクションの不良集団は格好良いけど現実は勘弁

>Knight of Zero
必死に生き残っても呆気無く死ぬのはバトロワでも同じやで

>第三話『喫茶店の変』
しょっぱなから二人脱落、やりますねぇ
そしてそれはもう「才能」とかそういうレベルではないと思う>「何かを爆発させる」

・・・
久々に一話出来たので投下します

82未来は二律背反 ◆ymCx/I3enU 2016/03/14(月) 03:04:29.81ID:sRYC3k2g
26話 未来は二律背反

島役場の応接室。
金髪の美少女、室川美知は、灰色と白の毛皮の巨躯の雄狼と激しい交わりをし、一段落ついて呼吸を整えていた。
床には脱ぎ捨てられた衣類や、丸められたティッシュ、体液が散乱し、部屋の中にはむせ返るような獣臭が充満している。

「あ〜気持ち良い……最高」
「全部吸い取られそうだぜ……ハッ、ハッ」

美知と狼、ゼユックは役場内にて遭遇し、早々に意気投合、そして親睦を深め合う事となった。

「はぁ、でもこの後どうしようか」
「別にどうも……ここに留まってても良いんじゃねぇか? 美知、知り合いとか居ねえんだろ? なら動く理由も無ぇだろ」
「それもそっか……ちょっとしたらまたヤろ」
「いいぜぇ」

興奮した、いやらしい笑みをゼユックは浮かべ、それに美知も頭を撫でてやって応える。
応接室のテーブル上には、二人のデイパックと、チェーンソー、合口が置かれている。
チェーンソーが美知の支給品、合口がゼユックの支給品である。
二人共、殺し合うつもりは無かったものの、有事の際は自分の身を守る為に相手を殺す事も辞さぬ程度の覚悟は決めていた。

◆◆◆

役場周辺の通りの一角を歩く、白い牛獣人の青年。
ガーターベルトにブリーフパンツと言う変態そのものの格好だが彼、テオ・オトマイアーの表情は至って真摯に見える。

「ゲームが始まって、二時間位経つのか。今の所誰とも会っていないけど……。
でもなあ……このゲーム、優勝出来て生きて帰れた所で僕は……」

生還出来た時の事を考えるテオの表情は真摯を通り越し暗い。
彼は知人に多額の借金を背負わされる羽目になり、その借金元の非常に危険な金貸し業者に脅され、
借金返済の為ゲイ向けのアダルトビデオに出演する事になったのだが、いつしか彼は娼夫にまで身を堕とし、快楽に溺れてしまっていた。
「仕事」の最中は淫乱そのものながら、「仕事」が終わり素に戻ればそんな自分の痴態を嫌悪し鬱状態になり、しかし、
また「仕事」が始まれば、を繰り返す毎日にテオは嫌気が差していた。
借金は確実に減ってはいたが、完済する前に自分の精神は崩壊してしまうかもしれない。どうしたら良い。逃げたい。
そんな矢先の今回の殺し合い。

「よーし、いい機会だ……」

テオは決心する。

「死のう!」

人生と言う名のリングで戦い続ける自分にタオルを投げてやろうと。

「どんな死に方が一番、苦しくなくて済むかなぁ……」

自殺の方法を考え始めるテオ。

「誰……うわ! 変態!」
「!」

ここに来てテオはようやく他参加者と遭遇する。
いかにも今時の若者と言った風貌の人間の青年。

「変態か、別に良いけど……僕はテオ。貴方は?」
「え? 俺は、千品武紀……あんた、殺し合いには乗ってないのか?」
「僕、自殺しようとしててね」
「えっ」

83未来は二律背反 ◆ymCx/I3enU 2016/03/14(月) 03:05:17.34ID:sRYC3k2g
武紀の質問には答えず、自分のやろうとしている事を告げるテオ。武紀は驚いた様子だ。

「それでどんな方法が一番楽に死ねるかなって」
「え、いや、何が有ったか知らないけど、やめた方が良いんじゃね……?」

取り敢えず止める素振りを見せる武紀。
事情は全く知らないし赤の他人であるが故何の義理も無かったが、目の前で自殺すると言われ無視は出来ない。

「それでね、千品さん。僕支給品これだったんだけど」
「え?」

しかしテオは武紀の制止の言葉には反応せず、自分の支給品である出刃包丁を武紀に見せる。
先程から一方的な会話しか出来ないのもそうだが、テオの口調や表情がどことなく無機質に思え、
段々と武紀は目の前の白牛青年に対し妙な恐怖を感じ始める。逃げた方が良いかと考えた。

「あ、ああ。悪いけど俺はこれで……」

いよいよ危機感を覚え断りを入れて去ろうとした。

グサリ。

次の瞬間、出刃包丁の刃が武紀の腹に潜り込む。

「あ? ……ああああああああ!?」

焼けるような激痛。武紀の絶叫が木霊する。

「痛い?」
「げあっ……! なに、なに、や、あ゛」
「うん痛そうだね。刃物はやっぱり痛いんだね」

その手を血塗れにして、テオはとても淡々と所見を述べた。
こいつは正気じゃない、と激痛で揺らぐ意識の中、武紀は確信する。確信するのが遅過ぎたと後悔もした。
テオが包丁を武紀の腹から引き抜いた。刺された所を押さえて呻く武紀。

「うぎ、ぎ、い、あんた、いかれてるよ……!」
「そりゃあね。すっかり淫乱にされちゃったからね」
「そういう意味、じゃ」

グサ。

武紀が言い終わらぬ内に、包丁の刃が次に潜ったのは武紀の胸。
肋骨の隙間を通り抜け、心臓へと。
そしてその瞬間、武紀の命も終わった。
どさりと重い音を立てて武紀は路上に崩れ落ち、血溜りを作って二度と動かなくなった。

「心臓なら楽って訳でも無さそう。刃物で自殺はやめといた方が良いかなぁ」

淡々と、余りに淡々と、テオは再び所見を述べた。殺人への抵抗、罪悪感は微塵も感じられず。
武紀が思った通り、テオは最早正気では無かった。
殺し合いに放り込まれ彼自身も無自覚の内にその精神は異常を来し始めていたのだ。
「どのような致死方法が一番楽か」それを突き止める為、他の参加者を犠牲にする。その行為に対し全く疑問も抱かない。
近くの洋品店に侵入し売り物のタオルで自分の手と包丁に付いた血を拭き取る。
その後武紀の所持品を漁る。

「これは……毒?」

手に入れたのは小瓶に入った白い粉末状の薬品。
ラベルに書かれている薬品名は「シアン化カリウム」。よく推理物の小説や漫画等で「青酸カリ」として登場する毒物だ。

84未来は二律背反 ◆ymCx/I3enU 2016/03/14(月) 03:06:12.53ID:sRYC3k2g
「うーん苦しそう。誰かで試さないと」

さも当たり前のようにシアン化カリウムの効果を試す為の「実験台」をテオは探し始めた。
全ては自分の「楽な自殺」の為に。
そしてその足は島役場の有る方向へと向かっていた。

◆◆◆

「いやーん」
「ハッ、ハッ、ハッ」
「さっきヤったばかりなのに、元気ねぇ、もう」

ゼユックは性欲旺盛である。それは美知にも言える事だが。
何度も達した筈だと言うのに、今再び美知に息を荒げ、涎を垂らし尻尾を振りながら迫る。

「お前だって嫌じゃないだろ〜?」
「まあそうなんだけどね〜」

美知も特に嫌がらず、むしろ嬉々としてゼユックを受け入れる。
少女とオス狼の喘ぎ声が響き始める。これで何度目かは当人達にも分からない。


【千品武紀  死亡】
【残り42人】


【明朝/D-5島役場応接室】
【室川美知】
状態:健康、ほぼ全裸
装備:チェーンソー
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いはしないが襲われたら戦う。ゼユックと行動。しばらく島役場に籠る。
備考:衣類は応接室内に脱いだ状態で置かれている。

【ゼユック】
状態:健康
装備:合口
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いはしないが襲われたら戦う。美知と行動。しばらく島役場に籠る。
備考:特に無し。


【明朝/D-5島役場周辺】
【テオ・オトマイアー】
状態:精神に異常
装備:出刃包丁
持物:基本支給品一式、シアン化カリウム
現状:楽な自殺の方法を探す。
備考:「自殺に使える方法」を他人で試そうとする。島役場方面に向かっている。


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85未来は二律背反 ◆ymCx/I3enU 2016/03/14(月) 03:07:49.75ID:sRYC3k2g
《キャラ紹介》
【室川美知】
読み:むろかわ みち
年齢:18
性別:女
種族:人間
特徴:金髪ショートヘアの美少女。学校制服のブレザー姿。爆乳
職業:高校生
備考:淫乱である。男でも女でも獣でも何でもござれ。

【ゼユック】
年齢:30代?
性別:♂
種族:魔狼
特徴:濃い灰色と白の狼。筋肉質。黒目に赤い瞳
職業:傭兵
備考:とある傭兵ギルドに所属している。戦闘能力は高い。二足歩行にもなれる。
下品で好事家であるが仲間と思った者の事は大切にする様子。

【テオ・オトマイアー】
年齢:21
性別:男
種族:牛獣人
特徴:白い牛獣人。細身ながら引き締まった肉体。ブリーフにガーターベルト姿
職業:娼夫
備考:元は普通の会社員だったが知人に借金を背負わされその上借りていた業者が悪質な闇金だった為、
借金返済の為にホモ向けAVに主演させられた挙句快楽漬けにされ娼夫に身を堕とした。
娼夫の仕事をしている時は淫乱になるが仕事が終わり素に戻ると気弱な性格になり、自分の現状を嘆いて鬱になる毎日を送っている。

【千品武紀】
読み:ちしな たけのり
年齢:24
性別:男
種族:人間
特徴:金色に染めた髪。少しチャラい印象。私服姿
職業:メンズショップ店員
備考:少しチャラい印象を受けるが特に悪さはしない。
むしろ真面目に働いて真面目に稼いでいる。

《支給品紹介》
【チェーンソー】
支給者:室川美知
分類:その他
説明:多数の小さな刃の付いたチェーンを動力により回転させて対象物を切る動力工具の一種。
某ジェイソンの武器として認識される事が有るがジェイソンさんはチェーンソーは使った事は無い。
【合口】
支給者:ゼユック
分類:刃物
説明:小型の刀。白鞘タイプ。
【出刃包丁】
支給者:テオ・オトマイアー
分類:刃物
説明:和包丁の一種で主に魚を捌くのに使われる。
【シアン化カリウム】
支給者:千品武紀
分類:薬物
説明:良くフィクションで「青酸カリ」で登場する毒物の代名詞とも言える存在。
小さなガラス製の小瓶に入れられている。
----
※行数制限の為支給品紹介欄を詰めています

86 ◆ymCx/I3enU 2016/03/14(月) 03:08:41.39ID:sRYC3k2g
投下終了です。
何度も書き直した末にサイコパスっぽいキャラになった>テオ

87 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/16(水) 12:53:29.87ID:RS2Q8du3
こんにちは「ランダム制で2014・15年あたりのアニロワ」というのを投下したいと思います。
100人規模ですが、まあやるだけやってみます。
ランダム制とは参加者が合う人数とか支給品の種類とかを色々とランダムで振り分けました。
ただ最初の段階だけそれという感じです。
数え間違いとかもあってガバガバランダムだったりしますが、そこは許してください。。
よろしくおねがいします。

88オープニング ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/16(水) 13:08:36.25ID:RS2Q8du3
あと言い忘れましたので、投下乙です。ついでにOPもこのレスに書きこみます。


 暗転。
 自分の目の前がいきなり黒く染まったら、そう答えるのが普通だろう。
 ましてや「歩いていたら」とか「死んでいたら」とかそういう状態なのに、いきなり目の前の景色が変われば、そう思うほかない。
 ここに集まった100人ほどの人間はその状態にいる。
 ここはどこか、ということはわからない。
 ただわかるのは、地面があることくらいである。

 その中の一人に男がいた。
 ジャン=ピエール・ポルナレフ。特徴的な髪型をした、筋肉質な男である。
 彼は「スタンド」と呼ばれる精神から発生される超能力と、それを支える熱い心があった。
 そんな猛者であっても、この場にいる。何の抵抗も、いやそもそも抵抗すべき対象がいるのかどうかすらわからない状態で、この場に連れてこられている。

(なんだってんだァ……ここは? 俺は確かアヴドゥルとイギーと一緒にDIOの野郎をぶっ倒そうとしてたはずだ。つまり『歩いて』いたッ! 俺は単純に『歩いて』いたはずなんだッ!)

 彼は困惑する。館は確かに暗かったが、こんな場所ではない。
 完全に真っ暗というわけではなく、マジシャンズレッドの炎が照らしていたはずだ。

(スタンド攻撃かッ!?)

 ポルナレフは自身のスタンド、シルバーチャリオッツを出す。
 鎧を纏う戦士の出で立ちをした、その姿が現れる。
 周囲を警戒する。が、一向に攻撃されない。
 もし何らかの方法で自分と仲間を引き離す、あるいは仲間を殺したとしたら、すぐさま攻撃されるはずだ。
 だとするとスタンド能力ではない。異様な状況が続く中、ポルナレフは警戒の手を抜かない。
 何が何やらわからない中、変化は突如として訪れた。

「諸君ら、こっちを見るべぇ〜〜〜」

 間の抜けたような老人の声が響く。
 響く、ということはここは室内なのだ。
 その老人がいる場所は光に照らされ、目にショックを与えるのと同時に、その場所が大体どのようなものかを明らかにする。
 床は灰色のコンクリートであることから、全体図までもは流石に見えないけれども、何らかの建物の中にいることはわかった。
 老人は痩せている。
 錨のような白髪に片眼鏡、威厳を纏うように作られたようなマントを着ていた。
 おそらくこの場に人間を集めた者だろう。
 勝手に連れてこられた者達の前で、その老人は口角を釣り上げていた。奇妙な笑顔である。

 ポルナレフは警戒する。どんな相手かと思えば単なる老人だった。
 ただ、それが恐ろしい。
 単なる老人でしかないような人間が、素手でさえも倒すことができそうな相手が、自分をあっという間にこの場に連れてこられた。
 故にスタンドは出したままである。
 にも関わらず相手はニヤけたままだ。異様な自信家なのだろうか。

「え〜、こんなに人数多かったのかべ? やっていることが派手だべ。まあそんなことはどうでもいいべ。諸君らには今から『殺し合い』をしてもらうべ」

 殺し合い。
 簡単に、その男は語った。
 まるでデパートの迷子を店内でアナウンスするような、何の不可思議さも感じていないような口調である。

89オープニング ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/16(水) 13:10:10.96ID:RS2Q8du3
「その『殺し合い』とはどのような意味だ。比喩か、それともそのままの意味か?」

 男の声が聞こえた。その声を知るものは、少なくとも一人いた。 ポルナレフはその男の声と、そして姿を知っている。
 老人を映す光に写るその男を彼は知っている。
「アヴドゥル!」
 褐色の肌をした大男。灼熱のスタンド使い、モハメド・アヴドゥルである。
 おそらく彼もここに一緒に連れてこられたのだろうとポルナレフは思った。
 アヴドゥルも自分を呼ぶ仲間の声をわかったので、その方向に目くばせする。
 仲間の確認ができ、何か返そうとした時、そこに老人の声が入り込んだ。

「そのままの意味だべ。殺し合いの意味は殺し合いだべ」
「なぜそんなことをする必要がある? 貴様の趣味か」
「そんなことを語る必要はないべ。お前らはわからず適当に殺し合っていればいいんだべ」
「そうか……。ただ、必要性もないことに私も付き合う義務はないのでね。今の私にはやるべきことがあるんだ」
「そうかそうか。なら、貴様はどうするべ? 何をするべ?」
「今すぐ消え去ってもらうッ! 魔法使いの赤(マジシャンズレッド)!」

 アヴドゥルは炎を纏った鳥の顔を持つ人型のスタンド、マジシャンズレッドを出す。
 そして躊躇なく火炎を発射させる。
 いくら相手が老人とはいえ、自分をあっという間にこの場に持っていける能力、そして殺し合いをさせるという狂気性を持った人間に、遠慮をする必要などない。

 だが火炎は空中で大きく広がり消滅する。
 簡単にいえば、これはバリア・結界である。
 例えそのようなものを実際に目にしなくても、それは感覚として見てわかるものであった。
 老人を何か見えない壁が守っているのだ。

 アヴドゥルは瞬時にこの老人は生半可な攻撃では倒せないとわかった。
 全力を出さねば、可能性が見えない。
 今までの戦いの経験から、すぐさま己のスタンドのフルパワーを発揮する。

「クロスファイヤーハリケーンスペシャル(C・F・H・S)!」

 十字の炎が連射され、老人の元へ向かう。
 火炎が大きく広がり、同時に大きな爆風が吹き荒れる。
 その衝撃は建物を響かせ、炎は光源をさらに増幅させる。

90オープニング ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/16(水) 13:12:41.03ID:RS2Q8du3
 だが、効かない。
 老人はニヤけたままであった。
 余裕満々な笑顔でアヴドゥルを見下す。
 対する炎のスタンド使いは緊迫の汗を流した。

 老人は言う。

「お前がどんな攻撃をしてもダメだべ。大体、こんなことで死ぬようなら殺し合いなどしないべ。そうだべ、お前がここで目立ったのはちょうどいい。わかりやすい説明台になってもらうべ」
「貴様は何を……」

 困惑するアヴドゥルを尻目に、老人は指を弾いた。その音は屋内を包む。

 爆音と共に男の首は飛んだ。

 本当にそのままである。
 さっきまで異次元の能力を扱っていた男はあっという間に、殺されてしまったのだ。
 その死体はバランスを崩し、粘土細工のように床に転がった。

「アヴドゥルーーーーーーゥッ!」

 ポルナレフは叫ぶ。
 自分の仲間の死に、叫んで、その場まで駆けつける。
 彼が見てもアヴドゥルは確実に死んでいることがわかった。
 首から上はなく、その頭が無造作に転がっていた。
 ポルナレフは何も言葉にでなかった。
 簡単に言い表せるようなものではなかったのである。あらゆる感情が彼の元で湧き上がり、交差し、複合する。

「この男の首が吹き飛んだのは首輪だべ。諸君らの首元をすぐに確認するといいべ。その中には爆弾が内臓されていて、わしらの胸先三寸でいつでも『おしおき』できるんだべ」

 ポルナレフも言われてその存在に気付いた。
 自分の首元に、自分の仲間を、友を殺した忌々しい存在がある。
 そして何より許せなかったのは『おしおき』である。
 自分の友を殺したそのやり方を『おしおき』というふざけた表現で、もっといえばそんなゴミのような理由で殺したことを許せなかった。
 ポルナレフは哀しみを怒りに変えて、老人を睨む。

91オープニング ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/16(水) 13:16:24.02ID:RS2Q8du3
「てめぇ、この借りは安くつくなんて思ってねえだろうなッ!」
「何も借りた記憶はないべ。なんだべ。お前もその男と同じようにわしに攻撃するべ?」
 ポルナレフは攻撃しない。
 それは冷静な判断である。彼は戦士として冷静な状況判断をしたのである。
 ここで攻撃したとて、アヴドゥルの高火力の攻撃を防いだことを考えると、無謀というものである。
 怒りにまかせて攻撃したとて、返り討ちになるのが関の山だ。
 だがその闘志は燃え尽きていない。
 それは未だにポルナレフの心を燃やし、眼光がそれを老人に伝えている。
「ずいぶん挑戦的な目だべ〜。いいだろう、名前を教えてやるべ。わしの名前はドクロベエ。覚えておくがいいべ、ジャン=ピエール・ポルナレフ」
「ああ、覚えといてやるよ。ついでにてめーの脳みそには俺の名が残らねえように、いずれバラバラにしてやるッ!」
「いい気概だべ! ならば、この殺し合いで生き抜くがいいべ。または対抗するがいいべ、できるものなら!」

 老人、もといヤッター・キングダムの支配者・ドクロベエは前を向く。
 参加者全員を眼前に、その言葉を放った。

「諸君らには今から最後の一人になるまで殺し合ってもらうべ。ただ、モチベーション向上のために生き残ったものには、1つだけ願い事を叶えてやるべ。
 どんなことでもいいべ。不老不死でも、誰かを生き返すことや、大金が欲しいことやエロ本を買ってもらいたいことでもなんでもだべ。
 殺し合いに勤しむなら渡される支給品を活用するべ。
 追加ルールもあるので、6時間ごとに行う放送をよ〜く聞くがいいべ」

 マイペースにルールを解説するドクロベエ。彼は自分が言ったというのにポルナレフには全く関心を向けるそぶりをださなかった。

(おそらくヤツは『絶対に自分は殺されない』と思ってやがる……。絶対的な優位にいるから、余計な心配をする必要がないと思ってやがるんだ……)

 それはわかっている。実際に優位な立場だろう。だが

(そんな余裕ぶっこいた外道野郎に一泡ふかせてやるってのは最高だよなあ……アヴドゥル! 血の泡をカニみてえに浴びせてやる……だから、それまで待ってろよ……)

 復讐を誓う。弔い合戦を彼の心は決めていた。
 しかしその不屈の魂は、暗転と共に沈む。
 参加者は再び意識が飛ぶ。そして次なる場所に移るのだ。
 
 そう、殺し合いの場に。


【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】モハメド・アヴドゥル 死亡確認

 GAME START

92参加者名簿 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/16(水) 13:17:15.66ID:RS2Q8du3
参加者

8/8【ルパン三世】〇ルパン三世/〇次元大介/〇石川五ェ門/〇峰不二子/〇銭形幸一/〇レベッカ・ロッセリーニ/〇ニクス/〇レオナルド・ダヴィンチ/
7/7【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】〇空条承太郎/〇ジャン=ピエール・ポルナレフ/〇ラバーソール/〇偽キャプテン・テニール(偽)/〇マライア/〇テレンス・T・ダービー/〇DIO/
7/7【ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン】〇ニンジャスレイヤー/〇ダークニンジャ/〇ヤモト・コキ/〇ラオモト・カン/〇フォレスト・サワタリ/〇シルバーカラス/〇ミュルミドン/
7/7【ローリング☆ガールズ】〇森友望未/〇小坂結季奈/〇響逢衣/〇御園千綾/〇宇徳真茶未/〇籾山蔵之介/〇石作志麻/
6/6【ヴァルキリードライヴ マーメイド】〇敷島魅零/〇櫻美鳳/〇柊晶/〇シャルロット・シャルゼン/〇時雨霞/〇相良百華(A3)/
6/6【おそ松さん】〇松野おそ松/〇松野カラ松/〇松野チョロ松/〇松野一松/〇松野十四松/〇松野トド松/
6/6【GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり】〇伊丹耀司/〇レレイ・ラ・レレーナ/〇ロゥリィ・マーキュリー/〇ピニャ・コ・ラーダ/〇栗林志乃/〇ゾルザル・エル・カエサル/
6/6【桜Trick】〇高山春香/〇園田優/〇野田コトネ/〇南しずく/〇池野楓/〇飯塚ゆず/
6/6【城下町のダンデライオン】〇櫻田茜/〇櫻田葵/〇櫻田修/〇櫻田奏/〇櫻田輝/〇佐藤花/
6/6【東京喰種】〇金木研/〇霧嶋董香/〇芳村/〇月山習/〇亜門鋼太朗/〇真戸呉緒/
6/6【七つの大罪】〇メリオダス/〇エリザベス・リオネス/〇ホーク/〇ディアンヌ/〇ヘルブラム/〇ビビアン/
6/6【パンチライン】〇伊里達遊太/〇成木野みかたん/〇曳尾谷愛/〇台初明香/〇友田千早/〇ぐり子/
6/6【モンスター娘のいる日常】〇来留主公人/〇ミーア/〇パピ/〇セントレア・シアヌス/〇スー/〇ラクネラ・アラクネラ/
5/5【アイドルマスター シンデレラガールズ】〇島村卯月/〇渋谷凛/〇双葉杏/〇諸星きらり/〇城ヶ崎美嘉/
5/5【アカメが斬る!】〇アカメ/〇レオーネ/〇エスデス/〇セリュー・ユビキタス/〇シュラ/
5/5【アルドノア・ゼロ】〇界塚伊奈帆/〇スレイン・トロイヤード/〇アセイラム・ヴァース・アリューシア/〇網文韻子/〇ザーツバルム/
5/5【寄生獣 セイの格率】〇泉新一/〇加奈/〇田村玲子/〇島田秀雄/〇後藤/
5/5【下ネタという概念が存在しない退屈な世界】〇奥間狸吉/〇華城綾女/〇鬼頭鼓修理/〇アンナ・錦ノ宮/〇《頂の白》/
5/5【Charlotte】〇乙坂有宇/〇友利奈緒/〇高城丈士朗/〇西森柚咲/〇乙坂歩未/
5/5【ハナヤマタ】〇関谷なる/〇ハナ・N・フォンテーンスタンド/〇笹目ヤヤ/〇常盤真智/〇常盤沙里/
5/5【ヘヴィーオブジェクト】〇クウェンサー=バーボタージュ/〇ヘイヴィア=ウィンチェル/〇ミリンダ=ブランティーニ/〇フローレイティア=カピストラーノ/〇プライズウェル=シティ=スリッカー/
5/5【六畳間の侵入者!?】〇里見孝太郎/〇東本願早苗/〇虹野ゆりか/〇笠置静香/〇藍華真希/
4/4【異能バトルは日常系の中で】〇安藤寿来/〇神崎灯代/〇櫛川鳩子/〇高梨彩弓/
4/4【がっこうぐらし!】〇丈槍由紀/〇恵飛須沢胡桃/〇若狭悠里/〇直樹美紀/
4/4【ご注文はうさぎですか?】〇保登心愛/〇香風智乃/〇天々座理世/〇桐間紗路/
4/4【監獄学園】〇藤野清志/〇諸葛岳人/〇白木芽衣子/〇緑川花/
4/4【干物妹! うまるちゃん】〇土間埋/〇土間大平/〇海老名菜々/〇橘・シルフィンフォード/
4/4【落第騎士の英雄譚】〇黒鉄一輝/〇黒鉄珠雫/〇桐原静矢/〇東堂刀華/
3/3【オーバーロード】〇モモンガ/〇クレマンティーヌ/〇シャルティア・ブラッドフォールン/
3/3【SHIROBAKO】〇宮森あおい/〇高梨太郎/〇矢野エリカ/
3/3【夜ノヤッターマン】〇レパード(ドロンジョ)/〇ヴォルトカッツェ(ボヤッキー)/〇エレパントゥス(トンズラー)/
2/2【純潔のマリア】〇マリア/〇ガルファ/

計163人


みせしめ

【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】●モハメド・アヴドゥル/


主催者
【夜ノヤッターマン】〇ドクロベエ/

93 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/16(水) 13:18:58.19ID:RS2Q8du3
投下終了です。色々と記憶したいのでwikiもついでに作ります。

94創る名無しに見る名無し2016/03/17(木) 19:41:53.91ID:rjF5l5XN
投下乙です、目新しいキャラが並んでいて、楽しみです

95♯ぐるぐる2016/03/17(木) 19:43:17.95ID:rjF5l5XN
テスト

96 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/20(日) 18:19:44.43ID:d8Q6wZJO
こんにちは。連投? にはならないんですかね。
投下します。

97一話 海辺 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/20(日) 18:22:31.46ID:d8Q6wZJO
 魔法使いは海辺を見る。自分の来ているところはここじゃなかった、ということはすぐわかった。
 状況判断。レレイ・ラ・レレーナはまず己の状況を判断する。
 確かに彼女にとっても「殺し合いに参加させられる」ということは突然の出来事である。
 だが、からといって動転するほど彼女は甘い者ではない。炎竜との戦いなど場数を踏んできた魔法使いである。
 なおかつ彼女は天才と言われる者だ。安直な状況判断などはしない。
 まず必要なことは身の安全を図ることである。
 彼女は殺し合いに参加する気はなかったが、殺されたいわけではない。 
 近くにあった草原に生える岩陰に身を隠し、支給品を確認する。

(しかしこれはどういう構造……?)
 レレイは不思議に思う。彼女がこの場にいた時、近くにバッグについてである。
 彼女はバック自体は知っている。かつて日本に訪れた時、そこの人間が持って歩いていたからだ。
 考えるに中にものをいれて運ぶ、便利のよい籠のような存在。そこまではわかっていた。
(だけどこんなに「物が入る」ことなんてあるのだろうか……?)
 その中には鉈と白い謎の衣装とショベル、そして猫が入っているのだ。
 普通に考えてバッグの中に入る量ではない。仮に入っていたといても、バッグの大きさを考慮すればギチギチになっているはずだ。
 にも関わらず、それぞれが余裕あるような隙間がある。
(いくらなんでも日本の技術力でもここまでできるのか……? そもそもこれはあちらの世界の「物理」を超越しているのでは……)
 レレイは興味津々を形にしたような少女である。この未知の構造をしたバッグも気にならないとなれば嘘になる。

(だが、そんなことをしている暇はない)

 レレイはすぐに切り替え、支給品の詳細を確認する。
 ショベルと鉈は、何の変哲もないものであった。
 武器として使えないことはないが、レレイは白兵戦は不得手である。
 盾や、なんらかの防具があれば、自分の魔法の補助になる。
 彼女の得意とする爆裂魔法はそれなりな威力があるため、本体の防護さえきちんとしていれば、効果的なのである。

(これもまた……もしかして日本以外には実用化されているのか?)
 そんな怪訝な目を向けた先は白い衣服である。
 頭が三角筋、もっというならイカのようになっている。
 両腕の裏に赤が配色がされており、胸の部分には目のような突起物がある。
 おそらく「イカ」を模したものだろう、とレレイは思う。
 興味で日本を調べる時に、そんな生き物を目にしたような記憶があったのだ。
 そんな現実的なものに反して、この服の効果は着ると透明になるという。
 そんな機能があるものは日本でも聞いたことがなかった。本当かと試しに着てみたが、どうやら効果は確かなようだ。
 流石に強い衝撃を受ければ壊れるらしいが、そんな技術を獲得している時点ですごい。
 そして猫。単なる猫である。それ以上でもそれ以下でもなかった。
 先ほどのイカスーツにも説明書がついており、それで透明化の要素を知ったのだが、今回の猫はそれでしかない。
 櫻田家、という「王族」の家で飼われている猫、という説明を見て、レレイは思う。

(櫻田……という名前からしておそらく日本の人間と思われる。だが少なくとも私の知っている日本は『王政』ではなかった。確かに日本には皇族はいるが、それならば説明も皇族になっているはず。仮に大雑把に『王族』としていても、日本のそれには名字がなかったはずだ)

 矛盾が伴う。そもそも地図を見るに、ここに自衛隊駐屯地がある時点でおかしい。
 彼女が知っている限り、こんな土地に自衛隊は駐屯していないはずだ。
 たとえそれを知ってなくても、門がなぜこんなところにあるのか。アルヌスの丘はここではないはずだ。

(となると、意図的にここに門を召喚させた可能性もある。門は異世界を繋ぐ者だから、『櫻田』という王族がある世界と繋げたかもしれない。そうやって参加者を集めて……)

 と思いながらレレイは参加者名簿を見る。
 櫻田と呼ばれる王族であるらしいものは、なんと5名もこの殺し合いに参加させられているらしい。
 とは言ってもこれは憶測にすぎない。レレイがいくら天才と言ってもGATEの向こう側の世界を完璧に把握しているわけではないのだ。
 もしかしたら櫻田という王族が他の世界にいるかもしれないし、自分の知っている皇族の知識が間違っているかもしれない。
 確証を得るにはもっと情報が必要だ。レレイはまだ判断しない。

98一話 海辺 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/20(日) 18:24:37.59ID:d8Q6wZJO
(……少なくとも自衛隊の隊員と、そしてロゥリィをここに呼んでいる時点で油断はできない)

 自衛隊。自分の生きる世界においては最強の軍隊。
 ロゥリィ。自分の生きる世界において最強クラスの人物。
 そんな人物をこの殺し合いに参加させている。生半可な実力や組織力がなければ不可能だろう。
 とはいえ、仲間にはしたい者達だ。彼女は参加者名簿を確認すると、とりあえず仲間に合流する方法を考える。
 おそらくこの自衛隊駐屯地、ついでに付近にある門に集まるだろう。
 だとしたら、そこに向かうのが一番確実。とすると、まず現在地を把握する必要がある。

 現状の把握のためには歩く必要がある。ならば今、必要なものは姿を隠すことだろう。
 透メイカーはそれに最も適している。今のところ、敵と交戦する必要もないし、武器も必要ないだろう。
 そう思ってまず鉈を入れ、次にショベルをバッグにしまうと手にとった。
 土を掘る先端が他の者を映した時、レレイの耳に声が入ってきた。

「そこの人ー!」

 呼び止められたようだ。レレイは振り向く。
 敵意はなさそうな声だが、油断せず、防御魔法の展開を考慮する。
 眼前にはツインテールの――おそらく日本の「学生服」を着た少女がいた。

「そのシャベル、私の―!」


 少女の名前は恵飛須沢胡桃。私立巡ヶ丘学院高等学校三年。学園生活部部員。
 男勝りで、性格に合うように運動神経もいい。
 レレイが色々と会話を交わしてわかるのはそのことと、彼女の移動した地理情報から自分のいる場所がC-1だということ、そして胡桃という少女は少し甘い性格なのではないか、ということである。

(おそらく日本に住んでいる「学生」という、言うなれば一般市民なのだろう。しかし、だからといって不用意に人の元へ近づくのは危険。殺し合いという場では迂闊ともとれる)

 もちろん自分は殺す気はないし、相手も殺す気がないのはわかっている。
 先ほどの「異世界から集められた」仮説を証明するためにも情報は得たい。
 ただ、これから行動するとなると、かなり厄介になるのでは、と思っただけである。

(ただ、運動神経は恐らくこの少女の方が上。先ほど、こちらへ向かってくる走りをみれば健闘はつく。もし、何らかの状態で魔法が使えなくなれば、心強い味方になるかもしれない)

 もっとも、一番は自衛隊などの戦士であるが、などとレレイは考えていると、胡桃は不思議そうな顔で話しかける。

「何か言いたいこと、ある?」
「あ、いや、別に」

99一話 海辺 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/20(日) 18:25:33.76ID:d8Q6wZJO
 言っても仕方のないことだ。
 レレイはまず少女から開口一番にねだられたシャベルを手渡す。 どうせ自分には扱える武器にはできないし、飛ばす武器としてはそこそこの効果があるかもしれないが、せいぜい「そこそこ」止まりだ。
 それより物々交換の材料に使った方がいいと判断したのである。

 そのようにレレイは思っているが、この胡桃という少女は、彼女の思うほど、甘くはない。
 胡桃の支給品の1つに双眼鏡がある。彼女がこの地に着いた時、まずこれで周囲を観察した。
 わかるだろうが、これは警戒のためである。
 その途中で彼女は、青髪の少女、レレイを見つけたのである。
 修道士というか、魔法使いのような格好をしていたのでそこは不思議だが、まず警戒対象として目星をつけた。
 彼女の支給品ももちろん把握できた。そして自分の獲物であるショベルを目にしたのである。
 胡桃からしてみればこのショベルは手に入れたいものであった。
 彼女は映画でいう「ゾンビ」、彼女の世界で言う「かれら」を相手に生き残ってきた者である。
 そんな生死の狭間を行き交っていた彼女であるが、あくまでも敵は「人間ではない」存在である。
 というよりは「人間でない」と思わなければ殺せなかった。
 それはさておき、つまり相手が人間というのは初めてなのだ。
 だからこそ、かつて持っていた武器は持っておきたい。
 シャベルは本来武器として使うものではないが、それでも使い慣れたもの得るというのは、この不可思議な状況下、必要とするものであった。
 幸い、自分の武器に中に銃器があった。
 青い髪の女は何やら透明になれるらしいが、武器はあくまでも近距離用。
 少なくとも逃げる術には活用できるだろう。
 相手は見るところ、自分よりは体格がよくない。チャンスは十分にあるだろう。

(にしても……あたしも少し安直だったかもな)

 胡桃も完全に安全というわけではない。レレイの思ったように「甘い」部分もある。
 その要素の1つは現在、胡桃が見ているものである。
 鉈が浮いているのである。比喩でもなんでもなく、鉈が浮いている。
 それがまたヘリコプターのように動く。
 そのような物理法則を無視したような動きを、レレイは起こしていたのだ。

「それがレレイちゃんの、魔法、ってやつ? こんなの初めて見たよ……」
「あなた達の『日本』でもそれは滅多に見ないということ?」
「滅多に……というよりさっぱりだな……」

 こんなもので攻撃されたら慣れない銃撃などあまり意味がない、と胡桃は心の中で冷や汗をかいた。
 彼女もその類のものがこの世界にないと思っているわけではない。
 会場に集められた時の「アヴドゥル」という男は謎の炎を発射する人型のものを召喚していた。
 だが、胡桃はそれだけでは確信できない。あまりにも非現実的で信じられなかったのだ。
 主催者の使ったマジックや、演出や、そういう類のものと思っていたのである。
 今回の魔法をみてやっと納得できたが、これは迂闊だった。
 たまたま運がよかったからいいものの、これから気を付ける必要はあるだろう。

(あたしも『絶対に』ないとまでは思ってなかったんだけどな)

 胡桃はレレイの持っている杖をみながらそう思う。
 この杖は本来、胡桃の支給品である。ショベルとの物々交換で決めたものだ。
 釣り針のような杖の頂上に丸い球がついている。
 奇怪な形だがこれは単なる変なオブジェではなく、魔法使いにとっては優れものである。
 簡単にいえば「魔力を使う段取りを省略し威力を高める」ものである。
 例えば呪文や詠唱など、そういうものが必要になる魔法を省略し、すぐさま効果を発揮できる、ということだ。
 それプラス威力を高めるおまけつきである。
 元々魔法使いではない胡桃には魔力もごく少ないため、使用にはできないがレレイは天才的な魔法使いである。
 その効果は絶大だろう。レレイにとっては強力な武器となる。

100一話 海辺 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/20(日) 18:29:19.92ID:d8Q6wZJO
「さて……ここで聞きたいんだけど、あなたのいる『日本』では死霊、もしくは『ゾンビ』が跋扈しているのか?」
「『ゾンビ』……まあ例えるとすればそんなもんかな。詳しいことはわからないが、多分、壊滅的な状態かな」

 壊滅的、となるとおかしい。レレイは思う。
 彼女も日本全土を渡っていたわけではないが、壊滅的となれば話は別だろう。
 日本には自衛隊と言う相当な戦力があるわけだし、ゾンビの退治など造作もない筈だ。
 そんな軍隊でも太刀打ちできない状態のゾンビの跋扈……となるとレレイの知っている日本とは大きく異なるわけである。
 また「櫻田」という王族を知っているか、と聞いても知らないと答えられた。

(となると、櫻井家がいる世界と胡桃のいる世界は別。もちろん私のいる世界は別……ということになる。もちろん、精神が錯乱している可能性はあるけれども、「門」と存在がある以上、それはそこまで重視できるべきこととは思えない)

 おそらく「櫻田家」の一人と会えば確信が持てるだろう。
 レレイはそう思いながら、胡桃に話しかけた。

「ここからあなたはどこに行くつもり? やはり巡ヶ丘学院高等学校?」
「まあそっちには向かいたいところだが……そもそも私と同行するのか? 魔法なんか使えないし足手まといもいいところだと思うぞ」
「そこまで不要とはいえない。確かにあなたに魔法は使えないが、運動神経は私より優れている。これは憶測だが私に対抗できる魔道士もいるかもしれない。その際に私の魔力が尽きた時、一番頼りになるのはあなた」
「運動神経って……そりゃ戦ったことがあるけど、レレイの言ってた自衛官やら、ロゥリィって人やらに比べたら、格下だぞ」
「たとえそうでも、現時点の私においてはとても必要な存在。もちろん、あなたが嫌というならそれでいい」
「いやいやいや、あたしはむしろ同行を頼みたいよ。その魔法なんてのは大きな武器になるし。逆にレレイは行きたいところってあるの?」
「自衛隊の駐屯地、および門。おそらく仲間もそこに集まると思われる」
「レレイの仲間って強いんだろ? ……もちろん私も自分の友達には会いたいけどさ、私が死んじゃったら元も子もないし」
「その点は大丈夫。そもそも戦闘力・生存能力が共に優れているため、後から合流しても問題はない。距離としても巡ヶ丘学院高等学校が近いため、手っ取り早い」
「そうか……? いやそうしてくれるのはありがたいんだが、どうして」
「西部の都市部は学校が集結している。あなたの在籍していた高校が本来の場所ではなくここに写されているということは、他の高校もそうなっている可能性はある。つまり人が集まりやすいということ。私達の仲間を増やすことはできる」
「脱出する同士ってことか……。でもこの殺し合いにも乗ってる奴はいるかもしれないぞ」
「殺し合いに乗っていても学生か、教師の類。兵士や戦士のような人間に比べたら危険性も戦闘力も弱いだろう。仮に高い者がいても、遮蔽物が多い方が私の魔法や、一般市民のあなたにとっては有利。少なくとも草原という範囲が広い場所よりは生存できる可能性が高い」
「おお……すっごい考察……。なんか全然考えてなくて申し訳ない気分だよ……」

101一話 海辺 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/20(日) 18:31:10.77ID:d8Q6wZJO
 胡桃はレレイが仲間で本当によかったと思った。
 稚拙な表現だがそう表すのが最もわかりやすいのだ。
 感心した表情で胡桃が青髪の天才魔法使いを見ていると、レレイはポツリと言った。

「それに……人間が殺されるのは好きじゃない」

 レレイは冷静な魔法使いである。
 ギブ&テイクを重んじる、天才で平静を辿る少女。
 だが、彼女は冷血ではない。炎龍と戦う際も啖呵をあげ、仲間が死ぬ中、奮起する人間なのだ。
 戦闘に全く関係ない人間が強者に蹂躙される姿など、彼女でも忌み嫌う存在なのである。
 胡桃はそれを聞いてフッと笑い、言った。

「冷静そうに見えて結構熱いところもあるんだな……。ん? なんだそれ」
「これは透メイカーと言って……」
「ああ、透明になるやつか」
「その双眼鏡……で確認済みということか。私の仲間になってくれたことに関してのお礼。私には防御魔法があるし、あなたの武器の特質を考えると透明な方が効果的」
「それはそうだな……いやー、色々とやってもらって申し訳ないな……。ところでなんだが、レレイって何歳なんだ? 見た目から私と近いかなって思ってたからタメ口だったんだけど、なんか話していると大人びているからさ……」
「私は16歳。日本でいうところの……中学生くらい」
「あたしは高3!」

 いったん、間が空いた。

「……胡桃さん」
「いや、呼び捨てでいいよ……」

 2人の少女はお互いを見ていた。

102一話 海辺 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/20(日) 18:40:04.36ID:d8Q6wZJO
【一日目・午前0時頃/C-3・草原】

【レレイ・ラ・レレーナ@GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり】
【状態】健康
【装備】エンジェルハイロゥ@六畳間の侵入者!? 鉈@現実
【道具】ボルシチ@城下町のダンデライオン 通常支給品一式
【思考】基本:殺し合いから脱出する。
1:胡桃と行動して巡ヶ丘学院高等学校に向かう。
2:かつての仲間と合流したい。ゾルザルは勘弁。
3:自分と行動を共にしてくれる仲間を集めたい。
4:門も気になるので向かいたい。
5:色んな異世界から人が集まっているかもしれない……?
※登場時はまだアニメ終わってないのでそのうち決めます。
※恵飛須沢胡桃と情報交換しました。

【エンジェルハイロゥ@六畳間の侵入者!?】
魔法の杖。元々は虹野ゆりかの所持品。
ウィキペディア先生によれば魔法の発動を早くしたり、威力を高めたりできる。
ロワ内では魔法を使わない人もいるが、少々の魔力を使ったりはできる。

【鉈@現実】
木とか斬ったりする刃物。某蜩が鳴いたりする話ではメインウエポン。

【ボルシチ@城下町のダンテライオン】
櫻田家にいる猫。声が速水奨。とても尊大な性格。


【恵飛須沢胡桃@がっこうぐらし!】
【状態】健康
【装備】胡桃のショベル@がっこうぐらし! ワルサーP38(8/8)@ルパン三世
【道具】ワルサーP38の予備マガジン×2 双眼鏡@現実 透メイカー@パンチライン ヒロイック・ガーネット@ローリング☆ガールズ 通常支給品
【思考】基本:仲間と一緒に脱出したい。
1:レレイと行動して巡ヶ丘学院高等学校に向かう。
2:自分の仲間と合流したい。
3:脱出してくれる仲間を集めたい。レレイの仲間とも合いたい。
※ワクチン効いた頃に参戦。多分、最終回あたり。
※身体能力がすごい上がっているかもです。
※レレイ・ラ・レレーナと情報交換しました。

【胡桃のショベル@がっこうぐらし!】
ショベル。なんだけどゾンビの首とかを真っ二つにできるくらい丈夫。

【ワルサーP38@ルパン三世】
ルパンの愛銃。八発装弾。予備弾薬マガジン付。
詳しくないけどなんかいい銃らしいですよ。

【透メイカー@パンチライン】
着ると透明になるイカの形をしたスーツ。流石に強い衝撃をつけると壊れる。
グーグル先生では「透明イカスーツ」で検索したほうが画像を見つけやすい。

【ヒロイック・ガーネット@ローリング☆ガールズ】
石の名前。執行玖仁子の所有物。
チョーカーにあしらう形で付けられている。
ついでに石の名前というよりは勝手に執行さんが付けてるだけ。

【双眼鏡@現実】
双眼鏡です。遠くのものとか見えますよ。

103 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/20(日) 18:41:39.29ID:d8Q6wZJO
投下終了です。wikiにも多分書きます。

104 ◆84AHk0CknU 2016/03/22(火) 11:19:38.25ID:8vVCimlo
新ロワ投下乙です

アブドゥルー!!ポルがアヴさんの無念を晴らしてくれることを祈る
そしてこれは良い可愛いコンビ。

愛好作品ロワがちょっと行き詰ってるんで、息抜きに別のロワ投下します
まずオープニングと名簿を

105開幕 ◆84AHk0CknU 2016/03/22(火) 11:21:28.13ID:8vVCimlo
選ばれた11の世界。

クッソ汚いホモたちが欲望のままに生きる世界。
遥か未来の汚染都市で生まれたニードレス(不用者)の世界。
地球侵略を目論む宇宙人と正義のヒーローである少年が日々戦い続ける世界。
企業の陰謀で生まれた生物兵器が蔓延る世界。
ある霊感体質の兄妹を中心に、おばけ騒動が起こる世界。
兄に恋する妹とそれを取り巻く少女たちの世界。
異形を騎る魔女と、帝国へ反逆する魔王の世界。
とある少年と邪神達による騒動が日々絶えない世界。
未知なる力を手に入れた4400人の生還者が居る世界。
偶然怪物への変身能力を得たティーンエイジャーが、怪事件に立ち向かう世界。
壊れた赤い女王が原因で世界中で屍者が闊歩する世界。

交わるはずの無い世界の住人達が、ある儀式に巻き込まれた。

「やぁ」

黒一色に塗り潰された空間。
人々の困惑と恐怖と怒りの声が響く中、前方が光で照らされた。
光を浴びた事でステージ上に居る男の姿が、人々の目に映る。

黒髪で端正な顔立ちの青年。
気味の悪い笑みを浮かべ、未だざわつく人々を見下ろしている。
中にはこの男の知り合いだろうか、名前を呼ぶ者もいた。

「まずは自己紹介といこうか。既に知っている者も数人いるが、名乗らせてもらおう。
 私はロロ・ヴィ・ブリタニア。今回の儀式の進行役を担当している」

儀式。
それはなんなのか。
一体自分達に何をさせようというのか。
人々の顔にはそんな疑問がありありと浮かんでいる。

注目が集まる中、青年はゆっくりと口を開く。

「我々の崇高な儀式、バトルロワイアル。君たちには今から―――殺し合いをしてもらう」

静寂。
青年の言葉を受けた人々は一斉に口を噤む。
沈黙の空間で青年は楽しげに続ける。

「儀式のルールを説明しよう。これから君たちを儀式の会場へ送る。そこで思う存分殺しあってくれたまえ。
 会場は中央に都市が位置し、四方を森林や海岸で囲んでいる。会場には君たちに馴染み深い施設が色々と用意されているぞ。
 君たちにはこのデイバッグが各自配られる。これには会場の地図、食料、水、コンパス、筆記用具、懐中電灯など一式が入っている。
 それから殺し合いをする為の武器や防具もだな。ランダムで1〜3個入っているが、必ずしも役立つものが入っているとは限らん。
 まぁ外れでも気を落とすな。他の参加者から奪ってもいいのだからな」

106開幕 ◆84AHk0CknU 2016/03/22(火) 11:22:22.73ID:8vVCimlo
一旦話を止め、自らの首をトントンと指で叩く。

「既に気付いているかもしれんが、君たちが付けているその首輪。それには爆弾が仕掛けられている。
 ああ待て待て、無闇に外そうとすればドカン!だ。首輪は他にも会場から脱出しようとしたり、我々へ攻撃をした場合にも爆発する。
 中にはこの程度の爆発では死なない者もいるが…残念、そういった者の能力には手を加えさせてもらったよ。
 信じられないのなら好きにするといい。とはいえこちらとしては死ぬのは殺し合いの最中にしてもらいたいのだがな」

誰も首輪に触れなくなったのを確認し、青年は説明を続ける。

「儀式を生き残れるのは二名だ。残り人数が二名になったらバトルロワイアルは終了。無事に家へ帰してやろう。
 そして生き残った者には儀式に参加した報酬として、あらゆる願いを一つ叶える権利が与えられる。
 あらゆる願いを、だ俗物的なものから、死者の蘇生、敵対者の完全消滅など全てが可能だ。
 信じられないかな?だが君たちの中には、今こうして自分が存在していること自体、本来ならば有り得ない者も居るだろう?」

含みを感じさせる言葉に何人かが反応した。

「だが願いを叶えられるのはどちらか片方のみだ。生憎二人分の願いは聞き入れられないのでな。
 どちらの願いを叶えるかは生き残った者で相談するといい。それくらいは待っておいてやろう。
 どうしても意見が纏まらないのなら片方を殺しても構わん。儀式が終了したのなら、優勝者が死んでも問題はない。
 さて説明は以上となるが……ああそうだ、最後に首輪の威力を実際に見てもらうとしよう」

青年が指をパチンと鳴らす。
すると奇怪な事に、突然ステージ上に二人の人間が姿を現した。
一人はメガネを掛けた中学生くらいの少年。
もう一人は白衣に肌色のズボンを穿いた老人で、一見生足を晒しているようにも見える。
二人とも両手と両足を拘束され、猿轡まで嵌められている。

「君たちには私に逆らったらどうなるかの、丁度良い見本となってもらおう」

首輪のランプが激しく点滅し、二人は必死にもがく。
彼らの知り合いらしき者たちが、必死の声で静止を求めるが当然聞き入れられる訳も無く。

ボンッという音と共に、首なしの死体が二つできあがった。

悲鳴と怒声が次々と起こる中、青年は再び指を鳴らす。
すると徐々に声は数を減らし、やがて無音となる。
自分以外居なくなった空間で、青年は全てを嘲るようにけらけらと笑い続けていた。


【主催者:ロロ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
【委員長@でろでろ 死亡】
【吉阪博士@チャージマン研! 死亡】

GAME START

107名簿 ◆84AHk0CknU 2016/03/22(火) 11:23:43.50ID:8vVCimlo
【真夏の夜の淫夢】8/8
○野獣先輩/○MUR/○KMR/○遠野/○AKYS/○虐待おじさん/○ひで/○KBTIT

【NEEDLESS】7/7
○アダム・ブレイド/○クルス・シルト/○照山最次/○六道銀/○セツナ/○未央/○梔

【チャージマン研!】6/6
○泉研/○泉キャロン/○バリカン/○星君/○雄一/○ボルガ博士

【バイオハザードシリーズ】5/5
○クリス・レッドフィールド/○ジェイク・ミューラー/○シェリー・バーキン/○アルバート・ウェスカー/○ウスタナク

【でろでろ】4/4
○日野耳雄/○日野留渦/○サイトーさん/○カントク

【お兄ちゃんだけど、愛さえあれば関係ないよねっ】4/4
○姫小路秋人/○姫小路秋子/○那須原アナスタシア/○猿渡銀兵衛春臣

【コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】3/3
○ナナリー・ランペルージ/○ゼロ/○アリス

【這いよれ!ニャル子さん】3/3
○ニャル子/○八坂真尋/○クー子

【the4400】2/2
○ショーン・ファレル/○イザベル・タイラー

【ハイスクール・ウルフ】2/2
○トミー・ドーキンズ/○マートン・J・ディングル

【バイオハザード(実写版)】1/1
○アリス・アバーナシー

45/45

108 ◆84AHk0CknU 2016/03/22(火) 11:26:30.15ID:8vVCimlo
投下終了です
また淫夢が出てるけどおじさん許しちくり〜(懇願)

109 ◆84AHk0CknU 2016/03/24(木) 01:37:49.64ID:QszNotc+
儀式ロワ投下します

110 ◆84AHk0CknU 2016/03/24(木) 01:38:53.00ID:QszNotc+
(なんなんだよこれ……)

会場東部の森林エリア、そこで参加者の少年が困惑していた。
少年――八坂真尋はどうしてこうなったと、先程の惨劇を思い出す。
つい最近恋人になった居候の邪神との相変わらずな一日を過ごし、自室で眠りに就いたと思ったら、
いきなりあのホールで目を覚ました。
当初はまたどっかの宇宙人の珍騒動に巻き込まれたかとため息を吐きつつも、どうせニャル子達が解決するだろうと楽観していた。
だが見せしめと称し二人の人間が無残に殺された時、そんな考えは吹き飛んでしまった。

(よく分からないけど、これは今までのアホな騒ぎとは違う…。)

これまでも、アホらしい動機で発生した地球規模の事件に度々遭遇して来ている。
一ヶ月程前にニャル子が地球に来て以来、心休まる日など無いドタバタの連続。
続けてクー子やハス太までが八坂家に住むようになってからは、更にふざけた騒動に巻き込まれ頭を痛める日々が続いた。
だが人死が起きた事は一度も無いし、ニャル子たちだってここまで悪趣味な真似はしないはず。
普段から邪神へ容赦なくツッコミをしてるだけあって、真尋のメンタル面は強い方である。
だがこれほど明確に死を近くに感じた事など一度もない。
噴水のように血が噴出する頭部の無い死体。
思い出すと、想像以上のグロテスクさに吐き気がする。

(とにかく早くニャル子かクー子を探そう。僕だけじゃどうしようもない)

名簿には我が家に居る邪神の内、二体の名前があった。
あのニャル子たちまでもが拉致した主催者に戦慄を覚える。
とにかく今は彼女たちと急いで合流しなくては危険だ。
フォークで邪神を撃退できる真尋だが、この異質な場で普段のノリが通用するとは思えない。
支給された自衛に使えそうな手斧を持ち、まずは森を抜けようと歩き出す。

数分歩いたところで前方に人の姿が見えた。
緊張により汗ばむ手で手斧を握り締め、慎重に近付く。
そこに居たのは真尋と同年代と思われる少女だった。
青いショートヘアで、スリットの入ったロングスカートに胸元が大きく開けた服。
顔立ちは整っており、美少女の部類に入るだろう。

露出度の高い服装に一瞬、真尋が恥ずかしげに視線を逸らし考える。
彼女は殺し合いに乗っているのかどうかを。
少女とは大分距離があり、見た所武器も持っていない。
ここから声を掛け、大丈夫そうならそのまま近付き、危険そうなら逃げる。
これでいこうと決断し前を向く。

111 ◆84AHk0CknU 2016/03/24(木) 01:40:28.68ID:QszNotc+
その僅かな間に、真尋の目の前に少女が移動していた。

「なっ!?」

驚く真尋だが少女はそのリアクションを無視し、彼の腹部に蹴りを入れる。
突然の衝撃に呻く真尋の首根っこを掴むと、地面に叩きつけた。

「ガっ…」

少女は痛みに身をよじらせる真尋を片足で強く踏みつけ動きを封じる。
その際真尋の手から落ちた手斧を拾い、片手で弄ぶ。
真尋を冷たく見下ろしながら、少女が話しかけてくる。

「あんな無用心に近付いて来るなんて…。あんた、状況分かってるの?」
「ぐっ、な、何が…」
「殺し合いよ、こ・ろ・し・あ・い。
 ま、ロクに反応できないってことはニードレスでもない、レジスタンスでもないただのガキなんでしょうね」
「お、お前殺し合いに乗ったのかよ…」
「ええ。あいにくこっちはこんな所でモタついてられる程暇じゃないのよ。
 それに丁度良くあいつらも来てるみたいだし、纏めて殺すには良い機会だわ」

平然と殺すと宣言する少女を見て、真尋は己の不運を呪う。
よりにもよって最初に会ったのがこんな危険人物だとは。
抵抗しようにも、それを阻止するように足に力を込められ、自分の胸に痛みが走る。

真尋は知る由も無いが、少女の名はセツナ。
アダム・アークライト率いる、巨大製薬企業シメオンの少女部隊の一員。
そしてミッシングリンク級のニードレス。
人を殺すのに躊躇などする筈も無い相手である。

「おしゃべりはここまでね」

弄んでいた手斧を握りなおし、振り下ろす為に構える。
真尋は青ざめた顔で尚も身じろぎするが、やはり抜け出す事はできない。

(こんなとこで死ぬのか……?)

真尋の頭に絶望の二文字が浮かぶ。
このまま自分の支給品で頭をかち割られ死ぬ。
ニャル子達と過ごす日常も悪くは無いと思えてきた矢先、こんな理不尽な死を迎えるというのか。

(僕は……)
「バイバイ。どっかの誰かさん」

112 ◆84AHk0CknU 2016/03/24(木) 01:41:37.57ID:QszNotc+
「二人、か」

ゾクリと、真尋とセツナが共に悪寒を感じた。

セツナは振り下ろしかけた手を止め、真尋は目前に迫る死を一瞬忘れ、声の主を見る。
彼らから少し離れた場所、そこには夜の闇とは違う、黒が居た。

漆黒のマントと仮面に身を包んだ異形。
マントの下には同じく黒の装甲服と、金の刺繍が入った紫のボディスーツ。
スーツ越しに強調された肉体は、鋼のように強靭な印象を見る者へ抱かせる。

男の名はゼロ。
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが魔女C.C.との契約により生まれ変わった姿。
エデンバイタルより与えられた使命を遂行する魔王。

バキリと地面に転がる枝を踏み折りながら、ゼロは固まる真尋達へ近付く。

「っ、ディーンドライブF・H(フォックスハウンド)!!」

ゼロが何かを仕掛けるよりも先にセツナが動いた。
真尋にやったよりも速く、速〈スピード〉の能力でゼロへ拳を繰り出す。
が、その一撃は容易く避けられた。
しかしその程度はセツナにとっても予想の範囲内。
能力を駆使し、繰り出されるは無数の拳。
柔な一般人なら全身風穴になる程の威力を持つそれが、魔王へ襲い掛かる。

「ほう、ヤツと同じような能力か」

ゼロはそれらを全て避ける。
契約で得た超人的な肉体を用いれば、実に容易い。
セツナは拳だけではなく、次第に蹴りも織り交ぜゼロを叩き潰さんとする。
だがゼロはその全てを躱し、両手でいなす。
時折十に何発か当たるものの、怯む様子は見られない。
反撃の暇を許さぬセツナの攻撃だが、決定的な一撃は与えられずいた。

「くっ…」

埒が明かず苛立つセツナ。
更に速度を上げようとした時、左右から黒い布が襲い掛かった。

「っ!?」

攻撃を中断し布を回避。
そこへ追撃とばかりにゼロが拳を突き出した。
咄嗟に両腕でガードするも、勢いは殺せず後退する。
腕の痺れに顔を顰めるも、油断無く構え直す。

(そういえばあいつは?)

チラリと真尋の方を見るが、彼の姿はそこに無い。
セツナとゼロが争っている間に逃げたようだ。

113 ◆84AHk0CknU 2016/03/24(木) 01:45:53.97ID:QszNotc+
「一人逃げたか」
「ええ、でもいいわ。あんたを殺した後で追いかけて殺す」
「あの程度のスピードでか?」

ゼロの言葉に嘲るような笑みを浮かべるセツナ。
あれが限界だと思っているのならば見せてやろう、更に上の速さを。
そしてそのまま無様に死ね。

「ディーンドライブ…」

静かに構え、

「B・B(ブラックバード)!!」

突進する。

DD・FF(ディーンドライブ・フォックスハウンド)よりも上の速度を持つ必殺技。
一撃で決めようと拳を強く握り締め、

「――――えっ」

唐突に能力が解除された。
何が起こったか分からず顔を上げると、目の前にゼロが立っていた。
その手には紋様のようなものが浮かび、光を発している。

(まさか、こいつの能力――)


―――ゴッ!!


セツナの腹部に衝撃が来た。
ゼロの拳による一撃が容赦なく彼女を襲ったのだ。
木々をへし折りながら勢いよく吹き飛ばされ、それでもどうにか受身を取る。

「ガっ…あっ、うぅ……」

激痛に倒れそうになるがどうにか踏み止まる。
今は倒れている場合ではない。
確実にトドメを刺すべく、ゼロが追いかけてくるだろう。
傷ついた体に鞭を打ち、再び能力を発動する。

「ディーンドライブ・FF(フォックスハウンド)!」

己が技の名を叫ぶ。
声を聞いたゼロは迎え撃たんと構える。
だがセツナからの攻撃は一向に来ない。

「逃げたか」

あちらは重症、こちらはほぼ無傷。
不利を悟っての撤退か。

「さて…」

落ちていた手斧を拾うと、デイバッグ内に放り投げる。
セツナの居た方向と、真尋の逃げたであろう道を見比べ、やがて片方へ駆け出した。

114 ◆84AHk0CknU 2016/03/24(木) 01:49:05.06ID:QszNotc+


「ハァ、ハァ、ぐぅっ……!」

木に背中を預け、痛みに耐えるセツナ。
少しでも遠くへゼロから逃げるために、彼女は能力を発動し続けた。
だが戦闘によるダメージと、全身に重く圧し掛かる疲労に耐え切れず、座り込んでいる。
警戒を緩めず周囲を睨み付けるが、ゼロや他の参加者が現れる気配は無い。
一先ずは逃げ切れたのだろう。

「クソっ、畜生っ!」

悪態が口を突いて出る。
少女部隊の人間としてあるまじき下品な言葉。
ここにマダム・ブラックが居れば、罰は免れないだろう。

「なんで!なんでなのよ!どいつもこいつも…っ!」

セツナの脳裏に浮かぶのは、殺し合いの直前に行われていた戦闘。
シメオン本社で、復活した照山と自分達を裏切った未央。
梔と共に二人と戦っている最中、照山が聖痕(スティグマータ)の保持者である事が明らかになった。
培養ポットから取り出された照山の死体に、未央が手に入れたエデンズシードを刺したことで照山は復活。
その時エデンズシードの影響で、偶然彼に聖痕が浮かび上がったのだ。

だがセツナにとってそんな経緯はどうでもいい。
重要なのはミッシングリンク級のニードレスである己が、三流のニードレスである照山にあっさり追い越された事。
この事実はセツナのプライドを大きく傷つけた。
何故血の滲むような努力で少女部隊のトップの座に上り詰めた自分ではなく、あんな雑魚にミッシングリンクを越える証が浮かび上るのだ。

それにさっきの仮面の男。
能力をいとも簡単に無効化し、手痛い一撃を食らわされた。
立て続けに自分よりも上の能力者に遭遇しプライドを傷付けられた事で、彼女の心は酷くささくれ立っていた。

「殺してやる…!照山もあの仮面男もみんな…!」

この場に居る仲間は梔のみ。
残りはブレイド一味と裏切り者の未央、そして顔も知らぬ有象無象。
敬愛する主、アークライトの下へ戻るためなら幾らでも手を汚せる。

嫉妬という感情に支配されながら、次なる戦いへ向け少女は体力の癒えを待つ。

【セツナ@NEEDLESS】
[状態]:疲労(大)、全身打撲、腹部にダメージ(大)、両腕に痺れ(徐々に回復)
[装備]:なし
[道具]:共通支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:梔と共に優勝し帰還する
0:今は休む
1:梔を探す
2:皆殺し。特に照山は絶対に自分が殺す
3:優勝したら私にも聖痕が…?
[備考]
※第99話にて照山、未央との戦闘中からの参戦
※制限により速〈スピード〉の連続使用で肉体への疲労増加。
またディーンドライブR・Tは特に負担が掛かる。

115 ◆84AHk0CknU 2016/03/24(木) 01:51:25.07ID:QszNotc+
(なんなんだよあいつら!?)

ゼロとセツナから必死の思いで逃げ出した真尋。
ニャル子の外道戦法で耐性が付いた真尋だが、殺意を振りまき本気で殺しあう光景には恐怖を覚えた。
それでも何とか正気を保っていられるのは、それなりに場馴れしているからなのだろう。
人間では在りえない動きを平然と行うあの二人も邪神か何かなのかと考えつつ、ひたすら走り続ける。

―――ヒュン。

ふいにそんな音がして、ぐらりと体のバランスが崩れた。
地面に倒れ、何だと思い足を見ると、腿から下が無くなっていた。
体からあるはずの部位が失われているのを認識した瞬間、感じた事のない激痛が真尋を襲った。

「がっ、あああああぁぁぁぁァァァァ!!!」

言葉にならない絶叫が森に木霊する。
のた打ち回る真尋の下へ、マントを飛ばし彼の右足を切断したゼロが近付いてくる。

「無駄だ。私からは逃げられん」

セツナのような能力の持ち主ならともかく、一般高校生としての運動能力しか持たぬ真尋ではゼロを振り切るなど不可能だった。
真尋は痛みに涙を流し荒い呼吸を繰り返す。
その悲痛な姿に心動かされることもなく、ゼロは確実に息の根を止めようと手を伸ばす。





今度こそ終わりだ。
逃れられない己の死が近付いてくる。
まだ死にたくなんてない。
もう一度あの日常に戻りたい。
少し前は本気で嫌だった、けど今は悪くないと思えるあの日常に。

クー子がいて、ハス太がいて、母さんに暮井に余市、それにルーヒーやアト子、シャンタッ君。
そしてあの最も騒がしくてウザくて迷惑ばかり掛ける、大好きな邪神が隣にいる。

そんな日々に戻りたかった。

―――まっひろさーん!

目を瞑れば自分を呼ぶニャル子の声が安易に脳内再生される。
それ程に聞き慣れた、そしてもう聞く事のない声。

(はは…。なんだろうなこれ…)

無性にニャル子に会いたい。
会って、あいつのたわけた話にツッコミを入れて、そうして一緒にいたい。
けど叶わない。

魔王の手が首に掛けられ、持ち上げられる。
霞んでいく視界の中、右手で手刀を作っているのが見える。
この化け物染みた男なら、そりゃ素手でも殺せるよなぁと他人事のように思った。
意識が薄れ何もかもが見えなくなっていく中で、眩しい銀色の長髪が見えた気がした。


「ニャ……ル………ご…………め………………」


【八坂真尋@這いよれ!ニャル子さん 死亡】

116 ◆84AHk0CknU 2016/03/24(木) 01:53:18.87ID:QszNotc+
心臓を貫き真尋が死んだ事を確認し、首を掴んだままの左手でねじ切る。
血塗れた首輪を外しバッグに仕舞う。
そうして首輪とデイバッグを回収すると、死体には目もくれず立ち去る。

(何故生きている?)

ロロ・ヴィ・ブリタニア。
あの呪われし愚弟は既に死んだはず。
なのに生前と変わらぬ姿のままゼロの前に現れ、彼を含む大勢に殺し合いを強要した。

(仮に奴が本当に生き返ったとして、この殺し合いには何の意味がある?)

奴はこの悪趣味な催しを崇高な儀式と言った。
つまり娯楽目的や自分とナナリーへの復讐という動機ではなく、何か別の目的があるということなのだろうか。
それにロロは『我々』という言葉を使っていた。
協力者がいてその者に何かを吹き込まれたのだろうか。

(…まぁいい。私は私の使命を果たす。それだけだ)

この殺し合いは存分に利用させてもらう。
参加者と主催者は全て殺し、その果てに新たな混沌を生み出す。
そうして世界は明日を迎える。
C.C.との契約を履行し、次代の魔王となったゼロに迷いは無い。
ただ気になる参加者は居る。

ナナリー・ランペルージ。
ゼロとは違う道を選んだ最愛の妹。
殺し合いに反抗するであろうナナリーとの戦いは避けられないだろう。
いずれ敵対する事を告げ旅立ったが、まさかこんなに早くその機会が来るとは予想外だ。

「俺はこの選択を変えるつもりはない。ナナリー、お前はどうする?」

【ゼロ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:疲労(中)、全身にダメージ(小)、回復中
[装備]:なし
[道具]:共通支給品一式×2、手斧@現実、不明支給品1〜3、不明支給品0〜2(真尋)、真尋の首輪
[思考]
基本:魔王の使命を果たす
1:全参加者及び主催者を殺す
2:首輪を外したい
※参戦時期は本編終了後
※以下制限
1:身体能力及び回復速度の低下。
2:ガウェイン召喚可能時間10分。再召喚には3時間のインターバル必要。
3:ワープ能力の移動範囲縮小。
4:ザ・ゼロの出力に制限。


投下終了。規制くらいそうなのでこっちに宣言を。

117創る名無しに見る名無し2016/03/26(土) 15:55:16.07ID:o6KLuNYu
投下乙です!
ゼロやっぱ強いなあ、マヒロさんは初期位置が悪かった……

118 ◆ymCx/I3enU 2016/03/27(日) 23:19:26.64ID:Zwmll8mv
皆様投下乙です

久々に一話出来たので投下します
一人死にます/時間帯が明朝から午前に変わります

119行先、定マラズ ◆ymCx/I3enU 2016/03/27(日) 23:20:41.81ID:Zwmll8mv
27話 行先、定マラズ
スカーレット・ガードナーはE-5エリアの市街地へとやって来た。
先刻襲撃し、教会方面へと逃げて行った白山羊の少年は結局放置する事にした。

「誰か居るかな?」

右手に得物のコルトS.A.Aを携え、スカーレットは市街地を歩く。撃った分の弾は補充済であった。

◆◆◆

シェパード種犬獣人の青年、沼倉勇喜はE-5エリア市街地を警戒しつつ歩く。
先刻交戦した狼兵士が逃げて行った方向へ彼も進んだが狼兵士の姿は見失ってしまった。拘っている訳でも無かったが。
右手には自分の武器の自動拳銃、スタームルガーP85を固く握り締めている。

(誰か居るのか? この辺りには……)

全ての死角に注意を向けられる訳では無いがそれでも出来る限り辺りに気を使う。

「……!」

勇喜は人影を発見する。
人間の少女、いや、よく見れば頭に角が生えているので純粋な人間では無いようだ。しかしそれ自体はどうでも良い事。

(あいつはまだ俺に気付いていない? 隠れて様子を見よう)

近くに停められていた軽トラックの陰に隠れる勇喜。
程無く、足音が自分の方向へ近付いて来る。
どうやら少女は自分の隠れている方向へ歩いているらしい、なら物陰から不意を突いてやろうと勇喜は画策する。

(さあ来いよ名前も分からない女の子。お前がこの軽トラの傍を通る時、それがお前の最期だ)

今か今かとその時を待つ。
しかし足音は止まる。代わりに車のドアの開閉音と、エンジン音が聞こえた。

「ん?」

流石におかしいと思い、何が起きているのか少しだけ顔を軽トラックの陰から出して確認しようとした。
直後。激しいアクセル音。そして衝突音。
大きく軽トラックの車体が跳ね、勇喜は撥ね飛ばされた上に、軽トラックの車体が勇喜の身体を押し潰した。
声にならない悲鳴をあげ、血反吐を吐き散らす勇喜。タイヤによって押しつぶされた胸部は最早彼の生命維持活動の役目は果たさない。
軽トラックの下敷きとなったシェパード犬獣人青年はしばらく呻いていたが、目を開けたまま、ぱたりと動かなくなった。

◆◆◆

「お兄さん、私を殺そうとしてたでしょ? 気付いてたからね? うわー胸潰されちゃって痛かったよねー? ま、もう死んでるけど」

軽トラックの下敷きになったシェパード青年の死体に向かって馬鹿にした口調で話し掛けるスカーレット。
青年が自分を待ち伏せしている事に気付いた彼女は、軽トラックの後ろに停められていたSUVに乗り込み、思い切り発進させ、軽トラックに追突させた。
結果、軽トラックは前方に跳ねるように押し出され、隠れていた青年を見事に圧潰す形となった。

「もーらい」

そしてスカーレットは青年が持っていた銃と予備のマガジンを回収する。

「新しい武器ゲット。ラッキー」

新たな武装を手に入れた事に喜んだ後はもうシェパード青年の死体には興味は無くなり、スカーレットは市街地の奥へと歩き去った。

【沼倉勇喜  死亡】
【残り41人】

120 ◆ymCx/I3enU 2016/03/27(日) 23:21:52.03ID:Zwmll8mv
【午前/E-5市街地】
【スカーレット・ガードナー】
状態:健康
装備:コルトS.A.A(6/6)
持物:基本支給品一式、.45ロングコルト(8)、スタームルガーP85(7/15)、スタームルガーP85の弾倉(3)
現状:殺し合いを楽しむ。次はどうする?
備考:キーレンの外見のみ記憶。



・・・・



投下終了です

最近執筆が滞っておりますが生きています

121 ◆84AHk0CknU 2016/03/28(月) 10:21:53.50ID:kYU4O3BP
投下乙です
ハッテン場トリオは全滅か
悲しいなぁ…(諸行無常)

自分も儀式ロワ投下します

「ぐすっ、うぅ〜……」

廃ビルの一室で緑色の生き物が蹲り泣いていた。
全体的にガチャ○ンに似たこの生物、名をカントクと言い、れっきとした妖怪である。
その名の通り彼は映画監督であり、自主制作映画を自らが館長を勤めるシネマ淵ヶ関で上映している。
自分の映画を敬わない者へ苛烈な私刑を行う以外は、人畜無害で臆病な妖怪。
それがカントクである。

「うぅ…。委員長くん…」

見せしめで殺された委員長こと平川和彦はカントクの友人だった。
その友人を惨たらしく殺された事に、カントクは涙を流している。

委員長が理不尽に死んだ事への悲しみ。
笑いながら彼を殺した、ロロという青年への怒り。
友の危機に慌てふためくだけで何もできなかった悔しさ。

カントクの中では様々な感情がごちゃ混ぜになっていた。

(私はどうしたらいいんだ……?)

このまま泣いていたって何も解決しないのは分かってる。
こんな恐い場所で殺されたくない。
できる事なら、委員長の仇を取りたい。
けどその為にどう動けばいいのか、何をすればいいのかが分からない。

自分には耳雄のような戦闘力も無く、留渦のような常に冷静な行動もできない。
己の命すら守り抜けるか怪しいのに、委員長の無念を晴らす事など可能なのだろうか。
それにロロを倒そうにも、反抗すれば首輪を爆発させられ委員長と同じ目に遭う。
(カントクの場合、首が無いので胴体に巻きつけられているようなものだが)
当然首輪を解除できる知識も技術も持っていない。
こんな様で何ができるというのか。

(私は、無力だ…)

己の力の無さを責め続けるカントク。
と、その背後へゆっくりと近付く影が一つ。

「はっ!」

気配に気付いたカントクが振り返ると、そこには金髪の女性が居た。
年の頃は20代前半といった所、顔立ちから日本人では無いことが分かる。
女は驚きと警戒が混じった目でカントクを見ていた。
現れた自分以外の参加者に驚き固まるカントクだが、女がバールのようなものを握り締めているのが視界に入ると一変、
殺されるかもしれない恐怖に堪らず飛びずさる。

「うおおぉぉォォン!?」
「っ!」
「ききききき君は、なな何だ!?わ、私を、ここここ、殺すつもりか?」
「えっ、あの」
「わわ私はまだ、し、死ぬわけにはいかん!や、やるならやるぞ!映画監督の底力見せたらぁ!」

必死に虚勢を張り構えてみせるが、ガクガクと全身が震え涙目になっているので、あまり意味は無い。
そのどこかコミカルな姿を見た女は、戸惑いながら話しかける。

「あなたは…何?B.O.W.じゃないの?」
「は、は?」





その後、女は自分が殺し合いには乗っていない事を伝え、怯えるカントクをどうにか落ち着かせた。
現在二人は廃ビル内にあった所々が錆付いたパイプ椅子に腰掛け、情報交換を行っている。

「じゃあカントクは妖怪…ジャパニーズ・モンスターっていう生き物なの?」
「は、はい。あの…、シェリーさんは本当に見覚え無いですか?一応ハリウッドで映画を撮らせていただいたことも…」
「そ、そうなの。でもごめんなさい。分からないわ」
「あ、そ、そうですか」

ションボリするカントクを尻目に女――シェリー・バーキンは考える。
この状況は何なのだろうかと。
中国でのバイオテロを食い止めた矢先、新たな事件に巻き込まれている。
何度記憶を巡らせてみても、拉致された、或いはガスなどで眠らせた覚えはない。
本当に何時の間にか首輪を嵌められ、あのロロという青年の前に、そしてこの会場に居た。
これだけでも十分不可解なのに、更に奇妙な事が二つ。

一つは名簿にあったアルバート・ウェスカーの名前。
クリスやジェイクといった頼れる仲間に混じり、その名が記されているのを見つけた時は首を傾げた。
直接会った事は無いがウェスカーは既に死んでいるはず。
重症を負いながらも、密かに生き延びていたのだろうか。
いずれにせよこれは実際に本人に会ってみなければ分からない。

そして二つ目は今シェリーの目の前にいるカントク。
最初カントクを発見した時その異様な見た目から、シェリーは彼を新手の生物兵器か何かだと思った。
だが驚いた事に彼はB.O.W.と違い、知性を持ち言語を話す妖怪という種族であるという。
彼が言うには日本で映画監督の職に就いているとのこと。
更にカントクの住む町では彼以外にも大勢の妖怪が暮らしており、人間との交流もそれなりにあると言うのだ。
俄かには信じがたいが、こうして実在する以上信じるしかない。

考え込むシェリーを余所に、カントクは自身のデイバッグの中を確認していた。
委員長の死にショックを受けそれどころでは無かったが、シェリーとの会話で少し落ち着いたので、
支給品と名簿を確認する程度の余裕は取り戻せていた。

「何てことだ…。彼らまで…」
「知っている名前があったの?」
「はい…。日野耳雄くんに妹の留渦ちゃん。それにペットのサイトーさん。委員長くんと同じ、私の友人達です…」

またしても友を傷つけようとするロロに怒りが湧くカントク。
シェリーもまた何の罪も無い少年を殺し、その友人たちまで殺し合いに巻き込む非道なロロに怒りを覚えていた。
湧き上がる怒りを抑えつつ、続いてランダムに配られた支給品を取り出す。
取り出したのはオートマチックの銃とその予備の弾倉。
シェリーにはその銃に見覚えがあった。
東欧と中国で共に戦ったジェイクが使用していたものだ。

「あ、シェリーさんの支給品はそのバールみたいなものですか?」
「ええ。あとは…」

そう言ってシェリーがバッグから取り出したのはビデオカメラ。
殺し合いの場には必要ない、外れ支給品というやつだろう。
しかし、カメラを見たカントクはハッとした表情で、何かを呟く。

「そうだ。私にできることは…」
「カントク?」

怪訝に思ったシェリーが話しかけると、カントクは真剣な眼差しで彼女に向き合う。

「シェリーさん。私の銃とそのカメラを交換していただけないでしょうか」
「えっ?」
「お願いです!今の私には、どうしてもそれが必要だ!」

頭を下げて頼むカントクに、シェリーは困惑する。

「銃が手に入るなら助かるけど…。いいの?」
「はい。私は映画監督としてカメラで戦いますから!」
「どういう事?」
「ロロの悪事をカメラに記録し、ドキュメンタリー映画を作る。
そうして奴の悪事を白日の下に晒して、委員長くんの無念を晴らすんです!」

戦う力が無くても、やれることはある。
映画監督として、そして委員長の友人として、それがカントクの決意だった。

「分かったわ。このカメラはあなたに」
「あ、ありがとうございます!」
「この事件の証拠を記録する為にも必要だし、ね」

微笑みカメラを渡すシェリー。

「そろそろ出発するわよ。まずはカントクの友達を探しましょう」
「は、はい!」

カントクから譲り受けた銃を手に、シェリーが先頭で廃ビルを出る。
その後ろを付いて行きながらカントクは思う。

(天国で見ていてくれ委員長くん。私は私なりのやり方で、きっと君の仇を取ってみせる!)

【カントク@でろでろ】
[状態]:健康
[装備]:GOのビデオカメラ@真夏の夜の淫夢
[道具]:共通支給品一式
[思考]
基本:ロロの悪事をカメラに記録する
1:シェリーさんと行動
2:耳雄くん達を探す
[備考]
※原作終了後からの参戦


【シェリー・バーキン@バイオハザードシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:ハンドガン909(15/15)@バイオハザードシリーズ
[道具]:共通支給品一式、予備弾倉×6、名状し難いバールのようなもの@這いよれ!ニャル子さん
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:カントクと行動し彼の友人を探す
2:ジェイク、クリスとの合流
3:ウェスカーは生きていた…?
[備考]
※参戦時期はバイオハザード6終了後

支給品紹介
【GOのビデオカメラ@真夏の夜の淫夢】
シェリー・バーキンに支給。
皆さんご存知、絶対唯一神GO様がかつて使用した神器。
正式名称はDCR-VX1000 Handycam。
GO is GOD

【名状し難いバールのようなもの@這いよれ!ニャル子さん】
シェリー・バーキンに支給。
ニャル子のメインウェポンで、その名の通りバールのようなもの。
というかまんまバール。
敵を滅多打ちにしたり、投合して攻撃したりする。

【ハンドガン909@バイオハザードシリーズ】
カントクに支給。
バイオハザード6においてのクリスとジェイクの初期装備。
予備のマガジンが6つ付属している。

126 ◆84AHk0CknU 2016/03/28(月) 10:28:20.62ID:kYU4O3BP
投下終了です

127 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/29(火) 00:51:44.76ID:2kWYHKGr
投下乙です。
GO様のビデオカメラもホモビを作る以外で活かされるなんて…(涙が)で、出ますよ。

ランダムアニロワの「2話 普通の生活」を投下します。

128 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/29(火) 00:52:45.82ID:2kWYHKGr
(やってらんないわよ、殺し合いなんて)

 端正な顔、豊満な体、堂々とした出で立ち。
 女性の中では上の上、それを超えたような容姿を持つ女は森林の中にいた。
 峰不二子。その赤いコートを着た出で立ちはアウトドアには不釣り合いである。
 彼女は裏社会に生きる人間だった。とはいってもマフィアや泥棒など、明確な立ち位置にいるわけではない。
 言うとしたらアウトロー。自分の目的のためには手段を選ばない女である。
 だが彼女は殺人鬼ではない。手段の1つとしてあるわけであり、趣味ではないのだ。
 彼女がこの殺し合いで望むのは「生存」である。
 生きて物種、というし、彼女は殺し合いに参加するのも「手段」の1つである。

(ただ、メンツがとんでもないのよね)

 不二子は参加者名簿を眺める。彼女も知っているメンツが、なんと7人もいる。
 ルパン、次元、五ェ門、銭形、レベッカ、ニクス、レオナルド・ダヴィンチ……タダでは殺せないような者達だ。
 そんな相手を敵にするのは厄介だ。
 レベッカは分からないが、単純な戦闘で五ェ門・銭形と張り合うなどは自殺行為に等しい。
 もちろん彼女もそれなりな手練れであるが、あんな人間離れした者達には及ばないのである。
 もっと言えばそんな連中を殺せるような者がいたら、それこそ勘弁である。相手にしたくない。
 そうすると今のところ一番の定石は「ルパンと行動する」であろう。
 強敵を相手にしない一番の方法は仲間になることである。
 そしておそらくルパンは殺し合いに乗らないだろう。
 不二子はわかる。理由は「今までの経験上」だ。
 長年付き合ってきた相手である。そのくらいは容易にわかる。
「殺し合いに乗らない」ということの最善の手は「殺し合いから脱出する」ことである。

(ルパン一味をさらってこんな殺し合いに参加できるような力を相手に、脱出、ねえ……)

 これもまた嫌になる話だ。とても勝算の高い話とはいえない。
 とはいえルパンらを相手にするのは、いわば死ぬ可能性は100%のようなものだ。
 主催の具体的な戦闘力はわからないが、もしかするとルパンを相手にするよりは楽かもしれない。
 つまりは単なる憶測である。
 死ぬのが確実なのと、もしかしたら死なないかもしれない方では、まだ後者の方がマシというだけのことだ。

(分の悪い賭けは趣味じゃないんだけどね)

 この賭けにおけるいわば金、そう支給品を彼女は漁る。
 食糧とか地図を除けば、あるのはたった一つだけだった。
 ベルトのバックルのような……よくわからない何かだった。
 機械っぽい見た目ではあるが、メカニックに精通している彼女でもこれはわからない。
 説明書を見ると名前は「次元方陣シャンバラ」というようだ。
「帝具」というオーパーツであり、超科学的な能力があるというのだ。
 なにせ「マーキングした場所に人間を転送する」というものである。
 例えばある木にマーキングすると、不二子が遠くに離れていても、そこにワープできるということだ。
 というか、それは峰不二子が試したものだが。

(一体、どういう構造なのかしら……)

 不二子は顔をしかめる。こんな機能、どんな技術があれば可能なのか。
 しかも身体の疲労も感じる。説明書には「エネルギーを消費する」とあり、一回の転送でどれほどのものかはわかった。
 不可解な話である。
 普通、機械を使って消費するのはガソリンなどの燃料であり、身体ではない。
 まるで身体のエネルギーを転換しているような感じだ。
 マーキングも「マークした」と思えばなんとかなるようだ。
 思念や身体によって動く機械ということだ。
 構造はさっぱりわからないが、効果はあることは間違いない。
 不二子は体の疲労を感じながらそれを持つ。便利だが多用すると身体疲労でかえって危ないだろう。

129二話 普通の生活 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/29(火) 00:54:15.81ID:2kWYHKGr
「おい、女」

 そう彼女が思っていると、後ろから男の声が聞こえる。友好的な声には思えなかった。
 彼女が振り返ると、そこには銃を構える男がいた。
 体つきはよく、青い服に赤いズボン、刈り上げた髪に鋭い眼光。
 格好は少し古いというか、まるで中世ヨーロッパの市民という感じである。

(というかあれ、次元の獲物じゃないの?)

 その拳銃がS&W M19ということはわかる。マグナムも撃てる、威力の高い回転式拳銃だ。
 ついでに鎧のような、おそらく義手であろう左手には剣。武器だらけである。

「お前の持っている支給品を全て俺に渡せ。そうすれば命だけは助けてやる」
「ずいぶん簡潔なご要望ね。それで、私が確実に助かる保障なんてあるのかしら」
「ねえよ。とにかく持ってるものをよこせ」

 絶対、殺す気だ。不二子は確信する。
 ここでおめおめと渡せば自分が死ぬことは間違いない。
 となれば逃げるしかない。自分も「弾」を避けることには自信がある。
 ついでに相手の銃の持ち方も何か変である。
 一般人は見てもわからない領域だが、銃器の扱いにそれなりに長けている不二子から見ると、それはわかる。
 だが欠点もある。
 まず第一に銃を突きつけられていること。
 第二に自分の身体が先ほどシャンバラを使ったことにより疲労していること。
 第三に男は山の下りにいて、不二子は登りにいる。
 逃げるとすれば疲れた体で、山を登り、なおかつ銃弾を避けなければならないということだ。

(さっそく部の悪い賭けだわね!)

 彼女は心の中で舌打ちした。

130二話 普通の生活 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/29(火) 00:55:24.03ID:2kWYHKGr
 ガルファは殺し合いに乗る気であった。
 彼はフランスの、正確にいうなら「中世」フランスの傭兵である。
 百年戦争の中、生きている彼は別に国に報おうとかそういうことではなく、単に金のため、自分のために戦っている。
 この殺し合いは別段やりたいわけではないが、しなければならないとすれば仕方ないことだ。
 それに優勝すれば「何でも願いを叶える」というではないか。
 例えば「一国を持つ」なんてことも不可能じゃないかもしれない。
 本当かどうかはさだかじゃないが、どちらにしろ殺し合いには乗らないといけないのだ。何か目標があった方がいいと彼は判断する。

 支給品も足りている。
 自分がかつてよく使っていた小型の手持ち盾・バックラー。
 殺すには十分な切れ味があると思われる両刃の剣。
 そしてかつて自分の世界にあった銃を高性能、かつ小型にした、拳銃だ。
 唯一の外れは、彼からしてみると「何か絵が描かれている封筒」だが、それよりも驚くべきものは、その「拳銃」だった。
 この技術には驚いた。自分の知らない間にこんな技術があるとは思ってもみなかった。
 こんなものがあればもっと功績もあげられただろう。
 いや、そもそも、自分につけられている首輪も知らない技術だ。
 そもそも主催は魔術を使えるのかもしれない。
 自分が最初のよくわからない建物内から森林に送られたことや、異様なほど物が入るのに軽いままのバッグなども、そのおかげかもしれないのだ。

 となると、相手は魔術も使えるし、異常な技術力も持っているということだ。
 なおさら逆らえる気がしない。主催に刃向うなど不可能だろう。
 彼は主催から用意された支給品から己の行動を決定した。

 ガルファ自身が戦争の中に生き抜いてきただけあって、拳銃の扱いや、彼の時代にはまだなかった機器なども、「一応の」使用はできるようになった。
 防御・近距離武器・遠距離武器と合わせて彼はかなり優位な立場にいる。
 
 ただ、彼にとってはそれだけでは足りなかった。
 なぜなら彼にとって宿敵となる相手、魔女がこの殺し合いの参加者にいるからである。
 その名前はマリア。戦争を止めたがる、自分の職業上、とても迷惑な存在である。
 彼女のおかげで自分は左手を失い、とてつもない痛みを伴う羽目になった。
 彼の義手はそれを伝えている。中にあるギミックはまだ残っているようだ。
 彼女を殺したい。ガルファはその怨念を抱いていた。

 彼は一回だけ彼女を殺したことがある。
 それは物理的なものではない。彼女の魔法を使えなくしたのだ。
 元々は彼女の純潔、処女を奪うことで魔法が使えなくなると聞いたため、襲ったことがあるのだ。
 実際はマリアは処女のままなのだが、何故か知らないが彼女は一切魔術が使えなくなった。
 それは「魔女」という存在上、死んだも同然であった。だから彼はかつて「殺した」ことがあるのだ。
 さらにマリアは異端として逮捕され、処刑させる予定だった。肉体的にも殺せるのだ。

131二話 普通の生活 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/29(火) 00:56:31.53ID:2kWYHKGr
 だが協会で彼がジョセフと戦っている時に、その魔女は壁を突き破り、飛び込んできた。
 鉄格子に囚われていた彼女がなぜそんなことができたのか。
 もしかしたら魔法をまた使えるようになったのかもしれない。
 もちろん、他にも可能性はあるが、用心するに越したことはない。
 消えないのは、その場でも魔女に邪魔され、馬乗りになったジョセフに幾度も、意識が消失するまで殴られた記憶。
 その後に彼は目覚めた。彼女に対する怒りもまた保っていた。

 魔女を殺すのに武器は足りない。もっと強いものがほしい。
 人もそうだ。仲間がいなければあの魔法に対処できない。
 自分は殺し合いに乗っているが、同時に「他の人間を殺す」ということで同盟を組むことも考えている。
 参加者だけで100人近くいるのだ。これを独力でやるのはとても骨が折れる。
 そこで「殺し合いに乗る者」同士で同盟を組み、一定の人数まで減らすということを望む者がいると踏んだのである。
 殺し合いに乗らなくても自分に怖気づいて協力してくれる人間でもいい。
 そう思いながらガルファは峰不二子に銃口を向けたのである。

 だが、それも「不二子」を殺そうとしたのである。
 彼からしてみれば「異様な格好」で「変わった容姿」をしている女、ということで異民族なのかもしれないと考えた。
 だから辺地で銃の存在も知らない。そこで左手に剣を持つ。
 剣ならば武器としてわかりやすいし、威嚇の対象になるだろう。
 それでも、その女は一切「恐怖」を見せなかった。
 警戒していることはわかる。だが全く畏怖はしていない。
 思い出すのは自分の知り合いの娼婦・ロロット。それに戦場でも平然と「争いを止めろ」というマリア。
 そのような肝の据わった女だ。そして彼女には何か異様な、底知れない何かがある。
 少なくとも恐怖で押さえつけてどういうできると思える人間ではない。
 それならば殺すしかない。自分の脅威となるかもしれない存在は消す。
 女だが、ここは殺し合いの場だ。遠慮は自分に跳ね返ってくる。

 そんな女だが、なかなか殺せない。

(弾が全く当たらねえ!)

 彼が引き金を引いても女にはかすりもしなかった。
 そもそも拳銃という形状で銃を扱ったはないし、反動や重さやらで全く命中しない。クロスボウの要領ではうまくいかないのだ。
 おまけに今は深夜。月明かりがわずかに森を照らすが、標準が合うわけがない。
 加えて女の身のこなしが弾丸の軌道を上手く避けるような形で逃げている。
 男のガルファでも追いつくのがやっとだ。

(やっぱりただの女じゃねえ。ここで殺さねえとな)

 殺意をガルファは再確認する。生かしてはおけない。
 そんな女は山を駆けあがると、目の前に見えてきた建物の窓に向かって、そのまま突き破るように入り込んだ。

(あれは……ガラスか?)

 現在の我々から見れば不二子が突き破ったものは窓ガラスとわかる。
 だが百年戦争の時にいたガルファの時代には窓ガラスは、少なくとも今のようにあちこちの建物にあるわけではない。
 一応は教会にあるステンドグラスを思い出し、おそらく「ガラス」であることはわかった。
 だがそれがなぜ、窓にあるのかはわかってない。

(こんな建物をどうやって作り上げたっていうんだ?)

 奇妙だ。ガルファからしてみればこの世界は異様である。
 その疑問は一旦、頭の外に置いておくことにした。
 今、肝心なのは目の前の女を殺せるかどうか。
 そして建物内に入れば逃げ場は少なくなるということだ。

 壊れた窓からガルファが建物内に入ると、おそらく何らかの「飲食店」であることはわかった。
 自分の時代の頃とは少々異なるが、そういう場所ではあると想像できる。
 店内を見ても、どこも窓やドアは空いていない。
 そして入る時に少し見えた、女が奥の調理場らしきところへ隠れる様子。

132二話 普通の生活 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/29(火) 00:59:40.48ID:2kWYHKGr
「おい、女。そこにいるのはわかってんだ。早く持ってるもんを全部差し出せ」

 調理場、現代に住む我々にとってわかりやすく言えばカウンター越しに、隠れて見えない彼女にガルファは言う。
 一旦、間が空いたが、声はすぐに返ってきた。

「……それを差し出して私に何のメリットがあるのかしら?」
「殺されないってわけだ。武器をおいて殺されないのと、武器も命も全部奪われるの、どっちがマシかわかるだろ」
「そうね。だけど私の支給品はラジオよ。携帯ラジオ。何かに使えると思う?」
「ラジオ……? 何、言ってんだお前」

 当然、ガルファのいた時代には存在しえないものである。

「何よ。私の持ってるものがダメすぎて信じられないの? そんな無駄なものを集めたって、仮に私を殺したとしても武器を無駄に浪費するだけよ」
「信じるもクソも、お前の言ってるラ……なんとかってのがわかんねえだけだ。ド田舎の異民族のものかもしれねえが、武器なのかどうか説明しろ」
「ド田舎の異民族とは失礼ね。なんならあなたが持ってる武器を答えてやっていいわよ。それ、拳銃でしょ?」
「……てめえ、知っていやがったのか」
「当然よ。回転式拳銃のS&W M19。まあざっくりいえば、でかい弾を撃てる、携帯しやすくて強い銃ってとこかしら」
「御託は知らねえが、お前を殺すのにはちょうどいいってことは知ってるぜ」
「そんなに強い武器ならわざわざ私なんか殺さなくてもいいじゃない。もし私が強い武器を持ってたらすぐに反撃するし、対して強いものはないってわかるでしょ?」
「いや、お前の身のこなしだけはさっき見てわかったように一流だ。俺の仲間にしてやってもいい」
「仲よし子よし他の参加者を殺しまくって協力するってこと? 残念だけど私は避けとくわ。ルパン一味がいるもの」
「ルパン……ってのは初めて聞いたがヤバいんだな。なら俺と一緒に組めば奴らも殺せるかもしれねえぜ」
「あんたじゃいても足手まといにしかならないわよ。無理だわ。少なくとも動いている私を撃ち殺せないようじゃ話にならない」
「へえ……じゃあてめえを今からぶっ殺してやれば仲間になってるってことか?」

 ガルファは女の舐めきった挑発に怒りがこみ上げる。
 これ以上、話をしても無駄と決めた。
 殺すため、カウンターに足を進める。
 その足音を聞くと、不二子は言葉を続けた。

「私を殺すのね。じゃあ殺したがり屋のあなたに忠告。その拳銃の装弾数は六発」

 ガルファは足を止める。

「さっき私を追って何発も撃ったでしょ? 今、まだ弾は残っているのかしら」

 彼は拳銃を見る。確かめる方法など、実際、弾丸が残っているか抜くしかない。
 先ほど弾を装填した時もスピードローダーという便利な道具はあったが、それを考えても面倒である。
 ましてや初めて拳銃を使うのだ。そんな暇があるだろうか。
 ガルファからしてみれば、不二子が本当に武器を持ってないかなど根拠がない。確かなものではないのだ。

「なら」

 簡単なことだ。
 彼は拳銃を素早くディバックに戻し、そして手慣れた様子で義手を扱い、すぐさま右手に剣を持ちかえた。
 ガルファも正直なところ、銃を何発撃ったかなど覚えてない。
 だから確実に殺せるのは使い慣れた剣になる。
 彼はカウンターを乗り越える。そして剣を女がいるであろう方向に構えた。
 どうせ相手は逃げられないし、先に殺せるのは自分だ。

 だが、女はいなかった。

133二話 普通の生活 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/29(火) 01:02:14.92ID:2kWYHKGr
「なっ」

 ガルファはカウンター奥の床に着地する。
 間違いない。声の方向ではそこに女がいたのだ。
 戸棚をあけても、隠れているわけではないのがわかる。
 完全に消えたのだ。

「ありえねえ」

 ありえない。
 そんなことはガルファにとってみればありえないことだった。
 女は確実にそこにいるはずだったのだ。
 戦場にいた経験は鈍っていない。
 自分が間違えたとは思えない。
 そのような思念が錯綜する中、ガルファにある一つの結論が出る。

「そうか」

 彼は呟く。そしてこう思ったのだ。
 奴の正体は魔女だ。
 魔女ならば俺に幻影を見せたり、あるいはどこかへ瞬間移動したりできるのではないのか。
 だから自分の目の前にはいないのではないのか。
 あの女の余裕はそれからきていたのだ。
 自分が絶対的に、武器を持っている者より強いと思っているからこそのものなのだ。
 あの意味不明な用語もおそらく魔女の使う何かなのだろう。
 ガルファがそう洞察するたび、憎しみがこみ上げる。

(魔女は……ここでも……どこでも俺を邪魔しやがる)

 怒りは戸棚にある瓶詰めされた何かに向かう。
 その鍛えられた剣筋は、それでいて大雑把に、戸棚のものを切り裂いた。
 色々に割れる瓶もまた、ガルファの頃には見かけないものだった。
 それが苛立たせる。よくわからないものが自分を追い詰める。

「許せねえ……。ぶっ殺してやる」

 殺意は継続する。


 ガルファは場所を確認する。看板を見る限り、自分がさっきまでいた店は「ラビットハウス」というらしい。
 方位磁石を使う限り、どうも自分はB4の右上あたりにいるらしい。
 ここはどうも「サンタマリノ風の都市」らしい。
 そのような土地名はどこかで聞いたことがあるようなないような、風の噂レベルだ。
 少なくともこんな都市ということはわからない。

(気味が悪い)

 ガルファにとっては初めてのわけのわからないものがあるだけだ。
 まるで魔女のようだ。気味が悪い。
 そのように、彼は土地にさえ、強い嫌悪感をおぼえた。

134二話 普通の生活 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/29(火) 01:06:02.87ID:2kWYHKGr
(なんであの魔女が俺を殺さないかわからないが、おそらくロクな女じゃない事は確かだ。そしてあいつも魔女ならマリアを知ってるはずだ。何せ、あいつは変わり種だからな)

 地図を見る。ちょうど真上には忌々しい魔女の自宅がある。

(あいつもマリアに俺がどういう行動しているかを伝えるはずだ。俺が危険人物扱いされると困ることも知ってるはず。もしかしたら他の参加者にも知らせるかもしれねえ)

 それはガルファにとってとても困る事だ。

(だが、それは仕方ねえ。あいつは魔女だ。今の俺に同行できる問題じゃねえ。だから大切なのは奴らの攻撃力を抑えることだ)

 彼は歩きはじめる。

(マリアの家にはおそらく魔術に使う……まあ何かがあるんだろうよ。おそらくあの異民族の魔女がいるってことは他に魔女もいるはずだ。そいつらに対抗するには、武器庫にも等しいあの家を破壊することだ)

 つまりガルファはマリアの家を、焼き払う気なのである。

(それに、こんな意味のわからねえものが大量にある街なんざ、いたら精神がまいっちまうぜ。少なくとも、ここでうだうだしている暇はねえ。あの魔女の家を焼き切ってやる)

 それは彼の中で一種の復讐でもあった。
 彼も実のところ、このどう考えてもフランスではない土地で、あるはずのないマリアの家があるのか不可解である。
 だが、ここにマリアがいるし、それに胸の中の鬱憤を解消するための行動であるので、家を焼くことも彼の中で「復讐」の内に入っているのだ。
 彼自身もそれを薄々気づいている。
 だがそれでいいのである。
 イライラしている状態で、あのような魔女を殺せるとは思えない。
 冷静に、確実に、あの魔女たちは殺さねばならないのだ。
 彼は道を歩く。確実な復讐のため。


「ハァ〜……疲れたわね〜」

 不二子は溜息と言葉を呟く。
 撒けたことを確認すると、彼女はベッドに横たわった。
 おそらく読者の皆様はわかるだろうが、彼女は次元方陣シャンバラを使って、ガルファから逃げたのである。
 具体的にいえば窓の外に予めマークしていて、そこから別の家へ逃げたのである。
 泥棒で鍛えた真夜中に身を隠すスキルは、ラビットハウスから出て、遠くへと足を進める彼の様子を確かめるのに、大きな役にたった。
 どうしてかは知らないが、この店内にはまるで興味がないようだった。
 不二子は包丁を持って呟く。この店内を色々と物色し、見つけたものだ。一応の武器にはなるだろう。

(それにしても、この『シャンバラ』ってのは思った以上に体を酷使するわね)

 体力には自信があったが、やはりこの道具はかなり体力を消耗するものだと彼女は気付く。
 近くに住居があってよかったが、だだっ広い場所ではロクに動けず、かえって的になるだろう。
 便利だが、あまり多用できないものだと思った。別の移動手段も彼女は望むところである。
 もしくは重火器。疲れていても飛び道具なら反撃に困らないところもある。
 だが、現在いる、この「サンタマリノ風の都市」ではそんなものは期待できない。
 期待できるとすれば……。

135二話 普通の生活 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/29(火) 01:12:22.13ID:2kWYHKGr
(自衛隊駐屯地、ね。一国の防衛組織なんだから可能性はあるわ。その近くにある『門』ってのが不可解だけど……)

 不可解なことはまだある。

(あの男、おそらく『昔の時代』から来た人間ね)

 彼女がガルファに対して予想していることだ。
 先ほどの自分の支給品が「ラジオ」と嘘をついたのも、それを確かめるためである。
 現に、彼はラジオに対して全く存在を知らなさそうな回答をした。答えを考えるのはたやすいものだ。
 なぜそう思ったかには経験がある。
 この殺し合いの参加者「レオナルド・ダ・ヴィンチ」だ。
 彼は実際、600年も昔にいた人間である。そして彼自身でもある。
 ただ、正確にいえば、その「人格」が現代に蘇ったわけであり、タイムスリップをしたというわけがない。
 もっといえば「ダ・ヴィンチ本体」というわけではない。
 細かい説明を省けば、彼はクローン人間の身体にダ・ヴィンチといった「過去の偉人たちの人格」を入れた存在なのだ。
 ガルファの妙に昔風の出で立ちから、もしかすると、と不二子は考えていたのだ。
 ついでに少しは体力を回復させる時間稼ぎにもなったし、十分である。

(だけどダ・ヴィンチのクローンを何体も生み出すなんてそうとうな手間じゃないのかしら。『最高のエージェント』を生み出そうとしたMI-6はそんな金銭的に余裕があるわけ? ……それはありそうね)

 それに、あの男が単なる狂人で、自分が百年戦争を生きていた兵士と錯覚しているかもしれない。
 ただ、クローンにしろ、狂人にしろ、はたまた「タイムスリップ」したものにしろ、それは仮説にしかすぎないのだ。

(けれど、こんなわけのわかんない状況下じゃ『情報』は持つにこしたことはないけどね)

 そう思いながら彼女は服を脱ぐ。豊満なその乳房や、麗しい肉体が露わになった。
 別に彼女が痴女というわけではない。ここは脱衣所だ。
 そう、彼女はこの場でも風呂に入ろうとしているのだ。
 先ほどの戦闘の流れから体も汗でいっぱいである。洗いたい気持ちはわかる。
 もちろん、護身用に包丁は用意しているし、敵に発覚されないよう電気もつけていない。

(大体、この店に敵が侵入してきたら、寝ててもわかるけどね)

 それはもはや不二子という幾多の修羅場をまるでショッピングに行くような感覚でこなす、その野性動物並みの感覚でできる話だった。
 もっとも、相手が侵入のプロだったら、それは確かではない。
 そのために不二子は店じゅうに逃走用のマーキングしている。
 シャンバラでいざというとき、脱出できるのだ。
 更衣室や自分の寝ている部屋に鍵をかければ、それをこじ開けようとする敵に気付かない程、彼女も鈍ってない。

(それに今は夜中の12時よ。寝たいところだわ)

 彼女にとってこれは修羅場ではあるが、修羅場というのは日常のようなものだった。
 何か外に出る必要があるなら出るが、今は体は疲れているし、別段出る用もない。
 どうせルパンらもどっかで生きているだろう、と不二子は思いながらシャワーを浴びる。
 そのきめ細かい肌から染みだす汗を、水がしたたり流していく。

(自衛隊のところには行きたいところだけど、他の参加者だって『外れ』の支給品だったら、そこに向かうはずだわ。それを狙ってくる殺し合いに乗ってる……まあ言うなら『マーダー』だっているはずだしね。そんな状況を、今の身体で行ったところで対した収穫はないわ)

 おそらく一時間も仮眠すれば、自分の体力は全開だろうと不二子は思う。
 夜はなんだかんだで自分が活動する上で最も優れている時だ。
 その状態ならおそらく自衛隊駐屯地で成果を得やすいと踏んだのである。
 重火器やら、場合によっては仲間も手に入れば、あとは寝るだけだ。
 安全を確保できたなら、殺し合いという異常な状況下、体力というのは大切な要素になる。
 睡眠は体力を温存するのに必要なものだ。だから寝るのだ。

(それに、こんな意味不明なゲームで必死になるってのも、なんか癪だしね)

136二話 普通の生活 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/29(火) 01:14:23.42ID:2kWYHKGr
 そう思いながら彼女は体を拭く。
 そしていつのものように、下着を着るのだ。

 悪女は殺し合いの場でも「いつも通り」行動していた。


【一日目・午前0時頃/B-4・ラビットハウス(浴室)】

【峰不二子@ルパン三世】
【状態】健康 疲労(大) 風呂上り 下着姿
【装備】次元方陣シャンバラ@アカメが斬る! 包丁@現地調達
【道具】通常支給品
【思考】基本:生存したいので、脱出するしかない。
1:寝て体力を回復したい。
2:自衛隊駐屯地に言って武器や仲間など、何か得たい。
3:どっかでルパン達と合流したい。
※最終回後からの参加です。
※ガルファを「過去の人物」と関わりがあるものと予想しています。

【次元方陣シャンバラ@アカメが斬る!】
シュラの持っていた帝具。マーキングしたところに瞬間移動できる。
とても便利だけど身体能力がめっちゃあるシュラでも多用は体力を使う。
ところでこれって、一体何を模してるんですかね。

【包丁@現地調達】
ラビットハウスの台所から調達。普通の包丁。

137創る名無しに見る名無し2016/03/29(火) 01:16:34.30ID:hvgX+wRH
支援

138二話 普通の生活 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/03/29(火) 01:18:06.48ID:2kWYHKGr
【一日目・午前0時頃/B-4・サンタマリノ風の都市(街道)】

【ガルファ@純潔のマリア】
【状態】健康 イライラ
【装備】S&W M19(1/6)@ルパン三世 ピニャの剣@GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり ガルファの義手(飛び道具1/1)@純潔のマリア
【道具】バックラー@純潔のマリア 「えくそだすっ!9話」のカット袋@SHIROBAKO S&W M19のスピードローダー×3@ルパン三世 通常支給品
【思考】基本:殺し合いに乗って生き残る。
1:マリアを殺したい。
2:魔女を殺すには武器が足りないので集める。
3:マリアの家を燃やす。
4:可能なら徒党を組んで数を減らしたい。
5:魔女に対する強い嫌悪感。
※11話でジョセフにボコボコにされて気を失った直後の参加です。
※峰不二子を魔女と思っています。
※現代的なものの扱いは「ある程度」は理解しました。

【S&W M19@ルパン三世】
次元の愛銃。六発装弾。回転式拳銃。
マグナム弾が撃てるパワーの強さと、携帯しやすさがいいらしい。警察とかも使ったりしているらしいですね。

【ピニャの剣@GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり】
ピニャが持っていた両刃剣。
劇中でそんなに使ってたイメージはないけど、フィギュアではあったので。

【ガルファの義手@純潔のマリア】
支給品というより備えているもの。鉄製の義手。
もう片方の手で操作する必要はあるが、剣も持てるし、指の部分から刃が出るし、よくわからない飛び道具も撃てる。

【バックラー@純潔のマリア】
小型の盾。劇中でもよく使われていた。
防御は勿論、相手をパンチしたりと攻撃にもなる。

【「えくそだすっ!9話」のカット袋@SHIROBAKO】
武蔵野アニメーションが製作しているアニメの原画とかが色々入ったファイル。
制作進攻は宮森がやっていた。

【S&W M19のスピードローダー@ルパン三世】
リボルバーでもわりと早く装弾できる代物。なんか丸いやつですね。

投下終了です。規制こないかヒヤヒヤしてました。wiki多分書きます。

139 ◆84AHk0CknU 2016/03/29(火) 01:32:05.29ID:hvgX+wRH
投下乙です
不二子は乗らない方針かー。アニ1知ってるだけにヒヤヒヤしたw

自分も儀式ロワ投下します

140ACCEED ROYALE ◆84AHk0CknU 2016/03/29(火) 01:35:31.56ID:hvgX+wRH
「あっ蓮さ〜ん」
「タクヤさん!」

市街地の一角にある店、名をSMバー平野。
捕獲し調教した少年を奴隷として客に提供するという、一般人が聞いたら「えっ、何それは…(ドン引き)」
と反応すること間違いなしのクッソ汚い場所。
そこに二人の男が再会を果たした。

一人はKBTITことタクヤ。
SMバー平野の従業員で、上半身に比べ下半身が貧相というアンバランスな体型が特徴的なグラサン男。
もう一人は虐待おじさんこと葛城蓮。
SMバー平野の常連客である男だ。

スタート会場が市街地だった彼らは、地図に載っていたSMバー平野をとりあえず最初の目的地として行動。
偶然にも考える事は同じだったのか、店の前で鉢合わせになったのだ。

「驚きましたよ。まさかこの店が殺し合いの会場にあるなんて…」
「参っちゃいますよ〜。店長の店を勝手にこんな所に持ってきやがって…。
あのロロとかいうガキもう許せるぞオイ!」
「許すんですか(困惑)」

殺し合いという異常な事態に巻き込まれたものの、知り合いと会えたことで、互いに安堵感が生まれていた。

「蓮さん。あのガキは殺しあえとか抜かしてましたけど、どうしますか?」
「決まってるじゃないですかタクヤさん。選択肢は一つだけっすよ」
「ですよね〜。やっぱ殺し合いなんてするw「精々楽しませてもらいますよ」――は?」

KBTITはおじさんの言葉に、一瞬理解が追いつかなかった。
楽しませてもらう?
殺し合いを?
蓮さんが?

「蓮、さん?」
「パッと見可愛い子も結構居たし、悶絶顔見放題じゃないですか。それに死ぬ瞬間はどう苦しんでくれるのか。
考えただけで興奮しますね〜(マジキチ)」
「え、ちょ」

141ACCEED ROYALE ◆84AHk0CknU 2016/03/29(火) 01:38:30.02ID:hvgX+wRH
おじさんの物騒な物言いに困惑するKBTIT。
冗談か何かかと思ったが、おじさんの目は明らかに本気の目だ。
笑顔で絶やさないおじさんへ堪らず叫ぶ。

「蓮さん何言ってるんすか!?」
「タクヤさん?」
「そりゃ俺も調教するぐらいなら良いと思いますけど…。だからって殺し合いに乗るこたぁないじゃないっすか〜!
それに男の子の悶絶顔見るのだって、ここから脱出した後でも問題ないでしょ!?」

十分問題あるんだよなぁ
犯罪を後押ししてはいけない(戒め)

「……そうですか。タクヤさんは殺し合いには反対なんですか」
「んなの当然っすよ。だから蓮さんも考え直して――」
「じゃあ、死のうか(暗黒微笑)」

言うやいなや、デイバッグから日本刀を取り出しKBTITに斬りかかる。
KBTITは驚きながらも寸での所でそれを躱す。
しかし、避けた先でまたしても刀が振るわれた。

「動くと当たらないだろ!動くと当たらないだろぉ!?」

怒声と共に刀を振るうおじさん。
襲い掛かる凶刃に応戦すべく、KBTITも自らの支給品を取り出す。
手にしたのは長方形の板。
警察や軍が使用する防弾盾だ。

「おぉ〜、良い道具だぜぇ〜(恍惚)」

刃を盾で防ぎつつ、力任せに突進する。
刀でガードするおじさんだが、あえなく力負けして吹き飛ばされる。
貧弱な下半身と違い、屈強な上半身のパワーは流石に高かったようだ。

「怒らせちゃったねぇ!俺のこと本気でねぇ!」

立ち上がり憤怒の形相で切っ先を向けるおじさん。
迎え撃つためにKBTITはバッグから出した鞭を構える。

142ACCEED ROYALE ◆84AHk0CknU 2016/03/29(火) 01:40:16.24ID:hvgX+wRH
(悲しいなぁ…)

彼ならばこんな殺し合いを止める為共に戦ってくれる。
心強い仲間になってくれる。
そう信じていたのに、現実は余りに非情だ。
何が彼をそうさせたのかは分からないが、おじさんは殺し合いを肯定してしまった。
ならば力ずくでもここで止める。
それでも駄目なら、この手で―――

「じゃあオラオラ来いよオラァ!!」
「ジュージュー(従順)になるまでやるからなぁ!!」

一人は怒りを、もう一人は悲しみの感情で対峙する。
サングラスに隠されたKBTITの瞳からは、一筋の涙が零れ落ちていた。


【虐待おじさん@真夏の夜の淫夢】
[状態]:疲労(小)
[装備]:枢木スザクの日本刀@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー
[道具]:共通支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]
基本:可愛い男の子の悶絶顔が見たい。その為には殺しも辞さない
0:タクヤさんを殺す
1:好みの子を探す
[備考]
※参戦時期はまひろの調教終了後

【KBTIT@真夏の夜の淫夢】
[状態]:疲労(小)
[装備]:エリカちゃんの鞭@チャージマン研!、防弾シールド@現実
[道具]:共通支給品一式、不明支給品0〜1
[思考]
基本:殺し合いはしない
0:蓮さんを止める
1:余裕があれば好みの子を調教したい
2:ロロってガキもシゴいとかねぇとなぁ
[備考]
※参戦時期はポイテーロが弟子になって以降のどこか

143ACCEED ROYALE ◆84AHk0CknU 2016/03/29(火) 01:41:10.22ID:hvgX+wRH
支給品紹介
【枢木スザクの日本刀@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
虐待おじさんに支給。
ユーフェミアの騎士、枢木スザクが帯刀している刀。

【防弾シールド@現実】
KBTITに支給。
SWATなどが制圧の為に用いる透明のシールド

【エリカちゃんの鞭@チャージマン研!】
KBTITに支給。
第58話「悪魔のサーカス団」に登場したエリカちゃん(正体はジュラル星人)が使った鞭。
彼女はこれでライオンを手懐けていた。

144 ◆84AHk0CknU 2016/03/29(火) 01:41:52.98ID:hvgX+wRH
投下終了です

145 ◆ymCx/I3enU 2016/03/29(火) 23:56:26.83ID:mk0UlIne
保守
二日書き込みが無いと落ちるってHARDじゃなかろうか

146 ◆ymCx/I3enU 2016/03/30(水) 00:16:20.92ID:Jlf3CPlg
あ、書き込み来てた
リロードしても出なかったから保守してしまいました
ついでに短いけど感想

>新たに咲いた花を散らさないように
「うおおぉぉォォン!?」が野獣の咆哮に見えた、訴訟

>二話 普通の生活
某所では不二子は酷い役回りだったが今回は果たして
中世の人からしたら現代の建物は全くの未知であろう

>ACCEED ROYALE
何か実際にビデオのタイトルにありそう(小並)
おじさんやめちくり〜
やっぱりKBTITは人間の鑑だってはっきり分かんだね

147 ◆84AHk0CknU 2016/03/31(木) 02:53:31.96ID:9dGDuMsb
感想ありがとナス!

儀式ロワ投下します

148 ◆84AHk0CknU 2016/03/31(木) 02:54:29.41ID:9dGDuMsb
深夜の公園は何となく不気味だ。
日中は子ども達が元気に遊んでいるであろう、ブランコやジャングルジム。
誰も居ない静まり返った夜にそれら見ると、どこか薄気味悪く感じる。
現在ベンチに腰掛ける少女、日野留渦も自分が居る公園にそんな感想を抱いていた。
幼少時からお化けや幽霊に遭遇したお陰で、滅多に恐怖感を抱かなくなった。
なのに今更こんなことを思うのは、やはりこの殺し合いに対して動揺しているからなのか。

(それだけじゃないよね…)

吹き飛んだ頭。
大量の血を噴出し倒れる胴体。
絶望の表情で転がる知らない老人と、知っている少年。
兄の友だちで、留渦とも交流のあった少年。
その少年は映画でしか見た事のない首無しの死体となった。

(委員長さん……)

留渦はこれまで多くの幽霊や妖怪と遭遇してきた。
時には命に関わる程の危険な相手と対峙したことだってある。
けれどいつだって最後は、兄の耳雄が力ずくで解決してきた。
しかし、生身の人間による殺人を、人がただの肉袋に変わる瞬間を見たのはこれが初だ。
今や死は驚くほど身近なモノと化している。

「っ…」

全身が震える。
自身が、そしてに家族が殺されるかもしれないという恐怖。
耳雄は自分を探すために無茶をして、命の危機に晒されているのではないか。
サイトーさんは怯えて隠れている所を、殺し合いに乗った危険人物に発見されてるのではないか。
脳裏に浮かぶ最悪の光景を何とか振り払おうとするが、そう簡単には消えてくれない。

「行かないと…」

デイバッグを手に立ち上がる留渦。
一刻も早く兄たちに会いたい。
今も頭に浮かび続けるイメージなんて、起こる訳がないと確かめなければ、不安でどうにかなりそうだった。
焦る気持ちのままに駆け出そうとした時、背後に人の気配を感じた。
心臓が飛び上がりそうになり、呼吸が緊張で荒くなる。
恐る恐る振り返り目にしたのは坊主頭の男。

149 ◆84AHk0CknU 2016/03/31(木) 02:55:34.88ID:9dGDuMsb
どこか間の抜けた顔でゆっくり近付き、留渦の手前で止まった。
警戒する留渦だが、男はじっと立っているだけで動こうとしない。

「あの…」

留渦が声を掛けると、男はニッコリと笑った。
それは邪気の無い幼い子どものようだった。

「大丈夫だゾ」
「えっ…?」
「不安なのは分かるゾ。でも心配しなくていい」

安心させるようにゆっくりと頷く男。
それを見て留渦は、相手は殺し合いには乗っていないんだと思い、警戒を緩める。
そして男の笑顔に釣られ、安堵の笑みが自然と浮かび―――上がらず引き攣った。
男はデイバッグから大き目のナイフを取りだし、それを留渦に向けている。

「ちゃんと一撃で済ませるから大丈夫だゾ〜」
「こ、来ないで……!」
「後で俺とポッチャマが生き返らせるから安心だゾ」

踵を返し逃げようとするが、首根っこを掴まれ地面に押し倒される。
馬乗りになり、ナイフを持つ手を首に当てる男。
留渦は必死に逃げ出そうとするが、中学生の小柄な体では体格の良い男には敵わない。

「おし、じゃあブチ込んでやるぜ!」

涙が浮かぶ目をギュっと閉じる留渦。
死にたくない。
兄と、飼い犬と、両親や友人達と一緒に居たい。
怖い。
怖いよ。
助けてお兄ちゃん―――



「オラァッ!!」
「ぶぼぉっ!?」



声が二つ聞こえた。
馬乗りになっている男のものと、知らない声。
それと同時に、男の拘束が解かれた。
なにが起きたか分からず、目を開ける。

150 ◆84AHk0CknU 2016/03/31(木) 02:57:16.76ID:9dGDuMsb
「おにい、ちゃん?」
「あぁ?悪ィが別人だ」

ぶっきらぼうな返答。
それを口にしたのは、自分を殺そうとしたのは別の、坊主頭の青年。
目つきは鋭く、頬には刃物でできたであろう古傷。
ガッシリとした長身で、拳を握り締めている。

「結構力入れたんだがな。意外とタフじゃねぇか」

青年の睨む先に居るのは、頬を押さえ立ち上がる男。
そこで留渦はようやく気付く。
自分はこの青年に助けられたのだと。

「い、いきなり酷いゾ…」
「こんなガキをマジになって襲うペド野郎には言われたくねぇよ」
「襲ったんじゃなく、ちょっと眠ってもらうだけだゾ!ポッチャマが言うんだから間違いないゾ〜」
「薬でもキメてんのかテメェは」

意味不明な事をほざく男を、青年はキチ○イを見る目で睨む。
殺し合いの空気に耐え切れず発狂したのか、それとも元々こんななのか。
男の境遇は分からないが、放置しておくのは危険な存在だ。

「仕方ないゾ。あんまり痛くはしないようにしたかったんだが…」

ボソボソと呟きながら、デイバッグ新たな支給品を手に取る男。
バッグから出した両手に握られているもの。
それは二挺の銃だった。

「ブチ込んでやるぜェェェェェェェェェ!!」

絶叫と共に引き金を引く男。
青年は男の手に銃のグリップが握られているのを目にした時点で、既に行動していた。
留渦の手を引き、遮蔽物へと走り出す。
驚く留渦の声を無視し、青年は公衆トイレの後ろに彼女諸共ダイブ。
間一髪、二人そろって蜂の巣になるのを防いだ。

「クソが!無茶苦茶しやがる!」

銃弾が壁を削る中、どうするか考える。
あのイカれたトリガッハピーに対抗するには銃が必要。
一抹の期待を込めて自分のデイバッグを開く青年。
出てきたのは妙な形のマスク、どこかの制服を着た少女二人の写真、赤いヒヨコのような生き物のぬいぐるみ。
銃どころかマトモな武器自体入っていない。
クソすぎる状況に舌打ちしたくなる。

151迫真パロロワ部 優勝の裏技 ◆84AHk0CknU 2016/03/31(木) 03:00:34.48ID:9dGDuMsb
「あの、これ」

横から留渦が話しかけてきた。
今考え中だと返そうとするが、差し出された物を見て言葉を引っ込める。
ベレッタM92F。
アメリカ軍を始め世界中で幅広く使われている自動拳銃。
今自分が最も欲している、イカれ男へ対抗するための武器。

「私のバッグに入ってたんですけど、使ったことないから…」

そう言う日本人の少女を、青年は見やる。
確かに、見るからに争い事とは無縁そうな少女だ。
銃を使った以前に、殴り合いすらしたことが無いようにまで思える。
だが青年にとっては別。
銃を受け取ると慣れた手付きで残弾をチェックし、満足げに頷く。

「おい!ペド野郎!」

未だ銃を乱射する男へ向け、声を張り上げる。
青年の呼びかけに反応したのか、一瞬銃撃が止まった。

「これでも食らっとけ!」

男へ向けて何かが投合された。
突然の反撃に驚いた男は、反射的に投げつけられたモノへ向け、両手の銃を撃つ。
それは無数の銃弾を受け綿を散らす。
そこで男は投合されたものが何なのか気付く。
それは男が愛してやまない友の仲間。
ボロ雑巾のような有様になってしまったそれの名は、

「アチャモ…」

呆然と呟く男。
と、両腕に焼けるような痛みが走る。
男が隙を見せたのを見逃さず、青年が飛び出し銃で撃ったのだ。
痛みに銃を手放しそうになるが、なんとか耐える。
そして青年が追い討ちを掛ける前に、銃弾をばら撒く。
狙いもつけない滅茶苦茶な攻撃だったが、青年を怯ませる事はできた。
その隙に男は全速力で公園を後にした。





「逃げやがったか」

男が去った方を睨み、舌打ちをする青年。
次いでボロボロになった公衆トイレに意識を向ける。

152迫真パロロワ部 優勝の裏技 ◆84AHk0CknU 2016/03/31(木) 03:02:44.17ID:9dGDuMsb
「おい、もう出てきていいぞ」

青年の言葉を受け、緊張した面持ちで留渦が出てくる。
キョロキョロと辺りを見回し、男の姿がどこにもないのを確認し、ほぅっと息を吐いた。

「あの…ありがとうございました」
「別に礼なんざいい。コイツを譲って貰ったしな」

片手の銃を青年はヒラヒラと見せる。

「それよりここを離れるぞ。あの野郎が散々撃ったせいで、音を聞いた奴らが集まってくるかもしれねぇ」
「は、はい」

足早に去ろうとする青年。
その後ろを少し慌てて留渦が追う。
雑な言葉遣いで、お世辞にも良い態度とは言えない。
けれど悪い人ではない。
どこか耳雄に似た頼もしさを感じる。
前を行く背中を見ながら、留渦はそんな事を思っていた。

「ああ、そういやガキ」
「…ガキじゃありません。日野留渦です」
「そりゃ悪かったな。俺はジェイク・ミューラーだ、留渦」

危機を乗り切った青年と少女は行動を共にする。
かつて、己に流れる呪われた血で、世界をバイオテロから救った青年。
彼はこの地で何を成すのだろうか。

【ジェイク・ミューラー@バイオハザードシリーズ】
[状態]:疲労(小)
[装備]:ベレッタM92F(13/15)@バイオハザードシリーズ
[道具]:共通支給品一式、9mmパラベラム弾装填マガジン×6、人間便器マスク@真夏の夜の淫夢、クルスとセツナの盗撮写真@NEEDLESS
[思考]
基本:殺し合いからの脱出
0:留渦を連れて公園付近から離れる。
[備考]
※参戦時期はバイオハザード6終了後
※まだ名簿を確認していません

【日野留渦@でろでろ】
[状態]:精神疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:共通支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いはしない。お兄ちゃんたちに会いたい
0:公園から離れる
1:お兄ちゃんたちを探す
[備考]
※参戦時期は原作終了後

支給品紹介
【ベレッタM92F@バイオハザードシリーズ】
日野留渦に支給。
イタリアのピエトロ・ベレッタ社が開発した自動拳銃。
世界中の軍隊で幅広く使用されており、S.T.A.R.S.やB.S.A.A.にも正式支給されている。
『0』、『1』、『5』に登場。

153迫真パロロワ部 優勝の裏技 ◆84AHk0CknU 2016/03/31(木) 03:04:02.98ID:9dGDuMsb
【人間便器マスク@真夏の夜の淫夢】
ジェイク・ミューラーに支給。
口の部分が開いている。
KBTITがまひろに装着させ、そこへおじさんが小便をした。
尿意を催したおじさんの為に即席の便器を用意するKBTITは人間の鑑。

【クルスとセツナの盗撮写真@NEEDLESS】
ジェイク・ミューラーに支給。
学園編に登場した聖ローズ学園の生徒、凛が盗撮した二人のパンチラ写真。

【アチャモのぬいぐるみ@現実】
ジェイク・ミューラーに支給。
某ポケ○ンに登場するアレのぬいぐるみ。


「ごめんだゾ、ポッチャマ……」

公園から少し離れた先の住宅地。
そこで男は涙を流していた。

「絶対にアチャモの仇は取ってやるゾ」

男の手には先程乱射していた銃ではなく、青い生き物のぬいぐるみがあった。
ぬいぐるみに話しかける男の方針、それは殺し合いに優勝すること。
そして願いを叶えられる権利を使い、殺し合いを無かったことにするというものだった。
男にはぬいぐるみ――ポッチャマがそうアドバイスしてくれたのを確かに聞いた。
最後には皆生き返るのだから、自分達が優勝しても問題は無い。
だから殺すのではなく、少しの間眠ってもらうのと同じだ、と。
誰が聞いても男の正気を疑う話だが、当の本人は本気でポッチャマがそう言ったと信じている。
さっきは逃げてしまったが、今度は上手くやってみせる。

「と、その前に腕の治療しないとな」

ここからだと小学校が近い。
そこの保健室なら包帯や消毒液があるだろう。
ポッチャマを大事に抱き歩く男、MURの目には確かな狂気が宿っていた。


【MUR@真夏の夜の淫夢】
[状態]:疲労(中)、頬に痣、両腕に銃創(出血中)
[装備]:ポッチャマのぬいぐるみ@現実
[道具]:共通支給品一式、キャリコM100-P×2(57%、65%)@バイオハザードシリーズ、予備マガジン×6、クリスのマチェット@バイオハザードシリーズ
[思考]
基本:ポッチャマと一緒に優勝するゾ〜
1:小学校へ行き腕の治療をする
2:皆殺し
[備考]

154迫真パロロワ部 優勝の裏技 ◆84AHk0CknU 2016/03/31(木) 03:05:35.65ID:9dGDuMsb
支給品紹介
【クリスのマチェット@バイオハザードシリーズ】
MURに支給。
バイオハザード5においてクリスの初期装備。

【キャリコM100-P@バイオハザードシリーズ】
MURに支給。
サブマシンガンのキャリコM100を改造し、セミオート式のハンドガンにしたもの。
大型の特殊なマガジンが付いている。

【ポッチャマのぬいぐるみ@現実】
MURに支給。
その名の通りポッチャマのぬいぐるみ。


投下終了です

155 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/04/02(土) 00:48:51.85ID:j6DKocAG
保守です。

素手でゾンビを倒せる敵を相手に応戦できる大先輩……迫真空手は伊達じゃないですね。

156 ◆ymCx/I3enU 2016/04/04(月) 22:04:08.60ID:mne7b0V1
保守です。
やっぱりただの池沼じゃないか(呆れ)MURァ!

157 ◆84AHk0CknU 2016/04/06(水) 04:46:44.64ID:ZcQpqzLe
感想ありがとうございます

投下します

158狼と不要者、交わらず ◆84AHk0CknU 2016/04/06(水) 04:48:52.70ID:ZcQpqzLe
「クソッ、参ったな」

住宅街で青年、トミー・ドーキンズは頭を抱えていた。
普段と何一つ変わらぬ一日を過ごし、自室で眠りに就いた筈が誘拐され、殺し合いを命じられている。
質の悪いドッキリか何かだと思いたいが、自分の冷静な部分がそれを否定する。
殺された二人の人間、首にある金属の感触、そして異様な雰囲気の会場。
それら全てを作り物や気のせいと断じる事は、トミーにはできなかった。

「今回ばっかりは流石にお手上げだよ……」

これが何時も遭遇している怪事件なら、ここまで悩むことはなかった。
マートンが得意のオカルト知識で情報を集め、自分とローリーが戦う。
実にシンプルで分かり易い解決方法。
しかし今回は違う。
人の悪意によって引き起こされた凶悪犯罪。
怪物退治の経験だけでは解決できない。

「あぁもう!とにかくマートンを探そう!」

頭をガシガシと掻き、半ばやけくそ気味に叫ぶ。
ここには親友のマートンも居る。
戦う力の無いオタクのマートンを一人にしておくのは危険だ。
それに彼ならば何か良い打開策が思いつく…かもしれない。

「よし。それじゃ…」

ふーっと息を吐く。
次の瞬間、トミーに異変が起こった。
整った髪が大きく逆立ち、眉毛ともみ上げは動物の毛のように変化。
獣のような鋭い爪に、黄色く光る両目。
半年前、キャンプ場で狼に噛まれ発現した能力。
街に現れる怪物や超能力者を倒してきたプレザントビルの狼男。
それこそがトミーのもう一つの顔である。

「無事でいてくれよ、マートン…!」

友の無事を願い、狼男は夜の街を駆け抜ける。



159狼と不要者、交わらず ◆84AHk0CknU 2016/04/06(水) 04:49:51.61ID:ZcQpqzLe
「…?」

走り去る狼男の姿を目撃した一人の少女。
可愛らしく小首を傾げる彼女の名は梔。
シメオン少女部隊の一員にしてミッシングリンク級のニードレスである。

「……」

梔は考える。
狼男はおそらくニードレスだろう。
シメオンの者では無いようだが、対峙しても余裕で屠る自身はある。
故に取り合えずどうでもいい。

次に考えたのは、自分はこの場でどう動くか。
まず優勝を目指すという選択肢はない。
参加している仲間は未央、セツナ、そして一時共闘しているクルスの三人。
しかし生き残れるのは二人。
自分ともう一人以外の二人を切り捨てる事になってしまう。
なら願いを叶える権利とやらで、切り捨てた二人を生き返らせるか?
これも有り得ない。
あんな胡散臭い奴の言葉を誰が馬鹿正直に信じるものか。
何らかの強力な力は持っているだろうが、それでも死者の復活など到底信じられない話だ。

では三人と合流し脱出を目指すという道。
優れた洞察力と推理力を持つクルスなら、何か良い手を考え付くかもしれない
だがこれも中々難しい。
ここにはアダム・ブレイド、照山最次、六道銀の忌々しいブレイド一行も居る。
後者二人はまだしも、ブレイドの戦闘力は桁違いだ。
そしてクルスは元々敵である自分達よりも、仲間であるブレイドたちとの合流を優先するだろう。
そうなれば益々こちらはマズい状況に追い込まれる。

「……」

うんうんと頭を捻り考えること数分。
悩んだ末に梔は決断する。
脱出するまでは(非常に不本意だが)ブレイドたちとも可能な限り協力することを。
そもそも今回はブレイド一行、少女部隊双方に取って予期せぬ異常事態だ。
敵の敵は味方という言葉があるように、どちらからしても今優先して倒すべき相手はロロである。
未央はもとより、セツナも多分賛同してくれるはず。
となるとクルスを優先して探し、ブレイドに会う前にこちらで確保しておく。
何だかんだであいつはお人好しだ、ブレイド達との仲介役として利用できるだろう。
それに少しだが…情もある。
戦闘力皆無のヘタレなのだから、さっさと見つけてやるかと思い歩き出す。

160狼と不要者、交わらず ◆84AHk0CknU 2016/04/06(水) 04:51:38.22ID:ZcQpqzLe
「……」

歩く梔の頭に浮かぶのは敬愛する上司、楼閣寺璃瑠。
シメオンビルでの失態以降は会えずに、日々寂しい思いをしていた。
今は殺し合いに拉致され、更に彼女とは離れてしまう有様。
梔は挫けず決意する。
必ず脱出し、もう一度璃瑠の下に戻ることを。
愛しい璃瑠の顔を思い浮かべる度に、体中に力が漲る。
湧き上がる気力に身を任せ、梔は歩く速度をを速めた。





三つ。
彼女が知らない事がある。

この場に居るセツナは梔以外の全員を殺す気であること。

無力だと思っているクルスは近い未来、梔達を超える聖痕保持のニードレスへ覚醒するということ。




そして、ブレイド一味も少女部隊も、彼女が愛する璃瑠やアークライトでさえ。
六道銀と左天に利用される捨て駒でしかないということを。


【トミー・ドーキンズ@ハイスクール・ウルフ】
[状態]:健康、狼男へ変身中
[装備]:なし
[道具]:共通支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いはしない。何とか脱出したい
1:マートンを探す
[備考]
※シーズン2、第26話「正体暴露」以降からの参戦

【梔@NEEDLESS】
[状態]:健康
[装備]:鉄火巻き@NEEDLESS
[道具]:共通支給品一式、スケッチブックと油性ペン@NEEDLESS
[思考]
基本:殺し合いから脱出する
1:仲間を探す。優先するのは山田(クルス)
2:ブレイド達を警戒。但し可能ならば休戦に持ち込む。
[備考]
※参戦時期は学園編、最初の殺人〜事件解決の間のどこか

161狼と不要者、交わらず ◆84AHk0CknU 2016/04/06(水) 04:52:43.31ID:ZcQpqzLe
支給品紹介
【鉄火巻き@NEEDLESS】
梔に支給。
ファンとジェット機能が付いた梔専用のガントレット。
主にファンを通して香〈フレグランス〉の能力を発動する。
名前に特に意味は無い。

【スケッチブックと油性ペン@NEEDLESS】
梔に支給。
彼女は基本喋らないので、これに字を書いて会話する。
防水加工済み。

162これから毎日参加者を焼こうぜ? ◆84AHk0CknU 2016/04/06(水) 04:56:28.74ID:ZcQpqzLe
もう一つ投下します

雄一少年は思う。
これは神が自分へ天罰を下したのではないかと。

バトルロワイアルへ招かれる前の雄一を取り巻く環境は、お世辞にも良いとは言えないものだった。
両親は毎晩いつも喧嘩をしてばかりで、酷いときには雄一に八つ当たりをする。
父は彼の玩具を蹴り飛ばし、母は家に入れと言いながら何故か扉を閉めるキチガイ行動をする。
自らの境遇への悲しみは、やがて他の幸福な家庭への嫉妬に変わっていった。
夜な夜な家を抜け出しては、仲の良い家族の住む家にマッチで火をつけて回った。

―火事だー!火事だー!(難聴なホモにははいだらー!と聞こえる)

そうして逃げ惑い慌てる住人を楽しげに眺めていた時、気付けば殺し合いをさせられている。
放火という罪を犯した雄一の行いを、天は見落としていなかったということなのだろうか。

「だ、だってしょうがないじゃないか。パパとママがいつも喧嘩を…」

言い訳をしてみるもそれを聞く者はいない。
仮に聞く人間がいても、それで雄一の行いを許すなどまず無いのだが。

「し、死にたくない…。僕は、死にたくないんだ。だ、だからこれも、仕方ないことなんだ…」

俯きブツブツと呟く雄一。
手には支給品である銃型の火炎放射器が握られている。
雄一は近くにあった観葉植物くんへ向けて、引き金を引く。
勢いよく発射された炎によって、哀れ観葉植物くんは火達磨となった。
燃え盛る観葉植物くんを暗い瞳で見つめる雄一。

「はは…。そうだ、もっと燃えるがいいや。他の人たちも皆燃やして、優勝してパパとママが仲直りするよう頼めばいいんだ…」

引きつった笑みを浮かべながら、雄一は殺し合いに乗る事を選んだ。

八つ当たりで罪の無い家庭へ放火し、身勝手な考えで殺し合いに乗る。
人間の屑がこの野郎……(憤怒)

163これから毎日参加者を焼こうぜ? ◆84AHk0CknU 2016/04/06(水) 04:57:22.31ID:ZcQpqzLe
【雄一@チャージマン研!】
[思考]:精神異常
[装備]:小型火炎放射器@チャージマン研!
[道具]:共通支給品一式
[思考]
基本:優勝する
1:皆燃えるがいいや!
[備考]
※参戦時期はジュラル星人に放火現場を見られる直前

支給品紹介
【小型火炎放射器@チャージマン研!】
雄一に支給。
「これから毎日家を焼こうぜ?」の迷言で有名なジュラルが使った、片手サイズの火炎放射器。
本編では研が防火用の特殊シャッターを仕掛けておいたため、この武器で火事が起きる事はなかった。

164 ◆84AHk0CknU 2016/04/06(水) 04:58:27.13ID:ZcQpqzLe
短いですが投下終了です

165 ◆ymCx/I3enU 2016/04/08(金) 21:24:40.04ID:PKoNeyP/
投下乙です
観葉植物くんかわいそうだと思った(こなみ)

自分も投下します

166SUSTAIN THE UNTRUTH ◆ymCx/I3enU 2016/04/08(金) 21:35:08.81ID:PKoNeyP/
28話 SUSTAIN THE UNTRUTH

孤児院の中を一通り調べて他に誰も居ない事を確認した黒牙は、孤児院を後にして森を抜けるべく歩いていた。
が、迷った。どこかで道を間違えたのか全く森から出られずにいた。

「おっかしいなー道の通りに歩いていたと思ったんだけどな……あーって言うか道途中から酷く荒れていたし、
痕跡消えかけていたから見失ったのかも……あの孤児院、よく思い返したら使われなくなって長いようだったからなぁ」

孤児院から伸びていた道は舗装されておらず、途中で雑草が生い茂り道の形が判然としない程に荒廃していた。
どうやらそれが元で道を見失い迷ってしまったと、黒牙は道に迷った理由を考える。
考えた所で状況は好転しないのだが。

「……木の上にでも登ってみる? ……あれ」

何かを発見する黒牙。
自分と同じように森の中を歩く青い犬か狼の青年のようだった。
もしかしたら、この森を抜ける手掛かりになるかもしれないが。

「接触してみるか……?」

もしも「乗っていた」ら、その場で始末してしまおうと考えながら、黒牙はその獣人青年に声を掛けた。

「あのー」
「あ?」
「ちょっとよろしいですかー」

◆◆◆

ウォラゴは森を抜けられず苛立ちを募らせていた。
軍事施設跡を出発して早々に迷ってしまっていた。地図とコンパスで確認したつもりだったが、甘かったらしい。
と言うよりかつての道路の痕跡を見付け「地図とコンパスを使わなくてもこれを辿れば大丈夫だろう」と考えてしまい、
結果的に森の中で道路の痕跡は消滅して迷子になる羽目となった。

「クソッ、森の中で野垂れ死には勘弁だぜ」

どうにかして森を抜け出す方法を見付けなくては、と、ウォラゴは打開策を練ろうとしていた。

「あのー」
「あ?」
「ちょっとよろしいですかー」

不意に声を掛けられる。見れば、黒と赤の人狼の男が居た。
「女だったら良かったのに」などと思いながら、ウォラゴは返事をする。不機嫌な様子を隠そうともせず。
実際に機嫌は悪かったし、初対面の人物と話す時愛想笑いが出来るような男でも無かった。

「何だよ」
「ちょっと道に迷ってしまって、この森抜けようとしてる者ですけど」

そこまで聞いてウォラゴはこの人狼が自分と同じく道に迷っていて、
恐らく森を抜ける手掛かりを得る為に自分に接触してきたのであろう事を察した。
そしてますます不機嫌になる。自分がまさに森を抜ける方法を探している真っ最中だと言うのにそれを尋ねられても困ると言う物。

167SUSTAIN THE UNTRUTH ◆ymCx/I3enU 2016/04/08(金) 21:35:57.93ID:PKoNeyP/
「知らねぇよ」
「え?」
「この森どうすれば抜けられるかって聞きてぇんだろ? 生憎だけどな俺も道に迷ってる真っ最中なんだ。
そんなモンこっちが聞きてぇぐれぇだよ。クソッタレ」
「アッハイ」

少し戸惑いつつも、人狼は納得したようだ。

「すみません……あの、それともう一つ聞きたい事が……」
「あ? 今度は何だよ」

まだ何か有るのか、とウォラゴはうんざりしながら聞き返す。
人狼は少し声のトーンを変えてウォラゴに質問した。

「貴方は殺し合いに乗っていますか?」
「……」

人狼の雰囲気の変化をウォラゴは見逃さなかった。表情こそ柔和だったが刺すような殺気を漂わせている。
この人狼は殺し合いには乗っていないようだ。そして、雰囲気から察するに、殺し合いに乗っている者は容赦無く排除するスタンスを取っているのだろう。
どう質問に答えるべきか? ここで「乗っている」と正直に答えればほぼ間違い無くこの人狼と交戦する事になるが。
今一番優先しなければならない事は。

「いんや、乗ってねぇよ?」

ウォラゴは嘘を吐いた。
今はこの森を抜けるのが先決、無駄に戦って体力を消耗するのは良くない。
むしろ、乗っていない振りをしてこの人狼を利用し森を脱出する方法を探った方が良いとウォラゴは考えた。

「……そうか……それは良かったです」

人狼は少しの間思考する素振りを見せたが一応は信じたようだ。
とは言っても鵜呑みにしている訳では無いと言う事は見て取れた。

「……一緒にこの森から抜ける方法探さねぇか」
「そうですね、一人より二人の方が効率も上がるでしょうし」
「俺はウォラゴってんだ、宜しく」
「俺は黒牙です」

ウォラゴの申し出を、黒牙と名乗った人狼は承諾し、二人は森を抜ける為しばらく共に行動する事となった。

(とりあえず、今はこれで良い。森から抜けた後は……こいつはどうすっかな)

森を脱出した後に黒牙をどうするか、心の中でウォラゴは思案する。

◆◆◆

168SUSTAIN THE UNTRUTH ◆ymCx/I3enU 2016/04/08(金) 21:36:42.13ID:PKoNeyP/
このウォラゴと名乗った狼(らしい)青年は「殺し合いには乗っていない」と言っていたが、鵜呑みには出来ないと黒牙は思った。
微かではあるがウォラゴからは性交の痕跡と言える臭いが漂っていた。
今現在彼は単独であるが、性行為にまで持ち込んだ女性とわざわざ別れたりするだろうか。
考えられるのはこのウォラゴが「女性を暴行した後」では無いかと言う可能性。暴行した後に女性を殺害したと言う事も考えられる。
もっとも憶測でしか無いのだが、ともかくこのウォラゴと言う男は完全に信用するには至らないと黒牙は心の中で判断していた。

それでも彼はウォラゴと行動を共にする事にした。
今は森を一刻も早く脱出する事が最優先事項だ。

(でも、森から抜けられたら、この男はどうするかな)

ウォラゴと歩きながら、黒牙は心の中で森を抜けた時のウォラゴの処遇を考える。


【午前/B-3森】
【ウォラゴ】
状態:健康
装備:ハンティングナイフ
持物:基本支給品一式、消毒用エタノール(500ml)
現状:優勝狙い。今は殺し合いに乗ってない振りをして黒牙と行動し森を抜ける方法を探す。森を抜けた後は黒牙はどうするか考え中。
備考:黒牙が警戒している事は察している。

【黒牙】
状態:健康
装備:薪割り斧
持物:基本支給品一式、古びたビデオテープ(5)
現状:殺し合いには乗らないが襲い掛かってきた者や危険と判断した者は排除する。
弓那や殺し合いに乗っていない者の捜索。ビデオテープの内容を確認したい。ウォラゴとはしばらく行動するが警戒。
備考:特に無し

169 ◆ymCx/I3enU 2016/04/08(金) 21:37:55.98ID:PKoNeyP/
投下終了です
SUSTAIN THE UNTRUTHはDir en greyの楽曲の一つですが意訳すると「嘘の上塗り」だそうです

170 ◆84AHk0CknU 2016/04/10(日) 22:20:32.07ID:2pM99Mgk
投下乙です
性交の臭いを察知するとは流石人狼

自分も投下します

171覚醒 の 臭き 野獣 ◆84AHk0CknU 2016/04/10(日) 22:22:35.43ID:2pM99Mgk
「カンノミホ……(意味不明)」

会場西側の住宅地にある一軒家で、某有名女優の名らしきものを呟いた男。
何故か海パンのみの姿で鍛えられた肉体を晒しているが、浅黒い肌やチリチリとした剛毛で見た者に「くさい」「きたない」「うんこの妖精」
というホモガキ並の感想を抱かせそうである。
彼の名は野獣先輩。
24歳の学生であり生粋のホモという異色のプロフィールの持ち主だ。

「頭に来ますよ〜!(憤怒)」

野獣先輩は激怒していた。
それはロロが非道な行いをしたからか?
答えは否。確かにあの青年の外道行為には顔を顰めたが、殺されたのはどちらも他人。
それほど怒ることでもない。
では知り合いも殺し合いに参加しているからか?
それも違う。確かに名簿で愛する遠野の名を見た時は主催者に怒りを抱いた。
しかし残りの二人、先輩のMURは老け顔の池沼であるし、後輩のKMRは以前MURと二人がかりでレイプしてからは、
険悪な関係となっている。
死のうがどうなろうが別に構わない存在だ。

では何故野獣先輩が激怒しているのか。
それは先輩が殺し合いに連れて来られた時期に関係している。

野獣先輩は以前から恋心を抱いていた遠野を自宅に招待した。
遠野に屋上で肌を焼いていかないかと提案、心優しい遠野は笑顔でそれを快諾。
しかしそれは野獣先輩のゲスい罠だった。
先輩は睡眠薬を仕込んだアイスティーを遠野に飲ませる。
そして介抱するふりをして地下室に連れ込みレイプするという、クッソ汚い行為に及ぼうとしたのだ。

「もう溜まっちゃってんのにさぁ……」

野獣先輩は遠野に襲い掛かろうとしたその瞬間、殺し合いへと拉致された。
後輩の体を味わおうと性欲が最高潮に達したタイミングでの、まさかのおあずけ。
これには殺し合いへの恐怖より昏睡レイプを邪魔された怒りの方が勝った。

172覚醒 の 臭き 野獣 ◆84AHk0CknU 2016/04/10(日) 22:24:25.69ID:2pM99Mgk
「どうっすかな〜」

ロロへの怒りはそのままに、自分はどう行動すべきかを考える。
最優先は自分と遠野の安全確保。
優勝して遠野と共に生還するか、それとも殺し合いには乗らずロロを倒す道を行くか。

思考の末、方針決定したのは数分後の事だった。





「ギャオーン…(こ、怖過ぎるワオーン)」

住宅地をおっかなびっくり歩く一頭の犬。
如何にも辛そうな顔をした日野家のペット、サイトーさんである。

「ワオワオーン…(耳雄くーん……留渦ちゃーん……どこに居るんだワオーン……)」

臆病な性格のサイトーさんは殺し合いにただただ恐怖していた。
今まで犬小屋を燃やされたり、犬専門風俗でぼったくられたりと散々な事ばかりだったが、こんな事態は初めてである。
飼い主である日野兄妹に会いたい。
あまり話したことは無いが、この際カントクでもいい。
一刻も早くこの恐怖から逃げたい。
そう思い涙を流して歩くサイトーさん。


その時、風を切るような音がし、同時にサイトーさんの意識も闇に沈んだ。
サイトーさんの頭部には金属製の矢が突き刺さっている。
突如巻き込まれた殺し合いで、耳雄達との再会も叶わずサイトーさんは呆気なく死んだ。
しかし、ある意味彼は幸せだったのかもしれない。
痛みも迫る死を感じることもなく、一瞬で逝けたのだから。


【サイトーさん@でろでろ 死亡】





「ちゃんと仕留められたみたいっすね〜」

軽い声と共にサイトーさんの死体に近付く汚物ステロイドこと野獣先輩。
流石に海パン一丁のままでいるのは抵抗があり、バッグに入っていた黒一色の服を着ることにした。
付属で変わったデザインのヘルメットのようなものあり、身を守る為にと念を入れそれも装着する。
着終わると外から鳴き声を聞こえたが、野良犬と思い無視。
しかしデイバッグを背負っているのが見えて考えは一変、支給品のクロスボウを使いサイトーさんを射殺したのだ。
クロスボウなど初めて使ったが、一撃で殺せたという結果に野獣先輩は満足気な表情だ。
死体から取り上げたデイバッグの中身を確認、水と食糧を自分のバッグに移し、サイトーさんの支給品である散弾銃を取り出す。

「いいねぇ〜!」

クロスボウ以上の強力な武器に益々機嫌を良くする野獣先輩。
試し撃ちとばかりにサイトーさんへ向け引き金を引く。
至近距離での銃撃を受け、道路中に血と肉片が飛び散る。

173覚醒 の 臭き 野獣 ◆84AHk0CknU 2016/04/10(日) 22:26:28.52ID:2pM99Mgk
「Foo↑〜気持ちいィ〜!」

その絶大な威力にテンションが上がる。
上機嫌のまま野獣先輩は他の参加者を探しに出発した。

犬とはいえ罪の無い参加者を殺した野獣先輩。
だが彼は殺し合いに乗ったというわけではない。
野獣先輩はまず自分と遠野の安全を最優先として動くつもりである。
道中強くて殺し合いに反対する者と出会ったなら、仲間にしてもらい身の安全を確保する。
但し、サイトーさんのように役立たずと思われる参加者は、見つからないよう始末し支給品を奪う。
そうして殺し合いが進み、脱出の方法が見つかったのならそちらに付き、無理そうならば遠野と共に優勝を目指す。
これが野獣先輩の方針だ。

(それにこの状況なら遠野も俺に惚れるかもしれないよなぁ?)

殺し合いの中起こる後輩の危機に颯爽と駆けつける先輩。
頼れる男の背中を見たら遠野は間違いなく自分に惚れるだろう。
そう考えるとこの状況は、悪いものではないのかもしれない。

「ほら行くど〜」

犬を殺したことなど全く気に留めず、軽快な足取りでその場を離れる。
やっぱり野獣先輩は人間の屑じゃないか(呆れ)


【野獣先輩@真夏の夜の淫夢】
[状態]:健康
[装備]:黒の騎士団の制服@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー、ベネリM3(6/7)@バイオハザードシリーズ
[道具]:共通支給品一式(食糧と水×2)、エイダのクロスボウ@バイオハザードシリーズ、金属矢×20、パイルボム×8、12ゲージ弾×21
[思考]
基本:遠野と共に生き残る
1:遠野を探す
2:強くて殺し合いに反対する人間の仲間にしてもらう
3:足手まといは隙を見て殺す
4:最終的に脱出が可能ならそちらへ、無理なら優勝を目指す
[備考]
※参戦時期は「昏睡レイプ!野獣と化した先輩」で、遠野を地下室に運んだ直後。

174覚醒 の 臭き 野獣 ◆84AHk0CknU 2016/04/10(日) 22:27:56.80ID:2pM99Mgk
支給品紹介
【黒の騎士団の制服@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
野獣先輩に支給。
ゼロ率いる黒の騎士団が着用する黒一色の制服。
顔を隠すためのゼロの仮面をモチーフにしたフルフェイスのマスク付き。

【エイダのクロスボウ@バイオハザードシリーズ】
野獣先輩に支給。
エイダ・ウォンが愛用する武器で、通常の金属矢と爆弾付矢の二種類を発射する。
無音で撃ち出すので周囲に気付かれず敵を排除可能。
『6』に登場。

【ベネリM3@バイオハザードシリーズ】
サイトーさんに支給。
イタリアのベネリ社が開発した銃。
イナーシャーシステムという特殊なセミオートマチック機能を持ち、連射速度の遅さを克服している。
『5』に登場。

175 ◆84AHk0CknU 2016/04/10(日) 22:30:24.61ID:2pM99Mgk
投下終了です

176 ◆84AHk0CknU 2016/04/12(火) 02:41:19.62ID:7r0/YiV4
名簿に一部変更を

【真夏の夜の淫夢】
○AKYS→○TNOK

に変更します

177 ◆84AHk0CknU 2016/04/15(金) 22:10:07.84ID:v7SIJWMI
投下します

178シスター・プリンセス ◆84AHk0CknU 2016/04/15(金) 22:14:40.58ID:v7SIJWMI
姫小路秋子は一般人である。
兄の秋人に恋心を持つ極度のブラコンという面を除けば容姿端麗、成績優秀、スタイル抜群の三拍子揃った完璧な少女。
しかし、特殊な能力や戦闘の経験などは皆無の女子高生。
そんな彼女は今とある学生寮の一室で涙目になっていた。

(なんなんですかこれぇ……)

いきなり知らない場所で目が覚め、変な男に殺しあえと言われた。
次いで視界に映ったのは、頭を吹き飛ばされた二人の人間。
惨劇に口から悲鳴が出た瞬間意識を失い、気付けば兄や生徒会メンバーと住んでいる寮の自室に居たのである。

(ほ、本当に、夢じゃないの……?)

スタート地点が見慣れた自室だった為、最初は気味の悪い夢を見たのだと思った。
制服のまま眠りこけるなんて疲れてるのかなぁ、と思い起き上がる。
とりあえず変な夢を見た不快感を払拭するために、最愛の兄の顔でも見に行こうと考えた時、
首に違和感を感じた。
思わず手で触り伝わってきたのは、柔らかい肌ではなく固い金属の感触。
鳥肌が立つのを感じながら恐る恐る鏡を覗き込む。
映ったのは何時もと変わらぬ自分の姿。
唯一つ、奇妙な首輪が嵌められているという事以外は。

さっきの光景は夢ではない。
本当に人が死んだ。
そして自分は殺し合いをさせられている。
事実を認識した時、秋子は恐怖でへたり込んだ。

「いや…いやです……お兄ちゃん………」

溢れ出す涙。
兄に助けを求めるが、駆けつけてはくれない。
この地で自分は悪い人に殺されてしまうのだろうか。
もう二度と秋人や皆には会えなくなるのだろうか。
悪い考えばかりが渦巻き、涙はさらに溢れようとした時。

179シスター・プリンセス ◆84AHk0CknU 2016/04/15(金) 22:15:32.24ID:v7SIJWMI
「あの、大丈夫ですか?」
「ひゃう!?」

か細い少女の声が聞こえた。
驚きのぞけりつつも秋子はバッと振り向く。
そこには瞳を閉じた少女が、半分ほど開いた襖障子から顔を覗かせていた。





「うぅ…、ごめんなさい。みっともない所をお見せして…」
「いえそんな、謝らないでください」

中学生の少女に平謝りする女子高生。
どこかおかしな光景があった。

「はぁ…。我ながら情けないです…」

数分前、突然の少女の登場にパニックになった秋子。
そんな秋子へ少女は冷静に対応し、殺し合いの意思が無い事を伝えた。
相手が冷静だった為か、秋子も次第に落ち着きを取り戻し、慌てて自分の失態を謝罪したのだった。
話を聞くと少女、ナナリー・ランペルージはまだ中学生とのこと。
更には盲目なうえ、両足も不自由なため車椅子無しでは移動できないという。
非常事態とはいえ、本来ならば年上である自分がしっかりしなければならないのに、その役目をナナリーにさせてしまった。
これには秋子も先程の自分を恥じていた。

とにかく秋子が落ち着いた事で、二人は情報交換を行う事にした。
目が見えないナナリーに代わり秋子が名簿や地図、支給品の確認をする。
名簿を読み上げる際に秋人と那須原アナスタシア、猿渡銀兵衛春臣の名を見つけ、思わず立ち上がりそうになった秋子だが、
ナナリーに余計な心配を掛ける訳にはいかないとどうにか堪えた。
ナナリーの方も兄と友だちの名があったらしい。
支給品はナナリーに銃が支給されていたが、盲目では狙いを付けられないので、秋子が譲り受けることになった。
初めて触る銃の感触に緊張しながら、できればこれを使う機会が無い事を祈る。
そしてこれからどう動くかの話になったのだが。

「秋子さん、本当にいいんですか?」
「勿論ですよ!ナナリーちゃんがお兄さん達に早く再会できるよう、私に任せてください!」

車椅子を押しながら秋子は朗らかに答える。
彼女はナナリーの兄達の捜索を手伝うと言った。

180シスター・プリンセス ◆84AHk0CknU 2016/04/15(金) 22:16:18.34ID:v7SIJWMI
「でもやっぱり迷惑なんじゃ……」
「んもう!同じ妹同士なんだから、そんな水臭いことは言いっこなしです!それに途中でお兄ちゃんたちに会えるかもしれないですし」
「ありがとうございます、秋子さん…」

秋人達に早く会いたいという思いはある。
けれど体の不自由な、そして自分と同じく兄や友との再会を願うナナリーを放っておくことはできなかった。

「では行きましょう!レッツ・ゴーです!」

ナナリーを不安にさせないために、明るく振舞う秋子。
同行者の気遣いにナナリーは感謝と申し訳なさを抱く。

『どうやら善人のようだな』

と、そんな言葉を放ち現れる一人の少女。
外見はナナリーに瓜二つだが彼女と違い、瞳は開き己の両足で立っている。
ピッチリとした青のボディスーツに身を包み、表情はどこか好戦的だ。
突如姿を見せた不振人物に、秋子は気付いていない。
それは当然だ。
少女の姿はナナリーにしか見えず、声も彼女にしか聞こえないのだから。

『だが気をつけろ。この場では私たちの力は制限されている』

少女――魔導器ネモの言葉に小さく頷く。
ルルーシュと瓜二つの男、ロロ・ヴィ・ブリタニアの手による殺し合い。
それに巻き込まれたのは兄であるルルーシュと、大切な友だちのアリス。
秋子と会う前にネモと話し合い、殺し合いの阻止を決意した。
ブリタニア帝国や日本解放戦線のような理不尽な暴力を、ナナリーは決して認めない。
ロロという男が何者なのかは分からないが、彼が死と悲しみを振りまくというのなら、絶対に自分が止めてみせる。

白き魔女は胸中で、静かに反逆の炎を燃やしていた。

181シスター・プリンセス ◆84AHk0CknU 2016/04/15(金) 22:17:29.94ID:v7SIJWMI
【姫小路秋子@おにいちゃんだけど、愛さえあれば関係ないよねっ】
[状態]:健康
[装備]:ブラックテイル(16/16)@バイオハザードシリーズ
[道具]:共通支給品一式、予備マガジン×5、不明支給品1〜3(確認済み、武器なし)
[思考]
基本:お兄ちゃんたちに会いたい
1:ナナリーちゃんのお兄さん達を一緒に探す
2:お兄ちゃん達を探す
[備考]
※参戦時期は原作5巻以降


【ナナリー・ランペルージ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:健康
[装備]:ナナリーの車椅子@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー
[道具]:共通支給品一式
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:秋子さんと行動。もしもの時は彼女を守る
2:お兄様とアリスちゃんを探す
[ネモの思考]
基本:ナナリーを守る
[備考]
※参戦時期はCODE14開始直後
※マークネモの召喚時間10分。再召喚には3時間のインターバルが必要。
※制限により未来線を読むギアスは最長で数秒後まで。それ以降は不鮮明なものしか見れない。
また主催者に関するものは一切見れない。

支給品紹介
【ブラックテイル@バイオハザードシリーズ】
ナナリー・ランペルージに支給。
正式名称はスプリングフィールドXD。
『4』に登場。

【ナナリーの車椅子@コードギアス・ナイトメア・オブ・ナナリー】
本人が最初から所持。
手動の他、電動で動く機能付き。

182 ◆84AHk0CknU 2016/04/15(金) 22:18:33.82ID:v7SIJWMI
投下終了です

183 ◆ymCx/I3enU 2016/04/18(月) 16:49:17.67ID:SvOrGeb+
保守、そして投下乙です

184 ◆ymCx/I3enU 2016/04/21(木) 00:02:51.43ID:Up5bPFYm
保守

185 ◆84AHk0CknU 2016/04/23(土) 02:06:01.13ID:rvrcfyIT
早く書かないとなー俺もなー

186 ◆ymCx/I3enU 2016/04/25(月) 10:10:33.11ID:N55MPRu4
保守
筆が進まんな中々

187 ◆ymCx/I3enU 2016/04/27(水) 16:01:28.69ID:oOskV3fO
保守!

188 ◆84AHk0CknU 2016/04/28(木) 02:17:24.97ID:AXgRIAEi
名簿をちょっと変更します

【真夏の夜の淫夢】
○TNOK
【the4400】
○ショーン・ファレル/○イザベル・タイラー
【バイオハザード(実写版)】
○アリス・アバーナシー

を外し

【仮面ライダードライブ】6/6
○泊進ノ介/○詩島剛/○チェイス/○ハート/○ブレン/○メディック

を追加し、投下します

189彼らの新たな戦いとはなにか ◆84AHk0CknU 2016/04/28(木) 02:20:26.11ID:AXgRIAEi
西暦2014年。
世界は静止し、崩壊するはずだった。

人類支配を目論む機械生命体――通称ロイミュード。
「重加速」と呼ばれる現象を引き起こし、人類の脅威となったロイミュードに立ち向かった戦士――仮面ライダー。
両者が幾度もぶつかり合い、また時にはお互いを理解する中で現れた真の脅威。
ロイミュードの生みの親である狂気の科学者、蛮野天十郎。
全人類のデータ化という蛮野の野望を打ち砕くため、人間とロイミュードは共闘し、激闘の末蛮野を倒した。
同時に全てのロイミュードも死亡し、仮面ライダーの戦いも幕を閉じた。

そう、その筈だった――





「ふざけるなっ!」

オフィスビル内の一室で、泊進ノ介は憤慨していた。
ロイミュードとの戦いを終え、捜査一課の刑事に戻った矢先に巻き込まれたこの事件。
大勢の人間に殺し合いを強要し、少年と老人の命を呆気なく奪ったロロという男。
人の命を玩具のように扱う、あの蛮野と同じ外道に対し進ノ介は激しい怒りを燃やしていた。

(お前の目的が何なのかは知らない。けど俺は必ず殺し合いを止めてお前を捕まえる……!!)

如何なる理由があれど犯罪に手を染める事を、泊進ノ介は決して認めない。
市民を傷つけ恐怖に陥れる行為を、泊進ノ介は決して許さない。
殺し合いは絶対に止める。
そしてロロもこの手で逮捕する。
一警察官として進ノ介は決意した。

「だから…もう一度俺に力を貸してくれ!ベルトさん!」
『ああ、勿論だ進ノ介』

その声は進ノ介の腰の部分から発せられた。
そこにあるのは銀色のベルト。
中央のディスプレイには赤線で顔のようなものが浮かんでいる。
このベルトこそ科学者クリム・スタインベルトの意識を保存し、進ノ介を仮面ライダーへと変身させるツール。
ドライブドライバーである。

「にしても、まさかこんな形でベルトさんにまた会えるなんて思わなかったぜ」
『それには私も同感だ。厳重に封印した筈なのだがね…』

地下に封印した筈が再び進ノ介の手元にある。
ロロの持つ得体の知れない力を一人と一本は警戒する。

「っと、これも確認しとかないとな」

言いながら進ノ介は名簿を開く。
載っている名を確認していると、急に驚きの声を上げた。

190彼らの新たな戦いとはなにか ◆84AHk0CknU 2016/04/28(木) 02:21:38.82ID:AXgRIAEi
『どうした進ノ介?』
「どうもこうも……」

名簿にあった知っている名の人物。
まず詩島剛は問題ない。
彼は殺し合いなどには絶対に乗らない、心強い仲間だ。
現在マッハに変身する為のベルトは失われているので、できれば早めに合流する必要があるが。
問題はチェイス、ハート、ブレン、メディックの四体だ。

「どうなってるんだよ、チェイスたちはもう…」
『うーむ……。コアが消滅したロイミュードを復活させる手立てをロロ・ヴィ・ブリタニアは持っている、ということか…?』
「あいつが最初に言ってた死者の蘇生って、これのことなのか?」

ロイミュードとはいえ死んだ者を生き返らせる力。
俄かには信じられないが…。

「けど、もし本当にチェイスが生き返ったんなら俺は会いたいよ…」

蛮野との戦いで命を落とした大切な仲間。
戦いが終わり勝利を喜び合う中に居て欲しかった男。
殺し合いという最悪の状況だが、チェイスが生きているのなら会いたいと進ノ介は思った。

『…その気持ちは私も同じだよ。剛や霧子も彼との再会を喜ぶはずだ。それでハート達だが…』

チェイス以外のロイミュード三体。
蛮野との戦いで共闘したとはいえ、彼らとは元々敵同士だ。
生き返ったのならば再び、人間を支配するために立ち塞がるかもしれない。
ならばハートたちは倒すのが正しい選択となるのだが…。

『できれば戦いたくない、と考えているのかい?』
「……ベルトさんにはお見通しか」

己の命を賭して蛮野からメディックを救ったブレン。
ハートと進ノ介の勝利を信じ、全ての力を使い切ったメディック。
最後までロイミュードの誇りを捨てず、進ノ介の友となり消滅したハート。
彼らの戦う理由を、最期を見てきた。
だからこそできることなら戦いたくない、チェイスのように人間と共存する道を選んで欲しい。
身勝手で甘い考えだが、それが進ノ介の願いだった。

『やれやれ…。分かった。では彼らに会った時最初にどうするかは君に任せよう』
「ベルトさん…!」
『だが向こうがどうあっても聞き入れない時は戦うんだ。いいね?』
「ああ分かってる。……ありがとうな、ベルトさん」

名簿をしまい今度は地図を取り出す。
会場は中央に都市エリアがあり、東一帯は森林地帯、西は住宅地。
南は海岸と港、そして北には荒野が広がっている。
各エリアにある様々な施設。
その中で進ノ介が目的地として提案したのは、都市部にある久留間運転免許試験場だった。

191彼らの新たな戦いとはなにか ◆84AHk0CknU 2016/04/28(木) 02:22:34.30ID:AXgRIAEi
『特状課を目指すのか』
「ああ、剛とチェイスもここに行く可能性は高いしな」
『なら丁度良い。私もドライブピットがあるかどうか確認しておきたい』
「ドライブピットを?」
『ああ。あそこなら首輪を外す為の設備も整っているし、事件解決までの拠点として使える』

話が纏まるとビルの外に出る。
そして入り口前に停めてある一台の赤い車に乗り込んだ。

「ベルトさんが俺の手元にあった時点で予想はしてたけど、トライドロンまでロロに持ち出されてたのか」
『だがドライブの装備は万全ではない。用心しろ進ノ介』
「ああ、分かってる」

アクセルを踏み出発する。
泊進ノ介――仮面ライダードライブの新たな戦いがここに始まった。


【泊進ノ介@仮面ライダードライブ】
[状態]:健康、運転中
[装備]:ドライブドライバー+シフトブレス@仮面ライダードライブ、トライドロン@仮面ライダードライブ
[道具]:共通支給品一式、各種シフトカー(何台か不足あり)@仮面ライダードライブ
[思考]
基本:殺し合いを止めロロを逮捕する
1:まずは特状課を目指す
2:一般人の保護
3:剛とチェイスを探す
4:ハートたちを警戒。ただできることなら戦いたくない
[備考]
※参戦時期は本編終了後。

192 ◆84AHk0CknU 2016/04/28(木) 02:25:43.42ID:AXgRIAEi
投下終了です
書くのが遅すぎなんだよね、それ一番言われてるから(自戒)

193 ◆ymCx/I3enU 2016/04/28(木) 13:26:26.07ID:BQiT7s/0
投下乙です
仮面ライダーは平成ライダーの最初の奴小学生の頃にちょっと見てました…

自分もようやく一話出来たので投下します

194図らずも前門の虎と後門の狼 ◆ymCx/I3enU 2016/04/28(木) 13:31:39.61ID:BQiT7s/0
29話 図らずも前門の虎と後門の狼

遊園地を後にしたミーウこと修明院美宇は市街地へとやって来ていた。
果たしてここに殺し合いに乗っていない参加者、そして伊藤椿は居るのだろうか。

「あ、これ、椿が欲しいって言ってた奴だ」

とあるCDショップの店先に並べられていたCDに注目するミーウ。
以前、椿が欲しいが中々見付からないと言っていた物だ。
土産に持って行ってしまおうかとも思ったが、盗品では椿も喜ばないだろうと思い止まった。

「椿どこに居るんだろ、って言うか、まだ生きてるのかしら……」

今現在の安否も知れぬ親友の姿をミーウは捜す。

「!」
「……誰だ」

一人の人間の青年と遭遇する。髪も服も黒を基調とし、澱んだ目付きをした見るからに明るくはなさそうな印象だ。

「……待って」
「あ?」
「取り敢えず、その、私は戦うつもりは無いから」
「ふぅん……まあお前弱そうだしな。俺もやり合うつもりは無ぇよ」
「弱っ……ン゛ン゛ッ、いや、それは良いわ……人を捜しているの」
「人?」
「友達……伊藤椿って言うんだけど。私と同じ制服で、桃色の髪の女の子、見てない?」
「見てねぇな。デケェ虎ならさっき鉢合わせになったがな……悪いが、他を当たってくれ」

そう言い終わるや否や、青年はさっさと立ち去ろうとした。

「ちょっと待って!」

もう一個聞きたい事が残っていたミーウは青年を引き留める。
青年は迷惑そうにミーウを睨めつけた。

「何? お前に構ってるヒマ無ぇんだけど俺」
「もう一個だけ聞きたい事が有って……貴方、この殺し合いには……乗ってる?」
「……」

青年は即答はしない。ミーウは万一の事態も考えいつでも武器を構えられるようにする。
少し間を置いて青年は返答した。

「強そうな奴とならいくらでも戦いてぇとは思ってるよ」
「……そう」

その返答内容から読み取れるのは、この青年は言わば「対強者限定で殺し合いに乗っている」と言う事。
「強者」と言うのは殺し合いに乗っているか否かは関係無いのだろう。
この青年は仲間とするには危険過ぎるとミーウは判断した。

「もう良いだろ?」
「えぇ、ありがとう……」

青年は去って行った。
名前を聞き忘れた事にミーウが気付いた時にはもう青年の姿は見えなくなっていた。

◆◆◆

195図らずも前門の虎と後門の狼 ◆ymCx/I3enU 2016/04/28(木) 13:32:06.11ID:BQiT7s/0
狼獣人の兵士、北原大和。
シェパード犬青年との交戦後、市街地へと逃げ込み、現在は建物と建物の間の細い路地に身を潜めていた。

(隠れてばかりでも駄目だ、何か、行動に移さないと……)

殺し合いに乗っていない参加者を集めゲームに反抗する、それが大和の大凡の目的である。
その為には身の安全ばかり気にしてはいられない。
路地から少し顔を出して辺りの様子を窺うが、先程の犬青年の姿は無く追ってきてはいないようだった。
安全を確かめ、大和は通りに出る。

「行くか」

気持ちを切り替え大和は歩き始めた。

次の出会いは十分と経たない内に起きた。
とある十字路に差し掛かった時、曲がり角の向こうから足音が近付いてくるのを大和の耳は聴く。

「!」

大和はその場に立ち止まり足音の主が現れるのを待つ。
万一の場合を考え軍刀をいつでも抜けるようにする。

「……あ? 誰だ? ……今度は狼か」

現れたのは人間の青年。

「待ち伏せでもしてたのか?」
「いや違う。俺は殺し合うつもりは無い。あんたは……どうだ?」
「ふぅん……さっきの狐と同じような事言ってんな」

青年の口ぶりから、どうやら殺し合いに乗っていない参加者は自分以外にも居るようだと大和は少し安堵する。
だが今問題なのはこの青年が殺し合いに乗っているか否か。

「ったく、同じ事何度も言うのは嫌いなんだけどな」

吐き捨てるようにそう言って、少し間を置いてから青年は返答する。

「強そうな奴となら、戦いてぇとは思ってるよ」
「……そうか」

大和の声に滲むのは落胆の色。
青年は殺し合いに積極的になっている訳では無いが「強者と戦う」と言っていると言う事は殺し合いそのものは否定していない。
なら自分の同志とは成り得ない――大和はそう結論付けた。
それならこの青年はどうするべきか、それを大和が考え出したその時。

「ところでさ、お前、陸軍の兵士だよな? その戦闘服」
「あ、ああ」

急に青年の様子が変わったような気がして、大和は身構える。

「って事は強いか?」
「……っ」

196図らずも前門の虎と後門の狼 ◆ymCx/I3enU 2016/04/28(木) 13:32:26.61ID:BQiT7s/0
その台詞で大和は確信に至る。青年は自分と戦う気だと。
次の瞬間、青年が動く。
大和の頭部目掛けて腕を振りかぶった。
身体を後ろへ反らし、青年の腕を避ける大和。
青年の手にはマイナスドライバーが握られている。もし避けるのが遅ければ大和の脳髄を刺し貫いていただろう。

「やるじゃん。あの見掛け倒しの虎とは違ぇみてぇだな」
「やめろ……! 俺は殺し合う気は無いって言ってるだろ!」
「知るかよ。さっき言っただろ? 強ぇ奴と戦うのが目的なんだって。やる気が無いならその気にさせるしか無ぇな。
ほら、さっさとその刀、抜けよ!」

大和の説得にも耳を貸さず、青年はとても素早い身のこなしで襲い掛かる。
その上、急所を確実に狙う攻撃が多く、大和は回避で精一杯となってしまう。
この時点で青年が一般人では無く戦い慣れしていると言う事が大和にも分かった。
自分も本気を出さねば殺られると言う事も。

「その刀飾りかよ?」
「くそっ!」

ここで死ぬ訳には行かない。大和は軍刀を抜き、反撃を開始する。
マイナスドライバーよりも遥かにリーチが有り斬れ味も鋭い軍刀の刃が青年に向かう。

「そうこなくっちゃなァ」

楽しそうに笑みを浮かべながら青年は斬撃をかわす。
軍の訓練で仕込まれた剣術を大和は繰り出すも、青年には当たる気配が無い。
涼しい顔で避けられるのみ。挑発にも見えるその表情、そして全く攻撃が当たらない事に苛立ちを募らせる大和。

「何だよ俺に一太刀も浴びせられねぇのか、お前もその程度かァ? がっかりだな」
「うるさい……!」
「もういいや。終わりにしちまおう」
「!?」

期待外れの色を滲ませた宣言の直後、大和は脇腹に焼けるような熱を感じた。
それがマイナスドライバーが脇腹に深く刺さったせいであると理解するのに数秒を要した。

「ぐあ……!?」
「筋は良いモン持ってると思ったけどそれだけだったな」

青年は大和の脇腹からマイナスドライバーを引き抜き、間髪入れず、ドライバーの次の行き先を定め突き出した。
大和の胸元。戦闘服の頑強な生地と、毛皮に覆われた皮膚、筋肉を刺し貫き、心臓に達した。
その瞬間大和の死が決定付けられる。

(そんな、まだ、何も、出来ていないのに……! 畜生……)

薄れゆく意識の中、結局殺し合いに一矢報いる事も出来なかった事を、大和は悔やみ続けた。

◆◆◆

197図らずも前門の虎と後門の狼 ◆ymCx/I3enU 2016/04/28(木) 13:33:11.37ID:BQiT7s/0
アスファルトの上に倒れ、今や屍と化した狼兵士を見下ろす茂晴。
彼が狼に対して口にした通り、最初に出会った虎よりは手応えの有る相手だった。だが結局、それだけであった。

「ったく弱い奴ばっかだな……」

つまらなそうに言いながら、茂晴は狼の持っていた軍刀を回収し、次の獲物を探すべく立ち去った。


【北原大和  死亡】
【残り40人】


【午前/E-5市街地】
【修明院美宇】
状態:健康
装備:グロック19(15/15)
持物:基本支給品一式、グロック19の弾倉(3)
現状:殺し合いには乗らない。椿及び殺し合いに乗っておらず役に立ちそうな参加者の捜索。殺し合いからの脱出方法を探す
備考:伏島茂晴の容姿のみ記憶。

【午前/E-5市街地】
【伏島茂晴】
状態:健康
装備:マイナスドライバー
持物:基本支給品一式、手鉤、三十二年式軍刀
現状:強そうな奴と戦いたい。優勝については今の所保留
備考:修明院美宇の容姿のみ記憶。美宇から離れた場所に居る。

198 ◆ymCx/I3enU 2016/04/28(木) 13:34:16.55ID:BQiT7s/0
投下終了です
こんなんじゃいつロワ終わるかわかんねぇな
キャラは殺せる時にさっさと殺そうぜ!

199 ◆84AHk0CknU 2016/04/30(土) 03:51:11.19ID:ps8W1PFp
投下乙です
茂晴は王道を往く強マーダーですね、間違いない……

自分も投下します

200怪物たちの使命/任務とはなにか ◆84AHk0CknU 2016/04/30(土) 03:52:48.03ID:ps8W1PFp
コンベンションセンターホテル。
かつて日本解放戦線によるホテルジャックが起こった場所。
本来は河口湖にあるはずの施設が、猿渡銀兵衛春臣のスタート地点だった。

「外に放り出されなかったのは幸いかな」

真っ暗闇の中見知らぬ土地を、いつ危険な輩が襲ってくるか分からないのに歩き回る。
それは余りに危険で無謀な行動だ。
屋内ならば少なくとも外に居るよりは落ち着いてものを考えられる。
それにこの広い施設なら危険な参加者に襲われても、隠れる場所が多くありそうだ。
殺し合いというからには当然、人を殺すのに躊躇しない者も47人の中に混じっているのだろう。

「殺し合い、か……」

バトルロワイアル。
悪質なドッキリか何かだと思いたいが、銀兵衛の冷静な部分はそれを否定してしまう。
絶望の表情を貼り付けたまま頭部が吹っ飛んだ死体は、作り物や特殊メイクなどではないと。
悲鳴を上げた人々は仕掛け人などではなく、本物の恐怖を植え付けられた哀れな生贄たちなのだと。
目を瞑り夢なら覚めてくれと願っても、それが叶うことなどない。
この状況は紛れもない現実なのだから。
自分も見せしめの二人のように呆気なく死んでしまうかもしれない。
或いは歪んだ思考の持ち主によって、もっと無残な死を迎える可能性だってある。
何とか冷静に努めようとするが、湧き上がる恐怖が消える気配はなかった。

「秋人……」

思わず大好きな親友の名が口から出る。
この地には彼とその妹の秋子、生徒会メンバーのアナスタシアもいる。
彼らはどうしているのだろうか。
自分と同じくどこかの施設に飛ばされたのか、それとも外に放置されたのか。
それとも他の参加者に襲われ、既にもう――

「っ!駄目だ駄目だ、そんな事考えるな……!」

つい悪い想像をしてしまった。
そんな筈はないと銀兵衛は自分に言い聞かせる。

(…早く皆を探そう)

不安と恐怖を抑え付け歩き出す銀兵衛。
非常灯のみが照らす廊下を慎重に進む。
人気の無い深夜の建物に一人でいるというのは、殺し合いとはまた別の恐怖感が生まれてくる。
秋人たちの前では強がっていたが、銀兵衛は幽霊や怪談の類は人一倍苦手な少女だ。

「ふ、ふんっ。馬鹿馬鹿しい…」

誤魔化すように独り言を呟く。
気のせいか先程よりも震えが酷くなった体を動かし歩き出す。

「大丈夫か?」
「ひゃんっ!?」

と、背後から唐突に話しかけられた。
素っ頓狂な声を上げながら、銀兵衛は驚きで転倒してしまう。
彼女が痛みとパニックで涙目になりながら振り向くと、一人の男が無表情で立っていた。



201怪物たちの使命/任務とはなにか ◆84AHk0CknU 2016/04/30(土) 03:53:53.97ID:ps8W1PFp
「すまない。驚かせてしまったようだな」
「い、いえ。大丈夫ですから」

無数のテーブルが並べられているホール。
パーティー会場として使われていた、だだっ広い空間にで銀兵衛と男は話をしている。
突然現れた男に対し軽くパニックになってていた銀兵衛だが、相手が冷静であったため一先ず警戒を解いた。

「僕は猿渡銀兵衛春臣と言います」
「チェイスだ」
「チェイス、さん?あの、渾名か何かですか?」
「本名だ。名簿にも載っている」

どこからどう見ても日本人なのだがキッパリ本名だと言われた。
冗談のつもりなのだろうかと銀兵衛は考えたが、チェイスは無表情のまま。
念の為名簿を見ると確かにチェイスと記されている。
初対面の相手に失礼なのだが、紫尽くしの服装も合わせて変わった人だと銀兵衛は思った。

それからお互いの知り合いも殺し合いに連れて来られていること。
それぞれの名前と特徴を伝え合った。

「泊進ノ介さんに詩島剛さんですか」
「ああ。…聞き覚えは無いのか?」
「えっ?いえ初めて聞きましたけど…。有名な人たちなんですか?」
「……いや、知らないのならいい。おかしな事を言ってすまなかった」

心なしか難しい顔をしたチェイスに対し、銀兵衛は何か気に障ることを言ってしまったのかと内心焦った。
しかしチェイスはそれ以上何かを言いはしなかった。

「お前の学友三人の捜索、俺も手伝おう」
「いいんですか?」
「ああ。ここに居る間はお前とその仲間を守る事を約束する」
「チェイスさん…。ありがとうございます」

ちょっと変わってて無愛想だけど悪い人ではない。
そんな印象をチェイスに抱きながら銀兵衛は感謝の言葉を伝えた。
そうだ、ここには危ない人間だけでなく、彼のように殺し合いに反対する人だってちゃんと存在するのだ。
ずっと心に圧し掛かっていた不安が少し和らいだのを銀兵衛は感じた。

「行くぞ。俺から離れるな」
「はい、分かりま――っ!?」

荷物を纏め部屋を出ようとした時、それは聞こえた。
ズシン、ズシンという物音。
巨大な“なにか”が足音を立てて、こちらに近付いてくる。

「これは……?」
「下がっていろ銀兵衛」

困惑する銀兵衛を庇うようにし、チェイスが音の方向を睨む。
その腰には奇妙な形のベルトが巻かれていた。
更に片手には玩具のような小さいバイクを握り締めている。
それを見て銀兵衛は訝しげな視線を向けるが、間近に迫った音にビクリと肩を震わせた。
二人が緊張した面持ちで、壁の向こう側に居る“なにか”の出方を窺う。

次の瞬間、「それ」は現れた。

202怪物たちの使命/任務とはなにか ◆84AHk0CknU 2016/04/30(土) 03:54:42.73ID:ps8W1PFp
「――――――!!!」

壁を粉砕し、獣のような雄叫びを上げる怪物。
2メートルを越える巨体で、胴体と四肢に銀の装甲が着けられている。
肌は青白く、所々抉れて肉が見えている状態だ。

「ひっ……」

不気味に呻く異形の姿に銀兵衛から小さく悲鳴が漏れる。
少女の怯えなど知ったことかとばかりに、怪物は左拳を握り締める。
同時に右腕に装着した巨大なアームをカチカチと鳴らす。

「ロイミュードではないようだな」

銀兵衛を下がらせチェイスが一歩前に出る。
ベルトのパネルを上げ、開いたスペースにバイクを装填。
今度はパネルを下げる。

『SIGNAL BIKE』
「変身」
『RIDER!CHASER!』

ベルトから電子音声が響きチェイスの体が紫の光に包まれる。
暗闇を裂くような光が収まると、そこには銀と紫の装甲に全身を包んだ戦士の姿があった。
背後で息を呑む銀兵衛を無視し、片手にハンドルグリップのような銃「ブレイクガンナー」を持ちチェイスは駆け出す。

「ハァッ!」

走り出した勢いのまま、強化された腕力で拳を振るう。
拳は怪物の腹部を捉える。
が、僅かに呻き声を出しただけで効いた様子は無い。
続けてブレイクガンナーによる打撃を繰り出すが、やはり怯みはしない。
怪物が巨体に見合わぬ速さで左腕を振り下ろす。
チェイスは横に飛ぶことで剛腕を回避。

「――――!!」

怪物がアームを振り回す。
無骨な金属によるその一撃が強力なのは一目瞭然だ。
食らってなるものかとチェイスは回避に集中する。
紙一重でアームを躱し、時にはブレイクガンナーで受け流す。
その時感じた怪物の腕力に仮面の中で顔を顰める。

「くっ…」

距離を取るように背後へと飛ぶ。
戦っている場所が広いホールなのが幸いした。

『GUN』

ブレイクガンナーを遠距離用の形態に変え銃口を向ける。
引き金を引くとエネルギー弾が発射され着弾した。
装甲に当たり火花を散らす。
怪物にとっても未知の攻撃だったのか、動きを止めている。
しかしそれも束の間の事、一声吼えると弾が当たるのも意に介さず、チェイスへ向け突っ込む。
ブレイクガンナーを連射するが怪物は止まらない。
テーブルを吹き飛ばしながら、目障りな相手を押し潰さんとタックルが迫る。
岩石のような肩がぶつかる寸前、チェイスは怪物の背後へ回るように大きく跳躍。
怪物の真上に来た瞬間、剥き出しの顔面へ向けてトリガーを引く。

203怪物たちの使命/任務とはなにか ◆84AHk0CknU 2016/04/30(土) 03:56:20.11ID:ps8W1PFp
「――――!!??」

これは流石に堪えたのか怪物から初めて苦痛のような響きの声が出る。
敵両腕で顔を押さえ膝を突いている隙に、チェイスは次の行動に移っていた。
再度ベルトのパネルを上げ、上部に付いているスイッチを押す。
そしてパネルを下げる。

『ヒッサツ!FULL SLOTTLE!』
『CHASER!』

右足にエネルギーが溜まっていく。
怪物を倒すための力を纏い、繰り出されるのは必殺の飛び蹴り。
紫色の光を纏った右足が怪物へと迫る。
己へ近付く脅威に反応したのだろうか、怪物は咄嗟に右腕を突き出す。
僅かに拮抗するが、アームは砕かれ怪物の胸部へ右足が突き刺さる。

「―――――!!!」

衝撃で外まで吹き飛ばされる怪物。
運の悪い事に今戦っていた場所は超高層ビルの最上階。
怨嗟の篭った叫びと共に、地上へと落ちていった。





怪物の落下を見届けるとチェイスは変身を解く。
振り返ると恐る恐るといった様子で、銀兵衛がテーブルの後ろから身を出す。
その顔は強張っていた。

「怪我は無いか?」
「は、はい。大丈夫、です……」
「そうか」

顔には出していないが内心安堵するチェイス。

「あ、あの…。あなたはいったい…」
「?仮面ライダーを知らな……いや、話は後だ。今の音を聞いて危険な連中が集まる可能性は高い。
まずはここを離れるぞ」

そう言って歩き出すチェイスの後ろを、納得のいかない思いをしながら銀兵衛が続く。

(あぁもう訳が分かんないよ……)

突然拉致されての殺し合いというだけでも困惑しているというのに。
それに加えて、怪物と特撮ヒーローのような姿へ変身する男。
それなりに変わった環境で日常を過ごすとはいえ、銀兵衛は血生臭いゴタゴタとは無縁の一般人。
現実味の無い光景の連続で頭が痛くなりそうだ。

(……)

前を歩くチェイスの背を見る。
彼の正体が何者なのかは分からない。
情報交換の時の反応といい、語っていない事は多いと思う。
けれど彼は銀兵衛を守ってくれた。
足手まといとなりそうな自分を見捨てず戦ってくれた。

204怪物たちの使命/任務とはなにか ◆84AHk0CknU 2016/04/30(土) 03:57:47.32ID:ps8W1PFp
「チェイスさん」
「?」
「ありがとうございました」

深々と頭を下げる。

「チェイスさんがいなかったら、僕は死んでいました。だから、ありがとうございます」
「気にするな。俺はお前を守ると約束した」

背をむけたままそっけなく言うチェイス。
けどその姿に不思議と冷たさは感じなかった。
柔らかい笑みを浮かべるが、すぐ不安げに曇りだす。

(秋人…秋子ちゃん…那須原さん……)

大切な友人たちの名を内心で呟く。
あんな怪物まで存在するこの地で彼らは無事でいるだろうか。
早く会って無事を確かめたい。
そして会長とありさが待つ元の日常に皆で戻りたい。

銀兵衛が友の身を案じる傍ら、チェイスも思考に耽っていた。

(仮面ライダーを知らない、か……)

融合型ロイミュードの病院襲撃を切っ掛けに知れ渡った仮面ライダーの正体。
警察の正式発表もあり、仮面ライダーが泊進ノ介だということは全国民にとって周知の事実である。
だというのに銀兵衛は仮面ライダーの存在自体知らないようだった。
そんな事がありえるのか。

だがそれ以上に不可解な事がある。
それは、

(何故俺は生きている?)

あの時。
自分は蛮野の攻撃から剛を庇い致命傷を負った。
そして最後の力を振り絞り、蛮野を道連れに自爆した。
コアも消滅し完全に死んだはず。
それが今は傷一つなく二本の足で立っている。

(名簿を信じるならば、俺だけでなくブレンも復活しているのか……)

その最後を目撃したロイミュード。
チェイスがこうして蘇っているなら、ブレンの方もほぼ間違いないだろう。
余りにも不可解な事が多すぎる状況。
頭を抱えながらも少女とロイミュードは、ホテルを出る為にエレベーターに乗り込んだ。


【チェイス@仮面ライダードライブ】
[状態]:疲労(中)
[装備]:マッハドライバー炎+シグナルチェイサー@仮面ライダードライブ、ブレイクガンナー@仮面ライダードライブ
[道具]:共通支給品一式、不明支給品0〜1(ドライブ出典のものではない)
[思考]
基本:仮面ライダーとして戦う
1:銀兵衛と彼女の友を守る
2:進ノ介と剛を探す
3:ハートたちに会ったら……?
4:あるのならばライドチェイサーとシンゴウアックスを探す
[備考]
※参戦時期は本編45話死亡後。

205怪物たちの使命/任務とはなにか ◆84AHk0CknU 2016/04/30(土) 03:58:40.68ID:ps8W1PFp
【猿渡銀兵衛春臣@お兄ちゃんだけど、愛さえあれば関係ないよねっ】
[状態]:精神疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:共通支給品一式、不明支給品0〜3
[思考]
基本:秋人たちを探す
1:チェイスさんと行動
2:秋人たちが心配
[備考]
※参戦時期は原作8巻以降。


怪物は死んでいなかった。
元々の桁外れなタフさに加え、主催者よりもたらされた装甲。
これによりダメージこそ受けたものの未だ生きている。
暫し大の字になり休息を取っていたが、十分だと判断したのか立ち上がる。
目の前には何時の間にか換えのアタッチメントが落ちてあった。
それを拾い右腕に装着し歩き出す。

この怪物は47人の参加者の中で最も異質な存在だろう。
怪物は自分が殺し合いをしている自覚など全く無い。
ただ一つの任務を遂行する為に動いている。
その任務とはある男の捕獲。
殺し合いに連れて来られる以前と同じもの。
例え舞台が違い、主催者に新たな装備を与えられても、その基本行動は何一つ変わらない。

怪物の名はウスタナク。
目的はジェイク・ミューラーの捕獲。

【ウスタナク@バイオハザードシリーズ】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(大)
[装備]:アタッチメント(ドリル)、テスタメントの装甲服@NEEDLESS
[道具]:なし
[思考]
基本:ジェイク・ミューラーの捕獲
1:ターゲットの捕獲。それ以外は全て殲滅
[備考]
※参戦時期はジェイク編チャプター2終了後。
※アタッチメントは破壊されると主催者側で新たなものを用意します。
全て破壊された場合どうなるかは現在不明です
※アタッチメント(通常アーム)破壊。

206 ◆84AHk0CknU 2016/04/30(土) 03:59:38.17ID:ps8W1PFp
投下終了です

207 ◆ymCx/I3enU 2016/05/01(日) 23:50:16.20ID:L1pNNJxV
投下乙です

自分も投下します、今回はちょっとエッチです

208イカした色仕掛けさよなら命懸け ◆ymCx/I3enU 2016/05/01(日) 23:50:55.96ID:L1pNNJxV
30話 イカした色仕掛けさよなら命懸け

「! あいつは……!」

倉持忠敏は前方数百メートル先についに追い求めていた姿を見付けた。
赤い鬣に白い身体を持ったユニコーンである。
喜んで、忠敏はそのユニコーンに走って近付いた。

「おーい、そこのあんた!」
「誰だ?」
「警戒しないでくれ、俺は危害を加えるつもりは無い」

高鳴り興奮する心を抑えつつ、ユニコーンの警戒を解こうとする忠敏。
近くで見ればユニコーンの身体は何とも良く引き締まり、股間には立派な雄の象徴。忠敏がそそられる材料が全て揃っている。

「単刀直入に言おう」
「え?」
「俺は、オス馬に掘られるのが大好きなんだ……だからあんたに掘って欲しい!」
「何?」
「開催式であんたの事見掛けてからずっと探していた。いや、分かってる。ユニコーンは処女にしか興味が無いって事は、
ちゃんと分かってるし、そうで無くても……」
「つまり、男が、オスが好きって事か?」
「? あ、ああ……但し馬限定だけど」

聞き返してきたユニコーンの声色には確かな「喜び」が滲んでいた。
予想外の展開に忠敏は少し困惑気味に、ユニコーンの質問に返答する。

「全然構わない! って言うか嬉しい!」
「え!?」
「俺、ゲイなんだ……つまりアンタとヤるのは全然オーケーだ!」
「マジで!?」

まさかの展開。ユニコーンと言えば忠敏がそう言ったように処女にしか興味を持たないと言うのが定説だが、
目の前のユニコーンはそれを覆す存在であった。

「俺はユージーン。アンタは?」
「倉持忠敏。これは、何と言う幸運だ! やばいテンションが上がる!」
「落ち着け忠敏、ここは見晴らしが良すぎて危ないから適当な場所を見付けてそこで、な?」
「よーし……」

今すぐにでもズボンを脱ぎ捨て尻を出したい気持ちを抑え、忠敏はユージーンと共にまぐわいに相応しい場所を探す。
程無く、とある民家の敷地内に有る納屋に決定しそこへと侵入した。
入口にバリケードを作り外からの侵入を防ぐ。人間男と角有り牡馬の二人だけの空間の出来上がり。
早速忠敏は服を脱ぎ捨て全裸になった。

209イカした色仕掛けさよなら命懸け ◆ymCx/I3enU 2016/05/01(日) 23:51:25.98ID:L1pNNJxV
「オス馬とヤり慣れてるって聞いたけど」
「おう、これを見てくれユージーン」
「うわっ、やばいだろこれ……穴が拡がってないか?」

後ろの門をユージーンに見せ付ける忠敏。
ユージーンは軽く驚いた。
一体今まで何頭の牡馬の太い杭を激しく打ち込まれたのだろうか、
門は門の機能を果たせるかどうか心配になる位の拡張ぶりを見せていた。
そして、暫く見詰めていたユージーンは次第に鼻息荒く興奮してゆく。

「ああ、凄い、そそられてきたよ忠敏ィ……フーッ、フーッ、すぐにでも根元までぶち込んでやるぜ! ってなりたいけど、
まずローションの代わりにベロベロしないとな、流石にこのままはきついだろぉ?」
「良いよ、来いよ……」

突き出された拡がり過ぎた門に、ユージーンはたっぷり唾液を含ませた舌を近付けていく。

その後、納屋の中から人間男の喘ぎとオス馬の嘶きが延々と響いていた。
納屋がギシギシと揺れ、屋根から土埃が落ちる程であった。


【午前/E-4市街地境家】
【ユージーン】
状態:興奮
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:命果てるその時まで自分の欲望の為に行動する。忠敏と暫く一緒に居る。
備考:特に無し

【明朝/F-4酒場周辺】
【倉持忠敏】
状態:興奮
装備:調達した文化包丁
持物:基本支給品一式、ウィズダム商店謹製催淫剤
現状:死ぬ前にユージーンと思う存分過ごす。
備考:催淫剤の効能については未確認

210 ◆ymCx/I3enU 2016/05/01(日) 23:52:43.94ID:L1pNNJxV
投下終了です

忠敏の状態表の上にある酒場云々はミスですので無視して下さい

ひでぇSSだ、でもやめぬ

211 ◆84AHk0CknU 2016/05/02(月) 02:54:27.76ID:M9AqSMe6
投下乙です
え、なにこの内容は…(困惑)

212 ◆ymCx/I3enU 2016/05/03(火) 02:06:32.28ID:CB7jW69m
一時期頭おかしくなってた頃はこれよりもっとやばいSS大量生産してました(半ギレ)
詳しくは美女と野獣ロワ、もっとEXオリロワ辺りを見て貰えれば

そんな事より投下だ!
投下します

213かくされたメッセージ ◆ymCx/I3enU 2016/05/03(火) 02:07:48.82ID:CB7jW69m
31話 かくされたメッセージ

港を探索し、特に自分達以外の参加者の姿は無いと判断した須牙襲禅、新藤真紀の二人。
別の場所へ移動しようと、港の敷地から外へと出た時。

「誰だ?」
「ひっ」

襲禅がガバメントを突き付け威嚇するのは、巫女服姿の少女。
左上腕には矢と思しき物が刺さり、少なくない量の血が流れていた。

「ま、待って下さい……私は殺し合う気は、無いです」

怯えながらも、少女は戦意が無い事を訴える。
襲禅は暫くして銃を下ろす。少女はほっとした表情を浮かべた。

「お前一人か?」
「は、はい。今は……」
「今は? ……まあ良い、お前名前何て言うんだ?」
「布川、小春です」
「布川さんね? 私達も殺し合いには乗っていないから、安心して。酷い怪我……手当しないとまずいわね……」
「しゃーねーな……港に戻るか。事務所に非常用の医療キットぐれぇ有んだろ」
「す、すみません……」

小春と名乗った少女を、襲禅と真紀は仲間に迎え入れ、傷の手当の為小春と共に港へと引き返す。
襲禅は正直に言うとまだ完全には警戒を解いていなかったものの万一の時は無理矢理ねじ伏せられる相手だと判断し、
これ以上事を荒立てる真似はしなかった。

……
……

港の事務所内。
矢が抜かれ、応急処置が施された後、小春は今までの自分の経緯を二人に話す。
知人である犬のタローを捜している事。
ゲーム開始直後、藤堂リフィアと言う狼の少女と出会うものの目の前で殺されてしまい、
襲撃者から命辛がら逃げ延びた末、港に辿り着いて二人と出会った事。

「大変だったね……傷は、どう?」
「大分楽になりました……ありがとうございます」
「お前とリフィアってのを襲ったのはどんな奴なんだ?」
「わ、分からないです……良く見てません……痛くて、混乱してて、逃げるので精一杯で」
「無理も無ぇか……」

今後の為にも襲撃者、つまり危険人物の情報は手に入れておきたかった襲禅だが、小春は自分とリフィアを襲った人物については、
激しい混乱状態であったせいか覚えている事は全くと言って良い程無かった。

「私達は殺し合いには乗っていないから、安心して」
「はい」
「もし良ければ私達と一緒に行かない?」
「良いんですか?」
「良いよね? 襲禅」
「……別に良いが、足手纏いにはなんなよ」
「襲禅ったら……ごめん、口悪いけど気にしないで」
「だ、大丈夫です……一緒に、行かせて下さい」
「うん。宜しくね布川さん」

小春は襲禅と真紀と同行する事になった。
目の前で人が殺され、更に自分も殺されかけ、精神的に大きなショックを受けていた小春にとって仲間が出来た事は大きな安らぎを与える。
左腕の傷はまだ痛み、余り動かせそうには無いものの、手当して貰っただけでも有難かった。

214かくされたメッセージ ◆ymCx/I3enU 2016/05/03(火) 02:08:27.21ID:CB7jW69m
(うっ……痒い……そろそろ掻いた方が良いかな)

と、ここで小春の股間のむず痒さがピークに達する。
流石に二人の目の前で掻く訳にも行かず、小春は二人に断って事務所に併設されたトイレへと向かった。

……
……

「なぁ、真紀」
「何? 小声で」

小春がトイレへ向かった後、襲禅は真紀に小声で話し掛けた。
何事か分からなかったが真紀も小声で返す。

「あのガキ、ビョーキ持ちだぜ」
「は?」

急にお前は何を言い出すんだといった様子で真紀は襲禅を睨む。
襲禅曰く「人間には感知不可能な微量ではあるが、特有のニオイを嗅いだ」との事。
馬鹿馬鹿しいと一瞬真紀は思いはしたが確かに狼獣人である襲禅の鼻は普通の人間よりもよっぽど利く。

「つまりよ、あのガキビョーキ貰うぐれぇにはヤってるってこった」
「成程……いやでも別に今それは関係無い事じゃない」
「ま、そうだがな」
「多分、隠してるに違い無いし気付いていない振りしておこう、ね?」
「別に言いふらすつもりも無ぇよ」

小春が性病に罹っている事に気付いた事は黙っておこうと二人は話し合う。
その後話はこれからの事についての内容へと移り、声の音量も元に戻る。

「さてと、布川さんが戻ったら、どうする?」
「同じだ。別の所移動するぞ。一先ずは……東の畑が広がってる方に行ってみっか」
「どうせ宛ても無いし……良いよ、それで行こう」

二人は次の行き先を港から東に存在する畑地帯へと決めた。
そして小春が用を足してトイレから出てくるのを大人しく待った。

……
……

「くぅ、痒い……」

トイレの個室内でスカートをたくし上げ、小春はデリケートな部分を傷付けない程度に掻き続けていた。
自分が性病である事を外の二人が察してしまっている事など彼女は露程も知らない。

215かくされたメッセージ ◆ymCx/I3enU 2016/05/03(火) 02:08:52.12ID:CB7jW69m
【午前/A-6港事務所】
【須牙襲禅】
状態:健康
装備:コルト ガバメント(7/7)
持物:基本支給品一式、コルト ガバメントの弾倉(3)
現状:殺し合う気は無いが必要有らば戦う。真紀と行動。布川を連れて行く。東の畑地帯を目指す。
備考:特に無し

【新藤真紀】
状態:健康
装備:拳銃型ライター
持物:基本支給品一式
現状:殺し合う気は無い。武器が欲しい。襲禅と行動する。布川さんを連れて行く。東の畑地帯を目指す。
備考:特に無し


【午前/A-6港事務所トイレ】
【布川小春】
状態:左上腕に矢傷(応急処置済、余り左腕は動かせない)、秘部を掻いている
装備:スペンサーM1860カービン(7/7)
持物:基本支給品一式、.56-56スペンサー弾(14)
現状:殺し合いには乗らない。タローを捜す。須牙さん、新藤さんと行動する。
備考:藤堂リフィアは死んだと思っている。襲撃者(志水セナ)の容姿は把握していない

216 ◆ymCx/I3enU 2016/05/03(火) 02:09:39.19ID:CB7jW69m
投下終了です。

小春の持つ銃は次の話で真紀に渡る予定(怪我で使えないので)

217 ◆ymCx/I3enU 2016/05/05(木) 01:33:28.36ID:lfnY/fOa
投下します
登場は長嶺和歌子とウラジーミル

32話 心と身体は乖離、狂宴に気もそぞろ

汚い犬に襲われた場所から、長嶺和歌子とウラジーミルは南へ移動し、
比較的状態の良い廃屋の中に入りそこで情報交換を行う。

「友達がこのゲームに呼ばれているのか」
「はい、無事だと良いんですけど」
「そして犬と、***をするのが大好きと」
「はい」
「友達は心配だろうね、そして、レベルが高い」

ウラジーミルが信用出来る相手と見込んで、和歌子はこの殺し合いに呼ばれている自分の友人の事や、
自分が犬との交わりを趣味としている事を話した。
ただ、友人である彩愛も自分と一緒に犬との遊びを愉しんでいる事は言わなかった。こればかりは彩愛の感情も考慮しなければならない為。

(〈小学生で獣姦愛好家なんて、なら、頼めばもしかしたら、いやいや、流石にそれは駄目だ〉)

つい邪な考えが浮かんでしまうがそれを振り払うウラジーミル。
しかし生粋のロリコンである彼。和歌子を保護してからと言うものそう言った考えがしばしば頭を過ってしまう。
度々、自分の心の中で、欲望との攻防戦を繰り広げる有様。

(〈今まで和歌子ちゃんみたいな女の子と、これだけ長く一緒に居た事は無かったからなぁ……。
うう、くそっ、ドキドキしてしまって仕方無い。本当なら、本当だったら、押し倒したい! でもそんな事したら……〉)

何度目になるか分からない理性と欲望の戦いを脳内で繰り広げるウラジーミル。

(〈しっかりしろ、ウラジーミル・イリイチ・コスイギン!
……和歌子ちゃんは、この殺し合いに突然巻き込まれて、汚い犬に犯されかけて、自分だってとても怖い筈だろうに。
それでもしっかりと受け答えして、友達の事を心配しているんだぞ。凄く良い子なんだ。変態かもしれないけど。
そんな良い子に、邪な思いを抱くなんて、お前は恥知らずにも程が有るだろ……!〉)

自分自身を心の中で叱咤する。
そしてウラジーミルは気持ちを整えるつもりで軽く息を吸って吐き、和歌子の方を向いて言った。

「和歌子ちゃんが良ければ……一緒に行動しないか?」
「ウラジーミルさん、良いんですか?」
「僕は別に知り合いが居る訳じゃないからね……全然、大丈夫だよ。
こんな危ない状況で、小さい女の子一人じゃ、絶対にまずいと思う……さっきの犬みたいな奴がまだ大勢居るかもしれないし。
……あくまで、和歌子ちゃんが良ければ、だけど……」
「全然大丈夫です! むしろ、こっちからお願いしようと思ってた位で……!」

ウラジーミルの申し出を和歌子は喜んだ。
気丈に振舞っては居たものの、所詮は小学校高学年程度の女の子である。
殺し合いと言う以上状況下に放り出され、友達の安否も分からない、そして死への恐怖で心細い中、汚い犬に犯されそうになり、
和歌子の精神への負荷は相当なものになっていた。
今のままで一人で行動する事は、和歌子には考えられなかった。
ウラジーミルに助けて貰い彼の優しさに触れてしまっては尚更。

「それなら、良かった。それじゃあ、宜しくね和歌子ちゃん」
「こちらこそ宜しくお願いします」

二人は握手をして互いに改めて挨拶し合った。
大きな、毛皮に覆われ鋭い爪の生えたウラジーミルの手は、和歌子にとってとても温かく頼もしかった。

その後、二人は未だ支給品の確認をしていなかった事を思い出し互いに確認する。
ウラジーミルは作業用の白いロープと切断用の100円ショップで売られているような安っぽい作りのカッター。
和歌子は旧式のリボルバーと予備弾数発。説明書によれば「コルト ポリスポジティブ」と言う名前の銃らしかった。  
ウラジーミルの支給品はそのままでは武装足りえない為、近くに有った木材の切れ端を拾い一応の武装とする。
和歌子は子供の自分に扱えるかどうか不安に思いつつ、ポリスポジティブを装備した。

装備と荷物を整えた後、二人は廃村を抜けるべく、南へと歩き始める。

ところでウラジーミル・イリイチ・コスイギンは本当に欲望を捨て去る事が出来たのだろうか。

人間がそんな簡単に変われないように人間並の知性を持った獣だってそんな簡単に変われはしないだろう。

どうなる事やら(ゲス顔)。


【午前/C-3廃村】
【長嶺和歌子】
状態:健康
装備:コルト ポリスポジティブ(6/6)
持物:基本支給品一式、.32コルトニューポリス弾(12)
現状:死にたくない。あやちゃん(籠彩愛)と会いたい。ウラジーミルさんと行動する。
備考:タロー(名前は未確認)を危険人物と判断。

【ウラジーミル・コスイギン】
状態:健康
装備:拾った木材
持物:基本支給品一式、作業用ロープと切断用カッターナイフ
現状:殺し合いには乗らない。和歌子ちゃんと行動。彼女を守り、友達である彩愛ちゃんを捜す。
備考:タロー(名前は未確認)を危険人物と判断。

220 ◆ymCx/I3enU 2016/05/05(木) 01:36:14.27ID:lfnY/fOa
投下終了です
タイトル元ネタはボカロ曲の一つ「梅花話譚」の歌詞の一節の改変

221 ◆ymCx/I3enU 2016/05/06(金) 13:02:28.39ID:biK1tC4/
投下します
登場は北宇智恭世とタロー

222浅い眠り続いていた ◆ymCx/I3enU 2016/05/06(金) 13:03:02.93ID:biK1tC4/
33話 浅い眠り続いていた

黒豹の女性、北宇智恭世は優秀な女ビジネスマンだったが、ゲーマーとしての顔も持っていた。
そんな彼女が今回の殺し合いゲームに参加させられ考えるのはゲームに乗り優勝する事。
いつもテレビやパソコンの画面に向かってそうしているようにゲームをプレイしクリアする事である。
だが流石にポリゴンで構成されたバーチャルの世界とは訳が違う。
先程、支給された手榴弾で参加者を一人爆殺した時の、爆風、爆発音、硝煙と土煙そして血の臭い。
無数の肉片と化した数秒前まで生きていた女性の死体。
全ての事柄が紛れも無い「現実」であるのだと恭世に突き付けていた。
そして相手が死ぬのと同じように自分もいつ本当の死が訪れてもおかしくない事も。

しかし、それらの「現実」を受け入れてなお、恭世の心は彼女自身驚く程に冷静だった。
罪悪感、後悔、恐怖、悲観、全て無いのだ。とても淡々としていた。
自嘲気味に「自分はおかしくなったのか、それとも元からおかしかったのか」と考えながら、恭世は草原地帯の少し丘になってる場所から、
前方に見えるそこそこ規模の大きいホテルを見下ろしていた。
E-2エリアのホテルのようだ。

「さて、どうしようかしらね……」

どのようにしてホテルにアプローチしようか考える恭世。
正面から行くか、裏から行くか、それとも。

「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ……」
「ん?」

恭世の思考は不意に聞こえてきた荒い息遣いに中断させられる。
息遣いの聞こえる方向に顔を向けると、すこに居たのは薄汚い大きなオス犬。

(何コイツ、うわっくさい……毛もボサボサ)

犬から放たれる酷い悪臭と不潔の権化のような見た目に思わず恭世は顔を顰める。
デイパックを所持し、首輪もしているのでこの犬もこのゲームの参加者の一人なのであろう。
しかし恭世はこの犬を今すぐどうにかしてしまおうと言う気にはなれない。余りの不潔ぶりに触りたくないのだ。

「う〜……なぁ、なあ」
「え?」

その犬は恭世に声を掛けてきた。涎を垂らし、とても知性を感じられない瞳を見て恭世は犬に対し更に嫌悪感を募らせる。

「コハルって、女のコ、見てない? ハァハァ」
「コハル? 女の子?」
「巫女服の、とってもかわいいおんなのこぉ、見てなイ??」

犬はどうも捜し人が居るようだった。
しかし、恭世は犬が言うような女の子など会ってはいないし知らない。
名簿にそう言えばそのような名前が載っていたような気もしたが、そもそも犬が誰を捜していようが関係無いしどうでも良い。

「見てない。ごめんなさい。私は貴方の力にはなれないわ」

否定の台詞を口にする恭世。
一刻も早くこの犬にはどこかへ行って貰いたかった。

223浅い眠り続いていた ◆ymCx/I3enU 2016/05/06(金) 13:03:27.65ID:biK1tC4/
「ウー? 本当ニ? しらない?」
「知らないって! 隠してないから! 隠す必要も無いんだし!」
「ウゥ〜、ワカッタ……」

有力な情報を得られず肩を落とす犬。
良いぞそのままどうぞどこかへ消えてくれと心の中で恭世は願う。
ところがそう都合良くは問屋は卸してはくれぬ。

「ホテルがある、コハルいるかナ、いってミよー」
「なっ、ちょっと待っ……」

犬はよりにもよって恭世が今から行こうとしていたホテルに向かって行ってしまった。
思わず恭世も引き止めようとしたが、犬はさっさと歩き去ってしまう。
辺りを警戒する様子も全く無く――そう言えば先程自分に話し掛けてきた時もそうだった――捜している少女の事しか頭に無いのだろう。
見た目と喋り方に違わず知能も低いようであった。

それはともかく、犬がホテルに向かった事で行き先を変えようかと思ったが、
あんな汚く頭も悪そうな犬のせいで自分の行動が制限されると言うのは、
流石にプライドが許さず結局当初の予定通りにホテルに向かう事とした。
次にあの犬と対面するならばもう我侭を言わずさっさと始末してしまう事にして。

◆◆◆

廃村を脱したタローは、森を抜けて草原へと到着した。
遠くには海も見えて開放感が有った。
まだ愛する布川小春の姿は見えない。たまたま出会った黒豹の女性に訊いてみたが、手掛かりは得られなかった。
そんな中見付けた大きなホテルにタローは向かう。
布川小春が居ればいいなと思いながら。

このゲームが始まってからと言うもの、タローの考えている事のほとんどは、布川小春を見付けて***したい、
可愛い女の子が居たら***したい、そのような過大な性欲に基づいた物が大半を占めており、深慮など一切無い。
彼は「今自分が殺し合いをさせられている」「だから自分も小春もいつ危険に晒されるか分からない」と言う事をイメージしていなかった。
死と隣り合わせの場所に放り出されていると言う現実を、逃げている訳では無く、認識していない。

良くも悪くも、タローは「いつも通り」なのであった。


【午前/D-2、E-2境界線付近の草原地帯】
【北宇智恭世】
状態:健康
装備:九八式柄付手榴弾(4)
持物:基本支給品一式、小学生用彫刻刀セット
現状:殺し合いに乗り優勝を目指す。もっと武器が欲しい。ホテルに向かう。犬(タロー)は次会ったら始末する。
備考:タローの外見のみ記憶。コハル(布川小春)がタローの知人である事を知った。


【午前/E-2ホテル周辺の草原地帯】
【タロー】
状態:健康
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:コハル(布川小春)と会いたい。交尾したい。ホテルに向かう。
備考:長嶺和歌子、ウラジーミル・コスイギン、北宇智恭世の外見のみ記憶。

224 ◆ymCx/I3enU 2016/05/06(金) 13:03:59.01ID:biK1tC4/
投下終了です

225 ◆84AHk0CknU 2016/05/08(日) 01:31:35.61ID:yBArDM8u
投下乙です
こんなクッソ汚いの受け入れるとか小春ちゃん変態すぎィ!

自分も早く書かないと

226 ◆ymCx/I3enU 2016/05/10(火) 22:07:27.60ID:MZBLhxhE
保守
GW開けて二日連続残業とか(疲れが)出、出ますよ…

227 ◆ymCx/I3enU 2016/05/12(木) 22:27:52.40ID:XSrtnQxO
保守
最近昼間アツゥイ!

228 ◆ymCx/I3enU 2016/05/14(土) 18:23:58.72ID:A5IDzEbH
保守
更新プログラムきらい

229 ◆ymCx/I3enU 2016/05/17(火) 19:10:29.84ID:5zT8GSLr
保守

230 ◆ymCx/I3enU 2016/05/20(金) 23:32:36.29ID:ul9D4e6C
保守

231 ◆84AHk0CknU 2016/05/23(月) 05:40:31.01ID:y78QMwGE
保守
ネタは浮かぶのに筆が進まないってこれもう分かんねぇな…

232 ◆ymCx/I3enU 2016/05/23(月) 14:00:24.28ID:mFXQlSrB
ようやく出来たんで投下します

233さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU 2016/05/23(月) 14:01:21.26ID:mFXQlSrB
34話 さっきまであった人影どこへやら

少女・大木弓那、悪魔獣人女・コンゼノア、そして変態クソギツネの三人組。
身を潜めていた民家(クソギツネのせいで半壊)から出発する準備を始めていた。
クソギツネこと隠塚英紀は――自業自得ではあったが――弓那とコンゼノアの二人による暴行により少しボロボロになっていた。

「クソギツネ、準備はまだ終わんないの?」
「そ、そのクソギツネって言うのやめてよぅ……オ*ニーも済ませたしもう大丈夫」
「こいついつもシコってんな」

弓那にクソギツネ呼ばわりされコンゼノアには呆れられ酷い扱いの英紀。但し先述の通り自業自得である。
それは英紀自身も理解していたしそれに。

「何か服、調達しなくて良いの? 裸じゃ防御力が心配よ」
「そうだよ。せめて下だけでも……」

先程とは打って変わり英紀を気遣う弓那とコンゼノア。
二人は心底から英紀を嫌悪している訳でも無く、その事に英紀も気付いていた。
それ故に多少は反抗すれど酷い扱いを受けても英紀は怒りはしなかった。

「心配してくれてありがとう。でも大丈夫だよ」

英紀は、いやらしい淫靡なものでは無い、純粋な微笑みを浮かべ二人に言う。

「そう……」
「うーん、分かった」

弓那とコンゼノアはそれ以上英紀に服を着るようには言わなかった。
この時の彼女達の心中はと言うと。

(いや服着ろよこの変態淫乱キツネ……チ*コブラブラさせて外歩いて平気とかどんだけだよコイツ!)
(何その拘り!? 何でそんな服着たくないの! そんなに露出がしたいの!?)

弓那、コンゼノア共に英紀の「裸で居たい」と言う意味不明な拘りに呆れ果てていた。
呆れ果ててはいたが彼の鋼の意思も感じ取っておりもうこれ以上着衣の要求をした所で徒労に終わると判断、
表面上は英紀の意思を受け入れて平静であるように装っていた。

◆◆◆

有翼の混血半獣人の女性・ザスキアと淫乱変態犬女の末盛眸美。
しばらく民家の中に留まり、腹ごしらえ等を行っていた。

「私は思うんだがヒトミ。チキンラーメンとお徳用ラーメンは似て非なる物だと」
「ああ、それは何となく分かる気がする」

出会った当初に比べ二人の間の緊張感はやや薄らいでいた。多少の日常会話はこなすようになる。
しかし関係は決して対等では無い事を眸美は理解していた、それ故に不用意な事は言わないように気を付けている。
口を滑らせて失礼な事を言ってザスキアの機嫌を損ねれば命に関わりかねない。
一方のザスキアは別に眸美の一挙手一投足をそこまで念入りに監視していた訳では無いのだが。

「……む」
「え、どうかした?」
「誰か居るな、外に……」
「本当?」

234さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU 2016/05/23(月) 14:01:43.83ID:mFXQlSrB
外に気配を感じたザスキアは窓に寄ってカーテンの隙間から外を見る。眸美も続いた。
するとザスキアの言う通り、外の畑地帯の農業用道路を、一人の獣人の少女が歩いているのが見えた。
遠目からもはっきり分かる程、少女は血塗れで、大きな怪我をしていると思われる。
手にはクロスボウを持っていた。

「どうする? ザスキア」
「見た所手負いのようだが……」

少女は遠目から見ても酷い怪我をしている事は明らかで、ならばわざわざ始末しなくてもその内に死に至るだろうとザスキアは考える。
一方の眸美はザスキアがどのような判断を下そうと反論する気は無かったが、負傷し彷徨っている狼少女に、
見ず知らずの存在とは言え少なからず同情の気持ちが有った。

「あいつは放っておいても問題無いだろう」
「そっか……」

放っておく、と言うザスキアの言葉に眸美は内心安堵した。だが。

「あれ、でもザスキア……あの子、こっちに来るっぽいんだけど」
「えっ、来んの?」

少女はふらつきながらもザスキアと眸美の隠れている民家の方へ歩いてくる。
このまま行けば確実に鉢合わせとなる。

「来るか、なら仕方無い。殺そう」
「殺すんだやっぱ……」
「文句が有るのか?」

マルティニ・ヘンリー銃の銃口をちらつかせ眸美を脅すザスキア。眸美は「そう言う訳じゃない」と全力で否定する。

「そうか、文句では無いのなら良いんだ……私が殺る。眸美、事が済むまでお前は隠れていろ」
「はい」

眸美に適当に身を潜めるよう指示し、ザスキアは玄関付近にて少女を待ち構えた。
暫くして、玄関の引き戸のガラス越しに、少女の姿が映る。狼の獣人のようだ。
ガララ、と引き戸が開き狼少女が家の中に入る。

「お邪魔しまーす……誰も、居ない?」

恐る恐ると言った様子で確認する少女。
ザスキアがすぐ近くに居る事には気付いていないようだ。
一気に決めてしまおう――――ザスキアは物陰から飛び出し、マルティニ・ヘンリー銃を狼の少女に向けて構えた。

「あっ……!?」

驚き目を見開く少女。直後、銃声が響いた。

ダァン!!

その銃声を聞いた、別室に隠れている眸美は身体をビクンと震わせる。

(あの子が撃たれた……)

さっきまで生きていた少女はほぼ間違い無く今の銃撃で斃れたであろう。ごめんなさい、どうか恨まないで下さいと眸美は心の中で詫びた。
部屋で体育座りをして、恐らく少女の所持品を漁ってからザスキアが自分に声を掛けるであろうからそれを眸美待っていた。
だが。

235さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU 2016/05/23(月) 14:02:19.47ID:mFXQlSrB
「なっ!? お前何で生きて……ぐああ!!」
「え!?」

ザスキアの悲鳴が眸美の耳に届く。
何かが床に倒される音、その直後、酷く鈍い音が響いた。

「がぁ、あ゛! ヤ、メ、ギャッ! ァ! ごぁ、あ゛あ……ア」
「え? え?」

鈍い音が何度も何度も響く。ザスキアの悲鳴が断続的に続いていたがやがて、聞こえなくなってしまった。
ザスキアの声が止んだ後も、暫く鈍い音は響いていたが、やがてそれも止んだ。

「……っ……」

静寂。ただ静寂。
何が起きたのか、眸美は確認しに行く勇気は無い。
ただ、何とか把握出来るのはザスキアが何者かに「やられた」事。

誰に?

(に、逃げなきゃ)

眸美は自分の荷物を持って、震えながら立ち上がる。
今すぐこの場から逃げなければ。そうしなければ自分の身に災いが降り注ぐ。確固たる理由は無いが、本能的に眸美はそう思った。
ザスキアの生死など気にする余裕は全く無い。
逃げなければ。逃げなければ。眸美の心臓は異様な速さで脈打ち始めていた。

「オイ」
「――!!」

背後からドスの利いた少女の声で声を掛けられ、眸美は止まった。そしてゆっくり振り向いた。

胸元に穴が空いた狼の少女が眸美を睨んで立っていた。
その双眸に籠るは殺意と憎悪。彼女の手にはザスキアが持っていた筈のライフルが握られ、ストックの部分が赤く染まっている。
それを見て、眸美はザスキアがどうなったのかを悟る事が出来た。

「仲間?」
「は?」
「おまえ、さっきの女の、仲間?」

「さっきの女」とはザスキアの事に違い無い。
そして彼女はザスキアを明確な殺意を持って手に掛けた――もっとも先に仕掛けたのはザスキアだが――自分は確かにザスキアの仲間と言うか隷属していた。
それを正直に言えば良いのか? 言えば丸く収まるのか――そんな事は有り得ない、と、恐怖で震えながら眸美はどうにか思考回路を巡らせる。
なら取るべき選択肢は一つ。

「ち、違う、よ」

嘘を吐いた。こうしなければ、確実に死の運命が決定してしまうと眸美は踏んだのだ。

「……」

狼少女は黙る。
その沈黙の間が眸美はとても嫌だった。頼むから信じてくれ、殺さないでくれと、内股になり涙を滲ませ、震えて失禁しかけながら、心の中で願い続ける。
そして狼少女は。

「そう……」

肯定の言葉を吐いた。
直後に、床に倒れてしまった。
今度こそ死んだのかと眸美は思ったが、どうやら気絶しているだけのようだ。

236さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU 2016/05/23(月) 14:02:49.29ID:mFXQlSrB
「……ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……!」

緊張から開放され、その場にへたり込んでしまう眸美。未だ心臓の鼓動は激しく収まっていない。
今まで絶頂に達した時に心臓の鼓動が急加速した事は幾度も有れど今回のは全く異質。
一歩間違えれば今ここに生きてはいなかった筈。

「に、逃げよう」

もう一刻も早く、狼の少女から離れ、この家からも離れて安全な場所を見付けたかった。
何故狼少女が胸を撃たれ生きているのか、気にはなったが今それを追求するつもりなど全く無い。
もうザスキアの事などどうでも良い、先の狼少女の憎悪と殺意に当てられ、自分の生命を最優先としなければと言う思いで一杯。

自分の荷物を引っ提げて部屋の窓から外に飛び出し、眸美は足早に民家を後にした。

ほんの少しだけ尿が漏れ出していた事には眸美は気付いていなかった。

◆◆◆

銃声がどこかから響く。もっともこの殺し合いが始まってからどこかから銃声が響くなど当たり前の事なので三人共別に驚きもしない。
ただ今の銃声は比較的近くから鳴り響いたようであった。

「今の銃声、ちょっと近くなかった?」
「近かったような気がする……」
「近くで戦闘でも起きたのかな……?」

銃声についてそれぞれコメントする弓那、コンゼノア、英紀。
近隣で戦闘が起きている可能性も有る為、辺りに注意しつつ進む。
そしてとある民家の前を通りかかった時、三人はその民家の玄関が開けっ放しになっている事に気付いた。
気になる物が有った為、三人はその民家へと入って行く。
そして玄関先にて、頭部を何度も殴打されて惨殺された有翼の半獣人の女性の死体が転がっているのを見付ける。
濃密な血の臭いが漂っていた。

「うっぷ」

その血の臭いに耐え切れず吐き気を催す英紀。
弓那とコンゼノアは吐き気を催すには至らなかったものの酷い殺され方をした死体に気分を悪くする。

「殴り殺されたのね、酷い……」
「まだ殺されてからそう時間は経って無いみたい……さっきの銃声と関係が有るのかな?」

気の毒に思うコンゼノアの傍で弓那は死体がまだ殺されて間も無い様子である事から先程の銃声との関連性を推測する。
血の跡が点々と続いていたとある部屋に移動するともう一人倒れていた。
弓那とは違う学校の制服に身を包んだ狼の少女。こちらも血塗れで、胸元と首に傷が有り特に胸元が酷い損傷具合であったがまだ息は有り気絶しているだけのようだった。
彼女の傍にはストックが血塗れのライフルらしき物が落ちている。

「う、うう……」
「あ、気が付いた?」

狼の少女が意識を取り戻す。

「私は……ああ、そうだ、また……て、あれ? 貴方達は……」
「安心して。私達は殺し合う気は全く無いから。酷い怪我だけど、喋っても平気?」
「痛……うん、痛いけど何とかね。傷も暫くすれば治るから……」
「そうは言っても手当てが必要ね、コンゼノア。何か手当て出来る物、探してきてくれる?」
「分かった」
「英紀は見張りお願い」
「オーケー」

237さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU 2016/05/23(月) 14:04:26.74ID:mFXQlSrB
弓那の指示を受け自分の仕事をするコンゼノアと英紀。

「私、大木弓那。ちょっとずつで良いから何が有ったのか聞かせて貰えるかな? ええと……」
「藤堂リフィア。分かったわ……大木さん」
「弓那で良いよ」
「そっか……私も、リフィアで良いよ」

リフィアを手当てすると共に、弓那はここで何が起きたのか話を聞く事にした。

◆◆◆

謎の砲撃を受けながらも奇跡的に軽傷で済んだ黒狐女憲兵山津有岐。
半壊し最早身を潜めるのには適さなくなった民家を出発し田園地帯を歩いていた。

(誰か、居る……)

前方数百メートル程先に、有岐は三人の参加者を発見する。
赤っぽいブレザーを着た黒髪の少女、露出の多いボンテージ風の格好をした兎のような獣人の女性、そして何故かほぼ全裸の狐の男性。
何故狐は全裸なのかは一先ず置いておき、有岐が注目したのは狐の持っているロケット砲らしき物。
旧ソ連製のRPG-7と思われた。

(さっきの砲撃はまさか……)

先程自分を襲った砲撃は狐の男の手による物では無いかと有岐は疑う。
あのような代物がそう大勢に支給されているとも考えにくく、あの狐の男は自分が隠れていて尚且つ砲撃された民家からそう離れていない場所に居た。
可能性は高い、と有岐は見る。自分があの民家に隠れていた事を分かっていたのかそれとも否なのかは分からないが。

(私を砲撃したのはあの狐の男、ほぼ間違い無い……別に違うとしても、あんな物騒な代物持っている奴は、早めに潰しておくのが無難よね)

狐の男を砲撃の下手人と断定し――実際それは正しいのだが――有岐は狐の男を含む三人を尾行し始める。
少女と女性には恨みは無いが、有岐の最終目標である優勝狙いの性質上、見逃すつもりは無かった。
例え狐の男が砲撃の犯人で無かったとしても、それならば通常の索敵として男を含む三人を標的にするつもりであった。

途中、銃声がどこかから響いた。
比較的近くからだったが、目に見える範囲での銃撃では無かったようで、一旦動きを止めた三人も有岐もすぐに行動を再開する。

三人はとある民家の中へと入って行った。
門柱付近で有岐は一度止まり、思考する。
一度に三人を相手にするのは厳しいが狭い室内で一人ずつ潰していけばこちらにも分が有る。

(なら裏口から……)

有岐は裏口が有ると思われる場所へ慎重に回り込む。

◆◆◆

「うーん、救急箱とか無いかな……」

弓那に言われた通り、狼少女を手当てする為の道具を探すコンゼノア。

「以外と見付からないもんね……最悪布を鋏で切って包帯の代わりにするしか……ん?」

コンゼノアは背後に人の気配を感じた。
弓那か? 英紀か?
少なくとも彼女はその二人のどちらかであると思っていた。
そして振り向く。

238さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU 2016/05/23(月) 14:05:52.76ID:mFXQlSrB
コンゼノアの胸元に刀身が突き刺さる。
身体を貫通し、背中から血塗れの刃が飛び出した。

「……がはっ……だ、誰……」

吐血しながら誰何するコンゼノア。
見知らぬ黒狐の女性だった。黒い制服に身を包み、左腕には白い腕章。そこには赤い文字で「憲兵 -MP-」と書かれていた。

「貴方に、恨みは無いけどね、ごめん」

黒狐女性はそれだけ言うと、コンゼノアの身体から刃を引き抜き、次の瞬間、刀を薙いで、コンゼノアの首を斬り飛ばした。
宙を舞い、畳の上に転がるコンゼノアの首。血飛沫は天井まで汚し、首を失ったコンゼノアの肉体は崩れ落ちた。

(……こんなあっさり……終わるなんて……弓那……英紀……逃げ……て……)

微かに残り、そして消えて行く意識の中、コンゼノアは仲間二人の身を案じた。

◆◆◆

リフィアから一通りの経緯を聞く弓那。

「かなり壮絶ね……その半裸の犬の女ってのは、多分逃げたんじゃない? 私達が来た時にはそんなの居なかったし」
「そう……でも、逃げてくれて良かったかも……勢いで殺してしまいそうだったから……」
「貴方、不死体質?」
「うん、で、復活すると一時的に凄く凶暴になっちゃうの。いや、それでも人を殺して良いなんて理由にはならないってのは分かってるんだけど……」
「責めるつもりなんか全然無いから大丈夫よ。こんな状況だし、そもそも殺した二人が先に仕掛けてきたんだから」
「あ、ありがとう……」

罪悪感を感じるリフィアを弓那は気遣った。
リフィアも「人殺し」と罵られ拒絶されるのではと恐れていたが、そうはならず安堵した。

「私も英紀もコンゼノアも殺し合いには乗ってないから。何なら仲間にならない?」
「良いの?」
「全然。それじゃ宜しく……にしても、コンゼノアまだかな」

手当ての道具を探しに行かせたコンゼノアの帰りが遅い事に弓那は不審がった。
それ程広くは無いこの民家でそこまで探すのに時間が掛かるのだろうかと。
一方、見張りを命ぜられた英紀は玄関先でその任に着いていた。有翼女性の死体が気になったが片付けるのも億劫だったので我慢する。

「正面だけ見張ってても見張りとして成立しないと思うけど……僕一人じゃこれが精一杯だよね……精が一杯……いやらしい」

下らない独り言を言いながら見張りを続けていた。
すると、廊下の曲がり角の向こうから足音が近付いてくるのが聞こえた。
コンゼノアが戻ってきたのかと英紀は思い、声を掛ける。

「コンゼノア?」

だが返事は無く、代わりに曲がり角から足音の主が姿を現した。
それはコンゼノアでは無く、黒い憲兵の制服を着た黒狐の若い女性。右手には刀を、左手にはコンゼノアが持っていた筈のサブマシンガンが握られている。
制服は何やら汚れてボロボロになっていた。

「!? 誰!?」
「どうしたの英紀……え? だ、誰よ貴方!?」

見知らぬ人物の登場に驚く英紀と、英紀の声を聞き部屋から顔を出した弓那の二人が揃って狐女性に誰何する。
リフィアもまた弓那同様部屋から顔を出して、その狐女憲兵を確認した。

239 ◆ymCx/I3enU 2016/05/23(月) 14:07:28.72ID:mFXQlSrB
連投規制かかりそうなのでここで一度止めます
今日夜勤なので帰ってきてから続きをば(深夜1時以降)

投下したい方居れば投下して頂いて結構です

240 ◆ymCx/I3enU 2016/05/24(火) 03:17:30.41ID:Hb7yWbhy
続き投下します

241さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU 2016/05/24(火) 03:18:13.34ID:Hb7yWbhy
「その銃はコンゼノアの……どうして持ってる!? まさか……」
「彼女は殺した」
「!」

コンゼノアを殺したと言う狐女憲兵。刀には、恐らく拭き残しと思われる血糊が僅かに付着し、彼女の顔や、衣服にも血飛沫の跡が見て取れた。
淡々とした口調からも、虚言では無い事は明らか。

「よくも……!」

珍しく怒りを露にする英紀。それに対し狐女憲兵は尚も淡々とした口調で述べる。

「英紀、さん? って言うの。貴方に聞きたいのだけど」
「え?」
「私、とある民家に隠れていたら、どこかから砲撃されて死にかけたの」
「……」

それを聞いた途端、英紀と弓那が硬直する。何の事か分からぬリフィアは二人の様子に少し困惑した。
狐女憲兵が見舞われた砲撃は、十中八九先刻の英紀のRPG-7暴発による物であろう。
彼女は自分を死に至らしめかねない事をしてくれた砲撃の主に復讐しようとしていてその砲撃犯として英紀を疑っているのだ。
実際、砲撃は、故意では無いにしろ英紀の手による物だった。それは揺るぎ無い事実である。
だがそれを正直に言えば、間違い無く英紀の命運は尽きるであろう。

「心当たりは、無い? 英紀さん」
「……あ、あー……」

答えに窮する英紀。
確かに被害をもたらしてしまった事は申し訳無く思ったが、まだ死にたくは無い。
何とかこの場を穏便に切り抜けられる方法を、普段淫らな事しか考えないその脳みそで必死に彼は考えた。

「憲兵さんその人です」
「……ふぁ?」

突如聞こえた弓那の台詞が余りにも信じ難い物だったので変な声が出てしまった。
英紀は弓那とリフィアの方に向き直る。二人はとても無感情な目をしていた。

「憲兵さんを殺しかけたのはその変態クソギツネです」
「……ちょ、弓那」
「ごめんね英紀。短い間だったけどありがとうさようなら」
「貴方の犠牲を無駄にはしませんから」

それだけ言い残して弓那とリフィアは部屋に引っ込み、程無くして遠ざかって行く足音が聞こえた。

無言でサブマシンガンを構える狐女憲兵。

「……違うんです、違うの、わざとやったんじゃないんです、ちょっと、持ってみたらうっかり引き金引いちゃって、
決して貴方の事を殺そうとした訳じゃないんです、ですからどうかどうか、話せば、話せば分か――――」
「問答は無用と存じます」

ダダダダダダッ、とサブマシンガンが火を噴いて、英紀の身体を穴だらけにした。
白と黄色の毛並みが赤く染まり、口から大量の血が溢れ、英紀は壁にもたれそのまま崩れ落ちる。
せめて一回位掘られたかったな、そして見捨てるなんて酷すぎるけどどうか弓那ともう一人、確かリフィアだったけ、二人共生き残ってくれ――――。
遠のく意識の中、英紀は死ぬ前に一度もまぐわいを行えなかった事への無念を噛み締めると共に、
自分を人身御供にして逃げて行った二人へ恨むような事もせず、その行き先に幸運多からん事を祈った。

一方の弓那とリフィアは窓から飛び出し家の敷地を出ると農作業用の道路を走った。
リフィアは重傷であったが、走れる位には治癒していた。ご都合主義とか言わない。

242さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU 2016/05/24(火) 03:18:53.78ID:Hb7yWbhy
「とにかく離れよう。英紀の犠牲を無駄にしちゃ駄目。あとコンゼノアも」
「生きねば!」

コンゼノアはともかく英紀を人身御供にしておいて実に都合の良い事を言う二人であった。

そして取り敢えず復讐を完遂した狐女憲兵――山津有岐。
他の二人には逃げられたようだが、現時点では気にする必要も有るまい。
それにしてもこの男は何故全裸なのだろうかと有岐は思ったが本人を殺してしまった以上もう理由は聞けないしそこまで徹底的に追求するつもりも無い。
自分を殺しかけたロケット砲、RPG-7と予備の弾薬、及び玄関に転がっていた女性の死体を漁り弾薬と、
恐らくそれに対応すると思われるストックが血塗れになった旧式の単発ライフルを入手する。
一気に増えた武装をデイパックに詰め込んで行く。改めてデイパックの構造の特異性を有岐は思い知らされた。
いくら物を入れても満杯にならず重さも一定、まるでどこかの猫型ロボットのポケットのようだと。

「一体どういう仕組みなんだろうこのデイパック……まあ、良いか……一先ず、復讐は終わったから……これからどうしよう」

まとめた荷物を持ち、玄関を出て家の正門へと向かいながら有岐はこれからの行動を思案する。

◆◆◆

一人となった眸美は畑地帯と市街地を隔てる林の中に有る古いトタン板の倉庫の中に隠れていた。
体育座りの体勢で震えている。剥き出しの尻に、苔生した土の地面はとてもひんやりとして気持ち悪いが気にして居られない。
恐ろしい物を見てしまったと眸美は先刻、ザスキアを殺したあの狼少女の事を思い浮かべる。
明らかに致命傷と思われる酷い傷を負わされていたのに身動きが取れていたあの子は一体何者だろうか。
思い出すだけで背筋に悪寒が走るあの凄まじいまでの憎悪と憤怒を湛えた双眸は当分いや恐らく一生忘れる事は出来まい。

「もう、あの子には会いたくない……」

願わくば、あの狼少女には二度と出会わぬ事を眸美は切に願った。
その後、気を紛らわせようと思い、秘部をまさぐり自分を慰めようとしたが今ひとつ気が乗り切れず、すぐ断念して大人しくじっとしていた。


【ザスキア・フェルカー  死亡】
【コンゼノア  死亡】
【隠塚英紀  死亡】
【残り37人】

243さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU 2016/05/24(火) 03:19:22.85ID:Hb7yWbhy
【午前/C-6畑地帯野田家周辺】
【大木弓那】
状態:健康
装備:特殊警棒
持物:基本支給品一式
現状:殺し合う気は無い。黒牙の捜索。リフィアと一緒にどこか安全そうな所を目指す。
備考:レカ、山津有岐の容姿のみ記憶、危険人物と判断。
また藤堂リフィアより布川小春と末盛眸美(名前未確認)の情報を得る。

【藤堂リフィア】
状態:首に矢傷(治りかけ)、胸元に貫通銃創(命に別状無し)、少しだけ貧血気味、血塗れ
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品、競技用クロスボウ(0/1)、クロスボウの矢(9)
現状:殺し合いには乗らない。但し襲われたらそれなりに対処はする。弓那と一緒にどこか安全そうな所を目指す。
備考:布川小春の事が少し心配。山津有岐の容姿のみ記憶、危険人物と判断。末盛眸美の容姿のみ記憶。こちらは今の所保留。


【午前/C-5、C-6境界線付近の林の中に有るバラック倉庫】
【末盛眸美】
状態:疲労(中)、精神的ショック(中)、少し失禁
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:殺し合いはしたくない。死にたくない。
備考:藤堂リフィア(名前未確認)を危険人物と判断。もう二度と会いたく無いと思っている。


【午前/C-6畑地帯野田家】
【山津有岐】
状態:身体のあちこちに裂傷と軽い火傷、服が部分的に焦げている、返り血(少)
装備:直刀
持物:基本支給品一式、IMIミニウージー(12/32)、ミニウージーのマガジン(5)、マルティニ・ヘンリー銃(0/1、ストック血塗れ)、
.577/450マルティニ・ヘンリー弾(10)、USSR RPG-7(1/1)、85mmロケット弾(2)
現状:殺し合いに乗り優勝を目指す。これからどうする?
備考:大木弓那、藤堂リフィアの容姿のみ記憶。今の所二人を追うつもりは無い。

244 ◆ymCx/I3enU 2016/05/24(火) 03:20:58.50ID:Hb7yWbhy
投下終了です
クソ長くなった、はっきり分かんだね
しかしこんなペースじゃいつ終わるか分からんなぁ

245 ◆ymCx/I3enU 2016/05/27(金) 02:38:19.06ID:ovDgSigW
保守点検

246 ◆ymCx/I3enU 2016/05/27(金) 13:22:10.73ID:ovDgSigW
投下します

247POWER&GLORY ◆ymCx/I3enU 2016/05/27(金) 13:22:54.29ID:ovDgSigW
35話 POWER&GLORY

「むぅ」

ホテル一階廊下に有る姿見で、松宮深澄は自分の首にはめられた首輪を観察していた。
非常に高度な技術で作られているのは分かるが、やはり分解でもして中身を見ない事には首輪が外せそうかどうかは分からない。
色々と推論してみてもやはり「首輪のサンプル」を入手しなければどうにもならないと深澄は思う。

「……伊藤と本庄は、乳繰り合いでもしてるんだろうか」

一方の深澄の同行者となっていた竜人少年本庄忠朝とバニーガール伊藤文子は深澄の予想通りホテル一階のラウンジにて乳繰り合っていた。

「ハァハァ、忠朝君もう私我慢出来ない……お願い、ね?」
「でもこんな所で……ラウンジでなんて……恥ずかしい」
「誰も居ないから大丈夫よ……松宮さんも離れてるしぃ……ハァハァ……」

息を荒くして顔を赤らめながらズボンの上から忠朝の隆起した股間をさする文子。
忠朝もまた文子の胸元の衣装を肌蹴させて柔らかい乳房を揉む。
本気で事に及ぶのも時間の問題と思われていた。だが闖入者が現れる。
ラウンジの外の庭へ続く扉が開き、薄汚れた巨躯の犬が入ってきた。
涎を垂らし、息を荒くし、焦点の定まらない目を、金髪のバニーガールに向ける。
オス犬――タローはホテルに近付いた時、微かに人間の女の発情したニオイを嗅ぎ付け、それを辿って来たのだ。

「おんなの、この、×××のニオイぃ……ハッハッハッハッ」
「えっ……誰……うあ!?」
「どうしたの忠朝君……ひっ!? 何この犬! いつの間に?」

突然現れた汚いオス犬に驚く二人。とにかく汚く毛皮もボサボサで少し離れていても分かる程の異臭を放っていた。
そして股間にぶら下がる、恐らく何らかの病気を抱えているのであろうイボだらけの逸物にも気付き二人共嫌悪感が増す。

「うさぎのねーちゃんん、ヤろぉ!!」
「え、私!? い、嫌だ!」

タローは文子に狙いを定め飛びかかろうとする。
拒絶する文子。この汚い犬に犯されるような事になれば確実に何らかの病気を移されてしまう。
それ以前に忠朝以外の男やオスに犯されるなど断固として拒否すべき事。

「おいやめろ! 伊藤さんに手を出すな!」

忠朝が文子の前に躍り出て彼女を庇う。先程までの快感に蕩けていた表情とは打って変わって大切な女性を守ろうとする少年の顔になっていた。

「ジャマスンナ!!」
「おふっ」

しかしあっさりタローの体当たりを食らい気絶させられてしまう。
いかんせん彼は弱かった。

「忠朝君! ああん弱過ぎるよぉ……って、嫌ああ! 松宮さーん! 松宮さーん助けてぇ!」
「はうぅウ、良いニオイ〜」
「ぎゃあああああ! 病気になるから駄目〜!」

自分にのしかかろうとするオス犬を涙目になりながら文子は必死に振り払おうとしたがオス犬の方が力が強い。
ビリビリと衣装を破かれほとんど裸にされた挙句、後ろからホールドされ万事休すに。

「だ、駄目っ、あ、ああーーーーーーー! あああーーーーー!」

ラウンジに悲痛な叫びが響き、その後犬の荒い息遣いと女の喘ぎと嗚咽の混じった声が聞こえるようになった。

悲鳴を聞き付けた深澄が到着した時にはもう、事は終わっており、満足そうな表情を浮かべたタローは瘤の膨らみ切ったそれを文子から引き抜いて後始末し、
文子は四つん這いでそこから黄ばんだ犬汁を垂れながしながらさめざめと泣いていた。そして忠朝はまだ伸びたままであった。

248POWER&GLORY ◆ymCx/I3enU 2016/05/27(金) 13:23:36.15ID:ovDgSigW
「あー、大丈夫か伊藤」
「全然……臭いし汚いし……忠朝君以外嫌なのに……イっちゃった……って言うか、病気になっちゃった……絶対……うっ、うっ」
「取り敢えず、身体を洗った方が良い……お前は何なんだ」

異臭に鼻を塞ぎながら深澄はタローに誰何する。

「俺、タロー……ハッハッ、俺ね……」

タローが深澄に自分の名前を述べて捜している小春の事を聞こうとした辺り。
何かが床にバウンドして忠朝の腹の上に落ちた。その衝撃で忠朝はようやく気絶から目を覚ます。だが数秒後、彼の意識は閃光と爆音と共に再び途絶える。
そして二度と目覚める事は無かった。

大爆発がラウンジを破壊する。
ガラスは粉々に砕け天井板が剥がれ落ち、テーブルや椅子、ソファーが吹き飛ばされた。
爆心地の忠朝は悲鳴を上げる間も無く四散し肉片となり、すぐ傍に居た文子も身体の半分以上をミンチに転じ即死した。
深澄とタローはどうなったか? 結論から言うと二人共辛うじて難を逃れた。

「ぐぅ……」
「イってェ……」

軽傷と、爆音で一時的に聴力が低下しつつも、爆心地から離れた所で起き上がる二人。
深澄は忠朝の腹の上に落ちた物が何であるかをすぐに理解し回避行動を取った。
タローもまた本能的に危険を感じ取り忠朝から離れたのだ。

「手榴弾か……? 誰が……いや、それより逃げるべきだな」

誰の仕業か分からないが明確な殺意を持っている事は明らかだ。手榴弾相手では分が悪く今現在の自分は戦うには危険である。
逃げるべきだと判断し動こうとした深澄の視界に有る物が映る。

「あれは」

それは血塗れの首輪。恐らく忠朝の物であろう。
身体が爆発でバラバラになり首輪が外れたらしかった。
またと無い好機と見た深澄はその首輪を掴み取り、傷の痛みを堪えながら出口へと走った。
その背中をタローも追い掛けて行った。
深澄を犯そうなどと思った訳では無く、逃げようとしたら深澄が逃げて行くのが見えたので何となく後を追ったと言うだけであった。

◆◆◆

爆撃を行った張本人、黒豹の女性北宇智恭世。煙が収まるのを待ってから爆心地に足を運ぶ。

「うわっ……」

先刻一人を爆殺した時と同様、天井板や床材、調度品の残骸等に混じり血糊と肉片が飛び散っている。
それら肉片は狙った四人の内の一人の竜人少年の成れの果てであろう。
もう一人、ホテル周辺で出会ったあの汚いオス犬に哀れにも強姦されていた様子の金髪のバニーガールもまた、竜人少年に比較すればまだ原型を留めていたが、
身体の半分以上はミンチとなって内臓が飛び散る有様。内臓特有の異臭が鼻を突き、恭世は顔を顰める。
二人の物と思われる、外側だけボロボロになったデイパックを拾い上げ、恭世は一度ラウンジから出た。
他の二人、女憲兵とオス犬は逃げたらしい。だが二人仕留められただけでも十分。

「死んだ二人の持物は……何これ、モンキーレンチに麻酔薬? あんま良いの持ってないわね……」

殺した二人からは大した戦利品は得られず不満顔の恭世。
仕方無しと諦めてモンキーレンチと麻酔薬を自分のデイパックに突っ込んだ。

最初に一人を殺した時と比較しても、明らかに殺人への抵抗感は薄くなっていた。

◆◆◆

249POWER&GLORY ◆ymCx/I3enU 2016/05/27(金) 13:24:10.49ID:ovDgSigW
ホテルから離れた深澄。
折角得た仲間を二人共失う羽目になったが、首輪のサンプルを入手出来た事は不幸中の幸いと言うべきか。
ただ、些か厄介な事になっていた。
ホテルで文子を犯した汚いオス犬のタローが何故かついてきていた。

「お前どうしてついてくる?」
「何となく〜」

タローはと言うと、特に理由も無く深澄についてきていただけだった。
だが、深澄が取り敢えず市街地を目指そうとしているのに対し、どうもタローも同様に市街地に行こうとしているようだった。
深澄はすぐにでも追い払いたかったが、うっかりタローの身体に触れてしまうのを恐れ出来ない。それ程までにタローの身体は触るのが憚られる汚さ。

「余り私に近付くな。妙な真似をしたら殺すぞ」
「アンタは、何かヤる気が起こらなイよぅ」
「……」

先程の文子への仕打ちから自分を性的に襲うつもりでは無いかと深澄はタローに対し警戒し威圧していたが、
タローはそのような気は彼にしては珍しく全く無い。深澄もまた文子並に美女なのであるが、どうにもタローの食指は動かなかった。
取り敢えず今現在、タローは自分をどうこうする気は無いらしいと深澄は判断し、臭いさえ我慢すればさして邪魔にもならないであろうから放置する事にする。

「……行くか……言っておくが何が有ってもお前を助けたりはしない」
「うぅーきらわれてるぅ」

深澄とタローは共に市街地を目指す事となった。

(しかし「ヤる気が起こらない」とは私には女としての魅力が無いと言う事か……? いや、何考えてるんだ……私……)

心の中でタローが自分に言った一言が少し気になってしまっている割と乙女な深澄であった。


【本庄忠朝  死亡】
【伊藤文子  死亡】
【残り35人】


【午前/E-2ホテルへの道路】
【松宮深澄】
状態:身体中に軽い裂傷及び軽いダメージ、一時的に聴力低下(回復中)
装備:サバイバルナイフ
持物:基本支給品一式、本庄忠朝の首輪
現状:殺し合いからの脱出手段を探す。首輪を解析したい。タローには警戒。
備考:伊藤文子と本庄忠朝には山津有岐と言う部下がこの殺し合いに呼ばれている事しか話していない。
爆撃の犯人(北宇智恭世)の姿は把握していない。

【タロー】
状態:身体中に軽い裂傷及び軽いダメージ、一時的に聴力低下(回復中)
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:コハル(布川小春)と会いたい。もっと交尾したい。女憲兵(松宮深澄)と一緒に行く。
備考:長嶺和歌子、ウラジーミル・コスイギン、北宇智恭世の外見のみ記憶。
爆撃の犯人(北宇智恭世)の姿は把握していない。松宮深澄には欲情しない(出来ない?)様子。


【午前/E-2ホテル一階】
【北宇智恭世】
状態:健康
装備:九八式柄付手榴弾(3)
持物:基本支給品一式、小学生用彫刻刀セット、モンキーレンチ、麻酔薬
現状:殺し合いに乗り優勝を目指す。もっと武器が欲しい。犬(タロー)は次会ったら始末する。 これからどうしようか……。
備考:タロー、松宮深澄の外見のみ記憶。コハル(布川小春)がタローの知人である事を知った。

250 ◆ymCx/I3enU 2016/05/27(金) 13:25:01.12ID:ovDgSigW
投下終了です
どんどん脱落させて行くよ!

251 ◆ymCx/I3enU 2016/05/30(月) 20:51:50.42ID:y2by0Ay3
保守

252 ◆ymCx/I3enU 2016/06/02(木) 00:57:05.72ID:4Per+zlj
ほ、保守で

253 ◆ymCx/I3enU 2016/06/04(土) 04:28:56.96ID:1e7tyWHk
保守ゥ…

254 ◆ymCx/I3enU 2016/06/06(月) 22:43:11.66ID:yxV0hCT/
保守 進まない

255 ◆ymCx/I3enU 2016/06/07(火) 19:54:28.80ID:DxcQffEB
はいやっと出来た! 投下しやす
いつも以上に文章が汚いのはゆるして

36話 竜虎相打つ 〜邪心と悪心どちらが勝る?〜

市街地へと到達した獣竜の青年、鳴海竜也。
今の所誰とも遭遇していない。好みの美人の女性や可愛い女の子にも会って居ない。

「誰とも会わないなぁ、もう欲求不満」

愚痴を零しつつ、歩道を歩く。
片手に持った、先の武器屋から失敬したZB26軽機関銃が歩く度カチャカチャと無機質な音を鳴らす。

同じ頃、同じく市街地を歩く二人の参加者が居た。
桃髪の美少女、伊藤椿と、白虎獣人の青年、トロフィム。
二人もまた、学校にて出会い、一緒に行動するようになってから、誰とも出会っていない。特に椿は友人である修明院美宇を見つけ出すと言う目的が有る故、
誰とも遭遇しないと言う経過が友人がまだ生きているのかと言う不安を増大させる。

「時々どこかから銃声みたいなのは聞こえるけど誰とも会わないわね……」
「そうデスね……その代わり、危険ニも遭ってハいませんガ」

椿の言葉に、適当に返事をするトロフィム。彼女の同行者と言う立場を取って居るが、その実彼女を自分の生存の為に利用する気で居た。
そんな事は椿は知りはしなかったし、そのような素振りを見せて疑念を抱かせるようなへまはトロフィムはしない。

所変わって、一度どこかで休もうかと考え始める竜也。
しかし、とある曲がり角を曲がり、二人の参加者の後ろ姿を認め、休憩は延期する事にした。
と言うのも、片方は明らかに女性、それも横顔を見る限りかなりの美少女。制服の上からでも分かる程スタイルも良い。
ようやく好みの女性を見付けてテンションが上がる竜也、同行者と思しき虎を追い払うか始末してあの子を頂いてしまおうと、邪に考える。
しかし距離が離れておりこのまま機関銃で狙えば少女も巻き添えになってしまう。銃の扱いに関しては竜也は慣れていない。
なので背後から、虎だけをどうにか出来る距離まで一気に近付く事にした。

「誰だ?」

トロフィムが気配に気付き、軽機関銃を持った緑と白の獣竜を発見する。

竜也はあっさり発見されてしまった。当たり前やん。

「バレたか……」

しかし竜也は動揺する素振りは見せない。一応見付かった場合の事も考えてはいた。
と言うより、二人は見た所、強力な武装は持っておらず、見付かっても機関銃を持った自分の方が優勢だと信じていたのだ。

「動くな。そこの白虎! 命が惜しければその女の子をよこせ」
「はぁ!? 何それ……」

余裕綽々と言った様子で機関銃の銃口をトロフィムに向け竜也が要求した。
意味が分からないと言った表情の椿だったが、この獣竜青年が考えそうな事はすぐに察する事が出来、トロフィムに縋るような視線を送る。

「と、トロフィムさん」

頼むから自分を売らないでくれと、椿は目で訴えた。

「……フゥ」

トロフィムは小さく息を吐き、椿に後ろに下がっているように促すと、獣竜を見据えゆっくり歩き出した。

「え? おい、動くなってば!」

機関銃を向けて脅していれば問題無いと思い込んでいた竜也は白虎青年の予想外の行動に狼狽える。

「〈君は勘違いをしているな。こっちより強力な兵器を持って脅せば、思いのままに出来ると、自分の方が絶対に優位だと、そう思い込んでいるみたいだが〉」
「な、何? 何て言ってるんだ?」

ロシア語で口上を述べつつ、竜也との距離を詰めて行くトロフィム。日本語で喋らないのはこの男に配慮などは必要無いと思った為。
一方ロシア語など理解出来ない竜也はただただ困惑するばかり。

「〈そのような慢心は〉」

そしてトロフィムと竜也の距離が後5、6メートルと言う所まで差し掛かった時。
トロフィムは一瞬で竜也の懐に潜り込み、その右腕を掴んで背負い、アスファルトの上に叩き付けた。
ZB26を落とし、背中から固い地面に落とされ呼吸困難と激痛に襲われる竜也。
そこへトロフィムは右腕を竜也の背中に回しひねり上げると言う追い打ちを行う。

「ぎゃあああぁああぁあああ!!?」

竜也の悲鳴が木霊した。
ミシミシと骨が悲鳴を上げ、後少しで粉砕骨折と言う所まで、竜也の腕は捻じ曲げられた。

「〈こう言う悲惨な結果へと繋がる〉」
「うぎぃい!! 痛い痛いイタイ!! や、やめてぇえ! 折れる! 折れちゃうぅう!」

鮮やかとしか言い様の無いトロフィムの組み伏せに椿は呆然としていた。見とれてしまっていたとも言える。

「ドうします? 伊藤サン。こいつ、恐らく伊藤さんを犯ソうとしてイましたヨ。腕の一本デも、折ってオキまスか?」
「あぁぁあ! やめてくれぇ! ごめんなさい! 許してぇえ! 許して下さいぃ!!」
「え……えと……」

獣竜青年の処遇を委ねられる椿はしばし考える。
確かに性的に襲うつもりだったのだろうがトロフィムのおかげで未遂に終わった。それに、泣き叫び許しを乞うその様子を見て多少哀れに思えてきてしまった。
故に、椿は獣竜青年を処断出来ず。

「もう良いよ。トロフィムさんのおかげで何もされなかったし、放してあげて」
「良いんデスか?」

難色を示すトロフィムであったが、結局、椿の言う通りにして竜也を解放した。
苦痛から逃れられ、涙を流しながら捻られていた右腕をさする竜也。

「ううう……くそぉ……覚えてろよ!!」

捨て台詞を残し、ZB26を拾い上げて竜也は翼を羽ばたかせ飛び去って行った。

「あの様子でハ、反省してイないと思イますガね……始末シテおいた方が良かっタのデは?」
「う、うん……でも……目の前で誰か殺されるのを見るのは、嫌だったのよ」

例え自分に害を為そうとした相手でも目の前で泣き叫ばれるまま殺されてしまうのは耐え難い物が有った。
それが甘い考えである事など百も承知なのだが、椿はどうしてもその考えを捨てられない。

「優しいデスネ、伊藤さんは」
「はは……」

やれやれと言った様子のトロフィムに、椿は苦笑を向けた。

(〈全くお人好しな子だ。自分を犯そうとした奴を許してしまうなんて。まあ、だからこっちの事も信用させる事が出来るのだろうけど。
まあ、あんな男の為に利用価値の有る子を失うのも癪だからな〉)

トロフィムが椿を助けた理由は至って利己的なものだったのだが椿はそんな事に気付く由も無い。

一方、トロフィムから逃れた竜也は、二人からある程度離れた場所に有るビルの屋上に降り立つ。
捻られた腕がまだ痛んだ。骨にヒビが入っているのでは無かろうかと疑う程に。

「くそっ、あの白虎……! 次に会ったら絶対に殺してやる……!」

涙を浮かべ、牙を剥き出して竜也はトロフィムへの憎悪を口にした。


【午前/C-5市街地】
【伊藤椿】
状態:健康
装備:改造スタンガン(バッテリー残り100%)
持物:基本支給品一式
現状:死にたくない。殺し合いはしたくない。ミーウ(修明院美宇)と合流したい。トロフィムさんと行動する
備考:取り敢えずトロフィムは安全と結論付けましたが心のどこかでは少し不安に思っている。鳴海竜也の容姿のみ記憶し危険人物と判断。

【トロフィム・クルトィフ】
状態:健康
装備:ヌンチャク
持物:基本支給品一式
現状:自分の生存が第一。その為に利用出来る物は利用していく。伊藤椿と行動しいざと言う時は盾にする
備考:修明院美宇の事を伊藤椿から聞いている。鳴海竜也の容姿のみ記憶し危険人物と判断。


【午前/C-5市街地】
【鳴海竜也】
状態:右腕に痛み(骨に異常は無いもののしばらく痛みが引かない)、トロフィムへの憎悪
装備:調達したZB26(30/30)
持物:基本支給品一式、調達したZB26の弾倉(5)、調達した青龍刀、不明支給品
現状:優勝狙い。好みの女性は性的に食べたい。好みじゃない女性、用済みの女性、男は始末する。市街地へ向かう。
備考:伊藤椿の容姿のみ記憶。トロフィムは容姿と名前を記憶。トロフィムに逆恨みしている。

259 ◆ymCx/I3enU 2016/06/07(火) 19:56:40.31ID:DxcQffEB
投下終了です。

260 ◆ymCx/I3enU 2016/06/10(金) 22:02:47.80ID:qGR6F0Ca
保守

261 ◆ymCx/I3enU 2016/06/13(月) 23:02:56.08ID:UbjH0xnl
保守
ちゃうねん書いてはいるねん
でも他にもやりたい事いっぱいあるねん

262 ◆ymCx/I3enU 2016/06/17(金) 01:47:48.82ID:DelAm8l6
保守うううああああ!

263 ◆ymCx/I3enU 2016/06/19(日) 17:24:23.52ID:PQ4y8tC7
やっと出来たんで投下しやす

264武装確保 ◆ymCx/I3enU 2016/06/19(日) 17:24:51.44ID:PQ4y8tC7
37話 武装確保

展望台にて大崎年光は悔恨の念に駆られる。一人の少女を救う事が出来なかった為だ。
その少女は年光を誤解して逃走し、展望台に辿り着いたは良いが、最上階で邪な黒豹獣人の男に襲われその身を汚されてしまった。
年光は男に憤り立ち向かったは良いが、力の差は歴然としており、あっさり気絶させられてしまう。
そして意識を取り戻した時、少女は展望台から身を投げてその命を絶ってしまっていた。
年光は悔やみに悔やんだが、最早時は戻せない。

少女の物らしいデイパックが、切り刻まれた少女の衣服と共に放置されているのを見付け、年光は気が進まなかったものの中身を調べる。
すると基本支給品一式に混じって、催涙スプレーが3本出てきた。
これを使えば或いは少女も助かったかもしれないがそのような余裕も無かったのだろう、そう思うと年光はますます少女が気の毒でならなかった。

「ごめん、これ、使わせて貰うよ……」

少女に断り、年光は催涙スプレーを入手する。
自分の命の事も考えなければならない。ナイフしか武装らしい武装を持っておらず、少しでも生存確率を上げるには仕方が無い。
そうあっさり割り切れれば楽なのだが、年光は上手く割り切れなかった。

階段を下りて建物の外に出る。
そして、少女の亡骸の元に向かう。

「うっ……」

近くで見ると本当に惨い有様であった。
頭蓋骨が砕け中身が血と共に飛び散り辺りには何とも言えない刺激臭が漂っていた。
おまけに少女は直前まで性的暴行を受けていた為、全裸であの黒豹の体液があちこちにこびり付いてそれが悲惨さをより一層際立たせる。

(このままにしていきたくは無いけど、掛けてやれそうな布も無いし、穴を掘れそうな道具も無い……)

死体を放置しておきたくは無かった年光だったが、出来る事は何も無く、そのままにしておく他無かった。

「誤解させて、助けてやれなくてごめんな……あの黒豹野郎……次に会ったらタダじゃおかねぇ」

少女へ詫びると同時に、年光の中で黒豹の男への怒りが再燃していた。

……
……

265武装確保 ◆ymCx/I3enU 2016/06/19(日) 17:25:24.86ID:PQ4y8tC7
草原に敷かれた二車線の幹線道路の上を歩く年光。
アスファルトは最初にこの道路が建設されてから一度も補修されていないのか傷みが目立つ。
道路標識も潮風の影響か錆が目立った。

「ふぅ……」

年光の怒りは展望台を後にした時と比べれば大分収まっていた。

(最終目標はあくまでこの殺し合いから脱出する事だ……怒りで目標を見失うのはまずい)

心中で自分に言い聞かせる年光。
先程は黒豹の男への怒りから彼への制裁が第一目標のようになってしまっていたが、そうでは無く、あくまで第一の目標は殺し合いからの脱出だ。
感情的になり過ぎてそれを忘れてしまってはならないと戒めた。
ただ、黒豹の男への制裁を完全に思考の外にした訳でも無い。
少女の件も有るが自分への暴力の恨みも有る。

「ん? あれは……」

年光はある物を見付ける。灰色に塗装されたトタン板の壁の小さな建物。
看板には「武器店」と書かれており、どうやら地図上のC-3エリアに記載されている武器屋のようだった。
丁度良い、あそこで装備を整えよう――――年光は武器屋に向かう。
金など持っていないが咎める店主もおるまい。
ドアを開けて中に入ると様々な銃器や刀剣類、その他の武器が陳列されている。
欲張っても仕方が無いので、年光はその商品の中から自動拳銃P225と、散弾銃イサカM37を選び、
それぞれの予備のマガジンや弾薬も手に入れた。

「こんなもんか……」

装備を整えた年光は武器屋を出た。
その足は、市街地方面へ向かう。


【午前/C-3武器屋】
【大崎年光】
状態:顔面打撲、身体全体に痛み(行動に支障は無し)
装備:シグP225(8/8)
持物:基本支給品一式、コンバットナイフ、催涙スプレー(3)、P225の弾倉(3)、イサカM37(4/4)、12ゲージショットシェル(10)
現状:殺し合いには乗る気は無い。あの黒豹男(シャーガ)に次に会ったら制裁を加えるつもりでいる。市街地方面へ向かう。
備考:シャーガの外見のみ記憶し彼を危険人物と認定。


《支給品紹介》
【催涙スプレー】
支給者:籠彩愛
分類:補助
説明:暴漢や野生動物などに襲われた際に、噴射して怯ませその隙に逃げる為の護身用アイテム。

266 ◆ymCx/I3enU 2016/06/19(日) 17:26:14.21ID:PQ4y8tC7
投下終了です
何か、キャラの選定に失敗したような気がしてきたゾ

267創る名無しに見る名無し2016/06/21(火) 20:09:39.52ID:v7U7nv5T
投下乙です
大崎年光は怒りを抑えましたか……
武器も遠距離と近接備えて、順調そうですね

268 ◆ymCx/I3enU 2016/06/24(金) 20:17:44.40ID:S9oOZdBq
保守、そして感想どうもです

269 ◆ymCx/I3enU 2016/06/28(火) 09:35:44.90ID:FkvNhwcK
保守

270 ◆ymCx/I3enU 2016/06/29(水) 13:45:54.34ID:67T/OccX
投下します

271Past time has no meaning for us ◆ymCx/I3enU 2016/06/29(水) 13:46:19.47ID:67T/OccX
38話 Past time has no meaning for us

「何だありゃ……教会か。誰か居っかな?」

海沿いに建つ教会らしい建物を見付け、川田喜雄はそれに近付いていく。
大きな正面玄関の扉のノブに手を掛けてみるが、施錠されており開かない。誰も居ないのだろうか。
窓から内部を覗き込んで見る喜雄。

(あ? 誰か居やがんな)

すると、礼拝堂となっている内部に人が居るのを認めた。
神父等が立つ壇の辺りに、どうやら狐獣人の女性と何故かほぼ全裸の白山羊の少年が居る、のだが。

(何やってんだあいつら……)

その二人が行っている行動に、喜雄は疑問を抱く。
狐の女性は壇の上に乗り大きく股を開いて、その股の間に白山羊少年は顔を突っ込み、右手を自分の股間で激しく動かしている。
狐女性は喘いでいるようで気持ち良さそうにしていた。二人が何をしているのかはすぐに分かった。

「マジかよ……」

困惑と呆れの混じった表情を浮かべ、関わる必要も無いと喜雄は去ろうとした。

「あっ」

しかし、内部の狐女性と喜雄は目が合ってしまった。

◆◆◆

調子に乗って礼拝堂で淫らな行為を行っていた狐獣人女性、霧島弥生と全裸白山羊少年娼夫、キーレンは、
ばつの悪そうな顔をして自分達の行為を目撃してしまった中年男性川田喜雄と相対していた。

「恥ずかしいな〜……見られるなんて」
「うぅ」
「いや、まぁな……」
「私、霧島弥生、この子はキーレン。おじさんは?」
「川田喜雄。食堂やってるおっさんだ……殺し合いには乗ってはいないからそこんとこは安心してくれや」
「そうなんだ、私達も乗ってないよ」

私の場合は今の所はって付くけど、と心の中で付け加える弥生。
状況次第では殺し合いに乗る事も有り得る。
そのような事はキーレンにも話していないし話すつもりも無い。当然喜雄にも。話せば立場が悪くなるのに話すメリットも無い。
一方のキーレンはそんな弥生の真意は露知らず、殺し合う気も本気で無い。
その後は互いに情報の交換を行う。
キーレンからは喜雄に自分が襲われたスカーレット・ガードナーなる少女について、喜雄からは自分の知り合いである志水セナや、
この殺し合いで出会った馬に尻を掘られたい倉持忠敏なる男について。

「知り合いっつってもそこまで親しい訳じゃねぇけど……俺の店の常連客ってだけで。しかしだ、おっかねぇガキも居るもんだなぁ」
「殺し合いを楽しんでいるように見えました……今どこに居るのかは分かりませんが気を付けて下さい」
「お前見た目の割に意外としっかりしてんのな」
「はは……」
「にしても、馬に*されたいなんてハードな趣味ねその倉持って人」

喜雄から聞く所によればオス馬の長大な肉槍に尻を貫かれて死にたいと本望しているらしい倉持なる男に弥生は多少ではあるが興味を引かれた。
そう言えば参加者に大きなオスの白いユニコーンが居たと思い返す。
ユニコーンは処女にしか興味が無いと聞いた事が有るが果たして。

272Past time has no meaning for us ◆ymCx/I3enU 2016/06/29(水) 13:46:47.65ID:67T/OccX
「白いユニコーン居たしそいつ捜してるらしいぞ。出会えた所でユニコーンが倉持の趣味分かってくれるかどうか分かんねぇけど。
ま、俺には関係無ぇ事だしな。ケツ破られて死のうがどうぞ好きにしてくれって感じだ」
「まあそりゃそうよねぇ」
「僕では無いですけど先輩の娼夫がオス馬に掘られるショーを見た事ありますね、あれは凄かった……馬の太くて長いのg」
「詳細言わんで良いから! んじゃ……俺はもう行くわ。悪かったなお楽しみ邪魔して。縁が有ったらまた会おうぜ」

挨拶の後、喜雄は教会を去って行った。
教会の礼拝堂には元通り、弥生とキーレンが残される。

「ヤってる所見られたのはアレだったけど、殺し合いに乗ってる奴じゃなかったのは幸いだったわね……やっぱ部屋とかでヤろ」
「そう言う問題でも無いと思いますけどまぁ良いや」

教会の玄関に改めて鍵を掛け、弥生とキーレンは奥に有る拠点としても使っている寝室へと戻って行った。

◆◆◆

教会を後にして再び喜雄の一人旅が始まった。

「悪い奴らでは無さそうだったし生き延びてくれる事を願っておくか……さて、俺は俺の身の振り方をだな」

弥生とキーレンの幸運を細やかに願いつつ、喜雄はひび割れたアスファルト舗装の道路と、
目の前に広がる森を見ながらこれからどこへ向かうか考える。


【午前/G-5教会前】
【川田喜雄】
状態:健康
装備:ペーパーナイフ
持物:基本支給品一式、調達した酒複数本
現状:死にたくない。自分が生き残る事を優先する。志水セナは取り敢えず放っておく。どこへ行くか……。
備考:スカーレット・ガードナーが危険人物である事をキーレンから聞いている。


【午前/G-5教会内】
【霧島弥生】
状態:健康
装備:レミントン デリンジャー(2/2)
持物:基本支給品一式、.41リムファイア弾(10)
現状:殺し合いには今のところ乗る気は無い。キーレン君と行動。
備考:スカーレット・ガードナーが危険人物である事をキーレンから聞いている。倉持忠敏、志水セナについての情報を川田喜雄より得ている。

【キーレン】
状態:健康
装備:園芸用シャベル
持物:基本支給品一式
現状:死にたくない。霧島さんと行動。
備考:スカーレット・ガードナーを殺し合いに乗った危険人物と判断。倉持忠敏、志水セナについての情報を川田喜雄より得ている。

273 ◆ymCx/I3enU 2016/06/29(水) 13:47:16.30ID:67T/OccX
投下終了です
ああペースが遅すぎる

274 ◆ymCx/I3enU 2016/07/01(金) 13:49:55.88ID:XMb+nWXz
保守

275 ◆ymCx/I3enU 2016/07/04(月) 00:12:05.77ID:vBfWqhNh
保守

276 ◆ymCx/I3enU 2016/07/06(水) 20:30:35.07ID:LbSEOd8n
保守
ウッソだろお前! こんなんじゃいつ終わるか…

277 ◆ymCx/I3enU 2016/07/11(月) 09:26:25.79ID:M/oBJ588
書き込める?

278 ◆ymCx/I3enU 2016/07/11(月) 09:27:02.79ID:M/oBJ588
二日書き込みが無かったらスレ落ちると聞いたが
違うのか……?

279 ◆ymCx/I3enU 2016/07/12(火) 20:43:06.42ID:EFalMTAL
やっと一話出来たので投下します

280逃れられぬカルマ ◆ymCx/I3enU 2016/07/12(火) 20:43:30.40ID:EFalMTAL
39話 逃れられぬカルマ

「あ、あ゛あ゛……」

血の跡を点々と地面に残しながら、緒方修二はようやく病院へと辿り着いた。
出血多量で獣人特有の強力な生命力も底を尽きかけている。

「ま、前が、見え……」

血を流し過ぎて視力にも悪影響が出ていた。ふらふらと病院のロビーの奥へ進む。
重量の有るレミントンM700が足枷になっていたが、思考能力も鈍りデイパックにしまうと言う選択肢も浮かばない。

(あれ、でもどうすれば良いんだ……?)

ここで修二は気付く。
自分一人でどうやって、背中の深い斬り傷の治療を行うのかと。
絆創膏を貼ったり消毒薬を塗る程度ならどうにかなるがそのようなレベルの傷では無い事は分かっていた。
急激に絶望感が修二の心を支配していく。ガクッと膝をつく修二。ここで自分は死ぬしか無いのか。
生き残ろうとして人殺しにまで手を染めたと言うのに。

「い、嫌だ……死にたくない……くそっ……」
「どうしたの?」
「え……」

突然聞こえた女性の声に、修二は俯いていた顔を上げる。
ぼやけた視界に映ったのは、銀髪の半獣人の美しい女性。外国人のようだった。
一瞬、自分が殺し合いに乗っている事も忘れ他に人が居た事に修二は安堵したが、すぐにその表情は凍り付いた。
女性の右手には物々しい金属製の鈍器が握られていたのだから。

「凄い怪我してる……痛いでしょ、苦しいでしょ……でも大丈夫……楽にしてあげる」

半獣人の女性は鈍器を持って修二に近付く。
逃げなければ、修二は身体を起こそうとしたが、最早力が入らず言う事を聞かない。ライフルを構える余力も無い。

「やめ、ろ……! やめろぉ!」

必死の修二の懇願も虚しく、その頭部に鈍器が振り下ろされる。
鈍い音、そして床に飛び散る血。
例えようの無い激痛に修二の意識が一気に遠のいた。
身体中が痺れ、どこが上なのか下なのかも分からなくなる。
そして容赦無く何度も、修二は鈍器で殴られた。

(い、き、たかった……の……に……)

自分が生き残る事を願い殺し合いゲームに乗った漫画家の鹿獣人は、病院にてゲームオーバーとなった。


◆◆◆

281逃れられぬカルマ ◆ymCx/I3enU 2016/07/12(火) 20:44:04.16ID:EFalMTAL
メイスで殴り殺し、頭部が無残な状態になった鹿の男の死体を見下ろすマリア。
怪我をして弱っていたおかげであっさり殺す事が出来た。
心臓は鼓動を早めており軽い興奮状態だったが、思っていたよりは落ち着いていられた。初めての殺人であるにも関わらずだ。
殺人への抵抗が薄いと言うのは恐らくこのゲームにおいてはプラスに働く要素であろう。普段の生活ではマイナスに違い無いだろうが。

「良い武器持ってるじゃない……ライフルなんて」

しめしめと言った様子でマリアは鹿の男が持っていたスコープ付きのライフルを手に取る。
強力な武装を確保すればそれだけ自分の生存率も上げられる。

「重いなぁ……」

但し、ライフルはマリアには少々重量が有り過ぎた。


【緒方修二  死亡】
【残り34人】


【午前/E-6病院ロビー】
【マリア・ベーラヤ】
状態:健康
装備:メイス、レミントンM700(3/4)
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いに乗り、優勝を目指す。但し身の安全を優先し無茶はしない。ウラジーミルについては放置。
備考:これから予備弾も回収するつもりで居る。

282 ◆ymCx/I3enU 2016/07/12(火) 20:44:32.81ID:EFalMTAL
投下終了です

283 ◆ymCx/I3enU 2016/07/20(水) 12:54:14.31ID:4s+NgqY6
テスト

284 ◆ymCx/I3enU 2016/07/22(金) 11:16:21.72ID:YWnnOMmw
やっと出来たんで投下
今回から状態表の装備と所持品をまとめます
省力化

285ゆらりゆらり揺れているのは ◆ymCx/I3enU 2016/07/22(金) 11:17:23.44ID:YWnnOMmw
40話 ゆらりゆらり揺れているのは

島役場に辿り着いたテオ。
古い鉄筋コンクリート製の二階建ての庁舎が彼を出迎える。
誰か居るだろうかと思いながら玄関へ歩いて行く。しかし、扉の前まで来た時足に何かが引っかかりガランガランと大きな音が鳴った。

「えっ、えっ」

何事かと戸惑うテオだったが、どうもそれが即席の警報装置による物だと気付くのとほぼ同時に玄関の扉が開いて、中から巨躯の狼が姿を現す。

「どちらさん?」

狼は低い男の声で言葉を発しテオを睨み付ける。
筋肉質の大柄な狼で、鋭い牙と爪はテオの身体など容易に引き裂くであろう、テオはどきどきしながら受け答えした。

「ぼ、僕はテオ……テオ・オトマイアー。こ、殺し合う気は無いよ」

殺し合いには乗っていないと答える。決して嘘では無く「殺し合う」つもりはテオは無かった。
しかしやはり簡単には信じて貰えず狼は訝しそうに尚もテオを睨む。すると役場の中からもう一人、今度は金髪ショートヘアの人間の少女が現れた。
かなり乱れているが制服を着ており中高生のようだ。

「あらまあいやらしい格好の牛さん……」
「……まあ乗っていないのなら別に良いがな。俺はゼユック、こっちは美知だ」
「美知ですー、私とゼユックの作った即席の警報装置が早速役立つなんて。牛さん、取り敢えず中入る?」
「は、はい」

狼と少女の二人に促されテオは役場の中に入る。
先程の警報措置はこの二人が糸や空き缶等を使い役場周囲に設置した物らしかった。

(この二人でさっき手に入れたアレ、試そうかなあ)

先刻手に入れた毒物「シアン化カリウム」の効能を試す時が訪れたとテオは内心思う。
役場に入り応接スペースへと通される。そこには雄と雌の体液の臭いが漂い、使用済みのティッシュが転がり、
幾度と無くここで淫らな行為が行われていた事を示していた。
誰が行ってたか、ほぼ間違い無くゼユックと美知であろう。この狼と少女はどうやら何度も身体を交えているらしかった。

「ちょっと臭うけどごめんね」
「い、いや……」
「美知の***は気持ち良くてよぉ、何度もヤっちまうんだヘヘ」
「いやーんゼユックったら」
「……」
「テオもするかァ?」

ゼユックが美知のスカートをめくりながらテオに言う。美知は少し恥じらうような素振りをしつつ抵抗しない。
スカートの下の下着は無かった。テオは目を逸らしつつ断る。
興味が無い訳では無いが今は別の目的を果たしたかった。

「しっかしお前すげぇ格好してんな」
「……仕事着と言うか、何と言うか」
「仕事? ……あっ(察し)、もしかして男娼とかそんな感じかな?」
「うん……借金のカタで」
「まあ安心しろ、俺も美知も職業の貴賎を問うような事はしねぇ。なあ?」
「そうだよ、その辺は安心して」
「ありがと……折角だから、コーヒー入れるよ」

おもむろにテオは立ち上がり、コーヒーを入れに給湯室へ向かう。
背後でゼユックと美知が顔を見合わせた事には気付かない。
給湯室に入り、コーヒーを二人分作り、その中にシアン化カリウムを入れて良く混ぜる。

286ゆらりゆらり揺れているのは ◆ymCx/I3enU 2016/07/22(金) 11:17:46.38ID:YWnnOMmw
(これの死に方はどんな風だろう……)

殺人への抵抗、忌避はとうに消え去りテオの頭に有るのはシアン化カリウムの効能がどのような物かと言う事のみ。
コーヒーを持って二人の元へ戻る。

「おーサンキュー」
「ありがと」
「いえいえどういたしまして」

二人はテオからコーヒーを受け取る。
後は二人がコーヒーを飲めば、テオが見守ろうとした。

「……何か変なニオイがするな」

しかしそんなに事が上手く運ぶ筈も無い。ゼユックがコーヒーに疑問を抱く。美知はカップを持ちはしたが、口に運びはしない。

「あれ? そうかな……豆が傷んでいたのかな」
「白々しいなテオ」
「え」

とぼけようとしたテオにゼユックが飛び掛かり、腕に食らいついて思い切り投げ飛ばした。
テオは事務机にぶち当たり机の上に有った備品が辺りに散らばった。
食らいつかれた傷、投げ飛ばされる際に捻った腕、そして強打した全身の痛みにテオは悶える。

「ぐあ、あ……」
「涼しい顔して、俺らに一服盛ろうとしやがるとは良い度胸だな? 急にコーヒー入れるなんて言ったら怪しむに決まってんだろ?」

ゼユックがゆっくりテオに近付きながら言う。
確かに彼の言う通りなのだがテオはそこまで思考が至らなかった。
「何を入れたんだ」とテオの腹を思い切り踏み付けながらゼユックが尋ねる。黒目に光る獣の瞳には怒りが湛えられている。

「シアン、化、リウム」
「ええ!? 猛毒じゃんそれ」

美知が驚き反応する。飲んでいれば間違い無く死んでいただろう。

「お前何でそんなモンを」
「自殺の方法を探してるんだ、僕」
「ああ?」
「楽に死ねる、自殺の方法無いかなって。さっき手に入れた、毒を試そうと思って」
「ふざけんなテメェ! 俺らをお前の実験台にしようとしやがったんだな!?」

余りに身勝手極まり無いテオの目的にゼユックも美知も憤怒する。
この白牛に然るべき制裁を加えなければならないと心に決めた。
テオはゼユックに踏み付けられながら、全てを諦めたような、ぼんやりとした表情を浮かべている。

「テオ、お前は『自殺』は出来ねぇよ……俺達に『処刑』されるからな!」

ゼユックにより、テオに死刑宣告が為される。
処刑の準備は直ぐに始まった。
腕を後ろで縛られ、美知の手によりテオの両足が合口によって刺され身動きが出来ないようにされた。

「あぎゃぁああああ!!!」

当然テオは激痛によって悲鳴をあげ泣き叫んだ。だが完璧に無視される。
裏庭へと引き摺り出され、一本の大木の元へと放り投げられる。この木こそがテオの処刑台である。
どこからかロープが持ち出され、ゼユックが大木に登り太い枝の上にロープを通し、一端を停められていた軽トラックに繋ぐ。
そしてもう一端を美知がテオの首に結び付けた。

287ゆらりゆらり揺れているのは ◆ymCx/I3enU 2016/07/22(金) 11:18:20.91ID:YWnnOMmw
(あ……絞首刑にされるんだ……僕)

ここまで来ればテオは自分がどのような運命を辿るのか察する事が出来た。
「もっと恥ずかしい姿で死ね」とゼユックがテオの下着を乱暴に剥ぎ取りそこそこに大きい逸物があらわになる。
しかし今まで何度も何度も、恥辱を重ねてきたテオに取って今更全裸が恥ずかしいと言う事も無い。
今彼の頭に有るのは絞首刑で死ぬのはやはり苦しいのだろうか、と言う事のみ。

最期の言葉を聞くと言った温情も与えられず、テオの処刑が始まった。

ゼユックが軽トラックを発進させると、テオの身体がゆっくりと持ち上がる。

「うっ、え」

この時点でもう殆ど呼吸は出来なくなっていたが、遂にテオの身体が宙に浮くと、いよいよ呼吸も血流も遮断され、想像を絶する苦しみがテオを襲う。

「ぐっ、え゛え゛っ]

血塗れの両足を激しくばたつかせ、泡を吹き、両目を血走らせ、激しくもがく白牛青年。
とても品の無い声が大きく舌を垂らした口から吐き出される。
もしこれが高所から突き落とす方式の絞首刑だったのなら恐らく首の骨が折れてすぐに死ねたであろうが、今回テオに適用された方式は引き上げる物で、
ロープが急所からなまじ逸れてしまいそれが苦しみを長引かせる要因となった。
いくらもがこうとテオの首のロープは彼の気道と血管を締め上げる。

(苦しい、苦しい!! 痛い!! 苦しいよぉ!! 早く終わって!! お願いだから!! 早く終わってよおお!!)

一刻も早く、この苦しさから解放される事を、テオは願った。

そして。

「ア……げぉ……お」

段々と白牛青年の動きが緩慢になり、ビクビクと大きく身体を痙攣させ、股間からは小水や便が溢れ地面に垂れ落ち始める。
だらしなく開いた口からは血の混じった泡と舌が垂れ、粘り気の有る唾液が排泄物同様地面と彼の身体を汚す。

(だん、だん、なにも、わからなく、なって……き……なんか……あった、か……ここち……いい……よぅ……――――)

ほんの一瞬、僅かな心地良さと暖かさを感じた後、テオは何も分からなくなり、それと同時に、彼の身体はゆらりゆらりと揺れ動くのみとなった。
役場の裏の大木に、大きな実が出来た。
枝に引っ掛けられたロープで首を絞め、釣り上げられた全裸の白牛青年。
薄ら開いた両目は虚空を見詰め、瞳孔は開き切り、血の泡と排泄物でその身体は酷く汚れ悪臭を放ちながら、ぶら下がっている。
◆◆◆
「全くとんでもねぇ奴だったぜ」
「ホント……気晴らしにまたヤろ」
「よっしゃ」

白牛青年を処刑し終えたゼユックと美知は、再び役場の中へと戻って行った。
ぶら下がった白牛青年の死体をどうするか少し協議もしたがとても汚く触るのも億劫なので放っておく事で合意した。

【昼前/D-5島役場】
【ゼユック】
状態:健康
所持品:基本支給品一式、合口
現状:殺し合いはしないが襲われたら戦う。美知と行動。しばらく島役場に籠る。
備考:特に無し。

【室川美知】
状態:健康
所持品:基本支給品一式、チェーンソー
現状:殺し合いはしないが襲われたら戦う。ゼユックと行動。しばらく島役場に籠る。
備考:服は着ている。

288 ◆ymCx/I3enU 2016/07/22(金) 11:18:55.85ID:YWnnOMmw
投下終了
チェーンソー使えば良かったんじゃね? と思ったがまあいいや

289 ◆ymCx/I3enU 2016/07/22(金) 13:14:10.91ID:YWnnOMmw
もう一話行きます、短いです
短くする方向で行きます(じゃないと終わらない)

290森を抜けると ◆ymCx/I3enU 2016/07/22(金) 13:14:39.31ID:YWnnOMmw
41話 森を抜けると

森の中を彷徨い歩いていた黒牙とウォラゴであったがどうにか森を抜ける事に成功した。
疲弊しつつ喜びを顕にする二人。目の前に広がる草原と道路の広々とした風景は二人を大いに癒す。

「うおお! やっと出れたぜ……黒牙さまさまだな」
「俺を道具みたいに言うな……」
「ありがとうな。んじゃ、俺は行くわ」
「あ、そう」

早々に黒牙と別れるウォラゴ。もうこれ以上黒牙と居る理由は無い。森を抜けた後始末してしまおうとも思ったが疲労でそれどころでは無かった。
対する黒牙も去って行くウォラゴを見送るに留まる。

(今は疲れてるから見逃すが、次会ったら容赦無く殺らせて貰うぜ黒牙)
(もう疲れたから今は放っておくけど、次に会ったら殺っちゃおう)

互いに心の中で殆ど同じような思考をしながら、ウォラゴと黒牙は離れた。
ウォラゴはしばらく歩いてC-3エリアの武器屋に到着する。
休んでいくついでに武器を入手しようと考えウォラゴは扉を開け入店した。
様々な武器が陳列された店内、だが物色した跡も有り先客が居た事を物語る。しかしそれは然程気にする事でも無い。

「んじゃ、こいつ貰っちゃおうかねぇ」

ウォラゴはリボルバー拳銃とその予備弾薬を幾つか手に入れ、カウンターの椅子に座り一息ついた。

黒牙は展望台を訪れる。
見た目で廃墟だと分かるこの高層建築物にやって来たのは何となく目を引いた為であるが、近付くと異臭を嗅ぎ取った。
その異臭を辿り展望台の外周部を周り裏手に行くと、臭いの元を見付ける。

「うっ、これは」

それは脳漿を撒き散らした人間の少女の死体。
全裸で、性的暴行の痕跡も見られた。
展望台から墜落死したと思われるが、自殺なのか他殺なのか。

(犯されて殺されたのか、ショックで自殺したのか分からないけど、可哀想に……)

何れにせよ、この少女の最期が悲惨であっただろう事は疑いようは無く、黒牙は憐れんで黙祷を捧げた。

螺旋階段を上り、展望室へと上がったが、少女の物らしい引き裂かれた衣類と基本支給品しか入っていないデイパックの他は、
特に何も見当たらなかった。強いて言うなら青い海を眺める事が出来る位である。

「休むか……弓那、どこに居るんだろ。無事だと良いけど」

どこに居るのか分からないパートナーの少女を心配しつつ、黒牙は古びたベンチに座って休息する。

【昼前/C-3武器屋】
【ウォラゴ】
状態:疲労(大)
所持品:基本支給品一式、ハンティングナイフ、消毒用エタノール(500ml)、リボルバーと弾薬(現時点ではモデル不明)
現状:優勝狙い。取り敢えず休む。
備考:黒牙を警戒している。

【昼前/B-4展望台】
【黒牙】
状態:疲労(大)
所持品:基本支給品一式、薪割り斧
現状:殺し合いには乗らないが襲い掛かってきた者や危険と判断した者は排除する。
弓那や殺し合いに乗っていない者の捜索。ビデオテープの内容を確認したい。
備考:ウォラゴを警戒している。

291 ◆ymCx/I3enU 2016/07/22(金) 13:16:13.01ID:YWnnOMmw
投下終了です

292 ◆84AHk0CknU 2016/07/24(日) 02:05:50.44ID:W/O+iU8B
お久しぶりナス!

>>ゆらりゆらり揺れているのは
一応対主催者なんだろうけど過激すぎィ!
テオはまぁ当然の報いだな

>>森を抜けると
今回は戦闘無しで別れたけど、次はどうなるか分からないですね

自分も投下します

293LOST COLORS ◆84AHk0CknU 2016/07/24(日) 02:07:37.37ID:W/O+iU8B
森林エリア、墓地の奥に建つ教会の一室で爬虫類似の青年、遠野はデイバッグの中身を確認していた。
出てきたのは拳銃。当然使ったことなどないが当たりの部類に入るだろう。

「待っててください先輩。僕が必ず助けますから…」

遠野は殺し合いに乗ることを決めていた。
なんで殺し合いなんかする必要があるんですか(正論)と思うかもしれないが、これには彼なりの理由がある。
この場に居る恋人の野獣先輩こと田所を守る、その為に遠野は他の参加者を皆殺しにする決意をしたのだ。
無論人殺しになる事に抵抗が無いわけではなかったが、自分が手を汚す事で野獣を守れるのならそれでも構わない。
45人だろうが114514人だろうが、見ず知らずの大勢よりも野獣一人の命の方が遠野にとっては大きかった。サイコホモ怖いなー、とづまりすとこ。

「ん?」

ホモ特有の鋭敏さで何やら外が騒がしいのに気付く。
窓からそっと顔を覗かせ様子を窺う。
可能ならば殺し、相手がこちらよりも強力な武器を持っていたら撤退する事も考えつつ、
右手で銃を強く握り締めた。



マントをなびかせ、仮面の下では息を乱さず、
肌寒い夜の森をゼロは駆け抜ける。
目指すは中央の市街地エリア。
少なくない数の参加者が集まるであろうその場所で、目に付く者を全て殺す。
ついさっき名も知らぬ無力な少年を一人その手に掛けた。
残る標的は最愛の妹とその騎士、超高速で動く少女、そしてまだ見ぬ41人と呪われし愚弟。

突然足を止め前方を見据える。
目の前には墓地が、墓に囲まれ佇む参加者が一人。
男――いや、少年だろうか――は異様な外見をしていた。

衣服は一切身に着けておらず、中々に鍛えられた肉体を晒している。
顔も童顔といえば童顔かもしれないがよく見ると顎鬚が生えており、ただのオッサンのようだ。
ついでに股間の辺りも黒い。これもう分かんねぇな。

これだけならただの露出狂か何かと思われるが、それよりも目に付く箇所がこの少年が単なる変態ではない事を証明している。
全身は紫色に染まっており、背中からは蝙蝠のような翼が、頭部からは二本の角が突き出ている。
少年は近付いてくるゼロに気付いたのか、ゆっくりと顔を上げた。

「ぼくひで」

唐突に少年の口から出た四文字の言葉。
どうやら自己紹介のつもりらしい。(初対面の相手にもきちんと名乗る人間の鑑)

「早速だけど死んぢくり〜(挑発)」

ひでが笑顔で言う。
歯茎を剥き出しにしたクッソ気持ち悪い笑みであった。
発せられたのは言葉だけではない。
ひでの全身から漂ってくる禍々しい気配、人ならざる者の殺気とでも言うのだろうか。
体中を虫が這っているかのようなおぞましさ、或いは眉間に銃口を突きつけられているかのような緊張感。
常人には到底耐えられないであろうプレッシャーが墓地一帯を包んでいる。

294LOST COLORS ◆84AHk0CknU 2016/07/24(日) 02:09:51.47ID:W/O+iU8B
「フッ、ただの気狂いではないようだな」
「っ!?」

ひでの顔から笑みが消え、驚きと焦りが浮かぶ。
恐怖に固まると思っていた相手に平然と受け流されたのだ。仕方ないね(レ)
確かに“ただの人間”ならばひでが放つ負のオーラに屈しただろう。
しかし、今対峙しているのは人間を超越したエデンバイタルの魔王。
クソ汚いオスガキの殺気など何の障害にもならないってハッキリ分かんだね。

「…怒らせちゃったねぇ。ぼくのこと本気でねぇ!」

ほんの一瞬とはいえ醜態を見せたのが気に食わなかったのか、怒声を上げながらゼロに襲い掛かった。
雄叫びを上げ両手に握った巨大な錨を振り下ろす。

「オラアアアアアアアア!!」

直撃すればミンチであろう迫り来る錨を、ゼロは拳を放ち相殺。
互いに一撃だけでは終わらず続けて何度も得物をぶつけ合う。

横薙ぎに払われる錨、右拳をぶつける。
斜めに振り下ろされる錨、左の手刀で弾き返す。
振り上げられた錨、蹴り弾く。
我武者羅に振るわれ、四方八方から襲い掛かる錨。
右拳、左拳、右脚、左足、マント。
全てを駆使し防ぎ、弾き、受け流す。

そんな攻防がどのくらい続いただろうか。
二人の衝突の余波で周囲の墓は原型を留めていない(罰当たり)。なんてことを…。
リーチでは勝り、常に先手を打ち攻撃の隙を与えさせない。
にも関わらずひでは未だに、ゼロを殺せずにいる。

「あ〜もう!」

苛立ちながら錨を振るうが徐々にその速度は落ちてきている。
こ↑こ↓に来てひでの肉体に疲れが出てきたのだ。
このまま錨を振り回していればあっという間に体力が底をつく。
そうなれば今度はひでが一方的に攻撃を受ける番となる。
それはまずい。

ゼロが両腕で攻撃を防いだ瞬間、錨を押し付けるように放つ。
僅かだが相手が後退した隙に、背中の羽を広げ上空に舞い上がる。

「あ^〜出る〜」

気の抜けた声とは裏腹にひでの周囲には黒い煙のようなものが集まっている。
相手が何をするつもりかは分からないが、黙って眺めているつもりもない。
ゼロはひで目掛けマントを飛ばそうとする。
だが、既にひでは『新たな一手』の準備を終えていた。

「出ちゃっ…………たぁ!!」

ひでの全身から溢れ出るかの如く、ドス黒い液体のようなものが地上へと降り注ぐ。
咄嗟に液体の直撃をゼロは避ける。
さっきまで立っていた場所を見ると、地面も墓も煙を出しながら無残に溶けている。
かつて神聖な学び舎を悪臭漂う小便で汚した時のように、今度は自らに宿る邪悪な力を液体へと変え、
排出したのである。きたない(確信)

295LOST COLORS ◆84AHk0CknU 2016/07/24(日) 02:11:26.67ID:W/O+iU8B
「あ゛〜」

液体が次から次へと降り注ぐ。
ゼロは回避に専念し、ひたすら動き続ける。
時折マントを飛ばしてみるが、よく狙いをつけたものでは無い為簡単に躱されてしまう。
何度目かの排出を避けようとするゼロだが、そこで周囲が液体塗れになり逃げ場が無い事に気付く。

「うー☆うー☆」

勝利を確信したのかひでは尻を振って挑発した。汚ねぇケツだなぁ(TNOK)
最早相手に逃げ場は無く、マトモな飛び道具も無い。
圧倒的有利な自分の立場にほくそ笑みながら、液体を発射しようとした。

その時、発射される寸前ひでの尻に激痛が走った。

「あぎぃ!?」

唐突な痛みに悶え、攻撃を中止してしまう。
ひでが尻の激痛の原因に気付くよりも早く、右の羽と背中を同様の痛みが襲った。
痛い痛い痛い熱い熱い痛い熱い。
何だ何だ何が起こった何をされた。
訳が分からないまま地面に落下し、自らの排泄物に身を沈めながらピクピクと痙攣し動かなくなった。

ひでの無様な姿を見届けるゼロの手には長大な銃身を持つリボルバーが握られている。
ゼロがした事は至って単純。
ひでが尻を振っている最中デイバッグから支給品の銃を取り出し引き金を引いた。それだけである。
敵が飛び道具を一切持っていないと勝手に思い込み、慢心したオスガキには似合いの末路なんだよなぁ。

「うぅ……あ…あァァァァァァァ……!」
「ほう?」

しかしひではまだ生きていた。
元来の頑強さからか、満身創痍となりながらも立ち上がり再び液体を出すべく力を溜める。
ゼロが銃を撃つが弾丸はひでに到達せず、周囲のドス黒いオーラに阻まれてしまう。

「出るゥゥゥゥゥゥ!!」

カッと目を見開いたひでの全身から、今度は真横に液体が発射された。
死と苦痛を。
自分を痛めつけたこの男に死と苦しみを!

邪悪な願いの込められた液体は、あっという間にゼロを飲み込んだ。

「ハァ、ハァ、ハァ、ハーッ…」

荒い呼吸を繰り返しながらひでは地面に腰を下ろす。
液体が体に付着するが、元々ひで自身の怨念により生み出されたもの、自分にとって害は無い。
それより今は傷つき疲弊した肉体の治療が先決だ。
何とか敵は殺したが、この状態で他の参加者と遭遇したら呆気なく殺される。
まずはここから離れようと、痛む体に鞭打ち立ち上がろうとし、


「今のは少しばかり肝が冷えたぞ」

296LOST COLORS ◆84AHk0CknU 2016/07/24(日) 02:15:41.48ID:W/O+iU8B
その声にひでの心臓が止まりかけた。
冷や汗を掻きながら顔を上げる。
視線の先には居たのは巨人。
体の所々を溶かされ、それでも主人を守るべく仁王立ちする魔王の愛機。
ナイトメアフレーム、ガウェイン。

ゼロは咄嗟にガウェインを召喚し、身を守る盾として活用した。
そのお陰で今も傷一つ無い。
その代償としてガウェインは各部に損傷を負い、見るも無残なひでに完全敗北したガウェインくん UCと化している。
主武装のハドロン砲も右肩は溶かされているがもう片方は健在。
一つでも十分過ぎる程の兵器だ。

「やだ!ねえ小生やだ!」

砲口がひでへ狙いを付ける。
ひでは必死に逃げようとするが、傷だらけの体は思うように動いてはくれない。
弾丸で撃ち抜かれた羽もマトモに機能せず、飛ぶ事もできない。

「お兄さんやめちくり〜(懇願)」
「ひで、と言ったか。少々手間取ったが、さよならだ」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛もうやd――――――」

墓地一帯が光に包まれ、圧倒的な熱にひでは包まれた。



「うわああああああああああああ!!」

悲鳴を上げ遠野は森を走っていた。
殺し合い開始当初の使命感に溢れた時とは打って変わり、今の遠野には恐怖心しかない。
墓地で戦っていた仮面の魔人と全身紫の悪魔。
現実では有り得ない化け物同士の戦闘を見て、殺し合いに乗る決意はあっさり折れてしまったのだ。
何だお前根性なしだな(棒)

「うぁっ」

木の枝に躓き転倒する。
うつ伏せに倒れたまま動かない。
気持ちを落ち着けるために当初の使命感を思い出そうとする。

「僕、は…先輩のために…殺す……殺さないと……」

――そうだ、あんな連中まで参加してるなら余計に先輩が危ないじゃないか。
――何時までも怯えてる訳にはいかない。
――拳銃なんかよりもっと強い武器か、強くてお人好しそうな人をぶつけるか。
――方法はなんでもいい。
――先輩を助けられるなら何でもっ!?

何が起きたのだろうか。
突然背中に鋭い痛みを感じた。
立ち上がろうとしたら更に痛みが襲った。
誰かに刺された?

「いや、だ……せん、ぱ………」

消え行く意識の中、鬼気迫る顔でナイフを振り下ろす金髪の少女が見えた。


【遠野@真夏の夜の淫夢 死亡】

297LOST COLORS ◆84AHk0CknU 2016/07/24(日) 02:17:17.81ID:W/O+iU8B


那須原アナスタシアがこの会場で最初に目撃した男は、何かから逃げているようだった。
悲鳴を上げみっともなく転んだ男にどう対処するか考えながら慎重に近付いた。
大丈夫かしら、と声を掛けようとし、耳に入ったのは男の「殺す」という呟き。
男は殺し合いに乗っている。
逃げるか?いや近付きすぎた。
仮に逃げれたとしても、男は別の誰かを襲うだろう。それは誰だ?
あの壊滅的ブラコン女か、可愛い純情銀髪娘か、それとも“彼”か――。

気付けば支給品のナイフを振り下ろしていた。

「服…着替えないと」

聖リリアナ学園の制服は返り血で汚れている。
自分のデイバッグに衣服の類は入っていない。
男のバッグにあればいいが、そうでなければ街までいかなくてはならないだろう。
フラフラとした足取りでアナスタシアはその場を去ろうとする。

「何をしているのかしら……こんな…」

この男を殺した意味はあるのだろうか。
姫小路兄妹と銀兵衛が襲われる可能性は一つ減っただろう。
代償として自分は人殺しとなった。
もう二度と、あの寮での日常には戻れない罪を犯して。

「着替え……探さないと…」

目を背ける。
取り返しのつかない事をしてしまった後悔と、秋人たちとは一緒に居れないという悲しみから。
少女はただ必死に逃げ続けていた。


【那須原アナスタシア@お兄ちゃんだけど、愛さえあれば関係ないよねっ】
[状態]:精神疲労(大)
[装備]:不良少年のナイフ@チャージマン研!
[道具]:共通支給品×2、TNOKの拳銃(6/6)@真夏の夜の淫夢、予備弾×30、不明支給品0〜5
[思考]
基本思考:私はどうしたら……
0:服……
[備考]

298LOST COLORS ◆84AHk0CknU 2016/07/24(日) 02:18:25.90ID:W/O+iU8B



「余計な真似をしてくれる…」

墓地を離れたゼロはそう独りごちる。
ひでとの戦闘中に感じた肉体への違和感。
腕がいつもより重く、マントが遅い。
全身が妙な倦怠感に包まれている。
ハドロン砲の威力も落ちていた。
間違いなくロロが何らかの細工をしたのだろう。
この分ではギアスと瞬間移動にも何らかの制限が掛けられている可能性が高い。

首輪か何らかの装置か。
いずれにせよこの枷は邪魔でしかない。
ロロを殺す前にどうにかしておきたいものだ。

疲労もある為ゆっくりと、されど足は止めない。
寄り道をしたがここからは真っ直ぐ中央へ向かう。
魔王の脅威は確実に近付きつつあった。


【ゼロ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:疲労(極大)、ガウェイン(損傷大、右ハドロン砲使用不可能)3時間召喚不可
[装備]:なし
[道具]:共通支給品一式×2、手斧@現実、エレファントキラー(0/5)@バイオハザードシリーズ、500S&Wマグナム弾×20、不明支給品0〜4、真尋の首輪
[思考]
基本:魔王の使命を果たす
1:全参加者及び主催者を殺す
2:中央の都市エリアへ向かう
3:首輪を外したい
[備考]
※参戦時期は本編終了後



299LOST COLORS ◆84AHk0CknU 2016/07/24(日) 02:20:06.34ID:W/O+iU8B
ひでしね

何度罵倒されただろうか。

ひでしね

その度に何度苦しんだだろうか。

ひでしね

もうやめて、助けて。そう願っても地獄は終わらない。

ひでしね

積年の怨みが爆発し、悪魔の如き力を得ても変わらなかった。

ひでしね

殺し合いに巻き込まれた時は、正直チャンスだと思った。

ひでしね

優勝すればこの苦しみから解放されるのではないかと思ったからだ。

ひでしね

しかし現実は非情だった。自分以上の怪物に蹂躙され死ぬ。

ひでしね

もういいや。どうせならこのまま死んで楽に…

ひでしね

……いやだいやだ死にたくないやっぱり死ぬのはいやだくるしくてもいきていたいねぇだれかたすけてよねえだれかだれでもいいからねえねえねえねえねえねえ

ひでしね





ひでしんだ

【ひで@真夏の夜の淫夢 死亡】
※墓地一帯がハドロン砲により吹き飛びました。
※ひでのデイバッグとブロブの錨@バイオハザードシリーズは消滅しました。


投下終了です

300 ◆ymCx/I3enU 2016/08/02(火) 19:43:09.38ID:VALURXu4
投下乙です

遠野呆気無いっすね
そしてひでしんだ
ちょっとだけかわいそう、でもひでしね

自分も投下します

301幸福な死 ◆ymCx/I3enU 2016/08/02(火) 19:44:10.98ID:VALURXu4
42話 幸福な死

とある人間男とオスのユニコーンの盛り場と化した境家の納屋の中はむせ返るような雄臭さで満ちていた。

「あぁ……あぁ……何度イったんだ俺は……」

全身をユニコーンの唾液と種汁で塗れさせだらしなく拡がりきった門からも下痢の如くどば〜っと種を漏らす全裸男、倉持忠敏。

「こんなに良い穴は初めてだぜ……忠敏……フーッ……」

数え切れぬ程の発射を行いながらも、尚も怒張を保つそれを股間にぶら下げ恍惚とするユニコーン、ユージーンは、
忠敏、と言うか忠敏の門へと賞賛の言葉を送った。
そして二人は幸せなキスをして終了、とはならない。

「ユージーン、頼みが有る」
「何だ忠敏、急に改まって」

いきなり真面目な様子になる忠敏。とは言っても全裸で馬の体液塗れで真面目もクソも無いのだが。
ともかく、忠敏はユージーンの顔を見据えて言った。

「俺を掘り殺してくれ」
「何?」
「思い切り突き上げて腸を破って殺してくれ」

忠敏がユージーンに請うたのは自身の殺害。
それも、ユージーンの肉槍で自分の直腸を引き裂き殺して欲しいとの事。
当然二つ返事で了解する事など出来ず困惑の表情を浮かべるユージーン。

「いや、そんな事……」
「頼むよユージーン。俺みたいな馬に尻掘られてよがってるような変態が、どうせ最後まで生き残れる筈無いんだ。
ならせめて、自分の死に方ぐらい自分で決めたい、自分の趣味に殉じて死にたいんだよ。お前にしか頼めない事なんだ、お願いだ……」
「忠敏……」

ユージーンの頬に手を添え、忠敏は懇願した。
その瞳は先程までとは別人のように真剣で凛々しささせ感じさせる物。
これで全裸で馬の体液塗れでは無くて話の内容が酷く無ければ更に格好良く見えたであろう。
ユージーンは迷ったが。

「本当に……それで良いんだな?」
「やってくれるのか?」
「ああ。やってやるよ」
「ありがとう」

結局は忠敏の願いを聞き入れた。
短いながらもとてもとても濃密な時間を一緒に過ごした相手の最期の願いを無碍には出来ない。
自分しかそれを叶えてやれないと言うのであれば、果たさなければ。

「これを……」
「こいつは、催淫剤?」

忠敏は自分の支給品である催淫剤をユージーンに差し出す。これを使えばユージーンは理性を失い忠敏の望み通り、
その腸をズタズタにする程に突き上げるであろう。先程までの行為でもユージーンは腰を思い切り動かしてはいたが、
やはり理性は有り忠敏の腸を傷付けない程度に手加減はしていた。

「最期にお前と過ごせて良かった。俺は幸福だ。これから幸福な死を迎えられると言っても過言じゃない。ありがとう、ユージーン」

微笑みながら、忠敏は最期の言葉を言い残す。
ユージーンは何か言おうとしたが、言葉に詰まり、言い出せず。
そして、忠敏はユージーンに催淫剤を使った。

302幸福な死 ◆ymCx/I3enU 2016/08/02(火) 19:44:46.79ID:VALURXu4
効果はすぐに現れる。

ユージーンの目付きが変わり、鼻息が荒くなる。
涎を垂らし、股間の肉杭はそれまでと比べ物にならない程、いきり立った。
ガン、ガン、と前足のヒヅメを鳴らし、尋常ならざる興奮状態になった事を示す。

忠敏は一回、深呼吸をした後、ユージーンに尻を向けた。

何の気遣いも無い、ただ本能のみの突き上げは、忠敏の腸をいとも容易く引き裂いた。
ダラダラと涎を垂らし、忠敏に向かって腰を振るユージーン。最早目の焦点も合っていない。
びちゃ、びちゃと鮮血が飛び散り、忠敏の下半身と、ユージーンの下半身が、忠敏の血で、真っ赤に染まって行く。
しかし、彼は、忠敏は嬉々とした表情で、幸福感に包まれていた。
馬に掘られ死ぬのは本望、自分の人生を自分の望んだ形で終わらせられる、幸福に違いないと。
本気でそう思った。

もしかしたら思い込みたかっただけなのかもしれないが。

意識が途絶える直前、忠敏が最後に耳にしたのは、自分のはらわたで絶頂を迎えたユニコーンの嘶きだった。

◆◆◆

ユージーンが理性を取り戻した時、全ては終わっていた。
尻から夥しい量の血を流し、絶命した忠敏の表情は涅槃の如く安らかであった。

「……忠敏……お前一人じゃさみしいだろ……?」

自分も後を追おうと、股間付近を忠敏の血で赤く染めたユージーンはバリケードをどかし納屋の外に出た。

歩き、辿り着いたのは海岸。
それも高さ五メートル程の崖になっている場所。
下には白波打ち付ける岩場が有り、落ちればまず命は無い。そんな場所にユージーンは立ち、ふぅ、と息を吐く。

「俺も、生き残れる気がしないし、お前と一緒にあの世へ逃げる事にしたよ。
忠敏、あの世でまた会おうぜ、んで、また楽しもうぜ」

遺言を終えると、ユージーンは崖から飛び出した。

五メートル程下の岩場へと真っ逆さま。
ぐしゃりと嫌な音が、波の音に混じって響き、ユージーンは首があらぬ方向へと向いて、口と鼻から血の泡を吹いて死んだ。
硬い岩は彼の体重による落下エネルギーも相まって、彼の太い首の骨をも粉砕したのだ。

崖下の岩場に、波に洗われる白いユニコーンの死体が残った。


【倉持忠敏  死亡】
【ユージーン  死亡】
【残り31人】

303 ◆ymCx/I3enU 2016/08/02(火) 19:45:48.59ID:VALURXu4
投下終了です
もうどんどん退場させないと進まないんだゾ

304 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 01:38:38.11ID:K8wMKEIr
投下乙です。これは心中シーンからして原作リスペクトですね。

投下します。めっちゃ長くなりそうなので、結構時間がかかるかもです。申し訳ない。

305今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 01:41:36.19ID:K8wMKEIr
 深夜の街に足音が鳴る。
 どうやらここは本屋のようだ。それにしても自分のいるところとはだいぶ違う。
 そのように彼は思う。端正な容姿だが格好は洗練されていて、なおかつ変という、普通では計り知れない者だった。

(いやいや……ドクロベエも、まさかここまで歪んでいたとは)

 ヴォルトカッツェ、有名な方の名前でいえばボヤッキーはそう思う。
 変わった眼鏡に全身緑のような色立ち。とても目立つ。
 暗闇とはいえ、この格好は標的にされかねない。
 だから彼はビルの物陰に隠れ、支給品を確認していた。

 1つ目は銃器だ。といっても拳銃といった便利なものではない。 そんな近代的なものではなく、古式の銃である。
 全体的には筒のような形で、長細い鉄パイプに木の持ち手がある。
 装弾の仕方は、まず銃口に弾をつめ、火薬を別の場所から入れる。
 その後、火種を直接当て、弾丸を発射するというものだ。
 お世辞にも使いやすいとはいえない。クロスボウよりも威力が劣るほどだ。
 命中精度もよくはない。
 利点は「音がとても大きいので相手がビビる」というものである。
 これが使われていた百年戦争でも、そんな扱いだった。
 一応は携帯火器であり、手先が器用なヴォルトカッツェにとっては使えないこともない。
 ただガンマンでもないのだ。
 一流の者が使えば強い武器になるが、ズブの素人の彼にとっては悩みものである。

 二つ目はくじ引きである。文字通り、くじ引きである。
 割り箸に紙が貼りつけられ、それぞれに「買い物」とか「洗濯」とかそういう言葉が書かれている。
 衣食住をするには円滑にものを進めてくれるかもしれないが、殺し合いでは意味がない。

 三つ目は日本刀である。紫色のまがまがしい柄と鞘である。
 名前は「妖刀『ベッピン』」。その歪さを感じる見た目に合うかのようだった。
 だが矛盾しているようであるが、その刀は奇抜にして精巧。
 伝説のニンジャ「カツ・ワンソー」を殺すため、その相手の指を鉄骨と混ぜた、かなりの力を持つ刀である。
 刃の色はなんと金色。鉄のはずなのだが、なぜか金色なのだ。
 しかもそこにはまがまがしい、よくわからない文字が書かれている。
 説明書によれば、どうもこの妖刀は「特別な文字が書かれていて、太刀筋を追うことができない」というものらしい。
 そんな非科学を通り越したものはバカな、とヴォルトカッツェは科学者のはしくれのような存在なので思った。
 彼は家に転がってたネジやらで目覚まし時計を作れるほどの腕前の、いわば天才技術屋であるが、こんなものは見たことがない。
 ただ、実際のところ、太刀筋をみようとすると、不思議と目で追えないのである。
 理屈はわからないが、とにかくすごいものだ。彼は腰に携える。
 彼もヤッターキングダムの追手から逃れている身だけあって、運動神経は普通の人間よりは優れている。
 ただ、剣術の才能などはからっきしだ。
 振り回せば「使える」が「使いこなす」のは不可能だろう。

(とはいっても、このような名刀をうまくこの手で再武器化するのは……そもそも仕組みが全くわからないので難しいか。あの携帯火器でしたらやれないこともないですが、効果は期待できませんね)

 ボヤッキーはそこらにあるもので巨大ロボットを作れるような技術力を持っている。
 さらに彼は殺し合いに乗る気はない。
 あのドクロベエを倒す、という決意をした段階で彼は殺し合いに巻き込まれたのだ。
「ヤッターマン」と名を騙り、独裁王国で人々からエレルギーを吸収するような者の思惑に参加するなどもっての外である。
 殺し合いの打倒、ということになると首輪の解除も不可欠だ。
 彼からしてみれば首輪の解除はできる可能性の1つである。外す装置も作るかもしれない。
 だがそのためには材料が足りない。
 まずは首輪の構造を把握する必要がある。自分につけられてはいるが、おそらく解除対策もしているだろう。
 その危険性も考えると、別の首輪があるに越したことはない。
 もう一つは外す装置の部品だ。
 前にも言ったように彼はロボットも製造できる科学力の持ち主だ。
 ただ、それはヤッターキングダムという世界の科学力が発達したこともある。
 そのような優れた部品があるからこそ、優れた機械が生み出せたのだ。
 だが現在の支給品はそんな代物はない。材料が不足している。
 不足しているのならどこかから集める必要がある。なかなか手間のかかりそうな事態だ。

306今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 01:43:14.24ID:K8wMKEIr
(そのためには仲間が欠かせませんね。レパード……ドロンジョ様の保護は不可欠ですし、エレパントゥス……トンズラー……まあこれはいいか……とも合流したい)

 それプラス、この殺し合いに参加していない同士だ。
 もちろん、それを見つけるのは難しいだろう。
 乗っている者もいるはずであり、いなければ殺し合いは成立しない。
 主催者もおそらくそういう人物を呼び寄せているはずだ。

(ですが、まあ彼らなら大丈夫でしょう。そんな簡単に殺されるようなタマではない)

 彼は信用する。それは共に旅をして、苦境を駆け抜いた人物だからこそできる信頼だった。
 とはいえ、なるべく早くには合流したい。
 仲間が集まるであろう場所は、かつて自分達が住んでいた「辺境の地」であろう。
 なぜ、この場所にあるのかはわからない。自分達が住んでいたであろうところではない場所に、その名称はある。
 そもそも島ではないが、そう書かれているのだ。変なところはあるが探ってみる必要はある。
 
 ボヤッキーがそこに向かうため地図を確認する。とはいえ、コンパスだけではここがどこかわからない。
 何か目印になればいいが、そういうものはどうも見当たらないのだ。
 しかし、それならば地図の意味などない。何かに手掛かりはあるはずなのだ。
 ここまで用意周到に殺し合いという場所を出している主催側だ。
 おそらくこの地図も彼らにとっては何らかの意味があるものである。
 とすると手がかりは街中にあると思いたい。
 どこかに看板とかにここがどこが書いているかもしれないが、それだと街中を歩き回る必要がある。
 その場合はとても危険だ。なので安全なのは建物内で速やかに済ませたい。
 その時、ボヤッキーの近くには本屋があった。
 何せ看板に「本屋」とあるのだから本屋なのだろう。
 店内は暗くてよくわからないが、おそらくこの中には、場所がわかる「手がかり」がある。
 一番目星がつくのは店内の事務室に住所が書かれた書類だろうか。
 住所と言っても「D-1」とかそういう書かれ方をしているものだ。それをなんとか手に入れたい。
 にしても、この本屋はこれといって地図には書かれていない。どうでもいいものなのだろうか。
 それにしては他の場所には個人の住宅名が書かれていたりと不可思議なところがある。
 疑問に思いながらもボヤッキーはまず、行動をうつすために店内へ足を踏み入れた。

307今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 01:47:26.89ID:K8wMKEIr
 いくつもの本棚に書物が敷き詰められている。
 道を作るように仕切られた店内は以前として暗いままだった。
 とはいえ電気をつけると「殺してください」と言うようなものだ。
 幸い、肉眼でも目が慣れれば支障はない。ボヤッキーは店内を歩き回る。
 実はボヤッキーもこのような場所は人生において初めて見るものだった。
 近代的な店舗というのは建てられるほど発展した場所ではなかったのだ。
 異様な科学力はヤッターメトロポリスに集中していて、それ以外は荒れた大地に小さな集落があるだけだ。
 ヤッターキングダムを除いても、辺境の地にはそんなものはない。
 メトロポリス自体もそんなに詳しく探査したわけではなく、巨悪の正体をとっちめるために侵入しただけだ。
 もちろん「本屋」や「カウンター」という概念はわかるのだが、実感するのは初めてなのである。
 そのような場所を主催者、ドクロベエはわざわざ作ったのであろう。手抜かりはない。
 単に殺し合わせるのなら、このような大がかりな仕掛けをする必要はあるのだろうか。
 いやドクロベエの、そのねじ曲がった考えを予想すれば、わざわざ作るのも、楽しむための手段といえる。
 ヤッターマンの報復が達成された後でも、国を作り、住民に圧政を強いて、なおかつ「ヤッターマンが支配する国」と嘘を吐く男だ。
 このような細かい場所の再現も、そのようなものを飾る前菜になるのかもしれない。

(許せない)

 ボヤッキーは強くそう思う。
 そのような殺し合いに、自分達はまだしも、この名簿にみえる無関係な人物を巻き込むなど言語道断だ。
 はやくとっちめなければならない。彼は床を踏みしめる。

(何かカウンターがあれば事務的な書類も見つかるかもしれませんが……)

 と彼が思っていたらその時は来たようだ。
 おそらく木製であろう台のようなテーブルが、その床から生えている。
 レジスターや「今日のおすすめの本!」などを見せているようなつい立など、会計をするための装備が置いている。
 ただ気になる点があった。これは、この異常事態では大切なものである。
 目の前には女性がいたのである。

 女性と目が合う。下半身はカウンターで隠されているが、その
 殺し合いの場において、お互いの存在を確認するというのは「敵か味方」を判断するためのファーストインプレッションである。
 淡く長い赤髪、大きな丸い目、それをアンバランスに見せない整った顔立ち。
 美人である。少し「かわいい目」の美人といった感じだろう。
 だが、見た目からして単なる美少女ではない、とボヤッキーは思う。
 まず耳の部分に、耳を模した、いや耳なのだろうか。
 そう謎を臭わせる、髪よりは深めの赤色、の耳がある。
 形もまるで悪魔というか、上に刃を向ける包丁のようだ。
 さらには頬には四角形の、それも皮膚と一体化している、赤い何かがある。
 そしてなによりも

(おっぱいが大きい……!)

 それはどうでもいいとして、ボヤッキーは彼女に対して何か「異様さ」を感じていた。
 単なるコスプレ趣味とか、そういう大したことじゃないかもしれない。
 ただ「装備」の可能性もある。ドクロベエはかなり高い技術力を持っているのだ。
 彼が携える妖刀も、主催による道具かもしれない。
 つまりは目の前の女性が武器をもっているかもしれないということだ。
 それが何かはわからないが、この殺し合いと言う状況下、敵でない事を祈るしかない。
 ボヤッキーが考えを巡らせていると、女性は話しかけてきた。

「あなた……誰っ!? な、名前を名乗りなさいよっ!」
 二重語のような気がする。綺麗な声だが口調は激しい。
 ボヤッキーはあくまでも冷静、かつ丁寧に腰を軽く折りながら言った。
「これは失礼しました。私の名前はボヤッキー。盗賊団ドロンボーの……言うなれば……頭脳です!」
「いや盗賊団っていう時点で怪しすぎるんだけど……」
「あ、いやいやいや。盗賊団といえど義賊のようなもので! そう、例えるなら石川五右衛門!」
「えっ、あなた、ゴエモン? この参加者名簿にある、ゴエモン!?」

308今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 01:50:15.49ID:K8wMKEIr
 そう言いながら彼女は名簿にある名前を突きつける。
 とっさに出てくる記憶力はあるが、考察力はないようだ。
 ボヤッキーは苦笑いになりながら答えた。

「いやあ……それとは違いますし、まず名前を名乗ったのですが……」
「あっ、そっか……。で……何の用よ。そっちが攻撃する気なら私も相手になるわよ!」
「それでしたら今ごろ攻撃していると思うのですが」
「それもそうね……。じゃあ何よ! わけわかんないわよ!」
「わかってくださいよ〜……。私は殺し合いに参加する気はありません。主催のドクロベエに反撃してやろうと思ってましてね。とりあえずは仲間を探している最中です」
「仲間……がいるの? なんて名前? よかったら協力するわよ」

 どうやら悪い子ではなさそうだ、とボヤッキーは胸を撫で下ろす。
 逆にこの殺し合いと状況下で、安心した相手といえど、すぐさま手助けしようとするとは、とてもお人よしなのかもしれない。
 友好の合図はわかったのだし、ボヤッキーは彼女に近づこうと足を前に進め、そして口を開いた。

「助力とはありがたい。できれば貴女のお名前もうかがえると嬉しいです」
「あっ……えっと、私の名前はミーア。で、その、あの、そのちょっと、止まってくれないかな?」

 そう赤髪の女性、ミーアは宙を手で押している。
 敵意が突如出てきた、とかそういう様子ではない。
 不可解な表情でボヤッキーは聞いた。

「えっ、はい……。何かあったんですか?」
「ま、まあ何かあるというか、常にあるというかなんというか……」
「はっ、まさかその豊満なバストでブラジャーが外れることが日頃……そして今も」
「な、な、何言ってんのよ! こんな状況で言うっておかしいんじゃないの!」
「あー……ご先祖がよく言ってた下ネタらしいですが、ここでは流石に逆効果ですね……というか効果あるんでしょうか」

 彼がそう反省していると、ふと物音が聞こえた。
 足音、である。カツカツと静かな店内で響き渡る。
 しかもその数は2つ。おそらく「2人」いるのである。
 足音は拡散し、その数を、これまたカウンター付近にいる2人に伝える。
 一体、なんだろうか、とボヤッキーは警戒する。
 敵なのか味方なのか。

(まあ『仲間』を組んでいるのなら、そこまでの危険人物じゃないかもしれませんが、注意に越したことはないですね……)

 とはいえ、その音の方向に近づこうとはしない。
 例えばロボットやそういう武器を支給されている可能性や、一時的に殺し合いを進めるため、協力して殺しまわっているかもしれない。
 まだ安全とはいえないのだ。だからそこで留まる。
 
 予想は的中した。
 ドッグォンと大きな何かを破壊するような音が聞こえる。
 窓ガラスに何かがぶつかり、割れる高音が連続する。
 雨のように地面に大量の何かの落下音が聞こえる。
 暗闇だが破片が周りに乱舞しているのは、うっすらと影からわかった。
 おそらく本、そして本棚だ。
 本棚がレゴブロックを解体するように壊れ、あたりに散っている。

(これはマズい!)

 相手は武器だろうが身体能力だろうが、何らかの高い攻撃力があることはわかる。
 同時に当たりの本棚を意味もなく破壊しているのだ。
 もしかしたら主催への怒りへの八つ当たりかもしれない。
 しかし穏やかな人物でないことは明らかだ。
 どちらにしろ、身を隠す決断をするには十分な状況である。

「失礼しますよっ」

309今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 01:53:44.95ID:K8wMKEIr
 ボソッとボヤッキーは彼女に伝えると、そのカウンターに向かって飛び込んだ。
 ミーアは異様にびっくりした顔だが、急だから仕方がない。
 着地したとき、なぜか不思議な感覚がおび寄せる。

(これは……丸太?)

 丸い謎の物体が足元にある、というのはわかった。
 バランスがとりにくい。すぐにカウンター内に隠れる準備はしていたが、足が崩れて床に座る。
 床も不思議な感覚だ。手で触ってわかるが、何か堅いものが外面にあり、内側は柔らかい何かを感じる。
 そして丸い。何か、何かに似ている。
 その時、ボヤッキーはミーアの顔を見た。
 彼女の表情はどうみても平常ではない。しまった、とでも言いたげな焦ったものだ。

(蛇……)

 ボヤッキーの思い浮かんだものは蛇だった。
 その触っている謎の正体は蛇の身体だ。
 鱗を纏った太いそれをたぐっていくと、1つのものに繋がる。
 身体である。それも人間の身体、腰部である。
 スカートからへそへ、胸から顔へ。
 顔はミーアだった。
 ミーアの下半身は「蛇」だった。
 それも太い蛇の身体である。体長は七メートル。
 カウンター内に隠すためトグロを巻き、簡単な座布団のようになっている。

 ラミア、身体の七割を蛇が占める変温動物である。
 蛇と似た背負うな習性を持ち、特徴もそれに近い。
 女性しかいない種族であり、繁殖に人間の男を必要とする。

 当たり前だが、人間ではない。
 むしろ「怪物」や「化物」といった類のものであった。
 この殺し合いの場においてそれは見た目だけで不利になるものである。
 ミーアはそれを避けたかった。見た目だけで攻撃される可能性があるのだ。
 もちろん彼女のいた世界では人間と人外の種族の間に協定がある。
 これは「他種族間交流法」と言われ、ホストファミリーシステムの文化交流もあるくらいだ。
 であるから、街中にこのような存在があることも彼女のいた地球では珍しくない。
 ただ偏見の眼や差別の眼、恐怖としての対象として見る者もいないわけではないのだ。
 彼女はそれが怖かった。
 この殺し合いに乗る気もないが、殺されるのも怖いのだ。

 その姿をみてボヤッキーは

「へええ……そういう人もいるんですね……」

 と小声で言った。
 ただそれだけだった。
 驚いてないわけでもないが、そこに敵意はない。
 純粋な驚愕があっただけである。

 ミーアは逆に驚いた。全く危険視したりとか、そういうところがない。
 対するボヤッキーも別に彼女の身体を機械と勘違いしたわけではない。
 優れた技術屋は生命体と鉄のマシンを間違えないのだ。
 それは彼の旅での経験から来ている。
 なにせボヤッキーは恐竜に会っているのだ。それも親子である。
 恐竜は本来、既に絶滅していて、相当な年数が経っていることは知っていた。
 それが存在し、しかも彼らと深い関係を築いたのである。
 本来いないであろう存在と会ったくらいである。
 ラミアのような本来存在しない者とあっても、異常なほどの驚きはない。
 そういうこともあるんだな、と思うだけである。
 もちろん敵意などは全くだ。

310今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 01:55:19.67ID:K8wMKEIr
 彼が隠れた理由は、おそらく「何かの破壊音」から来るものと、ミーアでさえもわかった。
 彼女はお世辞にも頭がいい方ではないが、それくらいは判断できる。
 上半身をくねらせカウンターの下に隠れ、下半身をうまく使い、ボヤッキーを床へ降ろす。
 そして彼女は近づき、ボヤッキーに向かって囁いた。

「……なんでそんなに平気なの?」
「まあ……似たようなものを見たことあるので、そこまでね……」
「そう……。流石にあの法律が施行されたって言ってもまだ三年よ……。変わってるのね、あなた」
「法律? なんのことですか?」
「えっ……いやーその……私も正確には覚えてないけど、他種族間なんちゃらかんちゃらっていう……」
「全然知らないですね……。まあ私も他の世界がどのような状況なのかは知りませんが」

 嘘はついていない、とミーアはわかる。おそらく本当に知らないのだろう。
 どこまで世間知らずなのか、あるいは情報が遮断されているところに暮らしていたかだ。
 それなのにこの反応である。不思議だ。
 ただ、敵に回らなかったのは幸いというものか。

(にしても……あの音も鳴りやんだわね……)

 先ほどの物を破壊する轟音はすっかり収まったのである。
 おそらく八つ当たりか何かだろう、とラミアは思う。
 ケンタウロスやオーガなど色々と力が強い他種族は知っているため、おそらくそのような人物なのだろう。
 あまり関わりたくない人物だ。少なくともこの殺し合いに巻き込まれた自分の知り合いにはいない。

 カツカツ、とこちらに音が近づいてくる。
 ミーアは目の部分だけをカウンターから出し、向かってくる方を確認する。
 廊下はまだまだ闇に包まれ、目が慣れたとしても何があるのかははっきりと見えない。
 だが、それは人間の場合である。ミーアにはその姿がはっきりと確認できる。
 それは彼女には蛇が持つ「ピット器官」があるからだ。
 ピット器官とは簡単にいえば赤外線を感知できるものであり、つまり熱を捉えられるのだ。
 蛇は視力が弱いため、暗い場所でも獲物が探知できるよう備わっているのである。
 先ほど、ボヤッキーとあった時も、ミーア側はちゃんと見えていたのだ。

(体格を見る限りは……普通の人間ってところね。ただ身長は高いからもしかしたら巨人の一種かもしれない。でも……)

 先ほど「赤外線を感知」と言ったが、これを応用した機械がサーモグラフィである。
 温度を可視化できるミーアからしてみると、それは異様な光景だった。

(一方は体温があって……もう一方は……分散してるの? 温度はあるようだけど、人間のそれじゃない。ゾンビ……でも名簿にはいなかった気がするし……何がなんだかわからないよ……)

 ミーアは対してよくない頭をフル稼働したが、結果困ってしまった。
 この殺し合いと言う状況下、彼女も考察をその場でできるくらいには脳が回るようになったが、限界はある。
 それが証拠に、敵がこちらに向かっているのに目をぐるぐるさせている彼女の頭を、ボヤッキーが手で押してカウンターに隠したくらいだ。
 少々、ぼやっとした子なのかと彼は思う。
 ボヤッキーもまた、彼女と同じく、相手2人に対して考察していた。

(危ない危ない……下手をしたら、彼女、敵に見つかってしまうところかもしれなかったですね……。にしても、相手は一体、誰でしょう。いきなり本棚を破壊するような連中ですしね。ここはとりあえず様子見ですか……)

 ボヤッキーはカウンターの中に隠れる。
 相手の素性がわからない以上、身の安全を図るのが一番の戦法だからだ。
 果たして鬼と出るか、蛇と出るか。
 彼は、隣にいるラミアの彼女が何か言おうとする口元を見た。
 一体、何を言う気なのだろうか。

 だがそれは、母音を発するための息が吐き出されるだけで終わった。
 壁になっていたカウンターは、まるで紙細工のように、轟音をたてながら吹き飛んだ。
 1つの人間が、いや鎧が、紫色の鞭の様な触手で破壊したのだ。
 後ろにいる男は、ただ歪んだ笑顔を浮かべていた。

311今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 01:57:50.64ID:K8wMKEIr
 オブジェクト。簡単に言えば「核爆発にすら耐える巨大兵器」である。
 これだと逆にわからないだろうか。
 もっと詳しくいえば、巨大な動力炉と並外れた硬さの装甲を持ち、レールガンやマシンガンも放つような、馬鹿げた兵器だ。
 荒唐無稽、ともいえるが、少なくとも、とある世界では確かに存在し、その圧倒的な力が故に「クリーンな戦争」が行なわれていた。
 つまりオブジェクトが強すぎるため、兵隊などを集めても意味がないのだ。
 必然的に勝負はオブジェクト同士の対決となり、片方が負ければそので戦争は終了する。
 だから被害が最小限であるため「クリーン」なのである。ものはいいようだ。
 既存の戦争のあり方すら変えてしまった、この壊れたような兵器を自らの思想信条のために使用するだろうか?
 その思想信条にもよるだろうが、かいつまんで言えば「極右」だ。
 自分達の使っている言語が最も素晴らしいため、他の言語を使う民族は滅ぼしてしまえ、というものだ。
 無茶苦茶な論理であり、酔っ払いが居酒屋で適当にわめく言葉のように見える。
 だが、これを信じていたものが、そしてオブジェクトを取り出しても戦おうとする者がいたのだ。

 プライズウェル=シティ=スリッカー。

 今、ボヤッキーとミーアの前に立っている男である。

 彼は他の民族を嫌悪している。それは奴隷制を復活させようとするほどのものである。
 オブジェクトが存在する世界では勢力が大きく四分している。それも国というよりは、思想や理念で繋がっている共同体に近い。
 その中に1つ「正当王国」というものがある。
 名前の通り、王族の集合体である。
「血統と名誉」を重んじているため、このような考えも極端とはいえ、浮かぶ可能性はあるのだ。
 ただ実行する彼が異常なのである。
 ついでにプライズウェルは「貴族」と呼ばれる身分の出身だ。
「正当王国」に所属するそれぞれの諸国の政治は、この「貴族」が行なっているため、実権があるわけである。
 実権があるならば行動するだけ、ということなのだろうか。
 そのためには自らの軍事的な発言権が強固になる必要がある。
 プライズウェルは工作をしてまで、それを得ようとしていた。
 だが目論見は発覚。彼は乗っていたオブジェクトを爆破され、死んだ―――はずだった。

 彼が目を覚ましたのは、その時だった。そして目の前に、あのドクロベエがいたのだ。
 殺し合いの参加。願いが叶えられる報酬。
 街中に転送され、名簿を見渡した時、プライズウェルのスタンスは「殺し合いに乗る」というものになった。
 参加者に自分の仲間もいない、というのも一つの要因だったが、因縁ある者がいたのも理由だった。
 クウェンサー=バーボタージュ。自らを殺した張本人である。
 先ほど「オブジェクトは最強の兵器」と言ったが、このクウェンサーという男は独力で破壊できる、工作兵である。
 厳密にいえば異なるが、彼の大活躍によりプライズウェルの計画は見事に崩されたのだ。
 恨むだろう。そんな存在は許してはおけない。
「多言語の浄化」のために移民が住む場所を破壊しようとした彼にとって、他の人間を殺す躊躇はなかった。

 彼の支給品の1つに「シュリ」があったのは運がよかったといえよう。
 これは人工エクスターという、簡単にいえばロボットである。
 詳しい説明は後々するとして、人型の兵器だ。
 鋭い眼光にユニコーンのように生える頭部の角。
 肩パットのついた白いマントに冠を模したものにぶら下がる2本の長い紫色の鞭。
 鞭と言うだけあって、それは自由自在に操れる武器なのである。
 それプラス奥の手もある。殺し合いにおいては十分な支給品だろう。
 その王族の様な出で立ちに、ついてきた支給品は王冠だった。
 これはまさしく自分に「王になれ」と言っているようなものではないか。
 独善的な政治思想を持つ彼は思い込む。この殺し合いの勝利も全ては自らの理想の世界のため。
 彼は王冠を被り、シュリを横に並ばせ、クロスボウを装備していた。
 傍から見ればどうも怪しい人間。
 だが元々頭のネジが色々とぶっ飛んでいる彼は気にしない。
 そのまま闊歩し、彼はたまたま本屋に入った。
 情報収集も兼ねて、何か役に立つと思ったのだ。

312今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:00:41.31ID:K8wMKEIr
 プライズウェルはそこで憤怒した。
 彼にとってみれば、異界の言語が飛び交っている場である。
 しかも、彼はその意味がわかるのである。何故かわかるのだ。
 ありえない。何か主催が細工をしたとしか思えない。
 だが彼は他の言語を蔑視するような人間だ。
 その存在はもちろん、意味を「解してしまう」ことは許し難い。
 シュリを起動させ、彼は本棚を攻撃した。
 こんな、劣悪な言語は存在すべきではない。壊してしまわねばならない。
 紫色の鞭は本棚を飛ばし、壊し、切り裂き、無茶苦茶に破壊した。
 見るも無残な姿になったそれは、彼の発散の材料となった。

 ただ、彼は聞き逃さない。
 
 カウンターの向こうの誰かの声を。
 
 オブジェクトは強力な兵器であるが、それ故に乗るパイロットにも相応のスキルが求められる。
 操縦時に発生する大きなG、様々な機器を正確に使いこなす技能、そして相手を倒す戦闘技術。
 オブジェクトはそう簡単に大量生産できないため、乗るパイロットも特定のオブジェクトしか基本、操縦できない。
 そのような機密性の高いものに乗るのは、もはや「強化人間」くらいのものではないと、割に合わないのだ。
 彼らは「エリート」と呼ばれ、一般人より彼らの能力は遥かに高い。
 プライズウェルも危ない人間だが、その一人なのだ。
 身体能力の優れる彼なら、その声など簡単に聞き取れる。
 彼が話している2人を見つけることなど、造作もなかったのだ。

「みしらぬ顔だな、きさまらは。ん……?」

 カウンターを破壊した先に見える男女を見据えるプライズウェル。
 エリート特有の平仮名が多めの話し方をしながら、ある異変に気付く。
 女の腰から下が……何か妙なのだ。
 スカートにしては長すぎる。しかし微妙に暗いのではっきりしない。

「おじさん! 捕まって!」

 その女ことミーアは叫ぶ。
 ボヤッキーは名乗ったのに、と思いながらも彼女の伸ばした手をとった。
 そのままグイッと引かれると、ちょうど彼女の背中に辿りつく。
 すると、いきなり彼女は加速した。なんとかボヤッキーもしがみつく。
 その動き、まさに疾風迅雷。
 成人男性1人が背中に抱えられた状態とは思えないほどの速さ。
 そして蛇のように曲がりくねって道を進む正確さ。
 
 それは彼女が蛇だからだ。
 
 ブラックマンバと呼ばれる毒蛇は50メートルを11秒ほどで渡れるという。
 一見、遅いように思われる。しかし体長は平均2.5mもあるが、頭を人間の片手で捕まえられるほど、細い。
 さらにミーアは全長7〜8メートル。ブラックマンバの3倍の長さに、より大きい身体。
 速さも3倍になるとしたら、50mを3秒ほどで走る計算になる。
 もちろん、体長より大きなニシキヘビは、そんな速さではないし、単純比較はできない。
 ただ、蛇というのは、本屋のように入り組んだ地形を的確に進むには早い生物なのである。
 ミーアもまた然り、いくら強化人間といえど「人間」であるプライズウェルより素早いのである。

 彼女は急いでいた。あの参加者、なのかわからないが、その鎧、どう考えても危ない。
 簡単にカウンターを壊し、隣のボウガンを持った男も危なそうだった。

(大体、何よ、あの王冠! どう考えてもキケンな人だよ!)

313今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:02:50.10ID:K8wMKEIr
 泣き言を頭に思い浮かべながらも、走る。
 出口はどこなのかはわからない。ただ、進まなければ話にならない。
 運よくも、ドアが見つかった。相手はまだ追ってこない。
 扉をあけ、そのまま突き進む。月光と街灯の明るさと、夜風が体に吹き込んだ。
 道路。どうも出口だったようだ。アスファルトの感触が伝わる。
 とりあえず、向こう側の店に行くしかない。彼女は身を潜めるため、進む。


 中に入る。どうも薬局のようだ。様々な医薬品が棚に並べられている。
 それを陰に彼女は身を隠した。後ろでしがみついているボヤッキーに話しかける。

「おじさん、大丈夫?」
「え、ああ、はい。生きてます」
「はぁ〜……よかった」

 ホッと胸を撫で下ろすミーア。ただボヤッキーは心中、惑っていた。
 それは簡単、下乳が手に触れていた。
 急いでいたおかげか、彼女は全く気付いてないのは運がよかった。

(いや、これはそういう問題以前に運がよいことなのでは?)

 ボヤッキーは紳士である。とりあえず無事に手を取り外せた今ならよいだろう。
 背中から離れたボヤッキーは薬品の店を見渡す。

「これだけあれば……爆弾くらいは作れるでしょうね」
「えっ、おじさん、そんな物騒なことやってるの……?」
「失敬な。あと私はボヤッキーです。それはともかく、現在、私達の武器は非常に貧弱なんですよ。ついでに日本刀とくじ引き、古代の銃しかありません」
「まだ、おじさんはツイてるほうだよ。私なんてぬいぐるみと何かのドリンクに、ドライバー。あ、でも私の作ったお粥があるよ」
「えっ……。すいません、もう一度お聞かせくださいますか?」
「私のお粥? ダメよ、手料理はだぁりんじゃないと……」
「いえ、その前!」
「ドライバー……? なんか手料理に箸にも棒にもかからないのはそれはそれでアレだけど……」

 とミーアはブツブツ言いながらディパックを調べる。
 そこから緑色の持ち手のドライバーが出てくると、ボヤッキーは息を飲んだ。

「それ……やはりそうだ。私のものだ。私の愛用品なんですよ!」
「ええっ! そんなこともあるのね……。おじさんのものなら返すよ。私は使えないし」
「私はボヤッキーです」

 と、彼は言いながらもドライバーを受け取る。
 彼は、それをまるでガンマンかのようにクルッと手慣れたように回す。
 かつて仕えていた、ドロンジョ――またはレパードの母親から授かった形見だ。間違いない。

「これさえあれば百人力……。どんなメカでも作り出せますよ」
「メカ……とか作れるの? 本当? 爆発しない?」
「いやまあ、自爆装置くらいはありますが」
「自爆って……随分と派手なことをするのね……。おじさん、普通の変な人のように見えて、変な人ね」
「それはどっちに転んでも変な人なのではありませんか?」

314今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:08:16.65ID:K8wMKEIr
 ボヤッキーは若干悩みながらも、自分の武器が手に入り、頼もしく思う。
 とにかく、武器を作り上げることだ。薬品を応用すれば爆弾の作成ならできる。
 信管とかスイッチとかはレジスターなどを利用すれば可能だ。
 彼は思いだす。カウンターを吹き飛ばした、あの鎧。
 その鎧はヤッター兵のような、人型のロボットを連想させた。
 あの動き、おそらく人間じゃないのではないか?
 協力者ではなく、支給品。
 彼の技術者としての勘が伝えるのだ。
 あんな武器に対抗できるのは、今の支給品では無理だ。
 そしてあれが支給品なら、パワーバランスが崩れぬよう、同じような用途の武器も支給されている可能性がある。
 一刻も早く、それに対応できる武器を作るしかない。爆弾でも不十分なほどだ。
 彼は棚を見据える。何か爆弾の材料となる薬品はないか。

 そして爆発のように、棚は吹き飛んだ。

 目の前にはシュリ。2人を狙う触手が月光に照らされている。
 プライズウェルは舌なめずりをするように、彼らを見据え、口を開く。

「おそらく、きさまらが考えたことは、こんなところだ。
 まず、そこの女はからだがでかい。だから街中をはしりまわっても、いずれ見つかってしまう。
 わたしはクロスボウというとび道具を持っている以上、こうげきの的になってしまうだろう。
 だからベストなせんりゃくは隠れることだ。となると近くの薬局にかくれるのは当然のながれだ」

 薬品は粉々に、ひしゃげた棚を飾っている。
 プライズウェルが戦闘態勢にいることはすぐにわかった。
 何もしなければ殺されてしまう。

 ボヤッキーはディパックから日本刀を取り出す。
 鞘から禍々しい模様をした刃を引き抜いた。
 プライズウェルに向かって、振り向く。
 その動きは隙がありすぎた。シュリで防護するのも楽だ。
 刃が向かう方向にシュリを置く。
 双方の触手で剣を弾き、片方で攻撃する。
 その予定だったが、狂った。
 刃は片方の触手を潜り抜け、胴体に当たった。
 ただ、踏み込みが甘い。
 シュリには対したダメージにならない。
 剣の素人であるボヤッキーが繰り出す斬撃だ。
 なので結局、結果は変わらない。
 片方の触手がボヤッキーを弾く。
 どんっと彼の身体が吹っ飛ぶ。
 孤を描いて、棚にぶつかる。
 瓶詰された薬が割れ、箱が潰れた。
 床に背中をつけるボヤッキー。
 棚も衝撃に耐えられず、倒れた。
 ガタン、とそのままボヤッキーは棚の下敷きになる。

「おじさん……ッ!」

 ミーアがその方向に向かって叫んだ。
 あれでは大けがだ。なんとかして助け出さないと。
 その彼女の意志を察したのか、彼女の目の前にシュリが立ちはだかる。
 横を見ればボウガンを構えたプライズウェル。彼は話し始める。

「しかしその体……なにかのぎそくか、それとも機械なのか? それにしては、ほんとうにヘビのようだ」
「そうよ、蛇よ! 私はラミア!」
「ラミア……かはんしんがヘビという……想像上のばけものじゃないのか。ただ、そんざいしているのも事実のようだな」

315今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:11:35.72ID:K8wMKEIr
 プライズウェルの攻撃の姿勢は一切変わらない。
 ミーアも反撃の必要がある。何もしなければ殺される。
 もしかしたら、あの鎧も尾っぽで縛れば無力化できる可能性がある。
 ただ自分は体が大きい。クロスボウの矢では狙い撃ちにされる。
 ならば、とる方法は1つだ。
 うまくいくのかはわからないが、やるしかない。

 相手が鞭ならこちらも鞭だ。

 尾っぽをぐうっと、振るった。
 それは対抗する鞭のように、キックボクサーの蹴りのように飛ぶ。
 2メートルを超す巨大な物体が、しなってプライズウェルに襲いかかる。
 ただ、彼もそれを読んでいた。
 棚を足で駆け上がり、攻撃をよける。
 ただ、攻撃はまだ続行しているのだ。
 シュリに向かって降りかかる。
 ただ、そんなに問題ではない。
 その鎧は跳び上がり、尾っぽをかわした。
 この状態だとどうなるか。
 ミーアはシュリに背中を向けた状態になるのだ。
 もう一度、彼女は強引に尻尾を振りかぶろうとした。
 だが遅い。
 彼女はシュリによって羽交い絞めにされたのだ。

「腕!?」

 思わず声にでるミーア。
 シュリはその頭部から見える触手が目立つが、マントの中には両腕が隠されている。
 その締める力、並大抵ではない。パンチ一発で人を吹き飛ばすほどだ。
 予想以上の強さにミーアも驚く。これでは動けない。

「なんとかうまく、いったようだな……」

 男の声が聞こえる。プライズウェルはミーアの眼前に立っていた。
 ボクサーのガードの姿勢だ。片手にはクロスボウ。
 薬の残骸を踏み潰し、歩を進める。

「な……なにビビってんのよ! そんな守りの姿勢にして!」
「威勢のいいおんなだな。というか『守り』か……そうみえるのかもな」

 プライズウェルは軽く笑いながら、矢じりを彼女に向けた。
 引き金に指をかける。
 間違いない、発射の兆候だ。
 逃げれない。どうする!?
 光る銀色の尖りは、飛び出した。

「ンンンッッッッ……ア゙ア゙ア゙ッッ!」

 あまりの痛みにミーアは声が出た。
 その叫びは薬局中に響くほどであり、そして痛々しかった。
 ただ、致命傷だけはなんとか避けた。
 彼女は自分の尻尾を矢の盾にしたのだ。
 ただ、いくら鱗があるといえど、鉄は弾くことはできない。
 表側かつ、肉がまだ太いところで受けたため、貫通は無く、致命傷ではない。
 それにしても、痛い。
 熱い感覚と鋭い痛覚が容赦なく伝わってくる。
 思わず涙が出てくる。
 こんなのは嫌だ。どうしてこんなことになったのか。
 守っていた尻尾も力なく床に落ちる。
 その先には矢をクロスボウに装填するプライズウェルがいた。

316今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:13:56.60ID:K8wMKEIr
 ただ、攻撃は異なる。

 シュルは羽交い絞めをはがすと、2つの触手でミーアを攻撃した。
 壁に吹っ飛ぶ彼女に、予断を許さず、腹に拳を向かわせた。

「ごおっ……」

 鈍い痛みがミーアを襲う。
 痛すぎて、声すら出ない。嗚咽しかでない。
 そして両手で彼女の首を締める。
 なんとかミーアもシュリの腕を掴んで抵抗する。
 だが、足りない。相手の力が強すぎる。

 プライズウェルの作戦は成功していた。
 クロスボウの装填は単純に次の攻撃のためである。
 彼女を仕留めるのはシュリで十分だと判断したのだ。
 唯一の武器である尻尾も矢によって無力化した。
 無駄に矢を消費するのは意味がない。シュリで片付ける。

 意識が遠のく。首元が締まっていく。
 彼女は空気が薄くなるその最中、男のことを思い浮かべていた。
 来留主公人。彼の愛しの人物だ。
「化け物」と言われる中で一人だけ「女の子」として接してくれた人だ。

(だぁりん……嫌だよ……。こんなところで死んじゃうなんて……やだよぉ……)

 彼女の涙が増える。
 声に出ない悲しみは澄んだ瞳から流された。
 想い人に会えないまま、ここで惨たらしく死んでいくのか。
 そんな悔しさなど全く解さぬよう、シュリは首を締め続ける。
 プライズウェルももちろん、手を緩めない。
 全員の殺害が前提である以上、意味がないからだ。

 ただ、その彼も読めない事態はある。
 第三者の介入だ。

 街灯にワイヤーがかかる。
 振り子のように動くと、そのワイヤーを出した者は大きく跳び上がる。
 薬局の屋上部、そのギリギリ外側に宙に浮く。
 ディパックから獲物を取り出し、振り落す、というより持って落ちる。
 それはハルバード。紫色の絵をした、禍々しい模様だ。
 巨大だ。人間一人を超えるような大きさだ。
 らせん状に何かを巻き付けた持ち手。
 2本の穂先が髑髏を突き刺している。
 素早く腕時計から飛ばしたワイヤーを収納する。

 コンクリートの天井が破壊され、窓ガラスを砕く。
 大きな斧の刃は、プライズウェルに向けられている。

「くそっ!」

 すぐさまシュリの触手で斧を追撃。
 だが弾けない。
 重力に従い、巨大な刃は彼の目の前に降りてくる。

「うおおおおおおおっ!」

317今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:16:00.47ID:K8wMKEIr
 シュリ本体をすぐさま斧に向ける。
 降りかかる刃にシュリは触覚をクロスさせ、ガードした。
 ぶち当たる。金属音が鳴り響く。
 驚いたことにシュリがこちらに落ちてくる。
 重すぎるのか。一体、どれだけの大きさのハルバードなんだ。
 なんとか落ちてくるシュリは逃れた。
 が、プライズウェルの隣に鎧と斧が落ちてくる。
 ガタンと横に倒れたハルバードと、下敷きになったシュリを確認する。
 まだ、外傷もひどくない。十分に動けるようだ。

 シュリの動作確認は簡単である。自らの身体を動かすのだ。
 その体と連動して、腕などは動く。その方が操作がしやすいのだ。
 もちろん、触手や並外れた腕の動きなどは自動でやってもらうしかない。
 そんな動きは操縦者は並大抵の手練れじゃないと不可能だからだ。
 もちろんできるならできるにこしたことはない。
 ただ、動作の確認程度なら、腕を少し動かすだけで可能なのだ。

 シュリを立ち上がらせると、プライズウェルは前を見据える。
 瓦礫を足で踏み、目の前に立つ者がいた。
 先ほど、巨大なハルバートを落としてきた者だろう。
 ボウガンを向けても動じずに立っている、肝の据わった人物。
 おそらく戦士だろう。目つきで分かる。場馴れしている。

 その戦士は、女だった。



「ゼェー……ハァー……ゼェー……」

 首絞めから解放されたミーアは荒々しく息を吸っていた。
 なんとか殺されずに済んだ。どうも助太刀が来たようだ。
 体がうまく動けない。酸素が脳に回らなかったこと、負傷のことも関係している。

(女の人……なの? それも強そうというか……)

 ミーアが見た、その女の眼は鋭かった。
 長髪の金髪に褐色の肌。へそが見えるような開放的な学生服の着方をしている。
 スタイルもいい。バストは大きいがウエストは細い、理想的な体系だ。
 それらが不釣り合いにならないような、整った容姿。
 キリッとした美人である。

 そんな彼女が、今、プライズウェルと対峙している。

(まもりさんでは……当然ないか)

 そう思いながら女・敷島魅零はミーアを見る。
 下半身が隠れているので、まだ彼女をラミアとはわかっていないが、目当ての人物でないことくらいは確認できた。
 その人物は処女まもり。
 彼女はシュリと同じく「エクスター」である。
 それも人工ではなく天然。本来の「エクスター」だ。

 外的な精神的高揚、一例としては「性的快感」により、身体そのものを武器化してしまう。
 これは彼女たちの世界で10代・20代の女性にしかかからない病である。
 発症者は原因であるA−ウイルス(アームドウイルス)から名をとって「アーム」と呼ばれる。
 その中でも自らを武器化できる者が「エクスター」である。
 そして、その武器の力を引き出せる者が「リブレイター」と呼ばれる。
 敷島魅零はそのリブレイターであり、相方であるエクスターを探している、ということなのだ。

318今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:17:09.10ID:K8wMKEIr
 魅零はまもりを探す目的は、単純に相方だからというわけではない。
 彼女の記憶では、まもりは誘拐されたのである。
 誘拐した者は、因縁の人物である相良百華。
 相良百華はこの殺し合いの参加者である。
 だが、まもりは名簿の中にいない。ただ安心はできないのだ。
 言うなれば、彼女は武器である。武器となりうる存在はこの殺し合いにおいてどうなるか。
 つまり支給品だ。彼女が支給品として出されているかもしれない。
 まもりは気の弱い女性だ。その場で利用されてしまうかもしれない。
 もし、百華に支給されてしまったら、それは――。
 考えたくもないことだ。魅零は記憶を逸らす。
 杞憂ならいいが、可能性がゼロという確証はどこにもない。
 だから探さないといけないのだ。
 そう、大事な人のために。

 そこで聞こえた声は女の悲鳴。
 深夜の街中、よく響く甲高い声に、彼女はまもりを思い出した。
 もちろん、声色を考えれば違うだろう。
 だが、それだからと言って悲痛な声を、彼女は無視できなかった。
 誰かがこの殺し合いに乗り、そして殺されかけている人物がいる。
 クールそうな見た目だが、中身は純粋かつ、熱い。
 そんな彼女なら助けにいこうとかけつけるのは当然だった。
 そして支給品のワイヤーが飛び出す腕時計と巨大なハルバードを使い、奇襲を決行したのである。

「あれは……シュリ! しかし人工エクスターと言ってもリブレイターは女のはず……」

 彼女の目の前には人工エクスターであるシュリと、それを操る男。
 店の中が荒れ果てていることを考えると、シュリの力を使ったことはわかる。
 そもそもシュリを使用している者は、この殺し合いの参加者の一人でもあるリブレイターの柊晶のはずだ。
 ということは支給品となったということだろう。
 すると本来の持ち主が愛用の武器などもバラけている可能性があるのだ。
 処女まもりも、その可能性はある。
 ただ、今ではそれは考えないように、魅零は集中する。
 あの女性の首を絞めていたシュリを見る限り、襲ったのはこのクロスボウを持つ男だ。
 人工エクスターの仕組みはそこまで詳しいわけではないが、エクスターというくらいなのだから、女性にしか扱えないはずだ。
 とすると男が使っているのは贋作か、それともそれ専用に改造したのか。
 とはいえ、シュリは並大抵のリブレイターでは倒せない力を持つ。
 今、魅零はエクスターの助力も借りれないし、手持ちにちょうどいい武器はない。
 唯一の武器ともいえるハルバードも重すぎて扱えなかった。
 逆に扱えるのはどんな者なのか……気になるほどだった。

「どこの誰だかしらんが、俺のじゃまをするきか。まあ、どちらにしろころすのは変わりない」
「……」

 魅零に容赦なくシュリは鞭で攻撃する。
 彼女はその攻撃をなんなくかわす。
 その動きにプライズウェルも驚く。見事な身のこなしだ。

(おそらく、戦士かなにか……。めんどうなことになったな)

319今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:17:55.84ID:K8wMKEIr
 後ろには非戦闘状態とはいえ、二人も敵がいるのだ。
 前には、あのハルバードの奇襲をやり遂げた女がいる。
 若干、彼が不利な状況なのだ。
 とりあえず牽制にクロスボウで、撃ちこむ。
 グゥンと矢は飛び、魅零のいる方向に向かう。
 ただ、それも見切られていたようだ。
 魅零は矢を避け、後ろのコンクリートブロックの壁に刺さった。
 そこに触手で追撃。
 魅零の眼前に、左右に襲いかかる紫色の鞭だ。
 片方をステップでよける。
 もう片方が襲いかかる。
 後ろに下がるが、意味はない。
 魅零の腹部にクリーンヒット。そのままのけぞる。
 コンクリの壁にぶち当たるが、なんとか体勢は保ったままだ。

 飛び道具に、鞭の攻撃。
 おまけに相手も武器をそれなりに使いこなしている。
 相手はもしかしたら兵士か何かなのだろうか。
 だとしたら、自分は不利ではないか、と魅零は判断する。

 この状況、双方が自分が不利と思っているのである。
 とすれば、取る行動は慎重になる。
 慎重になった場合、有利なのはプライズウェルだ。
 単純な話、手数が多いほど、防戦は有利なのだ。
 攻撃なら奇襲などで不意をつけるかもしれないが、防戦は不意をつくことはない。
 持っているスペックが勝っている者ほど優位に立てる。
 武器も何もない魅零と、2つ持っているプライズウェルなら、明らかであろう。

 その状況、変わればまた別の話であるが。

 パァン。

 銃声が鳴った。
 残響が薬局内を駆け巡る。
 硝煙の煙が空中を浮かんでいた。
 空気を揺らがしたその音は、当然ながら銃から発せられたものである。
 撃った者は、ボヤッキーだ。
 彼は薬局の棚に下敷きになっていたが、死にはまだまだ至らない。
 ヤッターキングダムで曲がりなりにも戦ってきた男だ。
 それに、ミーアの尻尾を振るったおかげで、上に覆いかぶさっていた棚が飛ばされたのだ。
 だから彼は支給品の携行火器を準備できたのだ。
 幸いにも、彼は器用だし、プライズウェルは店外にいる魅零との勝負に集中していた。
 これがもし、大したことのない敵ならばプライズウェルは火器の準備に気付いていたかもしれない。
 だが相手は魅零、ボヤッキーから見れば「えらい強い美人の女性」である。
 携行火器の手間は相当かかるが、なんとか装弾が完了できた。
 そして発射したのである。
 本来なら命中精度が低い、この中世の火器も、距離が近いせいか、成果があったようだ。
 つまり命中した。
 背中に弾丸があたったのか、プライズウェルはのけぞっている。
 事実、彼は弾の軌道上にいたことは確かである。
 そして鉄の塊が彼の背部に当たったことも確かなのだ。

 しかし、事実が必ずしも結果を呼び寄せるとは限らない。

 それは防弾チョッキ。プライズウェルの4つ目の支給品である。
 衝撃は分散されて到達するため、彼をよろけさせるほどの威力はあった。
 特にボヤッキーの撃った弾は鉛。着弾時に大きく広がるのだ。
 それ故に威力は高いはずだ。
 ただ、致命傷には至らない。
 プライズウェルのその強化された肉体は、まだ十分に動けるものだった。

320今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:19:02.01ID:K8wMKEIr
 シュリの双方の鞭がボヤッキーに襲いかかる。
 ガァインっと銃砲は弾かれ宙を舞う。
 ただ、その火器はボヤッキーがさっき手放したものだ。
 彼の手には日本刀がある。
 金色の禍々しい文字を纏った妖刀・ベッピンだ。
 彼は吹っ飛ばされたものの、その刀は手から離さないままだったのだ。
 2つの触角の攻撃をなんとか受けきる。
 だが威力は変わらない。
 ベッピンは崩れないが、ボヤッキーに対する負担は、そのまま伝わる。
 動きが止まる。
 プライズウェルはそこを見逃さない。
 すぐさまクロスボウに矢を装填。
 相手は刀を持って防戦をするのが精いっぱいなのがわかるからだ。

(もっとも、その防壁もよわい。だからいそがなくても、きっかけさえあたえれば、かんたんにくずれる。それより……)

 魅零の方向に眼を向ける。
 彼女に気を付けさえすれば、ボヤッキーは殺せると踏んだのだ。
 また彼は、魅零と交戦していたもの、立っている位置は変わらないのだ。
 ミーアの状態も把握している。
 どうも彼女はダメージにより、倒れ込んだままのようだ。
 矢が刺さり、みぞおちの強打に、首に対する強い締めつけ。
 相当なダメージだろう。
 もしかしたら、回復のために動かないふりをしている可能性はある。
 だが死んだふりをしているなら、当分は動かないはずだ。
 そこまで気にする必要はない、と彼は判断した。
 魅零をなんとか封じ込め、ボヤッキーを始末することを目的にする。

 そこに、奇襲。
 プライズウェルの眼前には2つの物体がある。
 魅零が投げたようだ。何らかのものだ。
 何らか……それはなんだろうか。
 外は夜で街灯はあるが、明確に見えるわけではない。
 いや、明確に見えているからと言ってなんだろうか。
 例えば果物としても、それを偽装した爆弾でない可能性などはあるだろうか。
 ない。
 特に殺し合いという場だ。そういうダミー武器があってもおかしくはない。
 つまりなんであろうが関係ないのだ。
 自分の元に来るのが一番マズいということには変わりない。
 触手で素早く追撃。
 謎の物質2つを吹き飛ばす。
 見事にそれは破壊され、吹き飛ばされた。
 何もない。何も起きない。
 それもそのはず、魅零が投げたものは「ぬいぐるみ」と「おでん」だ。
 武器ではない。単なる目くらまし。

 それで十分だ。

 魅零は腕時計からワイヤーをショットする。
 黒き堅い紐は闇にまぎれるが、標的は着実に捉えている。
 ボヤッキーの持っている刀である。
 剣の柄にワイヤーが巻かれ、そのまま引っ張られる。
 ボヤッキーの手が弾かれ、まるで宙を浮くように刀が魅零に向かう。
 プライズウェルはそれに気づいたが、もう遅い。
 刃が街灯にキラリと光り、魅零は柄をキャッチする。
 ワイヤーを外し、握りしめ、構える。
 その先にはプライズウェルだ。

321今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:20:26.19ID:K8wMKEIr
 シュリの二本の鞭で攻撃する。
 風の切る音が、ずぅぅっと道路に響く。
 二線。
 魅零が瞬時に刃を振るう。
 鞭に打撃を与え、カキンと甲高い音が2つなった。
 元々、彼女が使っていたエクスターは剣である。
 さらに妖刀ベッピンという業物。使いこなせるとかなりの武器になるのだ。
 そして鞭の効力が消え去る。
 紫の武器は砕け、地面に破片が落ちた。
 今の鞭は単なる短くて、動く何かだ。使い物にならない。
 シュリの2本の鞭も先ほどからずっと酷使していて、疲労していたのだ。
 おまけに巨大なハルバードを高い位置からぶつけられたのだ。
 切れ味が鋭い刀と、剣技の達人の攻撃。
 この2つだけで、折れるには十分な理由となった。

 魅零は武器を失ったシュリに向かって刀を構える。
 攻撃手段が失った今、プライズウェルにとっては不利な状況。
 の、はずだった。
 だが、彼の顔は、まだ余裕のある笑みを浮かべている。
 まだ手ごまがある、と危機感を強める魅零。
 それに対し、プライズウェルは話しかける。

「こんな序盤も序盤でつかうことになるとは、まったくよそうしていなかった。まあいい。どちらにしろ、きさまがしぬことには変わりはない」

 プライズウェルがそう言うと、空気が――変わった。

 オオオオオオオォォォォォォォォォォォ

 高音の、ハモったような声が響く。
 発したものはシュリだ。その機械の口から発せられた奇妙な声だ。
 マントの内部から、剣が飛び出る。
 それも巨大だ。あのハルバードよりは小さいが、それでも人が使えるような大きさではない。
 それらが魅零にいくつも発射される。
 だが、不思議なことに、それは彼女を全く狙いすましてなかった。
 ガッ、ガッ、ガッとアスファルトに刃が刺さる。
 赤き巨大な剣はいくつも、まるで樹林のように魅零を囲った。
 そして目の前には見違えたシュリである。
 そのマントがなくなった姿はスリムで、歴戦の兵士のような体形をした鎧だった。
 これがシュリの真の力である。
 鎧は走りだし、右手で刺さった剣を引き抜く。

(まさか、攻撃する気!?)

322今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:21:59.57ID:K8wMKEIr
 魅零はベッピンを振りかぶる。
 が、その攻撃も守られた。
 シュリは左手で剣を引き抜き、黄金の刀の軌道を破った。
 彼女が一旦引くと、今度はシュリが構えはじめる。
 巨大な剣を二刀流。それも何の無理もなくだ。
 そして一刀を振るう。
 ぐるう、と魅零の横を突き抜ける。
 剛腕。
 その言葉が似合う、素早くも力強い振りであった。
 魅零はなんとかよける。
 あれは受けたらマズい。
 一発で体の部位が離反する。
 魅零はシュリの存在は知っているが、奥の手まではまだ把握していない。
 この形態が見られたのは、フェステでの戦いを見た者だけだ。
 この参加者の中では魅零以外は知っている。
 彼女が外れくじを引いた、と言ってもいいだろう。
 とはいっても対抗しないわけにはいかない。
 横に一刀。
 だが魅零の、その剣筋は止まる。

「……ッッ!」

 刺さっている赤き剣にひっかかったのだ。
 対するシュリは躊躇は一切、ない。
 上から下へ、薪割りのように斬撃が向かう。
 それも二刀同時に。
 受け止められる重さではない。
 すっと魅零は横に転がる。
 剣先はアスファルトを砕く。
 破片がチッと飛んだ。
 ただ、魅零もダメージがないわけではない。
 左腕から血が流れた。
 原因は横にある刺さった剣。
 彼女は立ち上がり、その傷を確認する。
 大した傷ではないが、状況はまずい。
 この無造作に刺さった剣達は、行動を狭めているのだ。
 横の斬撃は難しいことと、避けようとしても剣が邪魔をする。
 剣を引き抜くことも、大きさが大きさだけに困難だ。
 もちろん、逆にいえば相手の行動範囲も限られている。
 攻撃の太刀筋は少ないため、そこの衝突が勝負なのだ。
 その点、巨大な二刀の剛腕は大体の相手ならパワー勝ちする。
 技量で勝負といってもシュリは機械だ。
 この戦闘方法に慣れているし、ベッピンの「捉えられない太刀筋」も意味がない。
 ベッピンの刀身を追えない理由は、その刃に書かれた禍々しい文字である。
 幻惑的な、呪術的な作用がその文字にはあるのだ。
 故に視界がぼやけ、太刀筋を追えないのである。
 ただ、それは人間の場合だ。
 シュリのようなロボットであるなら、その効果は薄い。
 もちろん、プライズウェルが操作するといった人の手が入っているなら、ボヤッキーのよれよれの攻撃でも当たる。
 だが、今は言うなればオートモード。
 シュリは魅零を倒す、という命令のみに動いているのだ。
 倒せるとするなら、実際にシュリを無力化した、並外れた火力。
 それか奇襲、くらいのものであろう。

「これで『的』にできたな……」

323今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:22:49.65ID:K8wMKEIr
 プライズウェルは呟く。
 彼の手にはクロスボウが握られている。
 矢の先は、鍔迫り合いをしている魅零。
 前線はシュリに戦わせて、後方をボウガンで支援する。
 もちろん相手は止まっているわけではないが、行動パターンも限られる。
 読めれば狙って撃つことは造作もない。簡単に仕留められるのだ。

 魅零も当然、その作戦には気付いている。
 伊達に戦場を渡ってきたわけではない。あらゆるところに注意が向くのである。
 ただ、だからと言ってできる対処は今のところ、撃たれないよう動き回るくらいだ。
 シュリを盾にしようとしても、目の前だとパワー負けしてしまう。
 かといって早く逃げるとしても、まわりは剣が道を塞いでいる。
 つまりは相当な判断をして、逃げ回らねばならない。
 それはどういうことかというと、疲れるのだ。
 特に魅零は先ほどから動いてばかりだからスタミナも消費される。
 そして動きは遅くなる。遅くなるなら狙いやすい。
 プライズウェルとしてはこのままの状態で完璧なのだ。

「そこのお嬢さーーーーーーん! 逃げてくださーーーーーい!」

 男の声が聞こえる。
 声の主はボヤッキーだ。魅零もそれを確認する。
 大声をあげる彼はなんと屋上にいたのだ。
 声が聞こえたプライズウェルはボヤッキーがいないことを確認する。
 
「まだ、あの男、うごけたのかッ!」

 プライズウェルは思わず苛立ちが声に出る。
 しかし、それにしても不可解な行動である。

(おそらく屋上にいるんだろうが、なんのいみがあるんだ? あのシュリをえんごするような武器はもっていないはずだ。あのわたしをうった銃も前時代、それもふるすぎるしろものだ。やくには立たないだろう)

 全くもって不合理な行動である。魅零を応援しにわざわざ体を動かすなどありえない。
 何らかの策があるのだろうが、その策も考え付かない。

(ただ、いえることは、あのおんなに何らかの援護をするということだ……ッ! ならば、そのおんなをころせば問題はない!)

 ボウガンを構え、標準を揃える。
 狙うは刀を持った女戦士である。

「逃げる……って言っても……」

 斬撃を掻い潜りながらも、なんとか考える魅零。
 どちらにしろ、今の状況ではシュリに勝ち目はない。
 いや、厳密にいえばあるのだが、それにしては博打的な要素が高いのだ。
 あの男は「刀を持っている人」くらいのイメージしかないが、とりあえず頼るしかない。
 ただ、この剣の空間から逃れるのは厳しい。
 シュリはうまく動きながら、その空間から逃げないようにしているのだ。
 この戦闘方法はシュリは完璧に熟知しているのだろう。
 その状態で逃げるというなら――。

324今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:23:17.77ID:K8wMKEIr
(上だ!)

 攻撃を避け、赤い剣を足で踏む。
 柄をジャンプで踏み抜け、上空に飛ぶ。
 コンクリートの壁にベッピンを突き刺した。
 腕の力で体をあげて、刀の柄を蹴りあげる。
 今、魅零は上空にいる。
 シュリの攻撃の範囲にも入らない「逃げ場所」だ。

「逃げたぞ! 一体何をする!?」

 ボヤッキーに向かって叫ぶ魅零。一体何があるのか。
 それに応えるよう、ボヤッキーは声をあげる。

「それは見ての、お楽しみです!」

 そういうと彼は「よっ」と声をあげながら投擲した。
 暗闇だから何であるかわからない。月の明かりでは不十分だ。
 わかるのは、何かがシュリに向かって飛んでいくことだ。

 着弾。

 ドッグォォォォォーーーーンッッッ!

 爆発。
 爆音。

 間違いない。それは爆発したのである。
 爆音は響き、シュリを吹き飛ばす。
 魅零は避難したおかげで傷一つないが、驚愕は残る。
 アスファルトまでは破壊されていないようだから、軽度の爆発物のようだ。
 ただ、そんなものを何故持っていたが、なぜそれで対抗しようとしなかったのか、と魅零は不思議に思った。
 その答えは単純なものである。ボヤッキーは爆弾を『作った』のだ。
 事実、薬局には爆弾を作るための材料が揃っている。
 ヘキサニンは利尿剤。過酸化水素は消毒剤。美容にも使える尿素。
 ざっとあげただけでも、これだけあり、材料は十分なのだ。
 だとしたら、必要なのは過程。
 ボヤッキーが爆弾を作る手間暇は刀を奪われた後にあった。
 確かにプライズウェルはボヤッキーとの戦いは必要なしとして、魅零との戦いに集中していた。
 ただ、短時間。一時間も、いや数十分も経っていない。
 それでも可能なのはボヤッキーの驚異的な技術力である。
 ありあわせのもので目覚まし機器を作れるくらいだ。
 今回は携帯火器や瓦礫、薬品を使って雷管や信管も作り上げた。
 銃砲の形を活かして、鉄パイプ爆弾の要領で武器にした。
 常識的に考えればありえない。
 ただボヤッキーは常識から、かけ離れた力を持つのだ。

325今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:23:43.50ID:K8wMKEIr
 シュリといえど機械であることには変わりない。
 その頑丈な身体は軽度な爆弾では微々たるダメージしか与えられなかった。
 だが、コンピュータで動いていることに代わりはない。
 現在、シュリの目的は魅零の排除である。
 そこに奇襲、そして強い衝撃である。
 たとえ、それが致命傷にならなくても「思考が止まる」のだ。
 情報を正確に処理するためには、いくらかの時間をかけねばならない。
 そこがチャンスだ。

「なにッ!」

 プライズウェルは驚く。
 クロスボウで牽制さえすれば、シュリが再起動するまでの時間は作れると思っていた。
 だが、違う。異なる。
 目の前の女は速すぎる。速すぎるのだ。
 先ほどのシュリと戦っていた彼女とは大違いの、速さである。
 片目は青く、血走ったような白い血管線が見える。
 それが本当に血管なのかどうかはわからない。
 ただ目の前の女の脅威さが滲み出ていることが確かだ。

 エンハンス処置。
 ざっくりと説明すると「改造人間手術」である。
 詳しくいえば身体の部位をアーム化できるのだ。
 魅零がリブレイターである以上、その身体能力も向上する。
 だから速いのだ。少なくとも先ほどの速さの比でない。
 何とか撃ったボウガンの矢もあっという間に弾かれる。
 ベッピンの振りも高速だ。
 あっという間に距離が詰められる。

「な……めるなァッ!」

 プライズウェルは頭に被っていた王冠を投げつけた。
 それは武器ではないが、ところどころが尖っていて危ない。
 薙ぎって王冠も斬り払う。
 予想以上の斬れ味。
 ちょうどいい。
 魅零は先に進む。
 次に魅零の目の前に向かってきたのはクロスボウだ。
 ボウガン自体を投げつけてきたのである。
 武器自体が飛んでくるのである。
 それはアーム化した手で薙ぎ払う。
 せっかくの飛び道具だ。斬り捨てるにはもったいない。
 魅零は先に進む。
 またもや彼女の眼にはあるものが飛び込んだ。
 それは武器ではない。
 だが、危機である。

 プライズウェルは矢を持っている。
 向かう先は、倒れているミーア。
 その矢を握りしめ、振り下ろすように襲いかかる。

 彼女を殺す気だ。

326今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:24:20.26ID:K8wMKEIr
 魅零はプライズウェルの背中に飛び込む。
 成人男性の軍人と女性とでは体格差がある。
 足で腰部を堅く挟み、羽交い絞め。
 両手をアーム化し、首の裏をきっちりと組み合わせる。
 その状態だと手首を下に下ろせないのだ。
 しかも堅い。
 改造人間の彼であっても外すのが困難である。
 ならばそのまま前に倒れるしかない。
 それならば勢いで刺せる。
 ただ、そのためには腰や足の動きで倒れるしかない。
 腕の注意は止まっている。
 ハンマーロック。
 背中に腕を引っ張り、捻りあげる関節技である。
 腕と肩関節は極めている。
 それを矢を持っていた腕にかけた。
 しかもアーム化した腕である。
 強すぎる。とても外せるものではない。
 プライズウェルはそのまま体重に乗せられる。
 そのまま、地べたに這いつくばった。
 完全に無力化の姿勢である。
 このままチョークスリーパーに移行すれば、アームの力で簡単に落とせる。
 その前に刀を確認する。
 それは飛び込む際に一旦手放した、ベッピンである。
 そのタイミングと同じ時に、声が聞こえた。

「お嬢さんっ! 危ないーーーーっ!」

 ボヤッキーの声である。
 そしてその状況もわかっている。
 魅零の目の前には最大の危機が訪れていた。
 シュリが眼光を照らしていた。

 全ては時間稼ぎである。
 プライズウェルがくじ引きを投げたり、ミーアを刺そうとしたのも、全てシュリの再起動のためだ。

(シュリは爆弾のこうげきを受けたが、こわれたわけではない。エラーをおこしているだけだ。もちろん、まったくダメージがないわけではないが、うごけるだろう)

 というか、プライズウェルはそう信じるしかなかった。
 武器はクロスボウのみ、相手は身体能力が向上した剣術の使い手。
 いくら自意識が高い彼でも勝算は見えなかった。
 だから「再起動するだろう」という望みをかけて、行動するしかないのである。
 その、合理的だが虚しい最終手段ともいえる行為は、成功した。
 魅零の特性である。
 
 彼女は、人を殺せない。
 いや、正しくは「殺せなくなった」というべきか。
 AAA機関。
 彼女の世界にある、世界政府が設立した機関である。
 主な任務は世界平和、つまり治安維持。
 紛争鎮圧のための兵器の行使等も入るのだ。
 その「兵器」が敷島魅零であった。
 エンハンス処置を受けた彼女は「ソルジャー」と言われていた。
 当然、治安維持で武力を行使することもある。
 つまり人も殺すこともある。
 彼女はかつて人を排除していたのである。
 だが突然、殺せなくなった。
 それは戦いの中で性格が突然変わったのか、良心を持ってしまったのか、どちらかはわからない。
 実際、第二次大戦中のアメリカの調査では兵士の8割は敵に向かって発砲していないという。
 それくらい人は「殺し」ということに拒否感を感じるのだ。
 魅零も途中で割り切れなくなったと考えてもおかしくない。

327今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:25:21.42ID:K8wMKEIr
 だから日本刀でプライズウェルを殺さなかったのだ。
 攻撃はするが殺しはしない。その甘さが時間を稼がせた。
 シュリは再起動し、魅零を排除するように命令する。

 ボヤッキーが気付いたといえ、その行動は早かった。
 剣がないことで軽量化され、すぐに魅零のそばに寄る。
 武器ならば、その場にあった。
 斧である。
 巨大なハルバードだ。
 魅零が奇襲をかけた時の巨大すぎる斧である。
 人間が持つのには難しい。
 だがシュリは剛腕だ。
 あの赤き巨大な剣を二刀流で扱えるほどだ。
 ハルバードもまた、片手で持ち上げる。

「くっ!」

 魅零はベッピンを見た。
 その刀はシュリによって柄を蹴られる。
 ぐるりぐるりと回って、シュリの後方を緩く走る。
 届かない。
 獲物を奪われたのである。
 どうするべきか。
 このままプライズウェルを落とすのが速いか。
 それとも自分が斬られるのが速いか。
 操作者の意識を遮断すれば無力化できる。
 そのまえに自分が殺されれば、目の前の倒れている女は死ぬ。
 助けてくれた男も死ぬ。
 シュリは上へ大きくハルバードをあげた。
 それも両手できっちりと、頭の上に構える。
 剣道でいうところの上段の構えだ。
 反り返った刃が、暗闇の中、光を照らす。

 だが振りかぶらない。
 止まったまま。
 それは不動のまま。
 魅零はわかった。
 その姿勢は意識が失っても「落ちてくる耐性」なのである。
 つまりプライズウェルが失神しても、魅零に危機が訪れる。
 そのハルバードはシュリの支えを失い、自分に向かって襲いかかる。
 一撃だろう。
 同時に、それはプライズウェルも死ぬ恐れがあるということだ。
 あの巨大なハルバードをあの高さからでは、二人を切り裂くだろう。

「とりひきだ。このまま私のこうそくを解けば、これ以上はこうげきしないと約束しよう」

 プライズウェルが口を開いた。
 拘束しているのだが、相手は余裕そのものである。
 状況が状況だけにだろう。魅零は返す。

「お前が攻撃してこない保証はどこにある……? あの人工エクスターは強力な破壊手段のはずだ」
「保証? そんなものはないに決まっているだろう。これは、めいれいだ。私をころしても、結局、おまえはしぬだけだ」

328今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:26:02.98ID:K8wMKEIr
 ロクでもない挑発、そして脅しだ。
 どちらにしろ死ぬかもしれないので条件を飲めとは、結局殺すという事ではないか。
 打開策が必要である。
 こちらはプライズウェルを拘束している。
 相手は自分をハルバードで確実に殺そうとしている。
 プライズウェルを無力化しても確実に殺される。
 もちろん、抵抗しても殺される可能性は高い。
 それに1つ、魅零には危機的な状況がある。
 エンハンス処置によるアーム化には時間に限界がある。
 長時間続けるには抑制剤がないと、身体の負担が激しくなってしまうのである。
 なのでこの駆け引きに時間は稼げない。
 どうするか。どうすればいいのか。
 困惑する。魅零の中は困惑の状態である。
 勝ち得るには、他の手が無ければならない。

 手は尾であった。

 それは巨大な蛇の尾である。
 赤く人間大の大きさを持った尾が、魅零の隣を通った。
 ぐるん、と斧を持ち上げるシュリを巻く。
 強固な締め付けがシュリの身体を固める。
 そして宙に浮く。
 矢が刺さった傷から血が噴き出す。

「痛ッ……たァ……ッッ」

 ミーアは思わず声に出す。
 先ほどの傷が響いている。
 力を入れればその分、痛みも傷も増してくる。
 だが、耐える。
 耐えなければならない。
 彼女はそのまま、シュリを持ち上げる。
 エクスターは宙を浮く。
 そのまま、横に向かって投げつける。
 グオン、と巨大な鞭が鳴った。
 その攻撃の徴候に気付いた魅零は、プライズウェルの背中に覆いかぶさる。
 彼女の後ろを風を切る音が通り過ぎる。
 シュリはもがく。
 エクスターの目的は魅零の排除である。
 それを実行ができない状態にいるのだ。
 もがくしかない。
 ダメでもやるべき行動はとって、ベストを選ぶしかない。
 シュリはハルバードを投げつける。
 巨大な刃が飛んでいく。
 方向は、魅零だ。
 そしてその先には、あの巨大な尾を持った女性だ。
 シュリを投げ捨てた赤髪の女性だ。

「うおおおッッ!」

329今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:27:07.06ID:K8wMKEIr
 魅零は立ち上がり、両腕でガードする。
 あの巨大なハルバードを守れるかどうかわからない。
 だが向かわせてはいけない。
 自分のことを助太刀してくれた女を。
 その者の仲間であろう、上にいる男も。
 自分を助けてくれた人間を手助けしなければならない。
 両腕は黒く染まり、硬質化する。
 頭を守るように固くガードした。
 ピーカブースタイル。
 アーム化した鎧のカーテンである。
 刃が襲いかかる。

 ドォン。

 衝撃。
 その衝撃は両手に伝わる。
 重たさがアーム化した腕でも感じる。
 魅零は大きくのけぞり、壁に背を置く。
 だが守りきった。
 ハルバードは下に落ちる。
 ガン、という鉄の音がしたとき、彼女は眼前を確かめた。
 シュリはまだ動いている。
 こちらの排除のために、まだ攻撃する気だ。
 耐えられるか。
 疑問が浮かぶ。
 先ほどのアーム化もあってか、負担を感じる。
 体が持つかどうかわからない。
 本来ならもう、アーム化も切らねばならない。
 それであのエクスターに勝てるのか。
 無理だろう。
 第一、エンハンス処置の力を活かしても勝てるかどうか、定かではない。
 彼女は時計からワイヤーを、瓦礫の上にあるベッピンに向かって発射する。
 シュリはこちらに向かって走ってくる。
 どっちが早いか。
 さながら西部劇だ。
 シュリが近づく。
 ワイヤーが飛ぶ。
 シュリが近づく。
 ワイヤーが柄を掴み始める。
 シュリが近づく。
 ワイヤーが柄を巻く。
 シュリが近づ――。

330今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:27:48.73ID:K8wMKEIr
 飛んできたのは薬品の入った瓶。
 割れるガラスがシュリの額に向かう。
 投げたのはボヤッキーだ。
 そこらから拾ったものを投げつけた。
 そんな深刻なダメージがあるわけではない。
 だが、シュリは自分を攻撃された方向を確認する。
 つまり攻撃が一瞬、遅くなる。
 ワイヤーは日本刀を引き寄せる。
 シュリが足を踏む。
 ベッピンは魅零の手に握られた。
 手足をアーム化し、彼女は走る。
 シュリは彼女に殴りかかる。
「アーム化した女が振るう日本刀」と「アームが振るうパンチ」はどちらが先か。
 魅零が攻撃を避け、斬りこんだ。
 頭部に向かって鋭い一線。
 機械といえど、頭部は重要な位置である。
 壊れれば無事では済まない。
 斬撃はシュリの頭部に深い傷を与えた。
 その王冠のような顔から火花が飛ぶ。
 二太刀目を入れようとしたとき、魅零は気付く。
 プライズウェルはどこにいった。
 守るためとはいえ、自分は拘束を解いてしまった。
 周りに目くばせして、確認する。
 もう遅かった。

 ミーアの胸には矢が刺されていた。

 プライズウェルはミーアを憎む。
 自分のせっかくの生み出した状況をあの女が不意にしたのである。
 何なのかもよくわからない化物が、自分の道を塞いだ。
 許せなかった。
 彼の高い自尊心はボウガンの矢を握らせ、襲いかからせる。
 対するミーアは、もう体力的に余裕はなかった。
 人間に置き換えれば彼女は、矢の刺さった右足でハイキックや三角締めをしたということになる。
 しかも彼女は戦闘民族でもない。
 ほんのちょっと、力が強い、恋する少女なのだ。
 痛みにだって慣れてない。疲労にだって慣れてない。
 その気力と勇気を振り絞った攻撃をした時、彼女の体力は追い詰められていたのである。
 プライズウェルの矢の攻撃も止めることは、できなかった。

「貴様ァーーーッ!」

 魅零は怒号をあげる。
 その表情は血管を浮かばせ、使用限度が近いはずの彼女のアーム化は加速していく。
 日本刀を構え、二太刀目をプライズウェルに向ける。
 それをシュリは見逃さない。
 踏みこんだ足と、右ボディフロー。
 魅零の腹へ、一直線に拳が進む。

「が……は……っ!」

331今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:28:16.66ID:K8wMKEIr
 アーム化していない腹部へ、人工エクスターの打撃。
 その威力は計り知れない。
 だが、みぞおちは運よく避けれた。
 シュリの処理能力も、頭部への打撃のおかげで落ちているのだろう。
 まだ立てる。
 彼女は日本刀を床に刺し、杖のように倒れそうな体を支える。
 だが、シュリは冷静なままだった。
 ハルバードを持ち上げ、魅零に向かう。
 そう、そのシュリが居る場所は、弾いたハルバードが落ちたところなのである。
 両手でしっかりと握りしめ、シュリに向かって構える。
 床から日本刀を抜くのはロスタイムだった。
 振りかぶるため、大きくシュリは腕をあげた。

 赤き尾は、まだ死んでいなかった。
 シュリの足元は、ミーアの尾に弾かれる。
 バランスが崩れ、エクスターは後ろに倒れる。
 上へ構えられたハルバードは、重い方が後ろへ回る。
 つまり、刃である。
 巨大な刃が後方を襲う。
 そこにいるのはミーア。
 そしてプライズウェルである。

(クソッ! この女、よけいなことを!)

 彼は心の中で悪態をつく。
 危険的な状態。逃げるしかない。
 だがそれも、防がれる。
 ミーアは転ばすために軽く巻いた尾を、プライズウェルに向かわせた。
 彼は逃げられず、その赤い尾に体を締めつけられる。
 抜け出せない。なんて力だ。
 ニシキヘビは強い力で相手を締めつけ、窒息死させる。
 その締めつける力は人間一人ではどうしようもないほどだ。
 しかもミーアの尾は、そのヘビより大きい。
 いくら手負いでも、いや瀕死でも、プライズウェルが簡単に脱出できるものではない。

「ふざけるなッ! きさまらのような、みたことのないような劣等民族にわたしがころされるいわれはないッ! みとめない! こんな状況はみとめな――」

 彼の叫ぶ口をハルバードが引き裂く。
 顎を引き裂き、首輪の下を刃が通り過ぎる。
 紅の尾も赤き血を吹きだしながら、切り裂かれていく。
 刃はプライズウェルの防弾チョッキさえも破壊し、肉体を貫く。
 骨を砕き、内臓を破壊し、生命を遮断する。
 文字を断とうとした男は、身体を断たれたのだ。

【プライズウェル=シティ=スリッカー@ヘヴィーオブジェクト 死亡確認】

残り162人。

332今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:28:37.86ID:K8wMKEIr
 視界はまだ正常だった。
 だが体に不思議と力が入らない事を、ミーアは感じている。
 全身の至る所が痛かったのに、熱かったのに、今じゃ何も感じない。
 感じる余裕もないくらい、身体が動かないのか。
 それは「死ぬ」ということなんだろうか。
 目の前に倒れる男と、倒れた機械とハルバード。
 それらが視界から外されると、2人の男女が見えた。

(おじさんと……女の人だ……)

 2人は何か自分に声をかけている。
 わからない。耳さえも聞こえない。
 感覚がなくなっていくのがわかる。

(そっか、死ぬんだ、私)

 身に近づく死を彼女は感じていた。
 だが不思議と悲しくない。
 何故だろう。
 多分、あの目の前の戦っていた女の人を助けたからだ。
 だから不思議な満足感がある。
 実際は何もやり遂げてない。
 後悔だって十分にある。
 だけど、哀しさはないのは、おそらく錯覚だろう。
 それでも、それはアリな気がした。
 後悔を感じないまま、死んでいくのも悪くない、くらいに思える。
 さっき、自分が死ぬと思った時は怖かったのに、いざ死んでみるとなると、真逆の感情だ。
 自分の感情だがミーアは不思議だと思った。

「だぁりん……私ね……女の人を助けたんだ……。私……死んじゃったけどね……けどね……だぁりんは……生きててね……絶対だよ……絶対……」

 ミーアの口からは、そんな声が出ていた。
 彼女自身も気づかない、言葉だった。
 心の内から噴き出した、願いだった。

 ―――好きだよ、だぁりん。



【ミーア@モンスター娘のいる日常 死亡確認】

残り161人。

333今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:28:55.80ID:K8wMKEIr
 ボヤッキーは今、1人だけ立っていた。
 ミーアの亡骸の外傷は、ハルバードがあってもそれほどひどくなかった。
 後方の防弾チョッキまでは刃は突き通せなかったのだろう。
 だからミーアの上半身にあるのは胸元の矢傷だけである。
 ただ、下半身の尾は引き裂かれ、千切れかけ、壮絶な戦いを示していた。
 心配していた魅零もまるで電池が切れたように倒れる。
 アーム化の酷使に、過激な戦闘。抑制剤なしの今では仕方のないことだろう。
 だから立っているのは彼だけである。

「だぁりん……ですか」

 誰かはわからない。おそらく男性なのだろうが、彼女の知り合いの情報は全く聞いてなかった。
 わかるのは、彼女の名前がミーア、くらいということだ。
 それでも、伝えなければならないだろう。
 彼女が呟いた、その希望を伝えないといけない。

「拝借……しますね」

 回収するのは彼女のバック。何か手がかりがあるかもしれない。
 そして……クロスボウ。
 あの男が持っていた、憎き武器だ。
 しかし、ここで放置していても、仕方がない。
 彼はそれを自分のバックに入れる。
 重さは全く感じない。
 だが、それが彼を思い出させる。
 殺し合いを始めたドクロベエという邪悪。

「待っていてください……ミーアさん。必ず奴を……この殺し合いを破壊してみせます」

 1人の機械工は、月を見ていた。
 ちょうど、雲に隠れている頃である。


【一日目・午前0時30分頃/D-1・街中(薬局)】

【ヴォルトカッツェ(ボヤッキー)@夜ノヤッターマン】
【状態】疲労(中) 身体全体にダメージ ドクロベエへの怒り
【装備】クロスボウ@純潔のマリア(0/1)
【道具】予備矢(残り6本)@純潔のマリア くじ引き@城下町のダンテライオン
ボヤッキーのドライバー@夜ノヤッターマン スタミナドリンク@アイドルマスター シンデレラガールズ
ミーアの作ったお粥@モンスター娘のいる日常 ダンディくん@城下町のダンテライオン
ミーアのディパック 通常支給品×2
【思考】基本:殺し合いを破壊し、ドクロベエを倒す。
1:ドロンジョ様とトンズラーと合流したい。
2:知らないお嬢さん(魅零)をどうにかしないと……。
3:首輪を解析するための道具が欲しい。

334今宵、月が見えずとも ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:29:36.94ID:K8wMKEIr
【敷島魅零@ヴァルキリードライヴ マーメイド】
【状態】昏倒状態 疲労(大) 腹部に打撲 左腕に切り傷
【装備】妖刀「ベッピン」@ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン
【道具】ルパンの腕時計@ルパン三世 通常支給品
【思考】基本:とりあえず、まもりさんを探す。
1:…………………………………。


※携帯火器@純潔のマリアとその予備弾薬はボヤッキーが爆弾の材料にしました。

※シュリ@ヴァルキリードライヴ マーメイドは機動停止中。
損傷はありますが、なんとか治せばいけるかも。鞭は折れてます。

※ネコロンブス@干物妹!、うまるちゃんとおでん@おそ松さん、王冠@城下町のダンデライオンは破壊されて、放置されてます。

※ロゥリィのハルバード@GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えりは放置されています。

※防弾チョッキ@現実は損傷し、プライズウェルの死体に装着されています。

※薬局の入口付近は破壊されています。
 近くの本屋も内部はかなり破壊されています。

335 ◆ZC0oB5s5Dg 2016/08/08(月) 02:31:06.81ID:K8wMKEIr
投下終了です。支給品の説明は後でWikiに書きます。本文も後でwikiに乗せます。
長文、失礼しました。

336 ◆ymCx/I3enU 2016/08/14(日) 16:43:49.18ID:GaMY77gi
投下乙です
ミーア合掌

自分も投下します

337瓦礫と屍を目にして ◆ymCx/I3enU 2016/08/14(日) 16:45:37.94ID:GaMY77gi
43話 瓦礫と屍を目にして

襲禅、真紀、小春の三人は、港を後にして東に広がる田園地帯に移動した。
長閑な風景が広がっていたがそれに似付かわしくない酷く破壊された民家を発見する。
まるで何かが爆発したかのような有様で壁に大穴が空き、室内も滅茶苦茶で瓦礫が散乱していた。

「ええ……何これ、何か爆発したの?」

驚く真紀。その横で冷静に現場検証をする襲禅。

「こんなんなってからまだそんなに時間は経ってねぇみてぇだが……爆弾支給された奴でも居んのか?」
「だとしたら怖いですね……爆発物なんてひとたまりも……」

家を破壊する程の爆発物を支給された者が居るのではと言う襲禅の可能性示唆に怯える小春。
真紀と襲禅は念の為に瓦礫の下に誰かが埋まっていないか確認したが、瓦礫の層は薄く誰も居ない事はすぐに分かった。
粉微塵になってしまったと言う訳でも無さそうなので誰も居なかったか、居たとしても死にはしなかったのだろう。

「死体が埋まってるなんて事は無ぇみてぇだな」
「そうみたいね。良かった。グロ死体でも見付かるかと思ってたけど。
他には何も無いみたいだし、とてもこんな所じゃ休めそうにも無いし、別の場所に行く?」
「そうだな……小春、それで良いか?」
「はい。大丈夫です」

民家は大穴が空いている以外はこれと言った発見も無く、休憩にも使えそうに無い。
これ以上滞在は出来ないと三人は考え、移動し始める。
が、移動した先の別の民家で三人を出迎えたのは玄関先で斃れた有翼半獣人の女性の死体。
そして銃殺されたと思しき全裸の狐獣人青年の死体。
二つの屍であった。

「おえええ……」
「大丈夫? 小春ちゃん」

堪らず嘔吐する小春にそれを気遣う真紀。
襲禅は死体の放つ血の臭いに顔を顰めつつも、民家の奥へ進む。

「奥の様子見てくらぁ。待ってろ」
「気を付けてよ」
「心配すんな」

真紀からの心配の声に軽く応えた後、ガバメントを片手に家の奥へ進む。
奥からも血の臭いがしていた。

「……ヒデェなこりゃ……」

そして襲禅は奥の一室にて、首と胴体が別れた露出度の高い格好の獣人女性の死体を発見する。
とても鋭利な刃物で一瞬で首を斬り飛ばされたらしくその断面はとても鮮やかだった。
真紀はともかく小春には見せられまい。先の二つの死体で嘔吐したのだからこんな物を見せれば卒倒するかもしれない。

「気絶されたらめんどくせぇしな……見せねぇ方が良いだろ」

後頭部を掻きながら襲禅が言う。
小春を心配していると言うより自分の行動が制限されるのを嫌っての判断であった。
外に待たせる真紀と小春の元に戻った襲禅は直接的な表現は使わず首に手を当てジェスチャーで伝えた。
真紀は顔が引き攣り小春は青ざめた。
三人分のデイパックも転がっていたのだが余りの惨状に中身を漁る気にもなれず、放置。
この民家も長居は無用と、三人は民家の門へと歩く。

338瓦礫と屍を目にして ◆ymCx/I3enU 2016/08/14(日) 16:46:38.86ID:GaMY77gi
(リフィアさんも、あんな風に転がっているんだろうか……)

死体を目撃した小春の胸に去来するのはこの殺し合いが始まって初めて出会い、直後に殺された狼の少女、リフィア。
彼女も先の犠牲者のように無残に死体が野晒しになっているのかと思うと居た堪れなくなった。
実際はリフィアは生きているのだがまだ彼女は知る由も無い。

三軒目の民家。
そこには特に何も問題は無く、至って綺麗に見えた。

「放送の時刻が近くなってきてるし、ここで落ち着こうか」

真紀が提案した。
襲禅と小春もそれに賛同する。

(タローは生きてるのかな……)

心の中で小春は愛犬(?)のタローの身を案ずる。
今もどこかで生きていると良いのだが。ひょっとしたら大怪我を負って動けなくなっているかもしれない。或いは。
一瞬、血溜まりの中で動かなくなったタローを想像してしまい小春の背筋に悪寒が走った。

(もうすぐ放送が有る、そうすれば分かる)

放送では死者の名前が呼ばれる筈、遅かれ早かれ、もうすぐタローの生死が分かるのだ。
どうか生きていて欲しい。また会いたい。また会って思う存分「抱いて」欲しい。
小春は願い続ける。


【昼前/D-7市街地】
【須牙襲禅】
状態:健康
持物:基本支給品一式、コルト ガバメント(7/7)、コルト ガバメントの弾倉(3)
現状:殺し合う気は無いが必要有らば戦う。真紀と行動。布川を連れて行く。放送を聞く。

【新藤真紀】
状態:健康
装備:基本支給品一式 拳銃型ライター
現状:殺し合う気は無い。武器が欲しい。襲禅と行動する。布川さんを連れて行く。放送を聞く。

【布川小春】
状態:左上腕に矢傷(応急処置済、余り左腕は動かせない)、少し気分が悪い、藤堂リフィアは死んでいると思っている
持物:基本支給品一式、スペンサーM1860カービン(7/7)、.56-56スペンサー弾(14)
現状:殺し合いには乗らない。タローを捜す。須牙さん、新藤さんと行動する。放送を聞く。

339 ◆ymCx/I3enU 2016/08/14(日) 16:47:27.53ID:GaMY77gi
投下終了です
状態表の備考欄も無くしました(リレーじゃないなら多分無くても良いと思い)

340 ◆ymCx/I3enU 2016/08/14(日) 19:01:37.55ID:GaMY77gi
もう一個投下します

341朽ちた集落抜けた先 ◆ymCx/I3enU 2016/08/14(日) 19:03:16.82ID:GaMY77gi
44話 朽ちた集落抜けた先

有翼獅子獣人ウラジーミルと、小学生の少女和歌子は、廃村から脱出すべく草が生い茂ったかつての村の生活道路を南下する。
何年も使われていない故の荒廃ぶりに悩まされつつも、どうにか二人は村の外へと出る事に成功した。

「ふぅ、ようやく抜けられたね……」
「ウラジーミルさんの翼が使えればもっと早く出れた気もしますけど」
「いや、流石に人一人抱えて長時間飛ぶのは無理だよ……」

もし廃村からウラジーミルが和歌子を抱えるか背負うなりして飛翔出来れば更に楽に村を脱出出来たであろうが、
普段飛翔をあまりしないウラジーミルにはそれは無茶な相談であった。

「それよりほら、あそこに建物が有るよ」

ウラジーミルが話題の切替も兼ねて前方に見える小規模の建物を指差す。
正面に回って見るとその建物は武器屋らしかった。
地図のC-3エリアに表示されている物だろう。
放送の時刻も近付いている為、武器の調達も兼ねて二人は中に入る。
しかし、二人はある物を目にして入口から数歩もしない内に立ち止まった。

「ZZZ……」

カウンターの向こう、事務スペースの椅子に座って寝息を立てている狼獣人の青年。
完全に眠っているらしくウラジーミルと和歌子の扉を開ける音や足音にも気付く様子は無い。
しかしこの時点で二人は武器屋の中を探索したり休めるかどうか調べると言う選択肢が消えた事を悟った。
狼の青年が殺し合いに乗っているのかどうか分からない状態で彼を起こすような真似は危険である為だ。
ウラジーミルが小声で和歌子に言う。

「和歌子ちゃん、別の所を探そう……あの狼の人、乗っているかどうか分からないし、起こさない方が良い」
「分かりました……」

放送の時刻が近付いていると言ってもまだ休憩場所を探す位の時間は有るだろう。
最悪、道端で聞く事になるかもしれないが。それもやむを得まい。
ウラジーミルと和歌子は狼の青年を起こさないよう静かに武器屋から出た。

一方、惰眠をこいている青い狼獣人青年、ウォラゴ。
椅子に座って一息付いている内に眠ってしまった彼は、二人の訪問者に気付く事無く、尚も眠り続けていた。


【昼前/C-3武器屋】
【ウラジーミル・コスイギン】
状態:やや疲労
持物:基本支給品一式、拾った木材、作業用ロープと切断用カッターナイフ
現状:殺し合いには乗らない。和歌子ちゃんと行動。彼女を守り、友達である彩愛ちゃんを捜す。どこかで放送を聞く。

【長嶺和歌子】
状態:やや疲労
装備:基本支給品一式、コルト ポリスポジティブ(6/6)、.32コルトニューポリス弾(12)
現状:死にたくない。あやちゃん(籠彩愛)と会いたい。ウラジーミルさんと行動する。放送を聞く。

【ウォラゴ】
状態:睡眠中、ウラジーミルと和歌子には全く気付かず
持物:基本支給品一式、ハンティングナイフ、消毒用エタノール(500ml)、リボルバーと弾薬(現時点ではモデル不明
現状:優勝狙い。

342 ◆ymCx/I3enU 2016/08/14(日) 19:03:44.86ID:GaMY77gi
投下終了です

343 ◆ymCx/I3enU 2016/08/15(月) 19:51:39.91ID:aoV8cIDQ
投下します

344ミーウ独考 ◆ymCx/I3enU 2016/08/15(月) 19:52:22.24ID:aoV8cIDQ
44話 ミーウ独考

放送時刻の正午が迫る。
ミーウこと修明院美宇はD-5エリア一角の民家の中で休息し放送を待っていた。
結局、捜し人の伊藤椿の手掛かりは掴めていない。

「あ〜椿、今どこに居るの?」

果たして、まだ生きているのだろうか。それとも――――。
最悪の事態は考えたく無いが可能性を捨て去る事も出来ない。
もう少し経てば第一回目の放送が始まる、そうすれば嫌でも現時点での椿の安否が知れる。

「もし椿が死んでいたら……」

最悪の事態になった時、自分はどうするか。
ミーウは考え、そしてすぐに結論に至った。

「決まってるじゃない、一択よそんなの。その時は私も死ぬ」

伊藤椿が死んだら、自身もすぐに後を追おう。
彼女が居ないのなら生きている意味なんて無いし彼女の居ない世界に未練も何も無い。
本気でそう考える程、ミーウにとって椿の存在は重要だった。

「椿が居ないのなら私が生きる意味も無いもんね〜」

壁に掛けられた時計に目をやりながら、ミーウは己の生死を決める事にもなる第一回目の放送を待つ。


【昼前/D-5市街地戸倉家】
【修明院美宇】
状態:健康
持物:基本支給品一式、グロック19(15/15)、グロック19の弾倉(3)
現状:殺し合いには乗らない。椿及び殺し合いに乗っておらず役に立ちそうな参加者の捜索。殺し合いからの脱出方法を探す。
伊藤椿が死んだら自分も死ぬ。

345 ◆ymCx/I3enU 2016/08/15(月) 19:52:53.12ID:aoV8cIDQ
投下終了です。短いです。次は放送です。

346 ◆ymCx/I3enU 2016/08/15(月) 20:21:24.06ID:aoV8cIDQ
放送投下します

347第一回放送 ◆ymCx/I3enU 2016/08/15(月) 20:22:02.57ID:aoV8cIDQ
46話 第一回放送

「あーあー、テストテスト。聞こえるか。柴田だ。
正午になったから、第一回目の放送を始めるぞ。
まず禁止エリア。
午後1時より、A-6、C-3、C-6、E-6、G-5。
繰り返す。午後1時より、A-6、C-3、C-6、E-6、G-5。
次は死者、大体死んだ順番に言うぞ。

黛康裕
イライアス・ウィズダム
六浦春部
ゼンル
志水セナ
スィヴレバル
籠彩愛
盛朋未
久保永悠歩
千品武紀
沼倉勇喜
北原大和
ザスキア・フェルカー
コンゼノア
隠塚英紀
本庄忠朝
伊藤文子
緒方修二
テオ・オトマイアー
倉持忠敏
ユージーン

以上21名。残り31名。
かなりペースが早いな。それは良いんだけど、これなら放送の間隔を短くしても良さそうだ。
と言う事で放送を6時間間隔から4時間間隔に変更するぞ。次の放送は午後4時だ。
以上だ。この調子でゲームを頑張ってくれ。それじゃあな」


【残り31人】

348 ◆ymCx/I3enU 2016/08/15(月) 20:27:44.41ID:aoV8cIDQ
投下終了です
オープニングと口調が違うことに気付く…後で直してWikiに入れます

349 ◆ymCx/I3enU 2016/08/15(月) 22:14:28.48ID:aoV8cIDQ
投下します

350出会いは突然、アウトも突然 ◆ymCx/I3enU 2016/08/15(月) 22:17:40.08ID:aoV8cIDQ
47話 出会いは突然、アウトも突然

E-4市街地の一角、路地裏にて鉤丸聖人は第一回放送を耳にし、地図と名簿に放送で得た情報を書き込む。
今まで彼がどうしていたのかと言うと、明朝に女性の爆殺死体を見た後南下し市街地へ。
利用出来そうな人物を捜すも見付からずそうこうしている内に放送の時間になった、と言う経緯である。

「21人、随分死んでるな……しかし放送の間隔わざわざ短くする必要有るのか?」

進行役の柴田が言うには、ルールを少し変更し放送の間隔を6時間から4時間に短縮するとの事。
死者が多いからと言ってわざわざそんな事をする必要性は有るのかと聖人は思う。

「ま、そんな事どうでも良いか」

思いはしたが、柴田の意図など考えても答えが出る筈も無い。
それにまだゲームは終わっていない。自分が生き残る事を優先して考えるべきだ。
聖人は思考を切り替えて、自分の武器の拳銃を持って路地裏を出た。

そして彼が待ち望む他参加者との出会いは数分も経たずやって来た。
彼が望む形などでは全く無いが。
47話 出会いは突然、アウトも突然

E-4市街地の一角、路地裏にて鉤丸聖人は第一回放送を耳にし、地図と名簿に放送で得た情報を書き込む。
今まで彼がどうしていたのかと言うと、明朝に女性の爆殺死体を見た後南下し市街地へ。
利用出来そうな人物を捜すも見付からずそうこうしている内に放送の時間になった、と言う経緯である。

「21人、随分死んでるな……しかし放送の間隔わざわざ短くする必要有るのか?」

進行役の柴田が言うには、ルールを少し変更し放送の間隔を6時間から4時間に短縮するとの事。
死者が多いからと言ってわざわざそんな事をする必要性は有るのかと聖人は思う。

「ま、そんな事どうでも良いか」

思いはしたが、柴田の意図など考えても答えが出る筈も無い。
それにまだゲームは終わっていない。自分が生き残る事を優先して考えるべきだ。
聖人は思考を切り替えて、自分の武器の拳銃を持って路地裏を出た。

そして彼が待ち望む他参加者との出会いは数分も経たずやって来た。
彼が望む形などでは全く無いが。

「あっ、発見ー」
「え」

突然の声に顔を向ければ、そこには黒髪の少女。角が見えるので人間では無いのだろう。
但し、角よりも聖人が目を引かれたのは、少女が自分に向けて構えている、銃。

(え、嘘、ちょっと待って)

慌てる聖人。
突然の事に対応出来ず、持っていた二十六年式拳銃を構える事も出来ず、その前に少女の銃が先に火を噴いた。
放たれた銃弾は聖人の右目から彼の頭蓋骨を貫通し、衝撃で聖人は後ろへ吹き飛ばされ仰向けになり、
アスファルトに血と肉片を飛び散らせて息絶える。

本人も何が何だか分からない内の、あっさり、呆気無い死に様であった。

◆◆◆ 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)

351出会いは突然、アウトも突然 ◆ymCx/I3enU 2016/08/15(月) 22:18:52.22ID:aoV8cIDQ
あっさりでつまらなかったがまあいいと、スカーレットは少年の持っていた武器を回収する。
放送は聞いた。放送時間変更も知った。
禁止エリアも勿論重要だがそれよりスカーレットが気になったのは死亡人数の多さ。
たった6時間で21人も死んだ。自分が殺した者も含めてだが。
他にもやる気になっている人物が大勢居るのだろうか。

「結構死んでるみたい、早くしないと獲物が無くなっちゃうかも……」

うかうかしていると自分が楽しめる分の獲物が居なくなってしまうかもしれない。
今のスカーレットの唯一の心配事と言えばそれである。

「まあ市街地なら人も集まるだろうし、ぶらぶらしてよっと」

とは言え、そこまで切羽詰まった心配、と言う訳でも無い。
一応、自分を除きまだ30人が生き残っているのだから、まだまだ楽しめはするだろう。
スカーレットは適当に鼻歌を歌いながら、次の獲物を探す。


【鉤丸聖人  死亡】
【残り30人】


【日中/E-4市街地】
【スカーレット・ガードナー】
状態:健康
持物:支給品一式、コルトS.A.A(5/6)、.45ロングコルト(8)、スタームルガーP85(7/15)、スタームルガーP85の弾倉(3)、
二十六年式拳銃(6/6)、二十六年式拳銃実包(12)
現状:殺し合いを楽しむ。獲物探し。

352 ◆ymCx/I3enU 2016/08/15(月) 22:21:02.06ID:aoV8cIDQ
投下終了
あれ、前半がおかしな事になってる
何かマウスの調子が悪いのかドラッグが上手く出来ん

353 ◆ymCx/I3enU 2016/08/29(月) 21:33:08.87ID:ahdKSOPl
生存報告

354創る名無しに見る名無し2016/09/03(土) 16:32:45.42ID:emn6/gDP
こんにちは
新たにロワを書きたいと思っているのですが自分で書いた作品は
自分でウィキに収録したほうがいいのでしょうか?
なにぶん初心者なものですみません

355 ◆ymCx/I3enU 2016/09/06(火) 10:44:37.56ID:2BRJeXlo
はじめまして
基本的に自分で編集ですね
というか現在非リレーロワ界隈は人があまりいないので
自分で編集せざるを得ないです

356 ◆ymCx/I3enU 2016/09/06(火) 12:45:57.17ID:2BRJeXlo
完全に停滞してますので
リスタートか打ち切り&別ロワやるかもしれません

357 ◆84AHk0CknU 2016/09/12(月) 21:11:39.74ID:ZhzxZOmX
自分も現行ロワはどうにも書く気が起きないのに、新しいロワのネタは浮かんで来ちゃって…
これもう分かんねぇな

358 ◆ymCx/I3enU 2016/09/12(月) 21:28:40.12ID:ycCdBNgM
始めたのが2015年の夏頃で一年経って第一回放送しか行ってないって
流石に絶望的なんだよなぁ…

359 ◆ymCx/I3enU 2016/09/20(火) 21:51:58.67ID:avSSdMKx
現在リスタートして書き溜め中……これまで出たキャラ達は
まあどこかで流用すっぺ

360 ◆ymCx/I3enU 2016/09/21(水) 21:29:28.68ID:NNzHwjQG
優しく俺オリロワ、リスタートしました

・もうとにかくさっさと進める
・キャラクターは話ごとに作り決定する
・ルールとマップは基本的にリスタート前を流用

です、宜しくお願いします

連投規制にならない程度に投下します

3610話、1話 ◆ymCx/I3enU 2016/09/21(水) 21:30:54.28ID:NNzHwjQG
【0】
体育館。
訳も分からず集められた数十人。
ステージ上のスーツの男が言う。

「お前らちょっと殺し合いしろ」
「お前何言ってんだ!?」

当然あがる抗議の声。一際目立ったのは平凡そうな男。平凡そうなのに一際目立つって。

「丁度良いや、お前は見せしめに打って付けに見える」
「は? な、何を言って……」
「棄権したきゃさせてやるよ」

スーツの男、柴田行隆が平凡そうな男、大田山一に向けてリモコンを操作し、平凡そうな男の首が爆発音と共に飛んだ。

「きゃああぁぁああぁあ!? し、死んだ……」
「首が吹き飛び悲鳴があがる……普通だな!」
「えーまじでえー」
「言う事聞かねぇとこうだぞ分かったな」

その後大雑把なルール説明の後、殺し合いはスタートした。

【大田山一  死亡】


【1】
「殺し合いかぁ、うーん、何でだろう」

喋るオス馬、小久貫琉璃男はD-2展望台の展望室にて困惑する。
男のケツを掘るAVに出演するだけの自分が殺し合いとは。

「殺し合いには興味が無いけど、良い男がいっぱいいたし、ようしケツを掘りまくろう!」

大きくいななき、琉璃男は気に入った男の尻を片っ端から掘る事に決めた。

「な、何だあの馬、逃げなきゃ(使命感)」

近くに居た青年、柚月倫平がケツを掘られまいと逃げようとした。
しかし哀れにも琉璃男に気付かれる。

「はぁあ、良い男発見!」
「う、うわぁああやめ……」
「さあ、力を抜いて……」

あっと言う間にズボンとパンツを引き裂かれ、牡馬の巨体にのしかかられた倫平は、そのまま未経験の門を馬の巨槍に根元まで貫かれた。

「あぁあぁああぁああああああぁあああぁああああぁあ!!!!」
「んほぉお! 締まるぅ!!」

鼻息を荒くし喜んで腰を激しく突き上げる琉璃男の下で倫平は腸をズタズタにされ、事切れた。

【柚月倫平  死亡】

おくぬき・るりお
男の尻を掘る獣姦AVに出演する喋る牡馬。サラブレッド種。自分の快楽が第一。

【柚月倫平】
ゆづき・りんぺい
大学生の青年。20歳。音楽好きの普通の人間だった。

3622話 ◆ymCx/I3enU 2016/09/21(水) 21:31:56.91ID:NNzHwjQG
【明朝/D-2展望台展望室】
【小久貫琉璃男】
[状態]快感
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]男のケツを掘りまくる(相手が死のうが知った事では無い)。

《キャラ紹介》
【小久貫琉璃男】
おくぬき・るりお
男の尻を掘る獣姦AVに出演する喋る牡馬。サラブレッド種。自分の快楽が第一。

【柚月倫平】
ゆづき・りんぺい
大学生の青年。20歳。音楽好きの普通の人間だった。

【2】
B-3の廃村地帯。
♀レナモンの高本唯衣は支給されたハンティングナイフを眺める。

「こんなんで刺されたら痛そう……」

大きくそして鋭利な刃の感想。
その後ナイフを片手に廃村内を歩いていると、一人のリーフィア獣人の女性を見付ける。

「あ、他にも人が居た! すみませんあの……」

リーフィア獣人の宮田沙和は特に警戒も無く唯衣に話しかけた。
そしてその豊満な乳房のすぐ下にハンティングナイフの刃が潜り込んだ。
大げさな悲鳴をあげる間も無く、口から血の泡を吐き出し沙和は死んだ。

「痛かったかな? ごめんね、私も生きて帰りたいからさ」

唯衣はリーフィアの持っていたデイパックを漁り、催涙スプレーを入手すると、足早にその場を立ち去った。


【宮田沙和  死亡】


【明朝/B-3廃村】
【高本唯衣】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、ハンティングナイフ、催涙スプレー
[行動指針]殺し合いに乗り優勝する。

《キャラ紹介》
【高本唯衣】
たかもと・ゆい
♀のレナモン。24歳の事務員。スタイルは良いがゲーム好きで喪女である。

【宮田沙和】
みやた・さわ
♀のリーフィア獣人。巨乳の女子高生。17歳。雑誌のモデルもしていた。

3633話 ◆ymCx/I3enU 2016/09/21(水) 21:32:51.76ID:NNzHwjQG
【3】
孝宮霜一郎はB-5ホテルのラウンジで考える。

「殺し合いか……何故、殺し合いなんだ?」

自分は医者である。人を治療する事が本分、殺し合いを肯定して他者を傷付けるつもりは無い。
霜一郎は殺し合いに反抗する事に決めた。
支給品は古めかしい自動拳銃CZ38。予備のマガジンも付属していた。

「こんな物、触った事も無いが。良い護身の道具には、なりそうだ。
……おい、そこに居る奴。分かってるから、出てこい」
「うっ……ばれてた」

霜一郎に指摘され、物陰から出てきたのは頭に角が生えた獣人の少年。

「あっ、言っとくけどオレ、殺し合いには乗ってないよ!」
「……」

少年が戦意を否定しているのを確認したが、霜一郎は敢えてCZ38を少年に向けて構えた。

「えええ何で!? 何で銃向けっ、や、やめてやめてやめて」
「冗談だ」
「えぇ……」
「俺は、孝宮だ。お前と同じく、殺し合いには乗っていない。お前の名前を、聞かせてくれ」
「オレはラザナク。冒険者だよ。あんた医者かな? 格好からして」
「そうだ。冒険者……異世界人か。まぁいい。ラザナク、お前、俺に協力しろ」
「いきなりかい……あのさ、もうちょっと頼む時の態度って物を」
「……」

無言でCZ38をラザナクに向けて構える霜一郎。ラザナクはあっさり白旗をあげた。

「分かった分かった分かったよもう!」
「素直が一番だ。まあ、仲良くやろう」
「う、うん……」

「唯我独尊」と言う言葉がこの男には当てはまりそうだと、ラザナクは心の中で思う。

【明朝/B-5ホテル一階ラウンジ】
【孝宮霜一郎】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、CZE CZ38(9/9 予備マガジン×3)
[行動指針]殺し合いには乗らない。ラザナクを連れて行く。

【ラザナク】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いには乗らない。この男(孝宮霜一郎)大丈夫か……?

《キャラ紹介》
【孝宮霜一郎】
たかのみや・そういちろう
医者。28歳。暗い茶髪で眼鏡をかけたイケメン。「、」が多くつく独特な喋り方をする。かなり尊大。

【ラザナク】
小さな角の生えた犬のような獣人のケモショタ。15歳。冒険者で軽い性格。エッチ好き。

3644話 ◆ymCx/I3enU 2016/09/21(水) 21:33:43.71ID:NNzHwjQG
【4】
田辺花は完全に参っていた。
ただの中学生の自分が殺し合いなどと。

「あーそういえば中学生のクラスで殺し合いなんて小説が昔あったけかねぇ。
……勘弁してよもう……嫌だ死にたくない」

頭を抱え震えるしか出来ぬ。
ここはC-1の森の中。もっとも花本人には今自分が居る場所がどこのエリアなのか知る術は無い。
見知らぬ土地、死と隣り合わせの状況で、一人ぼっち。

「ぐすっ」

涙が出てきてしまうのも無理は無い。

「帰りたいなぁ」

元の日常に戻りたいと花は切に願う。
願うだけでは、状況は好転しないのだけれど、無論それは本人も分かってはいたが。
今は、他に何も出来る気がしなかった。

【明朝/C-1森】
【田辺花】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]死にたくない。

《キャラ紹介》
【田辺花】
たなべ・はな
14歳の中学生。大人しくごく普通の少女。スタイルも良いとも悪いとも言えない。際立った特徴が無い。地味。

3655話 ◆ymCx/I3enU 2016/09/21(水) 21:34:21.80ID:NNzHwjQG
【5】
C-5市街地。
緑の竜人、馬里邑龍太は支給されたハルバードを持って通りを歩いていた。

「殺し合いなんて……最高じゃん! ここん所退屈だったし面白いぜ」

超短絡思考で龍太は殺し合いに乗る。

「ついでに、女とヤりたいなぁ……」

更にあわよくば好みの女性を襲いたいとも思っていた。
興奮で股間のスリットから顔を出しそうになった息子を押し込む。

「それじゃああの鯱っぽい人を最初の獲物にしよう」

わー、と勢いをつけて龍太は前方の鯱と竜が混ざったような獣人男に斬り掛かった。
しかしあっさり避けられる。

「危ねぇな兄ちゃん」
「くそっ」

ぶんぶんとハルバードを振り回すが鯱竜人、捨田利磯太には当たらず。
磯太は隙を突いて龍太の腹に蹴りをぶち込んだ。
ぐほっ、と悲鳴をあげ龍太は数メートル後ろに吹き飛ばされ、咳き込んで悶える。

「兄ちゃん素人だなあ、全然避けられるぜそんなモン。悪ィがお前さんに構ってられねぇんだ、じゃあな」
「ぐあ、ま、待て……畜生、あいつやるな……」

逃げていく鯱竜人を見て次に会ったら絶対に殺してやると龍太は心に誓う。
一方の鯱竜人、磯太は殺し合いには乗っていない。

「ふぅ、やっぱ殺し合いに乗る奴は居るんだな。良い武器が欲しいぜ。フォークだもんな」

当面の目標は支給されたスパゲティフォークより良い武器を手に入れる事である。

「あと良い男が居たらヤりてぇなぁ。さっきの兄ちゃんも良い顔だったけど」

それと好みの男と一発楽しみたいとも思っていた。
彼は生粋のゲイであった。

【明朝/C-5市街地】
【馬里邑龍太】
[状態]腹部に痛み
[所持品]基本支給品一式、ハルバード
[行動指針]優勝狙い。あの鯱(捨田利磯太)はいつか殺す。

【捨田利磯太】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、スパゲティフォーク
[行動指針]殺し合いはしない。好みの男とヤりたい。


《キャラ紹介》
【馬里邑龍太】
まりむら・りゅうた
裸族の竜人種。緑と白色の身体。20歳の大学生で、日々を退屈に思っていた。女好き。

【捨田利磯太】
しゃたり・いそた
鯱竜人種の35歳。傭兵をしており戦闘能力は高い。腹が出ているが筋肉質の巨漢、包茎ながら巨根。そして生粋のホモ。

3666話 ◆ymCx/I3enU 2016/09/21(水) 21:34:59.13ID:NNzHwjQG
【6】

※「〈〉」は中国語、「【】」は英語

ブロンド美少女、キャスリーン・エントウィッスルの命運はゲーム開始早々に尽きた。
廃墟の遊園地にて、九尾のオス狐に捕まり、服を引き裂かれ全裸にされ、激しく嬲られている。

「ノー! お、オウゥ……」
「〈良い締まりじゃのぅ! くぅう……〉」

九尾の狐は中国語で話す。
金色の毛皮、大柄な体躯、各所の赤い模様と、見た目だけであればかなりの荘厳さであるが、浅ましく腰を振り涎を垂らすその様はただの淫獣そのもの。
九尾のオス狐、全真はキャスリーンの豊満な乳房をまさぐり舐め回し無理矢理彼女にキスをしたりして存分に愉しむ。

「【うう、何でこんな、アッアッアッ、助けてレイチェルぅぅ】」
「〈何じゃ、友達でもこの殺し合いに居るのか? 安心せいそいつもワシが味わってやるからのぅ……ウッ! イくぞ、イくぞ、グオオォォオオ!!〉」
「【え? あ、嫌あああああああああ!】」

九尾が果て、ブロンド美少女の悲鳴があがった。

「〈はぁはぁ、良い塩梅じゃった……〉」
「【そんな……そんな……】」
「〈愉しめたぞ、それでは楽にしてやろうの〉」

全真は瘤の膨らんだそれをキャスリーンから引き抜き彼女から距離を取ると、口より狐火を吐き出し、キャスリーンを灼いた。

「――――――ッ!」

大げさに悲鳴を上げる間も無くキャスリーンは人の形をした炭になってしまった。

「〈さあて、次の獲物を探すとしようかの〉」

舌なめずりをしながら、全真は次の標的探しに向かう。
殺し合いに乗るのは勿論の事、好みの相手、それも男女問わず、を見付けたら片っ端から犯すつもりであった。
かなりの年月を生きている彼だが、昔より性欲旺盛であり、老成してから衰えるどころかますます性欲は増していた。
そんな全真にとって今回の殺し合いは打って付けのゲームと言えたのだ。

「【行った……?】」

全真が去った後、一人の獣人の少女が現れる。すぐ近くの物陰に隠れて様子を窺っていたのだが全真は気付かなかったようだ。
金髪に白の毛皮の猫獣人少女、レイチェル・マクナイト。
ついさっき殺されたキャスリーン・エントウィッスルの友人で一緒に日本に旅行に来ていた時に今回のゲームに巻き込まれた。

「【ああ、何て酷い。もうキャスリーンだったとは思えない】」

消し炭とかしたかつての友人を見て悲しげに言うレイチェル。

「【ごめんね、キャスリーン。でも、これである意味良かったのかもしれない。だって……私の手で殺すのはちょっと嫌だったから】」

自分の手で友人を殺さずに済んだ、とレイチェルは語る。
レイチェルは、殺し合いに乗る気でいた。
キャスリーンが九尾のオス狐に強姦され殺される一部始終も最初から最後まで見ていた。
しかし助けなかった。どっちみち殺していたから。

「【貴方は良い友達だったわ……さよなら】」

別れの言葉を紡ぎ、レイチェルは九尾狐とは別方向へと歩く。


【キャスリーン・エントウィッスル  死亡】

3676話状態表、一旦投下終了です ◆ymCx/I3enU 2016/09/21(水) 21:36:09.23ID:NNzHwjQG
【明朝/C-6廃遊園地】
【全真】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いに乗る。好みの男も女も片っ端から犯す。

【レイチェル・マクナイト】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いに乗る。あの狐(全真)とは別方向に行く。


《キャラ紹介》
【キャスリーン・エントウィッスル】
金髪碧眼巨乳美少女。16歳の高校生。アメリカより日本への旅行中に今回のロワに巻き込まれた。明るく活発であった。

【全真】
ぜんしん
数百年は生きているらしい金色の九尾狐。狼にも似た風貌で若々しく見えるが中身はエロジジイ。両刀の変態。

【レイチェル・マクナイト】
金髪白猫獣人。巨乳。16歳の高校生。キャスリーン・エントウィッスルの友人で共に日本へ旅行中ロワに巻き込まれる。冷静な性格。


・・・
一度投下終了です、こんなのを最初目指して書いていたら一年もダラダラと……
改めて頑張りますんで宜しくお願いします

368 ◆ymCx/I3enU 2016/09/22(木) 19:30:30.68ID:7Fl8bXEO
7話〜10話投下します

3697話 ◆ymCx/I3enU 2016/09/22(木) 19:31:25.80ID:7Fl8bXEO
【7】
D-3エリアの川に架かるコンクリート橋「軍前橋(ぐんぜんばし)」。
北側の橋台部分に体育座りをして縮んでいる少年、廣崎貴彦。

「あー、もう俺の人生駄目駄目だあ」

とにかく暗いオーラを放つ彼。
見た目に違わぬ暗い性格で、学校ではろくに友達もおらず悪童からはいじめられていた。

「ここで俺の人生は終焉を迎えるのか……」

ブツブツと泣き言を呟く彼の元に近づく一人の女性。

「ねぇあなた?」
「……?」

その女性は非常に際どい露出の多い格好をした美女であり悪魔のような翼や角も生えていた。

「私と良いコト、しない?」

恐らくその女性にとって最大限の色気をこめたアピールを、貴彦に対し送る。
豊満な胸元を強調し、いやらしく尻を振る。
こうすればきっと目の前の少年は落とせる! と、女性、サキュバスのリルヴァは確信していた。今までもこの手で数多の男を貪ってきたのだから。

「いや、いいっす」
「え?」

だが、貴彦はリルヴァの意の通りにならなかった。

「え? も、もう、ウブねぇ。でも大丈夫よ? 私が手取り足取り」
「いや本当いいっす」
「て、照れなくても」
「いやマジでいいんでほっといてくれませんかね」
「……」

余りの事態に固まって無言となるリルヴァ。
一方の貴彦にとって目の前の良くわからない女性など鬱陶しい存在に過ぎなかった。

「えええ!? ちょっと待って! こんなエッチな格好の女の子が誘ってるのに塩対応なんて有り得なくない!?」
「あーもううっさい……何すかもう、いきなり現れて、ほっといてって言ってるでしょ……一人にして下さい」
「むぎぎぎぎぎ」
「麦?」
「違う!」

自分の美貌を否定されたように感じ悔しがるリルヴァ。
放っておいて去ろうとも思ったが人間の少年に馬鹿にされたまま(貴彦は馬鹿にしているつもりは無いがリルヴァはそう思っていた)なのは、
サキュバスとしてのプライドに関わる。
リルヴァは貴彦の隣に座り込んだ。

「えぇ……何すか」
「怒った。怒ったよ私。絶対貴方を振り向かせてみせるから」
「……はぁ……」
「私リルヴァ。貴方は?」
「……廣崎貴彦」

面倒臭そうに、貴彦はリルヴァに自己紹介を返した。

3707話状態表〜8話 ◆ymCx/I3enU 2016/09/22(木) 19:32:37.65ID:7Fl8bXEO
【明朝/D-3軍前橋北側橋台付近】
【廣崎貴彦】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いをする気は無い。この人(リルヴァ)何よ……。

【リルヴァ】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いはしない。廣崎君の興味を私に向けさせたい!


《キャラ紹介》
【廣崎貴彦】
ひろさき・たかひこ
暗いオーラを放つ中学生。15歳。既に自分の人生を悲観している。更に他人との交流が嫌い。友達も数える程しかいない。

【リルヴァ】
紫髪のサキュバス。スタイル抜群で非常に際どい格好。妖艶に振舞うが根は割と普通の性格。

【8】

虎獣人の男、中条清宝はロリコンである。
小学生の少女、鹿取ゆりなは変態である。
この二人が出会い、何も起きぬ筈は無い。

「ゆりなちゃん、俺と一緒に行動しよう」
「悪戯する気ですね! エロ同人みたいに!」
「でも、嫌じゃないんだろう?」
「はい」
「本当だったらね、もう押し倒したいんだけども。ここはあまり良い場所じゃない」

二人の現在位置はD-7の廃遊園地近くの荒地。草がぼうぼうの全く手入れされてない土地。

「草のベッドで、なんてのも良いですけど」
「状況が状況だからね〜屋内の方が良いよ」
「そうですか……取り敢えず、落ち着ける場所探しますか」

清宝とゆりなは落ち着いて色々出来そうな建物を探す事にした。

【明朝/D-3軍前橋北側橋台付近】
【中条清宝】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]ゆりなちゃんと一緒に居る。殺し合いはしない。

【鹿取ゆりな】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]中条さんと一緒に居る。殺し合いはしない。


《キャラ紹介》
【中条清宝】
なかじょう・きよたか
普段は真面目なサラリーマンの大柄筋肉質な虎獣人。30歳。ロリコン。

【鹿取ゆりな】
かとり-
小学六年の変態少女。12歳。妄想遊びが趣味。それ以外は礼儀正しい割と普通の子。

3719話〜10話途中 ◆ymCx/I3enU 2016/09/22(木) 19:33:30.40ID:7Fl8bXEO
【9】

D-5市街地。冒険者ルパート・ラッシュが支給された木刀を片手に歩く。

「俺は、こんな所で死にたくない。
他の奴らには悪いが殺し合いに乗らせて貰う」

生き延びる為に早々に殺し合いに乗る決意をする。

「人間であればさっさと始末……ケモノであれば、もふもふしたり色々してからだ」

相手が人間かケモノ(獣人や獣)であるかどうかで彼の対応は違う。彼はケモナー。
まあどのみち優勝の為に殺してしまうのは同じなのだが。


【明朝/D-5市街地】
【ルパート・ラッシュ】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、木刀
[行動指針]殺し合いに乗る。人間はさっさと始末しケモノは色々してから死んで貰う。


《キャラ紹介》
【ルパート・ラッシュ】
重度のケモナーであるファンタジー世界の冒険者。23歳。近接武器での戦闘が主体。人間は二の次。


【10】

「……ぺろぺろキャンディー」
「「は?」」

E-2に架かる橋「徳蔵橋」の南側橋台付近。
黒い大柄な獅子獣人の青年に、男子高校生、神野鏡太郎と、女子高校生、溝端麻耶子が名前を尋ねると、そんな答えが返ってきた。

「え? いや、あの……」

強そうな見た目に問い質せない麻耶子。

「ネット上で使ってるHNだ」
「あのー出来れば本名を……」

恐る恐る鏡太郎が本名を尋ねるが。

「教えたくない」

一蹴された。

「……分かったわ」
「分かったの!?」
「押し問答してもしょうがないからね……じゃあ、ぺろさんで良い?」
「ああ」

37210話残り〜投下終了 ◆ymCx/I3enU 2016/09/22(木) 19:34:22.73ID:7Fl8bXEO
結局「ぺろさん」と呼ぶ事と相成った。
しかし見た目によらず可愛いHNだ、と鏡太郎は心の中で思う。

「これからどうする? 溝端さんに、ぺ、ぺろさん」
「駄目! 露骨に怖がったら逆効果よ!」
「俺はお化けか何かか……取り敢えず、他にも乗ってない奴が居るかどうか探してみよう」

鏡太郎、麻耶子、そしてぺろさんの三人は自分達同様殺し合いに乗っていない参加者を探し始める。


【明朝/E-2徳蔵橋南側橋台付近】
【神野鏡太郎】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いはしない。溝端さん、ぺろさんと行動。

【溝端麻耶子】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いはしない。神野君、ぺろさんと行動。

【ぺろぺろキャンディー】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いはしない。神野、溝端と行動。


《キャラ紹介》
【神野鏡太郎】
じんの・きょうたろう
高校生。18歳。ゲーム好きな事以外は至って普通である。過去ロワの碑文谷直紀や舩田勝隆と同じ学校の友人。

【溝端麻耶子】
みぞはた・まやこ
黒髪の美少女。17歳の高校生で生徒会役員を務める。きつめの性格だが他人を思いやる気持ちは有る。

【ぺろぺろキャンディー】
本名は「白上雅秀(しらかみ・まさひで)」。黒い獅子の青年。21歳。大柄で凶悪そうだが良い人。「ぺろぺろキャンディー」はネット上のHN。
・・・・



投下終了です

373 ◆ymCx/I3enU 2016/09/23(金) 20:50:57.73ID:el0fkrA+
11、12、13話投下します

37411話 ◆ymCx/I3enU 2016/09/23(金) 20:51:31.68ID:el0fkrA+
【11】

E-3畑地帯の民家での出来事。
犬獣人の女性、彼女はこの殺し合いにおいてネット上のHNである「EYE」(アイ)を名乗る。
淫乱、露出狂、そしてマゾの三拍子揃う彼女は殺し合いに巻き込まれどう行動するか。

まず、男を見付ける。
伊津野嘉紀と言う同じ犬獣人の青年。
得意の誘惑であっと言う間に行為に及び、激しく腰を振らせ喘ぐ。

「アッアッアッアッ! 良い! 良いぃ!」
「はうう、気持ち良い……!」

初対面と思えぬ程激しく濃密に事を終えた後。

「はぁ、はぁ、はぁ……気持ち良かったよぉ……でも……ごめんね」

EYEは嘉紀の胸に向けて、自分の支給品であるリボルバー、コルトM1917を発砲し、その命を奪った。
これがEYEのこの殺し合いでの基本行動指針。
まず男を見付け誘惑、行為後に殺害する。女性は逃げるかすぐに殺害する。そして優勝し生き延びる事を目指すのだ。
男と行為をする段取りは勿論自分の都合による物である。

「まだまだこんな所で死にたくないもん、もっと気持ち良い事したいもん……」

自分の快楽漬けの人生を潰えさせない為にEYEは動く。


【伊津野嘉紀  死亡】


【明朝/E-3杉浦家】
【EYE】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、コルトM1917(5/6 予備フルムーンクリップ6発入り×2)
[行動指針]優勝狙い。男とは殺す前にヤる。


《キャラ紹介》
【EYE】
アイ
本名「末盛眸美(すえもり・ひとみ)」。EYEは本名をもじったHN(眸美=ひとみ=目=EYE)。
茶色と白の巨乳犬人で露出狂、淫乱、マゾヒスト。23歳。

【伊津野嘉紀】
いつの・よしき
垂れ耳犬種の犬獣人大学生。19歳。それ以外特に無い。強いて言うなら過去ロワの高原正封及び久保遼平の友人。

37512話途中まで ◆ymCx/I3enU 2016/09/23(金) 20:52:16.09ID:el0fkrA+
【12】

F-1港。

「ウィィィィィィッス! どうもージャムでぇーす! いやぁー何と、私、殺し合いゲームと言うものに、巻き込まれてしまいました!」

「ジャム」と言うHNで全くその才能も無いのにユーチューバーを気取っている小男、浜土竜平は、
今回の殺し合いに巻き込まれても「これで生きて帰れれば大人気だで」としか考えず呑気に支給されたビデオカメラで撮影を行っていた。
今の彼の脳内に有るのは見事に過酷なゲームを生き延びちやほやされる自分の姿のみであろう。

「もし生きて帰れたら、そうやなあ、オフ会……オフ会を開こうかなって。やっぱ……」

都合の良い妄想に基づいたナレーションをしている時、
背後から二人の参加者が近付いている事に彼は気付く。
一人は高校生らしき少年、もう一人は裸族なのか全裸の竜人女性。

「え? あー、ちょ、ちょっと一旦切りまぁす」

折角の撮影なのに邪魔が入ったと不機嫌になった竜平は一度撮影を中断する。そして二人に文句を言おうとした。
だが、その前に少年の拳が竜平の顔面に入り、竜平は吹き飛ばされカメラと目にかけていたオーバーグラスとメガネを地面に落とす。
カメラは破損しグラスとメガネも割れた。
突然の事に全く頭の状況判断が追いつかない竜平に今度は竜人女性が腕を竜平の首に組み付かせた。
首を固められた痛みよりも竜平が気になったのは後頭部のとても柔らかい感触。乳房だ。生の乳房が自分の後頭部に。
ボキッ。
その柔らかさが彼の感じた最後の心地良い感覚であり、竜人女性のその細腕からは想像も付かない怪力によって竜平の頚骨は粉砕され、彼は天へと召した。

「一人目」
「うーんおいしいかなあ」
「食ってみ」
「いただきまーす」

少年、三登丞に促され竜人女性、カウィナは小男の腕の肉を齧る。

「まずい」
「駄目か」

おいしくないようだ。

「こいつが持ってるのはビデオカメラだけか、そいつも壊れちまったし」
「つぎいこうよー」
「ああ」

早々に小男への興味を失った丞とカウィナは歩き去った。
二人は殺し合いに乗っており、かつ協力体制を取っている。その方が効率よくゲームを進められると判断したのだ。
そして最後の二人になれば、二人で殺し合い勝った方が優勝する、そのような契約を結んでいた。


【浜土竜平  死亡】

37612話状態表〜13話 ◆ymCx/I3enU 2016/09/23(金) 20:53:02.68ID:el0fkrA+
【明朝/F-1港】
【三登丞】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いに乗る。最後の二人になるまではカウィナと行動。

【カウィナ】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いに乗る。最後の二人になるまではミトくんと行動。


《キャラ紹介》
【浜土竜平】
はまづち・りゅうへい
32歳のユーチューバー気取りの無職。チビ、坊主頭、おちょぼ口、そして才能ゼロだが自信家。

【三登丞】
みと・すすむ
感情表現の希薄な高校生。17歳。青みがかった黒髪。邪魔だと思った物は手段を選ばず排除する冷酷な性格。

【カウィナ】
青と白の身体に銀髪の裸族竜人でブーツと腰ベルトのみの格好。巨乳で大人びた外見だが14歳の子供。
精神年齢が幼く残虐、食べる事が大好き。一応冒険者。


【13】

G-2灯台、その近くの崖。
ガオガモンの♂、下重有恒は崖から飛び立った。
殺し合いに巻き込まれた事を悲観し、自決を試みたのだ。

十数メートル下の海面へ、有恒は真っ逆さまに落ちて行った。


【下重有恒  死亡】


とは、ならなかった。
大きな水の柱が上がった後、普通に海面に有恒は顔を出す。死にきれず。
程近い場所に陸に上がれる場所が有り、また、余り使われていないようだが階段も有った為、難なく崖の上に復帰した。

「……しゃむい」

びしょ濡れになった身体に強く吹き付ける潮風はとても凍みる。
並べた靴の代わりに置いておいた自分のデイパックを拾い、有恒は取り敢えず灯台へと歩いて行く。
一応、自決しようと言う気はもう失せていた。


【明朝/G-2灯台付近】
【下重有恒】
[状態]ずぶ濡れ
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]……これからどうしよう。


《キャラ紹介》
【下重有恒】
しもしげ・ありつね
ガオガモン♂の25歳。完全ニートであり日々エロゲと自慰に費やす。毛並みもボサボサである。

377 ◆ymCx/I3enU 2016/09/23(金) 20:53:46.02ID:el0fkrA+
投下終了です

378 ◆ymCx/I3enU 2016/09/25(日) 22:27:27.40ID:0H7ZGUqD
14〜16話投下しやす

37914話〜15話途中 ◆ymCx/I3enU 2016/09/25(日) 22:28:33.79ID:0H7ZGUqD
【14】

D-6の酒場。
巫女服姿の狐耳美少女、稀衣は酒場の酒を漁る。

「日本酒でもいただくとするかの」

紙パックなどでは無く大瓶入りのそれなりに高級そうな日本酒を持ち出した。
店主の秘蔵かもしれないが主も居ないし今の状況では気にする事もあるまい。

「中々美酒じゃな……ふぅ、酒でも飲まなければ、と言う訳でも無いが、どうしたものか」

カウンター席に座って日本酒を仰ぎながら殺し合いについて考える稀衣。
乗っても構わないし乗らなくても良い。
どちらでも構わないのだが。
支給された物はテーブルの上に置かれた匕首である。

「まあ、気分次第じゃな」

一先ず、誰かに会ったら決めようと、稀衣は酒をグラスに注ぐ。


【明朝/D-6酒場】
【稀衣】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、匕首
[行動指針]これからどうするか未定。


《キャラ紹介》
【稀衣】
まい
狐耳と尻尾の巫女服少女。但し数百年生きている狐の妖怪らしく口調は老人っぽい。気分屋の酒豪。スタイルは良い。


【15】

E-7教会。神のお膝元とでも言うべき場所であろうか。
三人の女子高生が居た。

「ちょーありえないんですけど殺し合いとかぁ〜」

一人目、いかにも不良そうな見た目のユキヒョウ獣人、安藤咲。

「こんな体験滅多に出来ないわ! すごい! すごすぎる!」

二人目、サイドテールが可愛く現状に目を輝かせている人間、笠麻美。

「……う、うーん」

三人目、挙動不審なメガネ巨乳アブソル獣人、峰涼夏。
全員三文字の名前なのは偶然。

「てかさぁあんたさっきからおどおどしてうざいんだけど」
「ひっ、ごめんなさい……」
「大丈夫よ、何もしないから!」
「は、はい……」

涼夏を鬱陶しがる咲、心配する麻美。対照的である。

38015話続き〜16話途中 ◆ymCx/I3enU 2016/09/25(日) 22:29:17.80ID:0H7ZGUqD
「差し上げます」
「ま、マジ? サンキュー」

思いもよらぬ物が支給されている事に驚きつつ咲はタバコとライターを受け取った。


【明朝/E-7教会】
【安藤咲】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品、タバコ1カートンと100円ライター
[行動指針]タバコ手に入れられてラッキー。

【笠麻美】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]何か凄い事になってるね!

【峰涼夏】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式
[行動指針]……どうしようこれから。


《キャラ紹介》
【安藤咲】
あんどう・さき
底辺高校に通う不良ユキヒョウ娘。16歳。この年で既に愛煙家、酒好き。援交にも手を出している。

【笠麻美】
りゅう・あさみ
田舎の高校に通うサイドテール娘。17歳。オカルトマニアであり、また変わった事象に目が無い。苗字を「かさ」とよく読み間違えられる。

【峰涼夏】
みね・すずか
眼鏡をかけたアブソル獣人娘。そこそこ良い高校の生徒で18歳。おどおどした臆病者。


【16】

※「{}」はドイツ語。

アダルブレヒト・ゲルデラーはそれなりに有名な小説作家である。
この度、日本へ取材旅行と言う名の観光旅行へ行く運びとなった。

「{先生、私も行きますので}」
「{えっ}」

担当編集であるウェアウルフ族のファビアン・グライスナーが無理矢理ついてきた。
当然監視の為である。遊ぼうと思っていたアダルブレヒトは死んだ目付きになった。
元はと言えばしょっちゅう原稿を落として編集部に迷惑をかけているのが悪いのかもしれないが。

そして日本に着いて、ロワへと巻き込まれたのでした。

「{ファビアン君、この度のこの事態をどう思う?}」

E-5の森林地帯。その中でアダルブレヒトはたまたまスタート地点が一緒だったファビアンに支給されたショットガンを突き付けていた。

38116話続き ◆ymCx/I3enU 2016/09/25(日) 22:30:02.99ID:0H7ZGUqD
「{あああああの先生それを下ろして下さい何でそんなもの突き付けられなきゃいけないんですか}」

ホールドアップの体勢で完全に萎縮しているファビアン。尻尾も丸まってしまい耳も伏せてしまっていた。
体格だけならアダルブレヒトより遥かに良く強そうなのだが。

「{私の質問を聞いていたかね? この状況をどう思うと訊いたのだ。君が銃を下ろして欲しいかどうかなんて思考の外なのだよ}」
「{ひ、ひいい、あ、あの、非常にまずい状況だと、思います}」
「{まあ、そうとも言えるな。だが、それ以上に……最悪だ!!}」

叫ぶなり、アダルブレヒトは空に向けて一発ショットガンを発砲した。

「{ひぃぃぃ!}」
「{ああ最悪だ! 最低だ! 無理矢理着いてきた君にも腹立たしいが、こんなふざけたゲームに参加させられ事が一番最悪だ!!
ふ・ざ・け・る・な!! 休暇を返せ!! あぁあああぁあ!!}」

怒鳴り散らしながらアダルブレヒトは弾倉に入っていた散弾を全て空へとぶちまけた。銃声が何発も辺りに響く。
ファビアンはもうどうにも出来ず震えて縮こまっていた。

「ハァ、ハァ、ハァ……!」
「{せ、先生……?}」
「{ファビアン君}」
「{ハイ!?}」
「{私を手伝ってくれるな?}」

ファビアンに問いかけるアダルブレヒトの表情は、狂気とも怒りとも取れぬ歪んだ笑みで満たされていた。
正しく蛇に睨まれた蛙と化したファビアンは、手伝う以外の選択肢を取る事など出来なかった。


【明朝/E-5森】
【アダルブレヒト・ゲルデラー】
[状態]健康、怒り
[所持品]基本支給品一式、ウィンチェスターM1897(0/5、12ゲージショットシェル×10)
[行動指針]どうしてやろうかな!?

【ファビアン・グライスナー】
[状態]健康、恐怖
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]先生(アダルブレヒト・ゲルデラー)に従う。


《キャラ紹介》
【アダルブレヒト・ゲルデラー】
それなりに売れている小説作家。45歳。妻子も居たが色々有って別居中。しょっちゅう原稿を落とす為編集部からマークされている。
紳士ぶっているがキレやすい。大人気無い。一応日本語話せる。過去ロワのアルソンズ・ベイルと作家繋がりで面識あり。

【ファビアン・グライスナー】
ドイツのとある出版社に務めるウェアウルフの編集者。23歳。まだまだ若手。アダルブレヒト・ゲルデラーの担当だが彼に振り回されている。
銀色の美しい毛皮に引き締まった身体と中々美狼で人間の彼女も居る。ただ少しビビリ。日本語話せます。

382現在までに登場したキャラ ◆ymCx/I3enU 2016/09/25(日) 22:32:39.50ID:0H7ZGUqD
(現在までに確定したキャラクター32名)

・小久貫琉璃男・・・喋る馬 男狩り
・柚月倫平・・・人間男 死亡
・高本唯衣・・・レナモン♀ ハンティングナイフ 無差別
・宮田沙和・・・リーフィア♀ 催涙スプレー 死亡
・孝宮霜一郎・・・人間男、医者 対主催 CZE CZ38

・ラザナク・・・角犬獣人ケモショタ、15歳、冒険者 対主催
・田辺花・・・人間女、中学生、14歳 中庸
・馬里邑龍太・・・裸族竜人、20歳、大学生 無差別 ハルバード
・捨田利磯太・・・鯱竜人、35歳、傭兵、対主催
・キャスリーン・エントウィッスル・・・人間、16歳

・全真・・・九尾♂ 無差別
・レイチェル・マクナイト・・・猫獣人、16歳 無差別
・廣崎貴彦・・・中学生、15歳、中庸
・リルヴァ・・・サキュバス、中庸
・中条清宝・・・虎獣人、サラリーマン、ロリコン 中庸

・鹿取ゆりな・・・小学生、12歳 中庸
・ルパート・ラッシュ・・・冒険者、23歳 無差別
・神野鏡太郎・・・18歳、高校生 対主催
・溝端麻耶子・・・17歳、高校生 対主催
・ぺろぺろキャンディー・・・黒獅子、20代 対主催

・EYE・・・淫乱犬、23歳、無差別 コルトM1917
・伊津野嘉紀・・・19歳、垂れ耳犬大学生
・浜土竜平・・・32歳、ユーチューバー気取り ビデオカメラ(破損)
・三登丞・・・17歳高校生、無差別
・カウィナ・・・14歳裸族竜人、無差別

・下重有恒・・・ガオガモン、25歳、ニート、中庸
・稀衣・・・狐耳巫女、中庸、匕首
・安藤咲・・・16歳ユキヒョウ高校生
・笠麻美・・・17歳人間高校生
・峰涼夏・・・18歳アブソル高校生、タバコ1カートンと100円ライター

・アダルブレヒト・ゲルデラー・・・45歳小説作家、ウィンチェスターM1897
・ファビアン・グライスナー・・・23歳↑の担当編集ウェアウルフ

383 ◆ymCx/I3enU 2016/09/25(日) 22:33:12.52ID:0H7ZGUqD
投下終了です
ひとまず40人まで作ろうとは思っております

384 ◆ymCx/I3enU 2016/09/28(水) 10:37:48.14ID:NXwQq+a6
17〜19投下します

38517話途中まで ◆ymCx/I3enU 2016/09/28(水) 10:39:12.38ID:NXwQq+a6
18話まででしたすみません

・・・・

【17】

F-6市街地。
伏島茂晴は壁に背を預け、ぼんやりと空を眺めていた。

「青いな」

空は青い。殺し合いを見下ろそうがその青さは変わらない。

「よぅ兄ちゃん、そんな所でぼーっとしてたら危ないぜ」
「……」

そこへ茂晴に声を掛ける青い狼獣人の男。傭兵かごろつきのような格好のウォラゴ。
実際彼は盗賊紛いの傭兵団に所属するアウトローだった。

「恨みは無ぇんだけどよ、死んで貰う」

そしてウォラゴは支給されたショートソードを片手に茂晴に襲いかかる。
外見的に一般人だろうから簡単に殺せると踏んだ。
しかしそれは間違いだった。

「ぐ、あ……!?」

次の瞬間には、茂晴はウォラゴの腹に何かを深々と突き刺していた。その動作はとても早くウォラゴは一瞬何が起きたか分からない。

「こっちもあんたに恨みは無むが、そう来るのなら、仕方無い」

そう言い放つと、茂晴はウォラゴの腹に刺していたそれ、マイナスドライバーを引き抜き、次にそれで彼の首を刺し貫いた。

「まじか」

口から血を吐きながらもらした驚愕の言葉が、ウォラゴの遺言となった。

「こいつは貰っておくぞ」

地面に倒れ物言わぬ屍となったウォラゴから茂晴はショートソードを回収し、その場から去った。
彼は殺し合いに乗るつもりでいたが、それ以上に強者と戦える事を期待していた。
その点では今の青狼は期待外れであった。あっさり殺せてしまったのだから。

その一部始終を近くの民家二階窓からこっそり見ていた者が居る。
青い髪に竜の角、耳、翼、尻尾、両手両足を持った半竜族の女性、レカ。
彼女はウォラゴの同僚だった。そこまで仲が良かった訳では無いが。

「あらら、ウォラゴ殺されちゃった……ご愁傷様……まあ少しの間なら忘れないよ。
さあて私も気合入れて行かないと……」

彼女もまた殺し合いに乗るつもりでいた。純粋に優勝狙いである。
ただ、支給品が何とピンクローターであり、まず武器が必要であった。

「……最近ご無沙汰だし、ちょっと、一回位なら……う、あうっ」

まずピンクローターを一度味わってからレカは行動する事にした。

38617話途中から〜18話途中 ◆ymCx/I3enU 2016/09/28(水) 10:39:55.42ID:NXwQq+a6
【ウォラゴ  死亡】


【明朝/F-6市街地】
【伏島茂晴】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、マイナスドライバー、ショートソード
[行動指針]殺し合いに乗る。強い奴と会えたら良いな。

【レカ】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、ピンクローター
[行動指針]殺し合いに乗る。ちょっとだけピンクローターを……。


《キャラ紹介》
【伏島茂晴】
ふせじま・しげはる
殺し屋の男。24歳位。黒を基調にした格好と言う事以外は普通と言える見た目。しかし戦闘能力は高く近接武器が得意。
強者との戦闘を好む好戦的な一面も。

【ウォラゴ】
盗賊傭兵団に所属する狼獣人。22歳。濃淡の青の毛皮。暴行、殺人、略奪、強姦と何でも行う悪党。

【レカ】
盗賊傭兵団に所属する半竜人。19歳。青い髪に竜の手足と翼、耳と尻尾を持つ。かなりの美女だが同僚のウォラゴ同様の悪党。
ビキニのような露出の多い格好。


【18】

とあるハッテン場のメンバー。
豹獣人の坂斉豹真、柴犬獣人の足助政規、鮫人の金崎海斗、黒猫獣人少年の入江薫、狼獣人の月原勇哉、獅子獣人少年の大樫真寿、
竜人少年の隆信喜、外国人であり狼獣人のエルドレッド・ドランスフィールド(通称エル)、そして主に撮影を主任務とする、
人間の宇治章人、外国人の狐獣人女性のシェリー・ウォレス、兎獣人女性の坂上梨補。
以上11人。これでもメンバーの一部であるが、彼らが殺し合いに巻き込まれた。
しかし、スタート地点が一緒だった場合を除き、互いに殺し合いに巻き込まれた事は知らない。
尚、撮影担当の三人以外は、尽くが靴或いはブーツに靴下かニーソのみのほぼ全裸でフル*ン状態。
巻き込まれる直前まで盛り合って居た為である。

坂斉豹真はD-3市街地の民家内でゲームスタート。

「大変な事になっちまったな……殺し合いなんかしねぇぞ、俺は」

殺し合いには乗らない。
一先ずしばらくは民家内に隠れて様子を窺う事にした。
支給品は使用済みコンドーム詰め合わせ、そして服を着る気は無い。

足助政規、金崎海斗はB-2の軍事施設跡でゲームスタート。

「大変な事になったな金崎」
「そうだねぇ……」
「まずは一発」
「よっし」
「「アッー」」
「ふぅ……良かった……俺、ちょっとトイレ行ってくるよ」
「分かった」

政規は自分のデイパックを持ってトイレに行ってくると海斗に言い残し、彼から離れる。
そして適当な場所に、支給された作業用ロープを巻きつけてそれを自分の首に結び、首を吊った。

38718話中程 ◆ymCx/I3enU 2016/09/28(水) 10:41:06.50ID:NXwQq+a6
「ぐぅ……くるし、い……ご、めんな……金崎……お前はいき、て、な……」

殺し合いを拒否し殺される事も拒否した結果であった。
数分の後に政規は息絶えた。
帰りが遅い事を不審に思った海斗によって、ぶら下がり唾液と小便を垂れ流す政規の死体が発見される。

「足助! そんな……嘘だと言ってよ……諦めるの早すぎだよ……うっ、うっ」

さっきまで穴の温もりを感じた筈の友人の変わり果てた姿に、鮫人青年は突っ伏し涙した。

入江薫と月原勇哉はF-6道路付近よりスタート。

「大丈夫だからね薫君、君は俺が守るから」
「……ありがとうございます」

草むらにて、自分よりかなり年下の黒猫少年を守らなければと決心する狼青年。
格好がほぼ全裸でなければ良いシーンだったろう。

「……それで、時に薫君、ハァハァ」
「……僕もです、一回しときましょうか……はぁはぁ」
「「アッー」」

草むらの中でこうならなければもっと良いシーンだったろう。

大樫真寿はD-4小中学校理科室にてスタート。
支給品はペーパーナイフ。100均で売っているような物だが武器には成りうる。
まだスタンスも決めていないが、それより先に真寿が行うは。

「あうう……きもちいい……」

学校で全裸と言う状況に興奮してしまい、息を荒げながら半剥けの息子を扱く事であった。

隆信喜はE-5の薮にてスタート。
草の背が高く隠れられる。

「僕は死にたくない……皆殺して生き残ろう」

支給された小型自動拳銃FNブローニング・ベビーを握り締め信喜は殺し合いに乗る事を決心した。
ハッテン場仲間の皆にまた会いたいからだがその仲間も殺し合いに呼ばれている事を彼はまだ知らない。

エルドレッド・ドランスフィールド、宇治章人はC-3廃村地帯でスタート。

「うーん、これは参ったねぇ、宇治君」
「そうっすね……しかしいつ見てもでかいっすねエルさん
「ふふふ」

石垣の上に座り会話する狼獣人と人間。
エルドレッドは彼らのハッテン場において数少ない外国人であり、
高身長、引き締まった身体、そして屈指の巨根であり性格も良い、そして受け攻め不問と人気が高い存在。
彼本人は掘られる方が好きのようだが。

「これからどうしましょう」
「決まってるさ……こんなゲームには乗らない。そうだろ?」
「ええ。同意見です」

早々に二人はゲームに乗らない事を決めた。全裸ブーツで巨大逸物をブラブラさせてなければエルドレッドは更に格好良かっただろう。
まあ章人は十分格好良いと思っていたし全裸の事等まるで気にしていないが。
支給品は、エルドレッドが旧式ライフルのスプリングフィールドM1903、章人が巨大ハリセン。

38818話後半1 ◆ymCx/I3enU 2016/09/28(水) 10:41:37.06ID:NXwQq+a6
「戦闘は私に任せてくれ、なぁにこれでも戦うのは得意だ」
「は、はい」
「さてと、まずどうしようか……」
「そうですね……」

朽ち果てた家が並ぶ中、エルドレッドと章人はこれからまずどうするか考える。

シェリー・ウォレスと坂上梨補はB-6草原にてスタート。
そして真っ赤な鮮血が緑の草を濡らす。

「な、ん、で?」

首元を切り裂かれ、血を噴き出しながら、兎の梨補は倒れ息絶えた。

「何でって殺し合いでしょう? 殺すしか無いでしょう? 貴方とはそれなりに付き合いは有ったけど、やっぱり自分の命が大事だから……ってもう死んでるか」

血に濡れたマチェットを携えながら、微笑みを浮かべた狐、シェリーは言う。
彼女は早々に殺し合いに乗る事を決めていた。
まず最初に手にかけたのはハッテン場の撮影仲間。梨補はシェリーに殺されると思ってなかったが故最期に疑問を投げかけたのだ。
梨補の支給品を漁り、簡易レーダーを手に入れると、シェリーは立ち去った。

各所でゲームスタートしたハッテン場の人員達、それぞれの判断の行く末やいかに?


【足助政規  死亡】
【坂上梨補  死亡】


【明朝/D-3市街地松井家】
【坂斉豹真】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、使用済みコンドーム詰め合わせ
[行動指針]殺し合いには乗らない。


【明朝/B-2軍事施設跡】
【金崎海斗】
[状態]健康、悲しみ
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いには乗らない。足助……。


【明朝/F-6道路付近】
【入江薫】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いには乗らない。月原さんと一緒に居る。

【月原勇哉】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いには乗らない。薫君を守らないと。

38918話後半2 ◆ymCx/I3enU 2016/09/28(水) 10:42:48.51ID:NXwQq+a6
【明朝/D-4小中学校理科室】
【大樫真寿】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、ペーパーナイフ
[行動指針]どうするかなあ。


【明朝/E-5薮】
【隆信喜】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、FNブローニング・ベビー(6/6、予備マガジン×3)
[行動指針]殺し合いに乗って生き延びる。


【明朝/C-3廃村】
【エルドレッド・ドランスフィールド】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、スプリングフィールドM1903(5/5、.30-06スプリングフィールド弾×10)
[行動指針]殺し合いには乗らない。宇治君と行動する。

【宇治章人】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、巨大ハリセン
[行動指針]殺し合いには乗らない。エルさん(エルドレッド)と行動する。


【明朝/B-6草原】
【シェリー・ウォレス】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、マチェット、簡易レーダー
[行動指針]殺し合いに乗る。


《キャラ紹介》
【坂斉豹真】
さかさい・ひょうま
豹獣人のホモ。21歳。学生らしい。ハッテン場に通い詰めるのが趣味。

【足助政規】
あしすけ・まさき
柴犬獣人の男。28歳。ハッテン場常連の一人で穏やかな性格。

39018話後半3 ◆ymCx/I3enU 2016/09/28(水) 10:43:42.73ID:NXwQq+a6
【金崎海斗】
かねさき・かいと
鮫人の男。17歳。高校には通っていないらしい。ハッテン場常連で人懐っこい性格。女のような悲鳴じみた嬌声が特徴。

【入江薫】
いりえ・かおる
黒猫の少年。ケモショタ。10歳位。普段は礼儀正しく落ち着いた性格だが淫乱。

【月原勇哉】
つきはら・ゆうや
青と白の毛皮の狼青年。19歳。ちょっぴりマゾ。少年のハッテン場常連のお兄さんのような存在。

【大樫真寿】
おおかし・まさとし
獅子獣人のケモショタ。13歳中学生。女のような艶かしい体付きで半剥け。

【隆信喜】
りゅう・のぶよし
ショタ竜人。12歳。大樫真寿とはハッテン場以外にもゲーム仲間でもある。怖がり。

【エルドレッド・ドランスフィールド】
外国人の狼獣人。高身長、程よく筋肉質な引き締まった身体、巨根、それでいて性格も良く受け攻め不問の出来た人物。30歳らしい。
色事以外にも色んな事が出来る多才。

【宇治章人】
うじ・あきと
ハッテン場を撮影する男。24歳。小柄。撮影した物は自分で楽しむ。

【シェリー・ウォレス】
外国人のハッテン場撮影者。25歳。爆乳の狐獣人。内面は結構狂気的だったり。

【坂上梨補】
さかがみ・りほ
兎獣人の女性。20歳。ハッテン場撮影者の一人。大学生らしい。

391 ◆ymCx/I3enU 2016/09/28(水) 10:45:45.28ID:NXwQq+a6
投下終了です
獣人だらけだな、でもケモノ好きだからね、しょうがないね

392 ◆ymCx/I3enU 2016/10/02(日) 11:43:30.23ID:dWdPubPk
投下します
【19】

E-4島役場。
服を脱ぎ捨てた美少女と巨躯の雄狼がエキサイトスポーツ中。

「アッアッアッアッアッアッアッアッアッアッ!」
「ヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッ!」
「いい! いい!」
「俺もだぜぇ……お前名前は?」
「ね、ネット上では、ぷるりんって、言ってるぅ! 本名は、あとでぇアッアッアッアッ!!」
「そうかデカパイがぷるんぷるんいってっからぷるりんなんだな! 俺はゼユックだよろしくなぁ!」
「アッアッアッあああぁあーーん!」
「ウグォオオオオ! ハグフッ!!」

お互いに初対面ながらすっかり意気投合しているようだった。


【明朝/E-4島役場】
【ぷるりん】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]ゼユックとしばらく遊ぶ。

【ゼユック】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]ぷるりんとしばらく遊ぶ。


《キャラ紹介》
【ぷるりん】
ネット上で卑猥な画像や動画を上げている少女。現役中学生の15歳。本名「室川美知(むろかわ・みち)」。
HNの「ぷるりん」の由来はぷるんぷるん揺れ動く乳。年に不釣り合いな抜群のスタイル。快楽主義。

【ゼユック】
狼型モンスター。30代位らしい。濃淡の灰色の毛皮で黒目に赤い瞳。交尾好きで人間の女性が特に好み。


【20】

ブラッキー獣人、戸川将寛。
肩書きは一応作家。それなりに売れている。
巨根であり、両刀であり、色事が大好き。
そんな彼は、C-2の孤児院にてベッドに寝転がっていた。

「これからどうしようかなあ……殺し合いかー……」

殺し合いに乗るか否か。
支給品は回転式拳銃コルトパイソン。武器としては当たりの部類に入る。

「よし」

何を思い立ったか将寛、ベッドの上でズボンとパンツを下ろす。

「抜きながら考えよう」

この人おかしい……(小声)

393 ◆ymCx/I3enU 2016/10/02(日) 11:44:02.24ID:dWdPubPk
【明朝/C-2孤児院】
【戸川将寛】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、コルト パイソン(6/6、.357マグナム弾×12)
[行動指針]あぁ……気持ち良い……。


【戸川将寛】
とがわ・まさひろ
ブラッキー獣人の小説作家。22歳。巨根の両刀。基本的に何か考える時は扱く事が多い。



【21】

ビキニアーマーの少女、リューレンは展望台の駐車場部分にてゲームスタート。
露出の多い格好の彼女に潮風に近い展望台は些か寒い。

「寒っ、早い所ここから離れ……」
「あぁあぁああぁああああああぁあああぁああああぁあ!!!!」
「い!?」

突然頭上から響いた絹を裂くような悲鳴。男の物だった。
男性がこのような悲鳴を発するなど只事では無い、リューレンに緊張が走る。

「るんるん」

暫くして展望台から出てきたのは、大きな牡馬。人間の言葉を解するようで楽しげに鼻歌を歌っていた。
しかしリューレンが目を奪われたのは股間にぶら下がる勃起したままのモノ。
先端が大きく開いており行為を終えた後らしいのはすぐに分かった。良く見れば赤い血のような物も付着している。

「ん?」
「うっ」
「うーん、女の子かぁ。悪いけど用は無いんだ。じゃあね」

牡馬はそう言うとさっさと行ってしまった。

「女の子に興味は無い? って事は……男好きなのかなあ……」

先程の男性の悲鳴、そして今の牡馬の言動や股間の様子から牡馬は同性愛者なのだろうとリューレンは結論付けた。
そして悲鳴の主が気になり展望台最上階へ向かい、そこで尻から夥しい量の血を流し息絶えた青年を見付け、
リューレンは「ぎゃー」と軽く悲鳴を上げた。

一方、牡馬の小久貫琉璃男。

「さて、どこに行こうかな」

次の行き先を思案する。
股間のモノは元の鞘に収まっていたがすぐにでも臨戦態勢は整うであろう。

394 ◆ymCx/I3enU 2016/10/02(日) 11:44:28.54ID:dWdPubPk
【明朝/D-2展望台】
【リューレン】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合う気は無い。

【明朝/D-2展望台周辺】
【小久貫琉璃男】
[状態]快感
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]男のケツを掘りまくる(相手が死のうが知った事では無い)。


【リューレン】
ビキニアーマーロリ巨乳の冒険者。13歳。身体能力や戦闘力はそれなりに高い。
欲求発散に狼型モンスターをねじ伏せて無理矢理行っているとか。



投下終了です

395 ◆ymCx/I3enU 2016/10/05(水) 22:37:31.38ID:VUlzxDEa
投下します


・・・

【22】

F-5病院。
獣人の女戦士が二人居た。

「どうするよ? これから」
「しばらくここに居ていいんじゃない?」

男口調のアブソル獣人女性、ラシャールと冷静そうな狼獣人女性のロキア。
双方スタイルの良い身体を高い露出の装備のみで覆っている。
二人はスタート地点が同じ病院であり、互いに殺し合いには乗っていない事を確認し、早々に仲間となった。

「今何時?」
「そうね、大体ね……8時前?」

時計は8時を回ろうとしていた。殺し合いが始まって2時間が経とうとしている。

「あー、もう二時間経つのか」
「何人死んでるのかしらね」

他愛の無い会話をしながら、二人は午前の時間帯を迎えた。


【明朝/F-5病院】
【ラシャール】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合う気は無い。ロキアと行動。

【ロキア】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合う気は無い。ラシャールと行動。


《キャラ紹介》
【ラシャール】
巨乳のアブソル獣人女戦士。22歳。細身だが怪力。男口調で話す。大剣を振り回している。
大雑把で考えるのは余り得意では無い。

【ロキア】
巨乳の狼獣人女戦士。21歳。細身だが(ry。冷静な性格で穏やかな口調だがたまに毒を吐く。槍が得意。
毛皮の色は濃い灰色に白。

・・・

投下終了です
やっべスタートダッシュで息切れ

396 ◆ymCx/I3enU 2016/10/11(火) 20:31:03.25ID:9XK6guSh
そろそろ容量一杯なのでPart38立てました

http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1476185425/l50

397 ◆ymCx/I3enU 2016/10/11(火) 20:40:36.01ID:9XK6guSh
次より次スレに投下したいと思います

398創る名無しに見る名無し2017/07/10(月) 04:12:06.62ID:ugHrL6M5
☆ 日本人の婚姻数と出生数を増やしましょう。そのためには、☆
@ 公的年金と生活保護を段階的に廃止して、満18歳以上の日本人に、
ベーシックインカムの導入は必須です。月額約60000円位ならば、廃止すれば
財源的には可能です。ベーシックインカム、でぜひググってみてください。
A 人工子宮は、既に完成しています。独身でも自分の赤ちゃんが欲しい方々へ。
人工子宮、でぜひググってみてください。日本のために、お願い致します。☆☆

399創る名無しに見る名無し2017/12/27(水) 10:33:25.65ID:C1Z7QFDy
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参考までに、
⇒ 『武藤のムロイエウレ』 というHPで見ることができるらしいです。

グーグル検索⇒『武藤のムロイエウレ』"

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400創る名無しに見る名無し2018/02/02(金) 11:42:19.38ID:IlFn8Yh/
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401創る名無しに見る名無し2018/05/21(月) 06:29:34.68ID:tRZnwP6O
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参考までに書いておきます
グーグルで検索するといいかも『ネットで稼ぐ方法 モニアレフヌノ』

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402創る名無しに見る名無し2018/07/03(火) 21:19:05.72ID:f1dClnnX
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403創る名無しに見る名無し2018/10/17(水) 16:02:39.23ID:ZU7x6aHX
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暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね

RK5

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